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[携帯電話を取り出す。圏外。予想はしていたが口の端を歪める。時間を確認し、太陽を見上げた]
こちらは西か。砂丘には行かない方がいいな。最悪死ぬ。
[風峯と更科にそう言って扉を閉め、部屋を突っ切って反対側へ。
ドアノブを握り、回す前に祈った]
……よかった。
[ドアの向こうには、細い木々が林を作っていた]
何や、変なモンばっかようさん出てくる。
[バルサミコらしき瓶を持っていた鈴のほうを振り返って、
手にしたのはアボカドカッター。
そうだと知らなければ、くまでどころか玩具にもなしもしないものだ]
…んー…さっき各室にお風呂はついたるゆーとったけど。
それ以外にもあんねやったっけ、大きいのが。
[戻ってきた城から大きなガスボンベがあったとバルブを開けておいた旨を
伝え聞けばおーきに、と礼の言葉を幾らか適当に投げる。
取り敢えずこうなったら食事を作り始めるしかない気がする。
どうせだれも用意しには来ないのだろうから。
冷蔵庫やら冷凍庫やらを覗きこんでがさがさ食料を漁り始める]
そうだね。
自分が手を出してしまったら解雇されてしまうから、僕達を身代わりにしているのかもしれない。
なんて極悪でいやらしい人なんだろう。
[本当にいやらしい。追撃のように一言呟いてから、そういえばと思い立った。
肝心なロリコン疑惑の前提を言っていなかったのだ。]
そうだ。・・・さっきさ、気づいたことがあるんだけど・・・。
[推測を打ち明けようとして、止まる。
今も見られているならば、口に出すことは危険だ。
最悪、矢口を危険なプログラムに巻き込んでしまうだろう。]
・・・そうだ。
[ダンボールの端を引きちぎり、そこに筆談することにした。]
幼女に相手にされるロリコン・・・?
[ダンボールに文字を書きながら、宇留間の突っ込みに手が止まった。つまりあの戸田という人は日夜幼女を口説き、そして囲っているということだろうか。]
独身、ということは法律的に婚姻が認められていないような年齢の相手なのかもしれない・・・。
[ますます戸田のいやらしさは増してゆくばかりだ。]
―キッチン―
お易い御用だよ。
居住地域としては、まあまあの設備が整っていると考えていいかな。
[双海の言葉に軽く応える。
その後、不安そうに覗き込んだ]
アン、料理できるの……?
[どうやら、ここはちょうど砂丘と林の間にある平地に建てられているらしい。馬鹿げた地形だと思ったが口に出さなかった。
外へ出る。自然な土の感触。林へと向かってみる。途中、コンクリートの橋を渡った。下には川が流れている。島だというから、これを下っていけば海に出るのだろう。
そこまで考えて、立ち止まった]
何の準備もなしに入っていくべきじゃないな。
それに腹が減った。
とにかく。
[ダンボールの中からにゅっと手が出てくる。]
『西野くんや矢口さんが質問した時、あの人は名指して質問に答えていたよね。音声だけかもしれないけど、少なくともあの人は監視か盗聴をしていると思うんだ。
「恋愛する気がないと判断した人は特別プログラム」なんて、どうにかして普段の生活を盗み見ていないと出来ないよね。
モニターの映像も音声も乱れがなかったし。
だからきっと、首都の官庁亭とか、地球の裏側とか、そういう絶望的に遠い場所にいるわけではないと思うんだ。
距離があったとしても、きっと海の上とか地下深くとか、そんなところじゃないかな。
だから見つけ出せば殴りこみにいけると思うんだけど・・・。
監視されてるなら、おおっぴらに行動するのは危険かもしれない。』
[阿太郎クオリティな文字でそんなことが書かれていた。]
…杏ちゃん。なぁに、それ…。
[杏が手に持っているしゃもじのような形の物を見て、かくん。と首を傾いだ。でもしゃもじにしては多分何も掬えない気がする。残念ながら少女はそれが何なのか知らない側に位置する模様。]
大浴場が付いてるっていってたよ?
えーと、トーマスさんが。
[多分ここ、と扉をもう少しだけ押し開けて中に入る。奥の引き戸をがらりと開けた奥に、大きな湯船があるのを確認して再び廊下に出た。隣の扉も開けると同じ脱衣所。男女用なんだろうと納得して、次の扉へ。ランドリールーム。洗剤もある。
ぐるぐるとそこら辺の扉を確認して回って、ようやくキッチンへ戻ってきた。]
なにか手伝う事、ある?
