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―― 1st days
月影は沈黙する。―― 魔術師達の戦いを見守る為に。
浦舞は鳴動する。―― 英霊達の争いを受け止める度に。
聖杯は、そのどちらでもなかった。
思惑如何がどうであれ、ただ一組残った者を待ち続けているだけだったから。
―― 一方で、名も無き男は今宵も『彼女』を探して灯台へ繰り出していた。
どうやらこの中には、村人が12名、人狼が2名、C国狂人が2名いるようだ。
[『彼女だ。』
何に教えられるでもなく、男はそう理解した。
月に照らされても更に暗く、夜に立てども更に濃く。
闇に近いその影は、なのに『そこにいる』と分かった。
潮気に晒されるでも、夜気に身を冷やすでもない。ただ黒く、黒く黒く、人型に空間を刳り貫いて、夜に埋没することなくそこに在った。]
おっ、 …… おい。おい! そこのあんた!
[女が僅かに目を向けたことは、男から見えない。
だから彼は待つ必要があった。女が声を発するまでの沈黙を、逸らさず直視し続ける必要があった。]
三上 照彦が「時間を進める」を選択しました。
[女の微笑みに、男は胸を打たれた。
恋でもなければ和みでもない。
自分よりも存在の濃い存在。
闇色の彼女と比べればどうしようもなく不自然で。
―― 同時に、何故かとても自然な笑みを返している。]
そうだ。あんただ。
……昨日の朝も、ここにいたよな?
[ゴーストライターとして過ごした日々に充実がなかったとは言えない。妬み嫉み辛み、その全ても『中身が詰まっていた』と言えなくはない。
少なくとも、今の空虚な自分よりは。
―― だから、自分にない何かを持っている彼女と会う為に。
ここへ、一人の三上照彦としてきたのだ。]
[女の微笑みに、男は胸を打たれた。
恋でもなければ和みでもない。
自分よりも存在の濃い存在。
闇色の彼女と比べればどうしようもなく不自然で。
―― 同時に、何故かとても自然な笑みを返している。]
そうだ。あんただ。
……昨日の朝も、ここにいたよな?
[ゴーストライターとして過ごした日々に充実がなかったとは言えない。妬み嫉み辛み、その全ても『中身が詰まっていた』と言えなくはない。
少なくとも、今の空虚な自分よりは。
―― だから、自分にない何かを持っている彼女と会う為に。
ここへ、一人の三上照彦としてきたのだ。]
――――…ッ……。
[女は答を返さない。
瞳を覗き込まれれば、魅入られたように動けない。
―― 湛える色は魔。
そしてその存在の濃さに、自分は何を見ているのか。
これからも、これまでも決して届かないであろう屈強で明瞭な存在に大して、どのような感情を懐いているのか。
きっと。羨望。
魔としてより、まるで神と出会ったかのような、]
―――― え?
[気付いたのは、痛みよりも、音が先。
今まさに昇っている朝の光ではなく、もっと神々しい――禍々しい輝きが、彼女の手から発せられたかと思えば、
ぼおんと、くぐもった、とても間抜けな音がした。
衝撃は頭の骨を突きぬけ、足を無意識にたじろかせる。
―― 一瞬の空白の後、感覚は『正常』に戻った。]
[赤い。紅い。
痛みの発信源、胸にあてた指が、てらてらと染まっている。
手だけではなく、足元を、
あれ。
この、なんかはみ出てるものは、]
[絶叫しようにも、声が出ない。
それはそうだ。肺とかなんとか色々ごっそり綺麗さっぱり。
戻ってくる痛み。
反転する意識。
嫌な予感を通り越して、後ろ首筋を冷たい手でなぞられたような。
ああこれはあれだ。
『絶対割るなよ』って言われてた壷を割った時とか、
つまみ食いしてるのが見つかった時とか、
原稿にインク落としちまった時とか、
『手遅れ』であることを、気付かない自分自身に発するサイン。]
[―― 最悪だ。
今更気付いたって幾らなんでも遅い。
存在があってもなくても同じようなものだったから。
ずっとそれを求め続けた。
煎じて詰めて言えば。
俺は、こんなにも*『生きたかった』のだ――*。]
[―― 女は微笑んでいた。
青年は最期に苦悶の表情を遺しながら、息絶えた。
己が生み出した血の海に溺れ伏した。
手に張り付いた肉片。頬に張り付いた血。
じっと見つめた後、胸が無くなった男の遺体を持ち上げ、どこかへと立ち去った。
灯台下には、大量の血の跡だけが*残っていた。*]
[ほんの、一瞬。
朝の冷気に引き締まった肌が、霊気に震えた]
−−……?
気のせいか……いや、しかし。
[呟いて。港のなかを、あてもなく歩きはじめた**]
ええっ?無一文なのか?!人間と言うのは外出する時は財布を持ち歩く生き物だと思ったが、それもないのか?!
[朝日が昇り始めた神社跡にバーサーカーの念話が響く。
2人のサーヴァントと1人の人間が去った後、当然だがバーサーカーはセムラに、これからどうするかを問うた。
そしてセムラから得た答えが、無一文且つ食べ物もないという過酷な事実。おまけに目の前は瓦礫の山である。]
参ったな、私は確か、召喚されてからお茶しか飲んでないぞ・・・・・・。
[立て続けに起きた出来事で意識していなかったが、そう言えば随分前から空腹を覚えていた。]
うーむ、どうしたものか。いや、私は何とかなる、何せ犬だしな。
野宿などは楽勝だし、とても嫌だが食べ物を探してあちこち漁るとかもできる。
しかし、女性の君が野宿してゴミを漁る訳にも行くまい。
先ほどのサーヴァントたちに「金貸してくれ」と頼むべきだろうか・・・・・・まあ、彼らの様子なら快く貸してくれるだろうが、住まいの提供を断った直後だけに実にみっともないな・・・・・・。
[バーサーカーはやや肩を落とすと、少し物思いにふけった後に顔を上げ、]
・・・・・・駅前で大道芸でもするかね?
[と、念話でつぶやいた。]
[―――それは、夢と呼んでよいものか。
そも英霊は夢を見るのか。
令呪で繋がった
マスターへも流れたやも知れぬ。
それは、確かに失われた景色。
彼方、天を貫く塔は崩れ瓦礫。
その真ん中で
届かなくなった空を
金の眸の王は睨み上げていた。
―――神に奪われた王国の夢。
その、色は]
――――…、…
[アーチャーは一度微かに眉を寄せてから
ゆっくりと眼を開いた。
そこは王国などではなく
マンションの一室。
体を起こす。
窓の外、白む空。
灯台の明かりが廻る。
奇妙に朱を増して見えた。
顔を片手で覆い、俯く。
唇が微かに動いて紡ぐのは、]
I'm dying to kill …?
[聞こえた声を 繰り返す]
[“己ではない者”に繋がった径《パス》から]
[逆しまに 流れ込んでくる]
[よごれたみずのような]
――何奴ぞ 貴様……
[ぐるりと呪は回転する。
繰り返し繰り返し、覚束ない米国の言葉が回転する。
―――― 『殺す』。
―――― 『死んでしまえ』。
その一念を集約させたあらゆる怨嗟(むけい)を、形にする。]
[召喚された時から感じていた違和感が
今、形を成しつつある。]
―― 、… ふん
名も名乗れぬとは
この気配に違わず礼を知らぬものらし…
――ッ…!
