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―医務室―
[睡眠カプセルに移されたオー=ス=ティンの死に顔は、目は閉じられていたが、それでも苦悶に歪んだ名残は見て取れた]
(こいつが、なにをした…)
(こいつが、こんな死に方をしなきゃいけない、なにをしたというんだ…)
[オー=ス=ティンと初めて会った時の事を思い出す。サフラーを見て「可愛い奥さんですねー」などと似合わない世辞を言いつつ、「でも僕もね、任務を終えて戻ったら結婚するんですよ!」と照れたように笑っていた…]
鉱物学者 ディ=オシュ=ホウ=ビ=ショウが「時間を進める」を選択しました。
[ショウから声をかけられる。>>18]
あ、はい。お薬の手立てはつきましたが……。
[ショウから、オー=ス=ティンが既に亡くなった事を知らされ、表情が暗くなる。せっかく薬草の手はずが整ったのに間に合わなかった事に無力さを感じている]
もう少し早ければ……。オー=ス=ティンさんを救えたのでしょうか……。
もちろんだ!俺だって…、なにがあろうとお前を離しはしない!
そうとも。二人で、何としても生き抜くんだ。
親父と母さんは、あの狂った戦争の中でも、家族を守り抜いてシアで平和な生活を築き上げた。俺たちは、あの親父と母さんの子として、こんな苦難に屈するわけにはいかないんだ。
>>15>>21
[無言で手伝う二人を、またこちらも無言で迎える。
ショウが拳を握りしめ、震えているのは、KK-102降下に反対した自分に対する怒りもあるのかも知れないと、心の中で感じていた]
[作業を終えると、一旦医務室を出て、喫茶室に向かった。落ち着くために、少し温かいお茶を飲むことにした]
不思議…。
[お茶を入れながら、呟く]
みんなのように、涙も怒りも出てこないなんて…。
[母星には、確かに世話になったリアンや仲間のキチェスがいた。多分、皆…。
しかし、出来損ないのキチェスである、自分に対する彼らから逃げたかったのは自分であり、そういう意味ではある意味清々していたのかも知れない。
いや、キィ=キョウがここに一緒にいてくれたこと、ただそれだけがローズの心の支えであったとも言える]
[とはいえ、嫌いだった楽園も、いまはもうない。
他のリアンや自分をいじめてきたキチェス達ももういない。
そう思うと、心のどこかに空白ができたような気もしていた。
椅子に座って、ひとり、ぼーっと、お茶を飲んでいた**]
[『もう少し早ければ……』サフラーの声に、強くかぶりを振った>>22]
そんな事はない。ティンは間に合わなかったが…、これで終わりとは限らん。こういう事は、予防措置が肝心のはずだ。お前がしたことは、決して無駄なんかじゃない。
[そして、キィ=キョウを振り返り]
ウィルスの発生や感染ルートが分からん、と言っていたな。治療方法もまだ何とも言えんだろう。…こいつにも手伝わせてくれ。薬剤とかに関しては、お前の手助けになるはずだ。
[喫茶室で、前任者が置いていった、KK-102のテレビ番組をぼーと見ていた。字幕までついている、気合いの入ったビデオだった。自動翻訳してあるらしい。
KK-102の自然風景を取り扱っているビデオで、花々が咲き誇る場面を映し出していた]
綺麗…。
[一瞬、自分の名前が呼ばれた気がした。はっとなって、巻き戻すと、ある花の名前の発音と、自分の名前が同じだったのだ…]
へぇ…。
俺は…、お前たちの作業に目処が立った時に備え、KK降下のための降下地点候補を検討しておくぞ。
原住民を制するだと。正当防衛だと。そんなもん、していらんわ。寒冷地、乾燥地、高地…、原住民では手の出しようがない、だがこの衛星基地よりもはるかにマシな環境はいくらでもあるさ。
「サージャリムさま」でもグウの音も出んほど好条件な候補を出してやる。
サフラー…、俺たちの最前線はここだ。
頼む。任せたぞ。
[そっとサフラーの頬に手をあて、額をごく軽く、こつん、と合わせ]
…じゃあ、行く。俺の採血の検査も頼むぞ。
[どすどすと、力強く医務室を後にし、調査艇ドックへ向かった]
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