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…ありそう。
[頭が痛い。なんていうかもう更科頑張れ。
ただでさえ船の上で調子が悪いので、
それが余計に輪をかけて、顔が青を通り越してやや白い気もする]
うっさい。
[大丈夫だと言おうとした言葉が、
城の先手を打つ言葉に飲みこまれて。
小さくむくれたまま、負けを認めた]
…しゃあないから、甘えといたる。
[今だけとしっかり念を押すと、むくれるとも照れるとも
何とも表現しづらい自分の表情が城に見えないように
ちょっとだけよっかかっておくことにした**]
――― 保健室 ―――
[目を覚ますと、そこは白い部屋だった。
白い壁。白い天井。白い寝台、シーツ。機能重視で作られた医療器具まで白く見える]
ここは……。
[身じろぎして、顔をしかめた。全身に鈍い痛みが走った。呻く]
そうか……僕は、双海に……。
[殴られて。酷く殴られて。これでもかというくらい、殴られて。
そして、気を失ったのだ]
― 後日・アミューズメントパーク ―
ほら、もっとくっつかないと、ちゃんと写らないよ?
[愛美の肩を抱き寄せる。いま「肩」が「型」に変換されたぞ。どういう事だ、ATOK]
3Dプリクラってあるんだ。初めて来たから知らなかった、な。
― 後日・アミューズメントパーク ―
[プリクラコーナーを通りすがりに入った一台。
撮るのは久しぶりだった。中学の時は何度も撮りに入ったことが有る。
そのころより増えた機能に目を丸くしつつ]
え、あ、うん。
[肩を抱き寄せられてぎこちなく宇留間に肩を寄せた。
画面に映る二人の顔。直視すると恥ずかしくてつい俯いた。]
ほんとだ。なんだか種類だってたくさんあるよね…。
―保健室―
――西野くん
[目を開いたのに気付いて、そっと声を掛けながら立ち上がる。
気持ちが急いていたのか、弾みで腰掛けていた椅子がかたんと小さく音を立てた。
…あの時の惨劇は口にするにも憚られる。
121コンボとは、我が片割れながら人離れした事をやってのけたものだ。
そんな数字、昨今音ゲー辺りでしか見たことがない。
そもそも格ゲーでは121へ至る前に普通ゲージが空っぽになっている。
…あの時止めなければ、今頃どうなっていたか。
あまりそこまでは考えたくない。]
…だ、だいじょうぶ?
[…大丈夫ではないから、ここにいるのだろうが。
心配げに眉を寄せながら、その顔を覗き込んだ。]
うん、色々あるね。
[画面にタッチしてテンプレートを次々に表示していく。満開の薔薇とかあったり]
これとか、誰が使うんだろ?
[美少年同士でやらせてみたい]
これがいい、というのはある?
[うつむいた顔を起こすために、あえて問いかける。あれから、照れる愛美の顔を見る手段を随分増やした、ような気がする]
うん、誰が使うんだろうねぇ…。
[薔薇のテンプレートを見た。なぜか御手洗が浮かんだ。]
えと…。
シンプルなのがいいかなぁ。
あ、これなんてどうかな。
[水中にいるかのようなフレーム。宇留間の方を見上げる。思ったよりも近くで又すぐ下を向いてしまった。]
その声は……二越か。
[頭を酷く打ったのか、まだ視界はハッキリしなかった。ただ、その声が二越のものであることは、すぐに分かった]
僕は、大丈夫。
これは多分、決められていた運命……だからな。覚悟はしていた。
むしろ、こんなもので認めてもらえるなら、安いものだ。
[ハハ、と無理に笑う。走る痛みを無視して、手を伸ばす。二越の髪を撫でる。
しかし121コンボとかどうなってる双海。MAXゲージから全て削りきるなんてどう考えてもハメじゃないか]
[なあに戦国BASARA X なら121コンボぐらいどうという事はない。きっと。何の話だ。あの日輪どこかおかしいだろ]
いいね。これにしよっか。
[タッチパネルを指が踊る。こんな感じに写りますよと画面が答える。うん、悪くない]
今度、海へ行こうか。二人きりで。
[ふと、島での生活を思い出した]
うん。
[あまり見えてないんだろうと言う事は、ハッキリしない瞳孔ですぐに理解した。
だから相手にも判るように、頷きではなく短い肯定を返す。
…それでも直ぐに自分を判ってくれたことが
少しだけ嬉しいと思うのは、今は心へしまっておいて。]
大丈夫なら、いい…けど。
…えっと、杏ちゃんが――ごめんね。
[伸ばされた手。ゆると一度だけ瞬いて――ふる、と首を振る。
髪に触れるそれへ、そっと壊れ物を扱うような柔さで おずおずと触れた。
――確かに、片割れはこう…自分を大事に思ってくれている節があるけれど
まさか、こんな事になるとは思っても見なかった。
どう考えても、ゲージを全て削りきって更にラウンド2をパーフェクトで収めてもまだお釣りがくるコンボ数だ。…いくら覚悟していたと言われても、流石に安いという言葉に頷くのは無理がある。]
[画面に映る二人の姿。俯いているのに気づいて顔を上げる。
肩を寄せて、画面内に映るように。]
海…。
でも、水着…苦手だな。
スクール水着しか着た事ないし。普通の水着はなんだか恥ずかしくて。
[なんとなく想像した。あの、結局成される事のなかった気がする罰ゲーム。
砂浜で追いかけっこ、とまで行かずとも、二人で歩いてみるのはいいかもしれない。]
うん、そうだね。
二人だとちょっと寂しい気もするけど。
だから、いいんじゃないか。
……今度、選んであげようか?
