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ん?
あれ、……これは茹だ…っ…
ふ、双海?双海!
二越、手を貸してくれ。
[慌てたような声で謂うと、
湯船から双海を救出する作業に入った。
肩を貸してよいしょと持ち上げる。
2人がかりならばそこまで苦労なく持ち上がろう。]
うん、戻ってきた。流石にそろそろ出ようかなと思って…。
[ごしごし。目を擦った。二度も見間違えた気がした。]
…杏ちゃん、あんまり長風呂しないからなー…。
のぼせるまで居るなんて珍しいかも、杏ちゃーん大丈夫ー?
[更科に引っ付いたままの片割れの額を、ぺち、と軽く叩いた。
かっくんと曲がった首と同じ方向に曲げてみるけれども
なかなかの角度だ。これはのびる。首が。]
…は、運んであげた方が、いいかも…。
…。
[二越を見送ると、再び箱を抱え上げる。]
…。
[城と矢口にも目を向けるが、やはりのぼせかけているようだ。こちらにも水分をしっかり取るように、と伝え、サウナの準備にかかった。]
んー…。
[完全に意識まで茹っているようでした。
なんかこう、遠くで更科が喋ってるなーとか、
鈴が喋ってるなーとか、そういうことは解るのだが。
水泳部なので筋肉はついているけれど、
そこまでは重たくはない予感。
だってほら、絶壁ですから]
え、あ、うん!
[更科の声に同じように肩を貸して支える。
…自分と更科と比べると、身長に差があるので若干バランスが悪いが
この際それはどうでもいい。とりあえずこれ以上茹で杏状態が続くのは芳しくない。]
えっと、脱衣所まで運んだほうがいいかな。
そっちの方が涼しいし、…水とかもあるし。
[筋肉は脂肪の約3倍の重さだから、絶壁だろうと何だろうと
それはそれで体重はある気がした…が、感想は控える。
――ちなみに、体重は乙女の企業秘密だ。社外秘。]
…もしもーし、杏ちゃん。大丈夫…?
[何とか脱衣所まで運びきって、ベンチの上へ横にさせる。
手拭を水で濡らしてから部屋の隅に設置してあるボトル式の常温水を組んできて、手渡した。受け取ったのを見て、手拭も額の上に乗せる。]
−脱衣所−
[すっかり煮過ぎたホウレンソウよりもひどい状態の双海ですこんばんわ。
脱衣所まで運んでもらうと、少し涼しくなったので頑張って服を着てみました。
相変わらずTシャツと短パンですけどね]
…多分、駄目…。
[鈴から水を貰って飲むと、小さく息を吐き出した。
額の手拭いと脱衣所のベンチがひんやり冷たくて気持ちいい。
思わず真夏の夜のコンクリートの上でゴロゴロする猫の気分]
[還ってきた言葉に小さく苦笑して、自分も着替えることにする。
さっき来ていた服は炭酸で濡れてしまったから、
タオルと一緒に洗濯機に放り込んで、浴衣を着ておいた。
…む。あまり浴衣は着慣れないから難しい。
四苦八苦して、漸く着れた。どうしてあっさり着れるんだみんな。
なんとか形にして、自分の分の水をこくりこくりと少しずつ飲みながら
杏が横になってる近くへちょこんと座る。]
ゆっくり休むといいよ。
良くなるまで待ってるから。
んー…
[もそ。
頷くにも首が横に寝ている状況なので何とも動かしづらい。
ぽーっと茹った頭で天井を見上げたあと瞼を伏せ、
額を冷やしていた手拭いを目元まで引き下ろす。
それから、掠れた声で小さく謝った]
ごめん、なあ…
[ちょっと、みっともなさにどうしていいか解らなくて。
自分に呆れかえって溜息をついたことだけは*確かだった*]
考えてって言われてもなぁ。
[席を立つ西野にごめんね、と言って]
私も女の子なのに一切手伝いないとか、ちょっと悪いな…。
でも三人分の食器って少ないよね。
邪魔かなぁ。
[悩んだ挙句、部屋に戻っておくね、といってその場を*後にした*]
―脱衣所―
…… ほら、よくよく頭を冷やせ。
氷枕があったが、これも一応、な。
[濡れタオルを頭の上に乗せる対処はもちろん、
それよりよく冷えるようにと持ってきた
氷枕で双海の頭を冷やす。
序に扇風機も動かしておいた。]
ちょっと風呂の温度が高かったのかもな。
ゆっくり横になってるといい。
部屋番号は?
[ベッドに運ぶなりしたほうがいいか、と
それだけは尋ねておいた。]
…206だな、了解した。
ある程度よくなったら、
部屋に戻ろう。ここはちょっと、
夜は冷えるのが心配だ。
頭は冷やさないといけないが、
身体を冷やしては風邪を引いてしまう。
[のぼせの対処は頭と足を冷やすこと、
身体は冷やさないこと、と謂う記憶だ。]
今日は泳いだし、疲れてるだろう。
ベッドで、ゆっくり休んだほうがいいしな。
[ぽん、と双海の額のタオルの上から
手を乗せて、笑んだ。
風呂から何事かと矢口が尋ねるなら
現状について説明し、看病を頼んだりする。
――運ぶ云々の際にどのようなやりとりがあったかは、さて。
なんだかんだでしばらく後には
双海たちも部屋に戻れただろう。]
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