[剣呑さを孕む声《思念》。
米国の言葉だとはまだわからない。
されど込められた意味は己の存在を構成する物質が理屈ではなく感じ取る。
怨嗟。嘆き。負の結晶。
何者だ。これは。
探るほどに己も侵食されそうになる。]
― 西ブロック / 発電所 ―
[明け方。メイデンは唯、其処に仁王立っていた。
護れと言われた、其れだけの自由。]
「………。誰も、通らない。」
[何も起こらぬ刻。自然、思考の廻る先は昨晩の事。]
―ウィークリーマンション―
っ、…
[アーチャーは 俯いたまま息を詰めた。
僅かに眼を眇める。]
――なんだ “これ” は
[忌々しげに呟く。
ゆっくりと顔を上げ、ソファの方を見遣る。
己を喚び出した男は、まだ眠っているだろうか。
顔半分を覆っていた片手を、
ゆっくりと 降ろした。]
[音、街並、人。
自分が持ち得ていた、数少ない記憶とまるでかけ離れた人の世。
変わらぬのは、自身を見やる人共の眼差し。しかし――]
「………。」
[彼の者だけは、違った。
臆する事無く話し掛けてきた――尤も、彼の知人らしき一行は煩わしき眼差しで此方を見ていたが――其の男に、メイデンは知らず興味を覚えていた。また、何より。]
「鋼鉄の………。乗馬か。」
[正に。我に似合いの乗騎ではないか?]
― 東ブロック・神社跡 ―
野宿は慣れています。
…………。
[ゴミ箱を漁ることも、と言いかけて口を噤んだ。
まだ『あの事』はゴロウに言っていなかったから。]
でも、内職の品まで吹き飛んでしまったのは困りました。
まだ途中だったのに。
[途中とかそういう問題ではない。
しかしゴロウの大道芸提案については魅力がある。恩人も『(一肌)脱いで金を集めるものだ』と言っていた気がする。ならば真っ裸のゴロウと、ある意味では自分ならおあつらえ向きの仕事と言えるだろう。
結果、色々な誤解を孕みつつもセムラはこくこくと頷いた。]
そうしましょう。
でもその前に、調べ物を済ませてしまわなくてはいけません。
―マンション―
[男は夢を見ない。
見なくなったのはいつからか。
魔術刻印を身に宿してからだったかもしれない。
だから、それはとても異質な感覚だった。
空へ延びたそれ。佇む影は一つか。
自分がいるのはどこでもない空間。ただそれを見るだけの存在]
―…。
朝か。
[気づけば朝。ソファの上で軽く頭を振った。
テーブルの上のサングラスを手に取る。覗く蒼は日を受けてより鮮やかに映った]
「また。逢うてみたいものよ。」
[生憎と乗馬を心得ていなかった故に昨夜は転げ落ちて――その後に川にまで落ちたりもして――しまったが。
機会あらば、其の乗り方を教われないだろうかと………。]
「………。止まれ」
[此方へとやって来る幾人かの人影に、メイデンは鋭く言い放った。]
「其れより立ち寄る事、まかり為らん」
[発電所へとやって来た――従業員らしき数名に向けて、メイデンは己が得物を*突き付けた*]
[顔を上げる。部屋の中を見れば、顔を上げたアーチャーと眼があっただろうか。すぐにサングラスで隠してしまったが]
今日は、ライダーについて調べるつもりだ。それと、足を手に入れないとな。
お前は、どうする?
昨日歩いてわかったが、連れ立てば目立つ。かといって、単独行動はそれはそれで危険だろう。
悩ましいな。
女だったら、ごまかせたかもし……。
[じっとアーチャーを見た。そして頭を振った]
いや、いい。
――…、
[鮮やかな青の眸はすぐに隠れてしまう。
それを、ふと惜しいと思った。
詰めていた息を、解いて]
…嗚呼、そうだな。
御前も御前で目立つがな。
昨日の一件で厄介な者にも顔が割れている。
私は気配を絶てはするが
あくまで武芸の延長線上、
アサシンのようには行くまい。面倒なことだ。
[じっと見たと思ったら
急に首を振った男を怪訝そうに見る。]
……何だ?
化物は貴女。貴女に化物とは言われたくない。
………どうしてまだ貴女がここに残っているの。
ランサーと一緒に、消滅させたはず。
ならば逆に問いましょう。
何故貴女は、この地に未だ留まっているのかしら。
―― どうせあの男は帰ってこない。
貴女とは違い、ただのニンゲンだもの。
150年以上前に失踪したニンゲンが、帰ってくるとでも?
…………なのに、貴女は未だ待ち続けているのは何故ですの。
恩を返すとか何とか言いながら。
もう死んでしまったことは理解している癖に。
[聞こえる。聞こえる。聞こえる。
――どちらも知らぬ声。
――声《思念》が、きこえる。]
…… 何 ……
[――深い因縁が、きこえる。]
[誰か、別の思念が混ざっている。
そう感じたような気がして、女は口を閉ざす。
―― 後には、まだキャスターの怨(こえ)が*聞こえていた。*]
[――何者かは 分からない
歪(ゆが)みきり、
歪(ひず)んでいて
どこまでも、澱んでいる。
深淵を覗き込むような
怨と、恨と、嘆きと、殺意と――呪い。]
反抗的ね。そういうのは好きよ。
つい、握り潰してしまいたくなってしまうから。
[女の声はどこか不気味な妖艶さを伴って、
――けれど言葉を発している間も、呪の流動が止まることはない。]
一つ、提案があるのですけれど。
聴いてくださらない?
黙れ下郎。弁えよ。
[怖気が走るような呪の中で、
女の声は艶を持って良く通る。
対する王は不機嫌そのものだ]
……何だ。
[――どうせ耳を塞ごうと聞こえるような声だ。]
本当は殺してしまいたいところなのだけれど、それをしてしまったら私も弱ってしまう。化物とは言え、今の私があるのはあの小娘のお陰だもの。
けれど、放っておくとあいつは自害してしまいます。
自分という魔力供給源、能力供給源を殺すことが、私を『殺す』唯一の方法だと知っているから。
だから、―― 私の下で、飼っておきたいのです。
生かさず、殺さず、永遠の牢獄の中で。
― 東ブロック・神社跡 ―
野宿になれているのか、セムラは意外に厳しいな人生を歩んできたんだね。
……調べ物か、どこに向かうんだい。
まあ、歩きながら聞こうか。
[バーサーカーはセムラの前に立つと、神社の石段を早足で降り始めた。]
――……断る。
矢張りこのような呪いを編む者だな。
発想まで堕ちきって居るか。
そもこの私の思念に土足で踏み入るような輩の頼みなぞ知った事ではないわ。
[――姿は見えぬ。されど睨み据えるように。]
それを望むなら己が手を下すがいい。
そう? それはそれは。
とても残念ですわ。
[くすりと笑う。
―― 憎悪の暴風を回転させながら、女の声は消えていく。
その残滓を―― 依然流れるものだけを遺して。]
―― まさか、最初の脱落者が貴方達になるなんて。
とても残念。
[ I'm dying to kill
I'm dying to kill
who died and made a person the devil
I'm dying to kill
I hate ...]
