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◇ボクハ・キミガ・スキ◇
― 8 ―
修行を続けるアナコンダの前に危険な男が立ちふさがる。
ヤツの名はコブラ。股間にサイコガンを持つ男。
コブラはなんと、弱いもの虐めにおいて頂点を極めた強敵だ。
「やーい24センチ24センチ」
「うるっしゃあ、黙れぇぇぇぇっ」
激闘の末、辛くもコブラを退治した。
アナコンダのLvが上がったような気がした!
HPが1になった!
攻撃が1になった!
防御が1になった!
知力が1になった!
素早が1になった!
駄菓子菓子。月を守るには力が力がまだ足りぬ。
アナコンダは貪欲に奔り続けた。
[目を覚ました。
腕の中には若干震えている更科。
目の前には赤くなった顔。
頭が一気に覚醒する。]
え、ちょ………なんで?
[しかし、即座に大混乱。
何をしていいかわからず、体が動かない。]
あれ、む……おは、よう?
[とりあえず挨拶。]
……っ、
[なんではこっちの科白だ。
眸が狼狽えて揺れた。]
お、おはようじゃ ない、だろ…!
[真っ赤なままだった。]
い、いいから起きろ…!
……。
[ふと、一つ手前の部屋が目に入る。
…ちゃんと、部屋に戻れたのだろうか。]
丈…
[口にして、ドアを開きかけて、止まる。
時間も時間だ。寝ていたら起こしてしまうのも悪い。
ドアにこつんと額を当ててから、来た時と同じように音を立てないように階段を降りた。]
―娯楽室・日の出前―
くぁ…
[大欠伸を一つ。
結局、ここ以外に寝床を見つけられなかったので、再度ソファにばたりと寝転ぶ。]
…最近、まともに寝てないな…
[もう一度大きく欠伸をすると、朝食の時間まで一眠りする事にして目を閉じた。]
す、すまん……!
[全速力で、更科から離れて自分のベッドへ転がり込む。
部屋の中の様子を見れば、確かに此方が自分のベッドだと再認識。
つまりは、自分が更科のベッドへ潜り込んだということになる。]
た、確かに俺自分のベッドで寝て……た、よな?
つーかすまん!更科!
[全身全霊を篭めた土下座。]
―204号室―
[風峯が起き上がり離れるとこちらも体を起こし
両手を前についてシーツを握りしめた]
…っ、
[一寸浴衣(※旅館とかにあるタイプの)は
寝乱れていただがそれどころではない。枕を放る。]
ばか、
…莫迦、驚いただろう…!!
本当に、何事かと、思っ――
[感情が高ぶりすぎたか
一寸眼が潤んだ――ので落ち着くために
一度深く息を吸って、吐いた。
土下座しているのが見えて、困ったような表情も覗かせた。]
いや、俺でもなんであんな事をしてたのか……。
[神の意思です。]
いや、寝ぼけながら。
なんかこの抱き枕あったかくてやーらかいなーとか!
なんかいい匂いするなーとか思ってたっちゅう話だけども!
[そもそも、抱き枕自体なかったはずで。
変わらず頭は床に。]
◇ボクハ・キミガ・スキ◇
― 9 ―
一方その頃。地上は乱れに乱れていた。
「ヒャッハー!汚物は消毒だー!」
「最近このネタばっかだぜぇー!」
「待てぃ!!」
「あーん?なんだキサマはぁ?」
「彩りましょう食卓を、皆で防ごうつまみ食い。
一番大事な愛がある!人呼んで、ファーストサムライ!」
………。ごめん調子に乗った。
「嘘つけぇ!てめえアナコンダじゃねーかー!」
「No,I'amふぁーすとさむらい!」
「なにいってんだ、どう見たって24センt」
「うるさい、黙れぇぇぇぇぇっ!」
一撃必殺。悪は滅びた。
◇ボクハ・キミガ・スキ◇
― 10 ―
そう、アナコンダは遂に最強の力を手に入れたのだ。
「この力で…俺は月を手に入れる!」
だけど最強の力を手に入れて宝島についた頃、アナコンダのお月様は誰かと腰を振っていた。
「なんですとぉーーーーーっ?!」
ハートブレイク。
「これほどに、、、これほどまでに苦しむのなら、俺は…俺は愛などいらぬ!」
それは切なくも悲しい傷だらけの夜想曲。
――かくして世界は平和になった。
fin.
[隣でちちくりあっている二人はさておき一方その頃。203号室。]
・・・・・・ふぅ。
[読み終えた文庫を閉じ、結城丈二は小さくため息をついた。
窓の外は明るく。そろそろ他のクラスメイトたちも起き出しているのではないだろうか。
『ボクハ・キミガ・スキ』と表題の打たれた文庫を鞄に戻すと、丈二は顔を洗おうとタオルを手に取った。]
―204号室―
寝相が悪すぎだろう!
[寝相とは違いそうだが的確な表現がない。
そして神の意思を知る由も無い。]
へ、変な感想を述べなくていいから!
ばか!!
[もう一個投げようとしたが既に枕はなかった。
うう、と土下座の風峯を睨む。]
っ、…、
と、 …とにかくだ !
… ……もう、お前寝るとき布団に縛られるなりしておくがいいよ…!
[なかなか困難そうだった。]
[隣でちちくりあっている二人はさておき一方その頃。203号室。]
・・・・・・ふぅ。
[読み終えた文庫を閉じ、結城丈二は小さくため息をついた。『ボクハ・キミガ・スキ』と表題の打たれた表紙をじっと見つめる。
――スキという気持ちはただのワガママ。だからそう、誰にも知られないようにトモダチとトモダチと呪文のように繰り返す。誰にも言えない。君にも言えない。君は気付かない。ずっと気付かない。ボクハ・キミガ・スキ――
それは切なくも悲しい傷だらけの夜想曲。うわぁ、書いていてすげぇ恥ずかしい。
窓の外は明るく。そろそろ他のクラスメイトたちも起き出しているのではないだろうか。
文庫を鞄に戻すと、丈二は顔を洗うべくタオルを手に取り寝室を後にした。]
いやもう、簀巻きにするも海や砂漠に放り投げるも更科の好きに………っ!?
[土下座から頭をあげて更科を見た瞬間、暫く固まってから慌てて頭を下げる。]
さ、更科……。
その、なんだ……前、前!
[見えてるから!と必死にそちらを見ないように。]
[204号室の騒ぎなど知る由もなく、目を覚ました。もし知っていれば部屋を変えるよう進言するところだが、知らないのだから仕方ない。
眠気を取るべく、起き上がるとシャワー室へと向かった。]
眠い・・・。昨日あのままだったっけ。
[着替えを手にまずは顔を洗う。
冷たい水でさっぱりしたところで服を着替えて部屋に戻った。]
投票を委任します。
碓氷 愛美は、戸田 万寿夫 に投票を委任しました。
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