[とは言っても、一品作る、という訳でもなく料理が特別得意な訳でもないので、
やるとしても、切るとか焼くとか見るとか、本当に手伝うだけだ。]
[戻ってきた城の言葉に頷いた]
せやな、概ね大丈夫そう。
…なんやの。出来たらいかんの。
これでも、4歳から包丁握ってんねんで。
弁当屋アルバイターを舐めたらいかんよ。
[あんまり不安そうに聞かれたので思わずむっとした顔で答えてしまった。
業務用キッチンに抵抗を抱かなかった理由はこれらしい。
制服のポケットから取り出したメモに色々描きこんでいくのは食材と量。
どの食材が一番足が早そうか、どれがどれくらい持ちそうかという所見を書き込んでいく]
……ああ、なるほど。
[この推測は、それなりに説得力がある。たぶん、正しい。
ただ、その先に疑問があった]
『それは、出来るかもしれない。
ただ、殴り込んだあと、どうするの?
国公認って言ってたのが本当なら、逃げてもすぐ捕まると思う』
[そんなことを書いて、ダンボールの前に、切れ端を戻した]
ごめんごめん、そういう意味じゃないんだ。
料理の出来る女の子って素敵だな、って思ってさ。
それにしても、4歳からってすごいな。
[感心しながら、手際よく動く双海の手元を眺める]
リンちゃんも料理できるんだ、二人ともすごいな。
16人目、姫藤院 知奈 がやってきました。
姫藤院 知奈は、村人 を希望しました。
[絡みつく重い泥を振り払う。振り払って、振り払って、這い出した先で見たのは。ヤクザみたいな顔をした男が「日本恋愛機構の責任者」と名乗っているシーン]
(恋ww愛www機ww構wwwあwwwのwww顔wwwでwwww)
[知奈は自分の下らない妄想を一笑に付す。再び飲まれていく泥。それから幾許かの時が流れ、完全に覚醒した時には、もう、笑えなかった]
はいはいそりゃどーも。
別に出来たからって何の得にもなりゃせんわ。
ま、強いて言うなら食料さえあればどうにかなることぐらい。
[取り敢えず米を洗って吸水までに至るわけだが、
何せ人数が人数なので5合ではとても足りないだろうと10合といで吸水開始。
その間に大量の野菜と油揚げとこんにゃくを刻み、鶏肉をくわえて
炊き込みご飯の素を作り暫く放置。
それからまた別の料理に取り掛かる]
…まあ、家の事情ってやつ。
[年齢に関してはそれくらいしか言わなかった。
冷凍のマグロ赤身を見つけたのでこれを解凍してしまうことに決めた]
■本日の昼メニュー
炊き込みご飯
マグロの甘酢あん
グリーンサラダ
かきたま汁
こんなもんだろうか。
そう言えば折角365日レシピ持ってるのに使ってねえな。
ここは、どこかしら……?
[ぼんやりとした視界に、自身と同じように横たわったままの人や、起きて話をしている人々が映る。姫藤院知奈(きとういん・ティナ)はぐるりと辺りを見渡すと、眉を寄せ、溜息をついた]
せっかく知奈が参加してあげているっていうのに、いったい、これはなんなの?
うん?あ、えっと…私はそこまで作れないよ。
本当に手伝うとか、それぐらい。
[城の言葉に、ふるふると首を振って否定を返す。
杏の手際が大変よろしいので、もしかしたら逆に邪魔になるかもしれない。
とりあえず炊き込みご飯をつくろうとしている事までは判ったけれど。]
杏ちゃんに任せたら、あんまりご飯に関しては心配なさそうだね。
城くんは、作れる?
[誰も作れなかったらインスタント生活ももしかしたら有り得たかもしれないけれど。]
・・・
[人と会話してみて、初めて気付くこともあるという。
それは確かなようで、そして、他人の指摘で新たに考えをまとめることも出来るらしい。
心の中で矢口に感謝する。]
『システムだけ破壊出来ればいいんだ。
プログラムが続行困難。そういった状態に。
それさえ出来れば、残った皆は解放されるんじゃないかな。
責任者のいなくなった企画に金と資源を継続させるほど、政府も馬鹿じゃない。
尤も、解放判断がされるまで待たなくちゃいけないかもしれないけど・・・。
追われるのはきっとシステムを破壊した犯人だけだと思う。
秘密裏に、といっていたし、おおっぴらに手配もできないだろう。
プログラムシステムに穴があると知れれば、対応と修正、これ以上プログラムに金を費やすべきかの議論に時間をかけるだろう。
少なくとも、このクラスメイトが連続で選ばれることはないんじゃないかと思う。』
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