――― ッ… 、…!!
[ざわり ざわり――と
憎悪が暴れ狂う感覚。
I'm dying to kill
I'm dying to kill
I'm dying to kill
I'm dying to kill――
繰り返す。
繰り返す。
されど、その渦の中
王は笑みを形作る気配を広げる。
その色は黄金。驕れる者の矜持をもって]
ハ、…愚かな。
消えるのはそちらと知れ、下衆が…!
―屑水邸―
…さて、お前は何度失敗すれば気がすむのだね。
[もはや哀れみに近い言葉を主に投げて、
剣は一つ欠伸を零す。
退屈というよりは、疲労から来る眠さだった]
相真、いい加減に休んだらどうだ。
吾は幾らか眠い。まだ続けるつもり、なら──先に休み、た、い。
[言うやいなやというはやさで、かくん、と首が落ちる。
ソファの上で見物していた剣は、そのまま
睡魔に抗うこと無くさっさと丸くなった。
まるで、猫や犬のような気儘さで]
[石段を降りる途中、神社があった場所をもう一度振り返る。
ここには思い出がなかったわけではない。
―― もう長い間、ここに世話になったような気がするし、ほんの一瞬だった気がする。そういえばあの家出した息子はどうしているだろう、とほんの少し姿を思い出し、]
……まずは、図書館へ向かいましょう。
骨が折れる調べ物は後回しに。まずは簡単なものを。
[一陣の風がローブを揺らすと同時。
神社があった場所へと背を向けた。]
―マンション―
ッ、… は
[微かに乱れた息を零す。
それを整え、首を横に振った。
双眸に宿る剣呑な色。
ここには居らぬ何者かへ向け――]
……――下衆が。
[低い囁きは怒気を孕んでいた。]
― 教会 ―
[渋沢スミスは思案していた。
あれから大規模な戦闘があったような気配はない。それは素晴らしいことなのだが、その最後の戦闘の痕跡というものが実に気がかりだった。
たつに運んでもらった聖杯の器もそうだ。
いや、どちらも一つの線に繋がるというべきか。]
何故まだなのか理解に苦しむ。
―― セムラさんは大丈夫だって言ってたがなぁ。ふむん。
[―― キャスターが未だ召喚されていない。
その事実に、渋沢は疑念を膨らませていた。]
― 教会 ―
[渋沢スミスは思案していた。
あれから大規模な戦闘があったような気配はない。それは素晴らしいことなのだが、その最後の戦闘の痕跡というものが実に気がかりだった。
とらに運んでもらった聖杯の器もそうだ。
いや、どちらも一つの線に繋がるというべきか。]
何故まだなのか理解に苦しむ。
―― セムラさんは大丈夫だって言ってたがなぁ。ふむん。
[―― キャスターが未だ召喚されていない。
その事実に、渋沢は疑念を膨らませていた。]
[やがて幾らかの夢は、始まる]
[とても断片的な、記憶の欠片達。
笑い会う声。燥ぐ子供の声。
決して順風満帆なんて言えなかったけれど、
それでも──満たされていたのだ。
大切な──とても、大切な]
図書館か、さすがに私は入れないだろうから、表で待つことになりそうだな。
まあ、良い情報があったら後で教えてくれ。
[歩きながらバーサーカーは、そう伝える。
そして風が吹く中、石段を降りてくるセムラを振り返り、]
君の叶えたい望みとは何なのだろう。
聖杯戦争に立て続けに参加するほどだ、何かあるのだろう?
[そう問いかけてみた。]
はい。
……なんだか、ゴロウさんには待ってもらってばかりですね。
[大道芸とやらでお金を稼げたなら、特上骨っ子とかそういうのをゴロウさんにあげなければならない。今後の予定に一つ付け加える。
しかし、石段を降りる途中、ゴロウが振り返った。
自然、問いかけにセムラの足も止まる。]
願い、ですか。
[また一陣、風が吹く。
思案の間は風の囁きに支配され、セムラはゴロウではなく空を見る。とてもとても青い空。―― どうやら、今日も良い天気になりそうだ。
眺めながら、ぽつりと。
降って落ちた綿毛を手に乗せるように、呟くように言った。]
恩人の話は、この前少ししましたね。
……その恩人に、恩を返したい。
恩返しに、その人の願いを叶えたい。
ずっと ―― そう願って、戦ってきました。
[シャワーに打たれながら、見た夢のことを考えていた。あれはおそらく。
マスターとサーヴァントは繋がっている。そこから、共有する何かがあるという。
ではあれは、アーチャーの夢だ、とその中身を振り返った。
その背には、淡く刻印が見える。それよりも多く、無数の傷跡。
斬られた痕、火傷の痕、銃創。それは、背だけではなく、前にも]
……。マリア。
[呟いた名前は、1年前まで隣にいた女の名だった。
シャワーを止めて、外へとでる。レザーパンツだけをはいて、部屋に戻ると窓際にアーチャーの姿があっただろうか]
───…。
[しあわせのなごりは、やがて潮が引いていくよりも早く消えてゆく。
めざめた時にはどんな部屋かを考えるよりも、まだ外が暗い事だけを認識した]
失せもの───か。
[呟いた声は、幾らか弱い。
主をからかう時の、あの強気な感情など、どこにも見当たらない]
どうした。何か、あったか。
[ボストンバッグまで歩いていくと、中から新しいシャツを取り出す。ついでにテレビをつけた。
目新しいニュースはない]
朝飯は、昨日の残りでいいか。
まだ食えるだろ。
[自分の残した2つを手に取る。アーチャー用に残した一つも見下ろして]
お前も食うか?
なら、一緒にレンジに入れるぞ。
[港の散策は、何の収穫も得られなかった。
拠点に足を戻せば、未だ眠る剣助の寝息。
顔色はやや蒼い。血が足りないのだ]
……ふむ。
[血が足りなければ、肉を喰らう。それが最善。
買物など小間使いの仕事だが、ここには自分しかいない。
剣助の財布から中身を抜きとり、街へと向かった]
――ん。
[足音に振り返り、
傷だらけの体を見ると一度眼を瞬かせた。]
…戦場(いくさば)を
潜り抜けてきたものか。
[尋ねる声には、暫し目を閉じ]
矢張り、此度の戦争は異質だ。
[食うか、と謂われれば頷いたが
テレビの方には目を向けず、
キースの傍によると囁くように聞こえ続ける呪の一節を唇に乗せる]
……“I'm dying to kill”
キース。…これはどういう意味だ?
[主の部屋をノックしたが返事はない。
昨夜も死んだように眠っており、何かのせいで酷く疲れている様子だった。
幸い、約束の時間にはまだまだある。
もう少し休ませておいた方がいいだろう。]
……さて、どうしますか。
― 北ブロック / 工業地帯 ―
[キャスターの姿は、煙突の中の一つにあった。
相変わらず、一般人にはただの黒煙にしか見えないらしい。]
――――。
[体についた血は、既に洗い落としてある。
念のためもう一度体を確認した後、下界を眺め下ろす作業に戻った。]
恩人に恩返しをしたいか、私にも恩人がいるからその気持ちはよく解るな。
[恩人の願いと言うのは気になったが、そこまで追求するのも野暮だろうかとバーサーカーは考えた。]
最も私の場合、恩人は育ててくれた飼い主と言う事になるが……。
聞いた手前、私の望みも話しておこうか。
私は……その恩人と再び会うために聖杯を求めている。
少し未練の残る別れ方をしてしまったのでね。
[そう伝えると、セムラの横に並んで歩き始める。]
[シャツに腕を通し、傷が隠れる]
半分くらいは、軍隊にいた頃のものだ。
半分は、魔術師として負った傷だな。
急所さえはずすことが出来れば、死ぬことはない。止血くらいなら、簡単だからな。
ん?
