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[ソヨへの告白を終え、リヒトが非常階段へと飛び出していくのを見送った。
そして、それを追いかけるソヨ。
もう、自分には入り込めない世界]
…………
[今はただ、腕の中のベルを抱え、身体を引きずりながらも中庭に向かうだろう]
[先を行くリヒトを追いかけ階段を登る]
待って、リヒト…!
待って!
アタシまだ返事…違う!
まだ貴方とちゃんと貴方と歌えてないっ!
違う!
アタシ…アタシ…
ああ、馬鹿馬鹿馬鹿! 違うの、全然違うの!
アタシ、だってそんなの…
莫迦! 莫迦莫迦莫迦!!
急に言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!
わっかんないわよぉぉぉぉぉぉ!!
[怒っているのか泣いているのか、自分でも判らない。感情の赴くままに叫び続け、追い続ける]
―中庭―
[やっとの思いでストと2人、倒れている人達を木の下へと運んで来る。
ごめんね、と謝りながらベンチからバクを降ろしてスヤ、向かいのベンチにシャトを寝かせた。スヤには自分のケープを外して肩に掛けてやり]
楽譜が読めなくっても良い所なんて沢山あるのにね。
それにバクやサーティお姉さんが悪いんじゃないのにさー。
[ん、と両手を上げて伸びをして
ストだって悪くないんだからね!?と慌てて付け足す]
それにしても、サーティお姉さん…起きて来ないね。
強制停止じゃないと思うんだけど…
[指からこぼれるように消去されていく。思い出も、想いも]
Wir werden nicht alle entschlafen,
wir werden aber alle verwandelt werden;
und dasselbige plötzlich in einem Augenblick,
zu der Zeit der letzten Posaune.
[私たちはみな、眠るのではありません。
ただ、今と違う状態になるのです。
最期のラッパが鳴る時、
そう、たちまち一瞬の間に、です]
(本当はここに、合唱が入るはず。もちろん、今は風の音しか聞こえない。
だが、リヒトはそのコーラスを感情で聴く)
Dann wird erfüllet werden das Wort,
das geschrieben steht.
[そうして、次のようなことが、実現するのです]
[女は嘘つきだ――。
人もボーカロイドだって嘘をつく。
だから一言言えばいい。
それなのに言えない。
たった一言言えばいいのに]
莫迦ぁ莫迦ぁアタシの莫迦ぁぁ
[もう彼にだけは嘘を吐きたくないのだ。
それだけが胸を閉め、言葉が出ない]
この階段、いつまでも続いてくれればいいのに―――
[遥か高く、天にまで、天の向こうまで、二人でずっと駆け上り続けられたの、なら]
そうですね。バクにはバクの。]Vさんには]Vさんの。それぞれ良さがある。本社の人達だって分かっているはずなんですけどね。
確かに、どうしたんでしょうか?
[]Vを心配する声に同じように]Vを見るも、やはりどこか警戒心が覗く]
わかんないモン!
わかんないんだモン!
だってそんなの知らない?
お話でしか知らないモン!!
[誰に言い訳をしているのか、第一その声を誰に届けたいのかすらわかっていない。
感情が爆発し続けるだけで、結局は自分への言い訳だけ]
アタシは… アタシは…
[何故一度でも考えて見なかったのだろう。夢見てみなかったのだろう。この可能性を。この展開を。
彼女の夢想する妄想にこのシナリオはなかった。だから混乱する。
答えを出せと言われても準備できない。泣き叫んでみても誰も助けてくれない]
後悔するのに!
きっと後悔するのに!!
[でもいい加減な、嘘をいう事の方が――アタシはアタシらしくはっ]
[Der Tod ist verschlungen in den Sieg.
Tod, wo ist dein Stachel?
Hölle, wo ist dein Sieg?]
[聞こえない合唱が追い上げる。嵐のように吹き荒れる。
その意味は・・・]
[死は、勝利に呑み込まれたのだ!
死よ、おまえの棘はどこにある?
地獄よ、おまえの勝利はどこにある?]
[最後に、拍子が変わり、軽快なメロディへと変わる]
Herr, Du bist würdig
zu nehmen Preis und Ehre und Kraft,
denn Du hast alle Dinge erschaffen,
und durch Deinen Willen haben sie das Wesen
und sind geschaffen・・・・
[歌の終わりを、風がさらう。
屋上に出たのだ]
リヒトぉぉぉぉぉぉぉぉ!
[無論、有限の階段の先は扉となって、その向こう側の景色を見せる。屋上]
え――あっ!
[追い続けていたのに、全く気づかなかった。何故彼がここにやってきていたのか]
貴方…
[彼は自分ほど頑丈なのだろうか――そんな馬鹿なこと、本当に馬鹿なことを考えた]
[星がキレイだ。
山奥にあるこの場所では、晴れてさえいれば、降る様な星が見える。
もう惰性のままに、意味も分からず、リヒトは歩く。止まらずに歩く]
[気がついたベルに、優しく声をかける]
大丈夫か…無理するな。
[そのまま歩きつづける。程なくすれば、中庭にたどり着いた。
ルラが居れば、そのままベルを渡すだろう]
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