[水着姿に恥ずかしがる愛美を感じて、悪戯っぽく笑う]
ん。賑やかな方がいいかな。それなら、風峯や西野を誘ってみるけど。ジョジョは……双海の方から誘った方がいいかもね。
――それとも、僕がその寂しさを満たしてあげる、って言った方がよかったか、な?
[画面に「撮影します。よろしいですか?」と表示される。愛美に合図をして、宇留間はパネルをタッチした]
[髪を撫でていた手に、二越の手が重なる。小さく、柔らかく、暖かい手。
ぼんやりとした視界。だが、二越の顔が曇っているだろうことは、声で十分わかった]
双海は……君を取られるのが怖かったんだろう。
でも、そのことから目を逸らさずに、僕を殴りに来た。そういう答えを出したんだ。
洗礼だと思っておこうじゃないか。餞別かな。
[しかし素晴らしいコンボだった。殴られながら、誰か記録をとっていないかと期待するほどに惚れ惚れした物だ。
すぐに気を失ってはしまったが……こう、斜め上あたりから自分を見ていた感じがしだしたころから、人類の極地にただひたすら感嘆していたくらいだ]
……、洗礼にしては、ちょっとすごかったけどね。
そうだったら、いいな。
[彼女を残してあの場所を去るときは、少しだけ、不安だった。
立場を置き換えて考えたら、きっとそれは辛いだろうと直ぐに理解ったから。
――それでも、彼女なりに答が出た結果なら。
少し西野には痛いものだったけれど、其れは僥倖だと思うことにした。
尤も、斜め上辺りから、自分を客観視し始めてしまったことを知れば
それは…僥倖とかの前に命が危険に晒されていないか。
と、即座にツッコんだに違いないのだが。]
…、…あのね、西野くん。
[沈黙が落ちて、暫く。 ようやく、という態で名を呼んで、その手を軽く握る。
握るとも言いがたいほど弱々しい力で、指を微かに曲げて、
相手の掌を僅か包むように]
え、でも、選ぶって。
[つまりは試着したのを見てもらうかもしくは水着売り場に一緒に行くということで、想像したら画面上の顔が固まった。]
あ、ううん。にぎやかな方がいいって訳じゃないけど。
…。
え、満たしてって。
……。二人なのも、いいよね。
もっと、悠介君のこと知りたいって、思うから。
[ほんのりと頬を染めて、微笑んだ。丁度頷いたところで撮影される。]
ん……なんだ? 二越。
[包むように握られた手を意識する。だいぶん視界がハッキリしてきて、二越の顔にようやく焦点が合ってきた。
やはりその顔は少し、曇っているように見えただろうか]
じゃあ、今からお金を貯めておかないとね。
僕の事か。うん、色々と教えてあげるよ。たとえば、カナヅチな事とか、ね。
[だから島では海に入らなかったのだ]
僕も、愛美ちゃんの事をいろいろと知りたいな。一歩一歩、少しずつでいいから。
[現像の終わった写真が出てくる。良い感じに撮れたようだ]
ん。もう少し男前に写らないかな。なんだか不釣り合いな気がする。
[首を傾げたあと、愛美に見せた]
悠介君って泳げないんだ。
じゃあ、私が泳ぎを教えてあげる。
それとも水自体かが苦手なのかな?
[出てきた写真はたくさん二人の顔が並んでいて、そこに映る自分の顔と横に並ぶ宇留間の顔になんとなく恥ずかしくなったりして]
そ、そんなことないよ。
充分かっこいいと思うけどな。
[鋏で二つに分けて、片方を宇留間に手渡した。]
一歩一歩、少しずつ。知っていけたらいいなぁ。
[バッグにシールを仕舞うと、宇留間を見上げて、それから袖の裾を掴んだ。]
ーこの世界のどこかー
・・・・・・
[御手洗業は風に吹かれていた。
実は秘密結社・セーラー服童貞同盟の一員であった彼は、今回の日恋の企みを阻止すべく活動するのが目的であった改造人間である。
しかし、彼の努力むなしく数組のカップルが誕生してしまった。
しかしこれは戦いの序章である。大きな犠牲者達に黙祷しつつも、彼は隠してあったサイバスターに乗り込み、戦場は地下世界、ラ・ギアスへと・・・・・・]
[第一章・*完*]
―いつか―
…。
[扉が開き、懐かしい顔が見える。]
よう。
久し振り。
[何年か振りに会っても同じように笑いあえる、そんな仲間を得られたなら。
それは素晴らしいことだと思わないか。*]
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