[レンジへバーガーを入れてきたところで、アーチャーの言葉にそちらを見る]
異質、……。そうだな。
俺は初めてだから、何がどう違うのかまではわからん。
だが、何かがおかしい、とは思う。
[ついで、囁かれた言葉に目を瞠った]
[失せもの] [失せ者] [失せ物]
[総て己のなくしたもの]
[剣は呟く。溜息と共に、吐き出す]
──吾は
[強い酩酊に似た不快感。違和感。
夢を見るのはどのぐらい久しぶりなのだろう。
このような姿にまでなって、夢を見るなど]
[夢を赤く染めしはあの不快な声]
[もう一つ──いや、二つ]
[微かに記憶に引っ掛かる声があるものと思いながら]
──何者だ。
[澱みの奔流の底に在るものを確かめるかのように]
何故に吾へこのような渡りをつける。
一体──何なのだ。
[不快感は声に滲む。
幾らか掠れたような、喉に絡みついた何かを訴えるかのように]
[図書館は中央ブロックにあるらしい。金はないのだから、バスもタクシーも使えず、徒歩と言う事になる。
バーサーカーはしばらく無言のまま歩き、途中からぽつぽつと念話で自身のことを話し始めた。]
ここでの私は「ゴロウ」だが、生前には別の名前があってね。
その名前は……「ハチ」と言うんだ。
真名は別にある。
「ハチ」で犬と来れば日本人なら大抵の人がその名を思い浮かべるだろう。
……だが、私は自分の真名を気にいってはいない。
それは、お前の言葉か?
いや、意味を尋ねるなら違うか。
誰の、言葉だ。
[考え込むように俯いて]
殺したい。
殺戮衝動。
もしくは、。
いや。
確証がない。他に、何か言っていなかったか。
[アーチャーを見下ろす]
[やがて、白い配色の近代的な建物が見えてくる。あれが図書館だらしい。バーサーカーはその建物の入り口に立つと、体を休めるように身を横たえた。]
…軍――にか、成程それで。
[厳ついわけだ、
と合点がいったようだった。]
いつの時代も戦の齎すものは変わらぬな。
…そうだな、故に狩りの際は
急所を射ぬかねばならん ……、……
[――おかしい、と思っている、
と答えるキースを見上げる。
暗いレンズ越しではあるが、近ければ瞠目するのが分かる]
このような言葉私が知るはずなかろう。
……《呪詛》だ。とびきり性質(たち)の悪いな。
−深夜・東ブロック / 屑水邸・地下室−
はあっはあっ……
[寝入るセイバーに気がつかない程の集中。だが相真の魔水はセイバーの妻に受け入れられることは無かった]
くそ、今日はここまでにする。セイバーは寝室でも使って……
[振り返ると、寝息を立てている]
英霊も寝るのか。不思議なものだ。
[刹那。目眩。
魔力の浪費と衝動。トリガー。唯でさえ精神的負担が多かったのに薬の摂取に時間を置いてしまった。
ふらつきながら、書斎に戻る。机の上の瓶から錠剤を5粒取り出し、飲み込む]
[制御薬。
自身の中から湧き立つ衝動と虚無感を押さえ込む外的干渉。
止まった時計を無理やり動かし続けるための力。
特殊な薬の為、毎月ロンドン塔の研究室から取り寄せている特殊な物]
はあ、はあ……
[体中を魔力が駆け抜ける。回路が軋むイメージが感覚を支配する。
そして、いつも意識が微睡んでいく。書斎の椅子に落ちるように深く座り込み、そして静かに目を瞑る]
[いつもなら、ここで悪夢を見る。それが日課だった。
だが今日見る夢は、自身の記憶ではなかった。
はるか昔の風景。心を支配するのは不快感と違和感。
それがセイバーが見る夢だと気がつくのは、目が覚めた後]
闇、だと?
───莫迦な、吾は
[日の王の地に連なるはずの己に闇などあるはずが]
[でも、本当に?]
[闇というその言葉に覚えるのは己の中の矛盾]
───有り得ぬ。有り得んよ。
そんな事、あっては───ならない。
[募るのは不快感。
身に感じるは質の悪い酩酊。
吐気がする]
― 中央ブロック・図書館前 ―
未練のある、別れ方。
[ハチ、という名前を聞いてもセムラには心当たりがなかった。
しかし飼い犬であり、その主と未練のある別れ方をしたというのなら、死別してしまったのか、あるいは、―――。]
……、最初。ゴロウさんに感じたものの正体。
分かった気がします。
[今、こうして歩いている間にも感じている。
魔力も体力も万全ではないが、それだけは変わらない。
不遇の動物達。野生であれ、愛玩であれ。
無念の死を遂げた存在は、決して少なくはなかった。
だからこそ、セムラの魔術は成り立っているのだから。]
それでは、早めに戻ります。えっと……。
[ゴロウと飛ぶべきなのかハチと呼ぶべきなのか。
しかし彼自身も『ここでの名前は』と言っていたし、何より生前の彼を知らない。]
ゴロウさん。……出来るだけ早く、戻ります。
[こくりと頭を下げて、図書館の中へ入っていった。]
―マンション―
…、…分からん。だが女の声だった。
…他に、
[また。まただ、何かが聞こえる。
ゆがんでいて、わからない。
眉を寄せながら、顔を半分手で覆う。]
who
died
…and made a person … the 、
[たどたどしいく 英語を辿る
体が、少しだけ前に傾ぐ。]
く、…五月蝿くて、かなわん。
一緒に、この理不尽(おかし)な世界を、壊しましょう。
必ずその時が来る。あなたは願い。
必ず、あなたは私と同じになる。
―― 壊したくてしかたがない。
―― 殺したくてしかたがない。
ほら、今こうしている間だって、
[誰。
誰だ。
同じ?――知っている気配がする。
閉ざせば まだましにはなろうが。
新たな気配と、根源の交わす思念《こえ》が
浮いては沈み、溶けては固まる。]
[ソファの上。握った手は冷たい。
ただそこにあるは照明が消えた、まくらい色に染まる部屋だ]
(…流石の朴念仁だ、運ぶ事はおろか、きぬすらもないとは)
[思わず、小さく笑ってしまった。
そのまま、膝を抱えるようにして呟く]
(──だが、吾もまた同じか)
[小さく呟いたのは名前のようなもの。
こうして夜露をしのげるだけでも、昔からすれば御の字だという事も思い出す]
呪詛か。
ならば。それに囚われんようにな。
英霊が、悪霊と化せばどんな惨状になるか。
最も、もしお前がその呪詛の影響を受けるようなら、俺は令呪を持ってお前を止めるけどな。
[女の声。続く単語。
傾くアーチャーの身体を支える]
大丈夫か。
……嫌な、呪詛だな。
呪詛というより、誰かの呟きか。
― 中央ブロック / 図書館 ―
[調べなければならないことはいくつかあった。
しかしまずは、あのサーヴァントが言った気になる言葉からだ。確か ―― そう、『オウセ』とか言っていた気がする。
邪魔をしては悪い。
それはきっと自分にも言えることなのだろう。ならばその時になって失礼がないようにしなければならない。セムラはそう考えた。
大百科とか大なんとかとか書いてある重い辞書を持ってくる。
それを机の上に、とすんと置いた後、椅子に座って一息ついた。]
ふう。…………。
[空調のせいだろうか。体力のせいだろうか。
椅子に腰掛けていると、つい眠ってしまいそうになる。]
いけない。休んでいる場合じゃない。
[頬をたしたしと叩き、辞書をめくり始めた。]
───違う。
[否定する。否定しなくてはならない。
もう一つの気配に気づいている暇もない。
取り乱さずにいればまだ、気づけたかも知れぬものを]
違う───ッ、違う、違う!!
