481 変態達の馬鹿騒ぎなエスエムら
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双海 杏
先の人の気持ちがどうなるかなんて今のうちにはわからん。
でも、怖い。見えへんから、やから……怖い。
［そこまでどうにか、自分で辿り着いた答え。
高校生が考えているくせに、半端なく重い。
でも、それほど思い詰めて考えてしまうくらい
自分にとっては難しい問題だった。
編入試験だってこんなに激しく頭を悩ませた問題は
無かったとそんな下らないことを思うくらいの思考の余地はあるみたいだけど］
双海 杏
…子供みたいやなくて、子供やねん。
あないに駄々こねて、振り回して、
そのくせして、今更怖いなんて言うとか。
ほんま…一緒に出る気ィ、も、失せるやろ。
［苦笑がひとつ。
そこまで言って、後悔と自己嫌悪で口を閉ざした］
城 譲
……ん、起きてる。
[最初の問いにだけ短く応えて、続く言葉をじっと聞く]
……。
[双海の言葉から少し間をあけて]
僕もね、先の事はわからないよ。
わからないって、怖いよね。
ひょっとしたら、ひどく傷付くかもしれない。
……でも、母さんが言ってた。
人は傷付かないと成長しない、って。
だからどんどん傷付きなさい、って。
僕が傷付いて泣いてると、優しく抱きしめてくれた。
よく頑張ったね、って褒めてくれた。
とても大好きで、とても大切な人だった。
城 譲
最初はね、アンに母さんの姿を重ねてたんだと思う。
いつも強くて、いつも優しくて、いつも面倒見の良いアン。
でもそれは、本当のアンじゃなくて、僕が勝手に作り上げた架空の人。
[ベッドに横になったまま、少しだけ双海の方を向いた]
……僕の方こそ、子供だったんだ。
僕は母さんに甘えるのと同じように、アンに甘えていた。
ごめんね。
[再び天井を見つめる]
でも今は、ちょっと違う。
僕も、母さんのように、大切な人が頑張って傷付いた時に、優しく手を差し伸べられる人になりたい。
甘えるだけじゃなくて、甘えてもらえる人に、なりたい。
そう思えるようになったのは、アンのおかげだよ。
ありがとう、アン。
[ひとしきり喋って、もう一度、双海の方を向いた]
双海 杏
…。
［背中越しに聞こえる、謝罪と感謝。
口を挟まず、ただ聞いていた。
手を、握って、開く。また握る］
…なあ
［また、言葉が止まる。
それから、考えるような間が空いた。
漸く作り出せた声は、まだ少し震えていた］
……あん、な。
…うち、は…まだ、甘えても、ええのかな。
［問いかけだった。
散々振り回して、我儘を言って、
失望されていても当然だという覚悟は、ある］
双海 杏
［顔を上げて、漸く城のほうを見る。
背中を壁にピタリとつけたのは、これ以上逃げないために］
…うち、な。
［また少し間が開いて］
…うち、城が、まだ甘えさしてくれるんやったら
……何か、違うな。ええと。…えーと……。
［しっくりくる言葉を探すように、
幾らか首が左右に揺れた］
双海 杏
…。
［手を握る。開く。考えて、また握った］
うちと一緒に…島、出てほしい。
…その、勿論、城がまだうちと出たいって、
思っててくれるんのやったら、やけど。
［漸く見つかった言葉を口にした］
城 譲
[途切れ途切れ聞こえてくる声。
双海がこちらを向いたのに合わせて身体を起こして、向かい合う。
そのまま双海の目を見つめながら最後まで聞いて]
もちろん。
大好きだよ、アン。
[にっこりと笑った]
双海 杏
…うん。
［口にしたあと、何だか居たたまれなくなった。
また城が笑ったのでついこちらも苦笑がひとつ。
だけど、何かが前進したような気は
ちょっとだけど、する］
…ほな、少し寝る。
起きたら、荷物纏めるわ。
［緊張の糸が切れたせいか、抜けた力に逆らわず
ベッドの上に小さく丸くなった**］
城 譲
[目が覚める。
窓の外は、まだ暗かった。
自分のベッドから抜け出して、隣のベッドに歩み寄る]
アン、起きて。
[双海の傍らに立って、声をかけた]
更新時間が24時間延長されました。
双海 杏
[なんか起こされた。なんか名前を呼ばれた。
夢の中で女子で楽しくキャッキャウフフな天国に塗れていたところを
起こされただけに非常に機嫌が悪いのは気のせいではない。
まあ、そのせいで城の鳩尾に肘が綺麗に決まってしまったが
これに関しては自業自得もしくはＧＭにすべて責任を擦り付けるとしよう]
…まだ夜やん。
下らんして、人の貴重な睡眠時間奪わんといて。
[取り敢えずどかそうと蹴りをかます。
あ、何処に入ったかは知りませんよ。
だって暴力的な双海さんですからね]
双海 杏
[不機嫌なオーラは何処かの誰かを容赦なく
締め殺しそうな程だが、少し眠いのを諦めてベッドから降りる。
大きく伸びを一つ。
外がまだ暗いので、新しい朝が来たと洒落込めないのが非常に残念である]
…ぼちぼち準備始めるか…。
[軽くストレッチすると、荷物を片付け始めた]
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