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>>95
[ヤ=ナギの震える吐息が聞こえた]
ヤ=ナギ大丈夫?
[耳を近づけると、「紙」と一言]
何?紙?
[近くから一枚の白い紙を取り出し、ヤ=ナギに渡す。すると、ぼやっと、一人の若者の姿が浮かび上がった。それは、あの夢に出てきた、ヤ=ナギの転生後の姿であった。
今のヤ=ナギとは打って変わって、快活で爽やかな、少し軽めの若者の姿であった]
───…ローズ、ナギ。
[傍らに添うローズの腕の上に、もう片方の掌を重ねる。
やわらかな温もりが、あたたかかった。]
けれど……俺たちは。
KK=102に降りず、侵略もせず、
……これで良かったのかも知れない…な。
[──は。と、息を漏らす。
少なくとも、KK=102.
若く可能性溢れるかの星に、──この曇りを持ち込まずに済む。]
ナギ、お前──…
[念写。
稀有なそのサーチェス・パワーに目を瞠る。
そうして、その姿を目に焼き付けるようにして頷いた。]
……ああ。
>>99
そうね、そうかもね。
でも、わたしたちの魂は、KK-102に還っていくのよ。
そう、魂が…。
[純粋な魂だけが還る]
──…ああ。
そこで、次は──次こそは。
[言葉を切って、ローズの白い手を取る。
その手が僅かに熱を帯びていることに、彼女は気付くだろうか。
今は、黙って朦朧とした瞳を彷徨わせているナギを見つめていた。]
[そう言った>>98ローズの優しい瞳は、”ビョウ=ヤ=ナギ”の確かな記憶として残されるだろう。
きっと最後の記憶として。
ナギは一瞬口元を緩ませ何か言おうとしたが、そのままゆっくり目を閉じた。]
ヤ=ナギ!
[叫んだ時にはすでにヤ=ナギは事切れていた]
スイ=レン!
[ついに二人きりになってしまったという寂しさが…]
ナギ……ヤ=ナギ…?
おい、しっかりしろ…!!
[目を閉じる青年へと、呼びかける。
けれでも彼は、静かに──本当に静かに、息を引取った。
微笑むかのようなその顔に、言葉を失う。]
サージャリム様に召されたのよ…。ゆっくりいかせてあげましょう…。
そして、あの星で、また再会できるように祈りましょう…。
[安置のために、点滴等を抜いた]
……ッ、ローズ。
[涙を流す彼女を腕に抱き止め、その肩を抱き締める。
───頭が重い。
けれども今は、何よりも腕の中の存在が大事だった。]
……大丈夫だ。
[昨夜の彼女の言葉を、繰り返す。
気休めに過ぎないと、2人とも良く知ってはいたのだけれど。]
[スイ=レンに寄り添い、一言問う]
ねぇ。キスして。
[どこかに生きている証を欲していた。いま、自分が生きているかどうかの確証させない。もしかすると、夢を見ているのではないかとさえ思う]
──…そうだな。
[静かな言葉に頷き、ナギの髪を整える。>>107
最後に彼が遺した一枚の紙は、そのままそっと彼の胸の上に抱かせた。]
…ローズ。
[彼女の求めに、ほんの少しの間空色の瞳を見つめる。
訴えるような瞳の色に、彼女の心が見えた気がした。
───いや。
求めたものは、変わらなかったのかも知れない。]
──────…。
[口付ける。
深く、深く……互いの存在を、刻み込むように。
……そうして、]
───── 愛している。
[囁くように、*想いを告げた*]
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