壊してなどいない、お前とは違う、殺してなんか───
[ 本 当 に ? ]
[澱みからかえってくる声ではない。
確かめるその声は己の内から]
[緩やかなる───浸蝕]
…囚われるものか。私は王だ。
このような下衆に欠片ひとつ呉れてやるものか。
――嗚呼。そうなれば止めよ。
呪詛に身を蝕まれるよりは
御前に御せられる方が遥かにましだ。…癪だがな。
[支えられ、少しの間目を閉じる]
…、…―すまん。
……延々、延々、深淵の底より
這いずるようだ、この声は。
――鎖さねばなるまい、
私を…愚弄したことも含めてな。
[一方、バーサーカーは図書館の入り口で既にまどろみの中にいた。
一応、サーヴァントが近くに来たら気づけるくらいの意識は残してあるが、他者からみると犬が寝ているようにしか見えないだろう。]
[無駄ではあろうが、低く呟く。]
… …――騒ぐな
[――聖遺物であり、
アーチャーを呼び出した「創世記」の頁に
傷がついていたのは《呪詛》の触媒に
使われていたため]
[違和感は、そこから来ていた。]
[――相容れぬはずのものを、侵食する。]
俺には聞こえない。だからその声をなんとかできるのはお前だけだ。
もし、潰れそうになったら言え。
そうならん事を信じてるよ。
[一度肩を叩いてから、その手で頭をくしゃりとなで、離れる]
あったまったようだ。
[レンジの音にキッチンへむかい、バーガーを取り出すと一つをアーチャーへ*投げた*]
──、─…。
[膝を抱えたまま、小さく呟いた。
同じ言葉を繰り返して]
───吾は、間違っていたのだろうか。
[勾玉の数が足りなかった理由は解っている。
本来、あるべきはずの加護が足りない。
本来、揃いて調和する力が欠けている。
それは決して己のせいではないけれど。
けれど、そう思わざるを得ない確信がある]
(吾も──騎兵の主と、何一つ変わらないかも知れん)
[俯いた表情は苦いまま。
主が書斎で目覚めた事も──気づかないまま]
[程なくして『オウセ』は見つかった。
意味としては、どうやら男女の密会のことを指すらしい。つまりあのサーヴァントが心配していたのはこういうことだろうとセムラは考えた。]
馬岱さんのマスターさんは、女性なんですね。
[だから『邪魔をしては悪い』と考えたのだろう。
一人こくこくと頷く。
しかし同音の別の意味という可能性もある。
更に調べると、『王制』という言葉があった。]
……馬岱さんは、どこかの王子様。
なるほど。こちらも納得できます。
悩ましいですね。
[あの紳士的な身のこなし、言葉遣い。
馬岱を思い起こしながら、セムラは辞書を閉じた。]
壊してなどいない───壊したのではない、あれは。
[澱みによる浸蝕。
繰り返される過去の風景。
繰り返す。何度も何度も、掌を濡らす]
───違う!!
[赤]
───誰、だ?
[騒ぐなと。確かに聞こえた。
それは赤く塗り込めるような女の声音でないことだけは確か。
幾らか、喉につかえたような声を絞り出しながら]
誰、だ。
[もう一つ問いかける。
今度は、ある程度の冷静さを添えて]
[は、とひとつ細く息を吐く。]
分かっている。
潰れるだと?あり得んな―― 、…?
[頭を撫でられたのに驚いたのか
金色の眸を丸くした。]
っ、何、 ――…っと、
[投げられたバーガーを受け取ると、包みを開く。
一度キースの方を見た後、
何とはなしに視線をそらしてから、
温まった食物を齧った。]
――……
[暫し黙したまま食事を続ける。
朝の番組を流すテレビは視界の端。
箱の中で小さな人間が踊っている。]
あれの気配、
実際この眼にせねばわからんだろうな。
……矢張り私も街へ行くぞ、キース。
[目立たぬ方法などあるのかは、分からない。]
[声だけでは分からない。
径《パス》が歪みきっているのだ。]
――…呪詛混じりの声の満ちているところに
名乗りをあげるなぞできるか。
[不機嫌極まりない声で謂う。]
御前が呪詛の主ではないなら
耳を貸すな。それだけだ。
[――己とて綻びあらば危ういだろう。]
[次に調べておきたいのは地理だった。
普段からあまり外出しないセムラにとって、今の浦舞を把握しているとは言い難い。
早速、カウンターで地図帳について聞いてみた。]
あちらですね。ありがとうございます。
[衣装と杖に随分妙な目を向けていた。
帽子はさすがに机に置いたままだったが、それでも目立つらしい。
小さく息をつきながら、新しい地図帳を探し始めた。]
呪詛の主…?まさか。
[聞こえてくる声は、澱みの浅き淵より来る。
それ故、歪んではいてもそれが呪詛の主ではないと、それだ理解できた]
…流石に、己の呪(わざ)で竹箆返しを食らう間抜けではない。
[息を吐き出した。
誰の声なのか。確かに聞き覚えはある声のようなのだが、特定はできない。
澱みはそれほどに酷く、滓は重なり濁っているという示し]
ならばいい。
複数だとさらに面倒故な。
[――大儀そうな響きとなる。
余計なことを謂えば
あの女の声の主に伝わってしまうだろう。]
……しかし
五月蝿いな…この、呪詛は
あまりに深い。
[『殺す』『殺す』『殺す』『殺す』
『死んでしまえ』『死んでしまえ』
『死んでしまえ』『死んでしまえ』
米国の言葉が渦巻き、呟き、折り重なる。]
───水でも浴びるか。
[この不快感を流すために。それは一種の禊でもある。
ソファから下りて、主に教わった記憶を頼りにバスルームへと向かう。
幾らか蛇口やらと格闘し、すっかり全身を冷やして出てきたまではよかったが]
…。
替えの衣は、如何したものか。
[さて、困った。
軽く首を傾げて]
[暫くすれば、屑水邸に響きわたるのは相真を呼ぶ大きな声]
そちらこそ──いや、あの声は違っていたな。
[女の声であった。
聞こえるこの声は、流石に女の声には聞こえない]
──闇、と言っていたか。
[少し気を抜けば、またとらわれそうになる唱和。
幾重にも重なり呪なう、根の国の声明]
ッ…、今は、どうにも出来ぬのかな。
煩わしいものよ───歯痒くも、ある。
