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エンジニア キア=ラキ=スイ=レンが「時間を進める」を選択しました。
……………。
[無言で小さな花を差し出した。
彼に見覚えはあっただろうか。
──彼女と同じ名を持つ、この小さな花に。
死者へと手向ける花。
花は形を変えて、ショウの傍らへと添うのだろう。
それはあたかも、未来へと還る*形見のように*]
―朝―
[入力作業の途中でうとうとしてしまったらしい。ローズとスイレンは起きていたのだろうか?
サフラーの訃報を聞いているスイ=レンの声>>3に目を覚まし、椅子から乱暴に立ちがる。]
…サフラーさんが…?
[スイ=レンから様子を聞き>>4同行する事に。
…サフラーの部屋を遮断するために。]
[サフラーを抱いたままのショウの後姿は、いつもより小さく見えた。]
…ショウさん…
[時を同じくして呟いたスイ=レンの呼びかけ>>5にショウの返事はあったろうか。
――ショウの奴、あんな美人を嫁さんにしやがった――
兄の言葉が蘇る。
サフラーは熱でやつれているにも拘らず、変わらず美しかった。彼女は幸せそうな表情を浮かべていた。]
[ナギはこれ以上声をかけることも出来ずに、ただ睡眠カプセルに入るサフラーと、決して離れようとしないショウを見送った。
サフラーと家庭を作り、未来を作り出そうとしていたショウ。>>1:112
そのためにずっと調査艇でKK=102に「新たな居場所」を探していたショウ。
…彼のそれは最早そこにしかないと言うのかと。
処理が終わり、サフラーの部屋から誰もいなくなると、その部屋を遮断した。]
…数週間、発病はなかった。
シ=オンさんで終わりじゃなかったのか?
[サフラーの部屋を封鎖するその音は、虚しく基地に響いた。]
言語学者 ビョウ=ヤ=ナギが「時間を進める」を選択しました。
―回想―
[ローズの入力を手伝っていると、不意にローズが先ほどの問いの返事をし始めた>>3:150]
…逃げる? 何からです?
[賢くて綺麗なローズでも、そんな事があるのかと、不思議に思う。
そういえば母星が消滅して一番平坦だったのもローズだったかもしれない。>>2:24
元々キィ=キョウとは知り合いだったようだし、そういった心の支えは大きかったのかもしれない。
だが同じような、いやそれ以上の関係であろうショウとサフラーの反応とはあまりにも違いすぎた。>>1:48>>1:55
[ここへ来る前、それほどに辛い思いをしてきたんだろうかと、問おうとして口を閉ざす。
それはローズの心に土足で踏み入る行為にしか思えなかったから。
会話の続き>>10に何かローズの反応はあったろうか。
直後スイ=レンがここへやって来>>3:148、この話はまたも途切れてしまったかもしれない。]
[スイ=レンが入ってくると少しローズに変化があったように感じた。僅かにだがぱっと明るくなるとか、そういった類の。二人のやり取りを見ていて自然に笑みがこぼれると、スイ=レンに声をかけられる。>>3:149]
…ええ、まあ。でも嫌いじゃないですこういうの。
[調査の話に移った二人をあまり邪魔しないようにと、ナギはの視線は画面に戻る。
今までにも報告を受けてる話ではあったが最新の情報であろう事に(入力ミスしないように気をつけつつ)聞き入る。
―やはり移住は難しいのか。
移した視線の先がスイ=レンと合い、自然に頷く。>>3:160
"TOP SECRET" これは一体何なのだろうか。
先に進めるには全員分のキィ・ワードが必要なのだという。
ここに来る前、ナギは責任者だけに伝えられる事項をいくつか聞いてきてはいる。
その事項の一つに「KK=102への降下の禁止に関する詳細」があった。これに関しての内容はありきたりなもので、今となっては全く役に立たないものであったが。
そもそもキィ・ワードは本人の認証に使用されるためのもの。8人全員のを入力したその先にあるものに、思い当たる事は無かった。]
[―と、軽く肩を叩かれ、スイ=レンからの気遣いの言葉がかかる。>>1:164 俺はそんなに暗い顔をしていただろうかと苦笑し、表情を和ませるよう努めた。]
…大丈夫ですよ。スイ=レンさんこそちゃんと寝てくださいね。
[スイレンも睡眠時間を削って仕事をしているのだろう。表情に疲れが見えはする。キィ=キョウのワクチンの研究はともかく、解析の方はさほど急ぐ事ではないだろう。
先ほどキィキョウには悩んだ言葉を>>3:123スイレンに軽く言える事が胸をちくりと痛める。
自分は知らないうちにキィ=キョウに重圧をかけてたりはしてないか?と懸念したが口には出せず。]
[そんな思いを知ってか知らずかスイ=レンは話を続ける>
>>3:165]
…スイ=レンさん。僕ずっと「兄は何故僕を指名したのか」を考えてたんですけど、最近になって少しわかるような気がして来ました。
[自由気ままで、してくれる事の大半は迷惑な出来事となる兄ではあるが、いつも彼なりの思いがあっての行動である事を弟は理解していた。
スイ=レンは不思議そうな顔をしただろうか。]
兄は多分、僕に皆を会わせたかったんだと思いますよ。
特に、スイ=レンさんとショウさんに。
[ナギは軽く表情を和ませ、再び仕事についた。]
―回想・了―
-回想-
>>10ヤ=ナギ
ん…。なんだろ…。全部かな…。
生活とか、世界とか、神とか…。
[あいまいな返事をした]
[ビ=ショウの言葉を、女は硬い表情で受け入れた。
予想はしていたけれど、
でも、こんなに早く別れが来るとは思っていなくて]
そう……ですか。
[彼女の死に、どんな言葉をかければいいのか判らない]
[黙々と彼が望む侭。
フラ=ワーを清める作業をするだろう。
彼が求めるならば、死化粧も施すだろうか]
……ごめんなさい。
[誰に対しての謝罪なのか。
自分でも判らないまま、言葉にして。
フラ=ワーを入れたカプセルを閉じる前に。
一度だけ、女は涙をこぼした]
[そうして彼女の弔いが終われば。
女は何も謂わずに医務室へ戻った。]
サージャリムよ。
なぜこのように辛い試練をおあたえになるのでしょう……。
[組まれた指がカタカタと揺れる]
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