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(やっぱり、棄てるなら水場だよね。)
[肥料(硝酸アンモニウム)となんたらかんたら。
砂漠で作ってはみたが、つまるところ水でダメになる。多分。
なので、風呂場にでも浸けてしまえば破棄できるだろう。
食堂と、モニター室と、倉庫に設置してしまったものは後で取り除けば良いだろう、と楽観的に考えつつ。]
ちょっと、お風呂を借りるね。
[双海がパンケーキを焼いているのは分かっていたが、そうと決まればこんなものは持っていても危険なだけだ。
パンケーキなら、別腹とか何とかで誰かが食べてくれるだろう。
ダンボールのまま、お皿を机に載せ、ダンボールのまま食堂を出るべく出口へ向かう。]
[そういえば、だ。
肝試しで、人外っぽい存在をひとつ思い出した。
鶯谷が珍しくまともにいるので、ついでに、伝えておこう。
去りかけた鶯谷の背に、声をかける]
鶯谷くん。
やっぱり、トーマス、
あの人、鶯谷くんの想像とおり、ロリコンみたいだよ。
[可愛い島の精霊(仮)さんについて、存在を教えておいた。
知らずに出会ったら、びっくりするだろう。そう思って。
本人が目の前にいるなんて、知りませんったら]
へぇ……つまりはすごく苦手、と。
[更科の反応から、そう断定した。
大抵完全否定しない=物凄く苦手なのだ。こういう物は。]
結構意外だな。
更科とか双海とか葛城とか矢口とか。
このクラスの女子ってそういうの全員平気なイメージがあったんだが。
[大浴場の前でしばし固まる。が。]
だぁ〜れかぁ〜〜
いませんかぁ〜
[そろそろと。
ジャージ姿のまま、大浴場の扉をガラリと開ける。
男湯のほう。]
おぉ!
でかい!
[別に結城が居たわけではない。]
E。あ。えっと。
[去ろうとして、背中にかかる声に思わず止まる。
一瞬、それは僕なんだよベイビーなどと訳の分からんことを言えと大宇宙の彼方から受信した気がしたが、全部無視することにした。そんなこと言えるかコンチクショウ。
何の話かと耳を傾けると、どうやら自分のことのようだ。]
そ、そうなんだ。
・・・只者じゃないと思ってたけど、まさか本当にいやらしくてロリコンで極悪な囲い込みをしていたなんて。
もしかしたら、精霊(?)さんは、一人じゃないのかもしれない。ますます許せない人だね、トーマス。
[許すまじトーマス。トーマスに制裁を。]
まさかこの島は、トーマスの私有地・・・?
[恐ろしい想像を呟いて、食堂を後にする。]
わ〜、おもしろー
わぁぁぁぁぁぁ〜〜♪
[試しに叫んでみた。声が反響してサラウンド&エコー]
もしも〜 この船で〜♪
君の幸せ見つけたら〜♪
[雄三が響く]
[去り際、矢口にこう言い置いた。]
ありがとう。
[最初に脱出プランを聞いてくれたことも。
犬を大事にしてくれたことも、元気そうでいてくれたことも。
そして、今日まで行動の活力を与えてくれたことも。
仮に自分が特別プログラムに連れて行かれても、いつの日かまた会いたい、とそう思った。
矢口は憧れの人であり、諸々の恩人でもある。
……当時の自分から考えれば、毎日学校へ通うことも驚くくらいの進歩だったのだ。それはきっと、(妄想的な意味でとは知らず)元気な矢口を見ていたからだろう。
あれ? 何か死亡フラグっぽくね?
……まあいいか。]
[鶯谷に心のなかで謝った。無茶ぶりごめん☆]
……ん?
[首を傾げる。お礼を言われた理由が、よく判らない。
なんだか、鶯谷のタイツ姿が夜空に浮かぶのを幻視した。
――無茶しやがって]
これはいいわぁ。
ちょっとしたカラオケ設備ねえ。
[無防備に浴室に足を踏み出し、つるっといきそうになる。]
っとと、あぶな。ゆっくり歩かなきゃ。結構広いのね〜
[広い内風呂。その先は露天に続いているようだ。]
ぶぉ〜くのぉ〜 お嫁にぃぃ〜 おぉいでぇぇ〜♪
……。
[まいった。
花火で気をそらそうにも無理っぽい。
ぱふぱふホットケーキを焼いていたら、城が食堂に現れた姿が見えたので
流れ作業でそのまま二人分焼いていたのだが]
…あれ。鶯谷は?
[いない。
二枚の皿を持って首を傾げた]
ん……?
[矢口の方から、何か拗ねたような雰囲気を感じ取る。]
矢口、どうかしたか?
[きっと、これもある種の霊感だろう。
その後、うろたえた更科の方へと。]
まぁ、いいんじゃねーの。
人によって怖いものなんて全然違うだろうしな。
ほれ、高所恐怖症とか閉所恐怖症とか、わかんねーやつにはまったくわかんねーだろ。
―食堂→大浴場―
[今の時間なら、朝風呂としても微妙な時間なので誰もいないだろう。ダンボールのまま、扉を押すと、]
〜っ
[中から、大量の湯気と謎の声が聞こえてきた。
それは、――そう、三人くらいの声に聞こえた。
一つは聞き覚えのある山田の声。
もう一つは、林の中で聞いた「少女」の声。
もう一つは、山の中で聞いた「男性」の声。
皆して陽気に合唱している。
ちなみに山田以外の声は霊感の強い阿太郎にしかry。
浴場への扉も開いている。誰かが入っていった…というか山田が入っていったところなのだろう。]
(どうしよう。山田がいるなら、後にした方がいい・・かな?)
[ダンボールのまま、暫し考え込み、立ち止まる。外から見られてはいけないので、とりあえず廊下と脱衣所とを区切る扉は閉めておいた。]
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