[早朝から叩き起こされた主の不機嫌などいざ知らず]
替えの衣がない。
[バスルームに現れた主に突きつけた言葉はこれときた。
結局色々服を持って来させては見たのだが、
やれ裳裾が長すぎるだの、やれ肩の位置が合わないだの、
これは重たいだの、散々文句をいった結果]
…まったく、ものの役に立たん男だなお前は。
[黒いVネックのセーターと、昨日そのままのスカートになった。
主のズボンは、どれもこれも裾上げなんてレベルではなかったのだ。
バイクもだが今日こそサイズの合う服とバウムクーヘンを用意させると心に決めて]
相真、腹が減った。
[食事を所望するに至る]
[季火、水綏、雙風───]
…橘。
[吾妻ばや。
口にしたところで、思い描いたところで、その姿は既にない]
『皇子のそれは愛ではなく恋ですね』
[そう言って笑った女を、覚えている]
[バーガーを口にくわえてソファへ座る。
テレビに視線を向けるが、興味のあるものは流れなかった。
二つ目を口に入れたところで、アーチャーの言葉にそちらを見下ろし]
わかった。目立つのは、仕方ないか。
[思い出せば自分一人でも目立っていた気がする、とここに来るまでのことを考え、二つ目をぺろりと胃の中へ収めて]
じゃあ、いくか。
まずは図書館だ。
[立ち上がり、アーチャーを外へと促した]
あのようなものと一緒にするな。
[闇。
Darkness with you(闇は貴方と共に)
God is with them(神は彼等と共に)
言葉の意味はわからねど
響きに込められた呪いは伝わる。]
囁きに耳を貸さねば実害は無い
――…とも言い切れんがな。
[結局根源をたたねばなるまい。
あの“攫え”と謂われた“少女”を探せば何か分かるか。]
……
[どうやらこのセイバーと一緒にいると、長い時間感傷に浸ることは出来ないらしい。勾玉状の妻がいる人間がなぜ女子高生の格好を好んでするのか理解が出来ない]
判った、昨日購入出来なかった運搬手段も含め、繁華街に出よう。
[昨晩作成した水球を4つほどコートに入れる。重たいが今はそれでいい。外出の準備をした]
[もしかするとアーチャーがそう思考し
少女《セムラ》に接触を図ろうとすることさえも
闇色の声の策の中なのかもしれない が]
……
[どうやらこのセイバーと一緒にいると、長い時間感傷に浸ることは出来ないらしい。勾玉状の妻がいる人間がなぜ女子高生の格好を好んでするのか理解が出来ない]
普段料理をするでもないし、期待するなよ。
[慣れない手つきで米を炊く。普段は外食が多いため作る料理に困った挙句、何故か若鶏の赤ワイン煮が完成した。相真の料理方針はかなり偏っている]
口に合うかは分からないが。気に入らなかったら繁華街でまた何か買ってくれ。
食事が終わったら、昨日の買い出しの続きと行こう。
[かろうじてニュースで特筆すべきは
東ブロックの古びた旧神社が失せたことくらい、か。]
仕方あるまい。
堂々としていればいいのだ。
[ある意味だ正しいが、
結局目立つはずだった。
頷き、促されるまま外へと向かう。
空気はまだ、冴えていた。]
違ったと、間違いを認めただろうに。
しかし。
…果たして、どうだろうかな。
[耳を貸さねば。
本当にそうとは言い切れない。
光があるから、そこに闇があるのだと。
痛いほどに理解していたはずだったのに]
…用心するに越したことはなかろうが、
用心しすぎて戻る橋を砕く事がなければいい。
[外へでてすでに調べていた図書館へと向かう]
昨日の、ライダーのマスター。あれは厄介だったな。
見えることがあればまずは周りに要注意だ。
サーヴァントがまともならよいがそうとも見えなかった。
真名が調べてでてくればいいんだがなぁ。
[しばらく歩けば、白い図書館が見えて*来るだろうか*]
…なんだこれは。
不思議な料理だな。
[朝から肉が出てくる事に問題はない。
米と肉という組み合わせも問題ない。
しかしワイン煮と白い米というのは、洋風なのだか和風なのだか解らない。
そもそもの料理の原点を知らないのはある意味幸運だったのか]
──ふむ。酒蒸しに……しては変わった味付けだが、悪くはないの。
これは、鳥か?今はこのような味付けが流行りなのか。
時がたつと人の味覚というのは随分変わるものなのだな、相真。
[ワイン煮を器用に端を使って分解して食べていく。
どうやら胃は満たされたようで]
よし、では出かけるか。昨日の約を忘れるなよ。
服と、バウムクーヘンだ。
[バイクは既にどうでもいいらしい]
……――
[頷く気配。
何とはなしにこれに似たやりとりを
此度したことがあるような気がする。]
耳を傾けても疲弊するだけだ。
[――女は、笑っているだろうか。]
無論だな。
[幾らか問答を交わしたうえで、ある程度確信に近いものが生まれる。
もし合っていたとしたら、向こうは己の事を正確には知らないはずだ。
だが、それはあくまで近いもので真実ではない]
上手く聞き流すすべがあるなら、いっそ教わりたいものだよ。
[小さな溜息が一つ。
それすらも澱みの滓の一つになろうか]
ああ、判ったよ。
じゃあ繁華街にでかけよう。バイクの購入には多少時間がかかる。その間あまり遠くにいかなければ単独行動してもいいぞ。
[むしろバイクの購入時にセイバーがいると難儀な事が起きる予感がする。そう思いつつ中央ブロック・繁華街へ移動]
[食事を終えて手を合わせる。
主の言葉の裏に何かあるとはよもや知らぬまま]
よかろう、だが…単独行動させるつもりなら金子を寄越せ。
吾も色々ものを買ってみたい。
それと…確か自動二輪と言っていたな。
昨日も幾らか見たが、あれは人が後ろに乗れるものなのか?
吾は、乗るならあれがよいな。
[つまり、二人乗りできるもの以外は許可しない、ということだ。
繁華街へ向かう道すがら、果たして主は剣を懐柔する事が出来るのか否か]
そう言うと思った。
[と言い、セイバー用の財布を懐から取り出した。中には5万円程入っている]
これが君の小遣いだ。この財布の中の金額で買えないものは許可出来ない。金額の数え方は大体分かるか?
