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…………夢……?
[細く目を開けると、緑色が眩しい。まるで森林で昼寝でもしてしまったかのような錯覚を覚えた。反射的に体を起こそうとするが、異常なだるさのせいで力が出ない。
新緑の隙間から見えるのは、空のように青く輝く長い髪。すぐ横には黒い服の青年が穏やかな表情で座っていた。
無理に体を起こすと腕に刺さった点滴が引かれ、ガタン、と音を立てた。それが自分と繋がっている事を確認し、管を降りる液体を眺める。そしてようやく残酷な現実を思い出す。
二人は物音に気がついたろうか。ナギは掠れる声を振り絞った。]
[声をかけられる。>>+39
間違えない、朝ぶつかった人だ。この人がノートの主、『テツヤ』
……あ、こ、こんにちは……。
あの、こちらなんですが……。
朝ぶつかった時に、私がノートを間違えて持って行ってしまったようで……気が付いて渡しに来ました。
[恐る恐るノートを手渡す。
すると、意外な言葉がテツヤから返ってきた。>>+41]
…ショウさん、は…?
[呼んでから感染の事が微熱でぼやけた頭をよぎり、近寄るなと指示を出す。が、彼らが防護服を着込んでいない事に気がついた。
覚悟してるのか、と一層切なくなる。
自分が倒れてからどのくらい時間が経ったのだろうかと、ショウを置き去りにしてしまった事が気にかかった。
スイ=レンの応え>>39に安心し、起こした体を再びベッドに預けた。]
えっ……?
このハンカチでしたら、売り物とかではなく私が趣味で染めた物なのですが……。
[このハンカチについて聞かれた事を不思議に思いつつも、素直に答えた]
まだ、横になっていて…。
[起き上がろうとするヤ=ナギをそっと宥める]
ショウさんは、さっき、スイ=レンがちゃんと安置したから。安心して。
点滴したから、少し熱は下がったみたい。大丈夫よ。
[そう言って、ヤ=ナギの額に触れる。先ほどより少し熱が高い感じがする。やはり一時しのぎでしかないのかと思うが、できるだけ表情には出さないようにする]
何か、食べ物か飲み物ほしいものある?
ああ、ノートな。>>+42
…じゃあ、これも君のだな。返すよ。
[と『自作小説』?が書かれたノートを取り出し、自分の自習帳と交換した]
え、君が、つくった…の?>>+43
じゃ、じゃあさ。もしかして、もっと大きな、スカーフみたいなのが欲しい、って言ったら、作れるのかな。い、いや、もちろん、材料費とかは俺出すよ。
……できるの?
[ローズの視野の端には、キィ=キョウがつくった唯一のワクチンのアンプルが。中は既に空になっている。
もしやと思い、ヤ=ナギの点滴に混ぜてみたが、すでに感染してしまっている状態では、効果は長続きはしないようだ。]
……あ、はい。
時間がかかるかもしれませんし、上手くできるかはわかりませんが……出来る事は出来ます。
[自分の作った物に興味を持ってくれるというのは最初は面食らった物であるが、何となく嬉しくなる]
[点滴のおかげか今朝よりは熱は下がったように感じる。だがこの呼吸の苦しさを和らげる何かを思いつくことは出来ないまま。
それでもローズの優しさ>>60が嬉しくて水を頼んみ、そしてスイ=レンを呼び止めた]
…スイ=レンさん…あなたに…僕のキィ・ワードを…預けます。どうか自由に…。
[喋りすぎたのか呼吸が乱れ、大きく咳き込む。落ち着いてからレンの目を見据え]
兄の名前です。
僕のキィワードは、”コバ=ノ=ラン=タナ”
…兄の名前です。
[スイ=レンの反応はどうだったろうか。ナギは痞えが取れたような気持ちになって、体の力を抜いた。]
[おそらくは国家機密にも等しい、厳重に鍵のかけられた”TOP SECRET”。
そんなものに関わる気も、逆らう気もまるでなかった。
もしかしたら、既に意味を成さない母星の秘密があるのかもしれない。
もしかしたら、誰かがいたずらにしまった、他愛のない何かがあるのかもしれない。
―もしかしたら、二人が助かる何かが出てくるかもしれない。
…何もないのかもしれない。
それでも「意地だ」>>4:168と言ったスイ=レンの望みを叶える事が出来るのであれば、十分なのではないかと思った。
横たえたままの肢体はそのまま、ローズとスイ=レンを忘れないようにとでも言うかのように、彼らの姿を追った。]**
ホント!?すげえっ!>>+45
[テツヤは、カホの手を握るとぶんぶん振った。
周囲の学生たちが、奇異な目で二人を見ている。特に、普段テツヤの徹底した無愛想さを知っている者は、何かの珍獣でも見るような目を向けていた。…が、テツヤは相変わらず気にしない]
…あ、でも、時間かかるのか…。何日くらい?
あと、さ。あつかましくて悪いんだけど……、それまで、そのハンカチ借りててもいいかな。その色、ホントすっげえ良くてさ。何か身近に置いておきたいんだ。ダメ…、かな。
>>61
[求められるように、水をもってきて、飲みやすいようにストローで飲ませる]
どうぞ。
[退席中だったので、キィ・ワードの内容は聞いていない]
─医務室・少し前─
[ローズの歌声が響く。
キサナドとは違う、日々の祈りのような素朴な──>>52]
……!!
[無言で目を見開く。
昔。歌っていたひとがいた。
あれは────]
…………。
[表情を隠すように僅かに顔を伏せ、歌に聞き入る。>>54
緑の気配がやわらかに香り、ナギを優しく包み込むようだった。]
…いや。
懐かしい歌を聞かせて貰った。
──…昔、俺の面倒を見てくれたリアンが良く歌っていた。
[今までは語らなかった、昔のことを口にする。
問われれば、簡単に昔語りをするだろう。]
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