総額5万円。50000だ。
バームクーヘンをもし200円で購入できたとしたら、これはバームクーヘン250個を購入可能だ。だがその分洋服の購入金額も減るから計画的に使うように。
バイクについては……まあ、俺一人で移動しても仕方がないしな。サイドカーにするつもりだ。今から行く店舗は比較的種類も揃っているし大型の物も扱っている。実際観てもらってもいい。
[そう話しながら繁華街の駅側入り口にあるバイク販売店へ向かう]
―中央ブロック・図書館前―
[どれほどまどろんでいたのだろうか、バーサーカーはふと何者かの気配を感じて目を明ける。]
……。
[無言のままゆるりと身を起こして、あたりを見やった。]
うん、お前にしては用意がいいではないか。
[渡された財布を確認する。なかには紙切れが5枚。
だが、これが万という単位の金子なのだろう。
バウムクーヘンの値段にして話をされれば幾らか瞳が輝いたが]
莫迦もの。い、幾らなんでもそこまでは食べられん。
一つづつ食べるからこそ意義があるのだ、あれは。
[そんな事をいいながら財布をしまう。
バイクについての話は、幾らか興味があるらしく]
・・・さいどかー?なんだそれは。
まあ、とりあえず見れば解るのかの。
[とりあえず金を出すのは自分ではないので、
まずはくっついて行ってみるほうが先決だと考える]
[それから前足をそろえて伸ばし、うーんと伸びをする。地面に座ると後ろ足で首を掻き始めた。]
……ふむ、何か通りがかったのかな。
[心の中でそう思いながら、普通の犬のように振舞った。]
まさか、な。
[眠る犬を見ながら呟く。
屈んで犬を見遣るアーチャーを見下ろし]
噛まれても、しらんぞ。
俺は、中に行く。
[令呪の反応がかすかにあった。
息を一度吐いて、*中へ*]
[バーサーカーにも目の前の男たちが何者なのか確信があったわけではない。ただ、どうやら2人連れであり、先に中に入っていこうとする男は、人間であるようだがその物腰はただならぬ雰囲気を感じる。
想像通りなら、このまま行かせるのはまずかった。]
試してみるか。
[そう思うと、]
それ以上、進むのをやめてもらおうか。
[辺りにそう念話を発してみた。]
―図書館―
噛まれんよ。
[見下ろしてくるキースをちらと見上げた。
それから中へ向かうようなら立ち上がり
犬を見下ろして]
…忠犬だな。
街中で暴れたりはせぬ。
[と、緩やかな調子で謂った。]
[気づいたか気づかないかは解らない、だが先ほどの男は中に入ってしまったようだ。だが、彼は少なくともサーヴァントではないようだ。
セムラの身は気になるが、人の多い図書館で人同士で出くわすなら、危険度としては低めだろう。
だが目の前の男は違う。あちらが人なら、こちらはおそらくサーヴァント。通すわけには行かなかった。]
君はサーヴァントだね。なら通すわけには行かないな。
忠犬と言う言葉は好かないが、通るというならここでも暴れざるを得ない。
もうひとつ、私は耳が利く。
中が騒がしくなったらやはり暴れざるを得ない。不本意だがね。
[そう伝えた。]
[言葉を交わした事で、目の前の男がサーヴァントだと気づく。]
君はサーヴァントだね。なら通すわけには行かないな。
忠犬と言う言葉は好かないが、通るというならここでも暴れざるを得ない。
もうひとつ、私は耳が利く。
中が騒がしくなったらやはり暴れざるを得ない。不本意だがね。
[同時にバーサーカーはこのサーヴァントの歩みを阻止するのが手一杯で、先に行った人間が中に入るのを望むならおそらくは阻止できないと感じた。
だが、向こうは人なので優先順位は目の前のサーヴァントより低い。]
セムラの事は心配だけど、お互い魔術師同士なら既に令呪が反応しているはず、館内には人も多いし、いきなりやられる事は無いよ……な。
[それでも少しそわそわとしてしまう。]
[バーサーカーが奮闘する中、セムラは一人眠っていた。
眠っていたというよりは眠ってしまったというべきか。
地図帳を広げてもどこがどこだか分からなかったので、追えども追えども浦舞へ辿り着くことが出来なかった。
結果、目が先に根をあげたというわけだ。]
――――、
[何事かを寝言する。
人の名前のようでもあったし、謝辞や謝罪の言葉でもあった。
寝息を立てて突っ伏す姿は、衣装と机に置かれた杖と帽子を除けば、普通の少女と何ら変わらぬもののようにも見えた。]
―図書館前―
――御前もな。
犬そのものが現界とは珍しいことだ。
…ふん。犬がこの私に意見するか。
よかろう。
民草巻き込み暴れるは本意ではない。
それにこれは《夜の戦争》故な。
[悪でありながら秩序を重んじた古代の王は
腕を組み白い壁に凭れた。]
おい、キース。
調べ物を済ませたら疾(と)く戻れ。
私をあまり待たせるな。
−午前・中央ブロック/繁華街・駅側入り口にあるバイクショップ−
[店に入ると、スクーターから大型まで多種多様にある。どちらかというと店員の趣味ではないかと思われるものも幾つか存在する。
目的通り、運搬に便利そうなサイドカーを眺める。2車種あったが、どちらかというと好みの形状をしている”ヤマハ FJ1200+FLEXIT”という車種に注目した]
[※参考文献:
http://www.redbaron.co.jp/buy/...
http://www.redbaron.co.jp/buy/...
http://www.redbaron.co.jp/buy/...]
これなら便利そうだ。金額も手頃だし小回りもきく。
[即決の勢い。相真はあまり買い物に悩まない傾向がある]
[主人を起すのも忍びない。
しかし、ただ単に待つというのも時の浪費となるだろう。
暫し考えた馬岱は街の探索の続きをすることにした。
幸い東の探索は終わっていたし、西はこの付近。
ならば北を見回ってから中央へと行き、南へ抜けるべきと結論付けた。]
ふむ……。
[北を色々と見て回ったが、特筆するべき物は特に見つからない。
そも、時間は限られているので大体の地形しか見てないゆえもあるだろうが。]
[だ、大丈夫かなあ……とセムラを心配しつつ、念話を飛ばす。]
君は生前高貴な人だったのだね、常識ありそうなサーヴァントでまずは安心した。中には白昼路上で武器を抜く手合いもいると聞く。
まさか、君のマスターがその手合いではないだろうね?
どう見てもカタギという面じゃなかったけれど。
[そう問いかける。]
−中央ブロック−
[そして足は中央ブロックへ。
此処はやはり他とは違う、とにかく人が多い。
とりあえずは気配遮断を行いながら、後ほど集合することになるであろう駅周辺を観察する。
暫し人の流れを見ていたが、何も発見はなかった。
あわよくば英霊の一人でも見つけられるかと思ったが、そう上手くいかないものだ+]
― 北ブロック / 工業地帯 ―
[煙突から下界を舐めるように眺め回していたはいいが、収穫は今ひとつだった。そも、千里眼のスキルの一つでもあれば便利なのだろうが生憎そのようなものはない。
ならば、こちらから撃って出るべきか。]
―――― メイデンを。
[一度、発電所へ戻ろうかと算段を立て始める。
―― が、ふと。
影の一部が、ぴくりと反応した。]
――――。
[色々と思案をするような間を取った後。
アサシンが北から中央へと抜けるとほぼ入れ違い、キャスターは煙突の上から消失し、黒い疾風のように発電所へと向かった。]
―バイクショップ―
…色々種類があるのだな。
[しげしげと辺りを見回し、その様々な形式や色等を
興味深そうにみてはいたのだが、
いざ主の示した車種に、剣はきょとんとして]
───これは、どういう代物だ?
何やら横に輿のようなものがあるが。
[流石にサイドカーなんてそこまで街を走っているものではない。
どんな風に乗るものか分からず]
―図書館前―
[犬の心、王知らず。
セムラなる少女を心配してそわそわしているなどと気づくはずもなく、犬をちらと見下ろした。]
ほう。知恵の働く犬のようだな。然様。
[普通に出生の辺りを認めた。]
嗚呼、居るな。つい昨日
ぶつかりかけた所だ。ああいう手合いは好かん。
……。
[それから、何故か少々不機嫌そうに]
あれは、あんななりで礼節も弁えぬ男だが、
ところ構わず刃を振りかざすような者では断じてない。
この私が保証する。
そ、そうか。
[そうアーチャーに答えながら、バーサーカーはキースが図書館に入るなり無言で長銃を取り出して、辺り構わず発砲して人々を殺戮する姿を思い描いた。]
とても、似合う……似合いすぎる!
[バーサーカーはそう思った。]
[これ以上此処に居ても仕方ない……と、人の流れに己自身も乗せ、街を見て歩くことにする。
こうも遮蔽物が多い所では、地の利を把握することが何よりも優先されるものだ。]
となれば、と。
[気配遮断を、完全に気配を隠すものから"英霊"としての気配のみを消すだけに留める。
気配を消しすぎると、時には逆に発見されやすくなるものだ。]
それでは、何処へと向かいますか。
[その足は奇しくも、図書館のほうへと向いていた。]
−図書館付近−
ふむ、此処まで来ると人が少なくなりますか……ん?
[アレから暫く歩いていたが、進むたびにどんどんと人は少なくなり今はまばらとなっている。
これは戻るべきか……と思った矢先、そこでふと何かの気配。
――英霊。]
一体何処から――?
[答えは直ぐに出た、気配を辿った先に見えるは昨夜の犬の英霊。
更に、どうやら誰かが話しかけているようだ。
犬に話しかけているとなっては、普通ならばちょっとご遠慮願いたいお方なのだろうが、この場合は少しは無しが違ってくる。
英霊か、もしくはマスター。
どちらにせよ聖杯戦争の関係である可能性が高い。
ならば自分が"気配遮断"を使えると言うことは隠しておいたほうが上策。]
それは勿論、僕が運転し君がこのサイドの部分に載る。
[セイバーの技能だと運転技術がある筈だが、セイバーに主導権を渡すのはさすがに問題だろう]
ほら、結構いいだろ。
それは勿論、俺が運転し君がこのサイドの部分に載る。
[セイバーの技能だと運転技術がある筈だが、セイバーに主導権を渡すのはさすがに問題だろう]
ほら、結構いいだろ。
[少しづつ、不自然ではないように"気配遮断"を緩めていく。
まるで気配が遠くから近づいてきたかの如く。
そしてある程度まで気配を大きくしたところで、物陰から目標へと歩いていった。]
[ふと、バーサーカーは昨日見た女サーヴァントのことを思い出す。
あの場にいるものとは同盟を組んだので情報は漏らせないが、あの女の事は話しておいて良い気もした。
あれが誰かに倒されるのなら、バーサーカーとしては嬉しい所である。]
君は化物じみた女サーヴァントを見た事があるか?
1人で3人のサーヴァントと渡り合い、手からはなつ魔力で建物を粉砕し、体から無数の黒い獣を出す正真正銘の化物だ。
私は隠れて見ていただけだが、あれは強敵で、事によると今回最強の相手かもしれない。
出会ったら気をつけることだ。
[そうアーチャーに伝えた。]
[命じられたのは此の場の守護。如何なる者も、立ち入らせる訳には往かず。
然しメイデンの警告が受け入れられる事は無く――]
「………。」
[――其の結果として完成した光景の中で、メイデンは唯、平然と仁王立っていた。]
― 西ブロック / 発電所 ―
[キャスターは薄暗い中に『ソレ』を見る。
叩き潰されたニンゲン。粘質の何かが広がっている。
―― 見ずとも、においでその色は赤であると分かった。
瞳は冷たく。
それらを見つめ。
特に特別な挙動を見せることなく、メイデンへ視線を向けた。]
[差し出すは手。
そこにぴったりとくっつけるもう片方の手の指。
輝きは一瞬。
神社で剣助へ放とうとしたものと同等のもの。
灯台で、男を殺したものと同じもの。
指先から照射された魔力は、キャスターの掌を貫いた。]
───。
[説明後、主を見る剣の表情は]
少しも良くないではないか。
こんなせせこましい場所に乗れだと?
[冗談じゃないとばかりに、険しい]
吾は御免だよ。
[苦痛に表情はゆがまない。
苦痛に掌は押さえない。
闇色の身は、常に負を纏いし想念だったから。
掌から噴出した血は中空で止まり、血ではなく影と化す。
まるで綿か何かのように丸く蠢き、固まり。
『影の綿毛』を、メイデンの前へ浮遊させた。]
――――。之を。貴女に。
――――。もう一つの種(かげ)が監視している位置座標。
――――。サーヴァント。マスター。……殲滅しなさい。
メイデン。
[命じられた、新たな自由。]
「相、わかった。」
[頷き、手にした金砕棒を肩に担ぐと足を上げた。
一歩、一歩、直ぐ前をふわふわと浮かび進む『影の綿毛』に招かれるようにして、メイデンは殲滅させるべき“標的”へと向かい歩み始めた――]
[ふと、犬の英霊と話していた人影と目が合う。
――英霊か?
遠くから見る分には良くわからなかったが、近づくにつれ気配が英霊のものに近くなる。
気配遮断の様なものを持っているのだろうか?
目線があったその英霊に、一礼をする。]
犬と戯れているのですか?
戯れるには中々覚悟がいる犬と思いますが。
[そう言って、犬の英霊に目線を投げかけた。]
君とは一度会ったね。図書館には私のマスターがいるから、ここから先は通せないよ。
[近づいてきたアサシンに向かい、淡白にそう言った。一応嘘はついてない。]
―中央ブロック:図書館前―
[表情が険しい。思案するように口元を抑え
金の眸を眼鏡の青年へ向けた。]
……。
[気配を不自然でない程度に絶っているため、
判断がつかぬ教会付近の茂みに残っていた痕跡の
女では無かった方に似ては、居るか。]
…これが門番をしているのでな。
私は不本意ながら待ち惚けだ。
――…、
[気配を探る。何処から来る。
己にしか聞こえぬらしい呪詛渦巻く声の中で、
女は笑っていた。]
再び会いましたね犬の英霊。
成程、それならば私を通せないのは臣の道理。
忠義の程、お疲れ様です。
[その発言で、共闘の事は言うべきではないと理解をする。
それならば此方も、その様な態度を取ろう。]
何、押し入ろうと言う気はありませんのでご心配なく。
この様な場で戦線を開き、民を傷つけるのは私の信念に反しますので。
[待ち惚け、という言葉に目線を再び男の方へ。
誰かを待っている……という事は、つまりこの男のマスターも中に居ると言うことか。
まぁ、この犬の英霊が此処に居るならば特に心配するべき事でもないだろう。
もし何かあれば、私を通して主を守るか、この場を私に任せて己が中へと行く筈だ。]
ふむ、それは災難でしたね――っ。
[刹那、何かの気配が背筋に走った。]
[バーサーカーは自分から手を放したアーチャーの表情が険しくなっていくのを見る。手を払ったのがまずかったのだろうかと感じた時、何か酷く嫌なものが近づいてくる事に気づく。]
こ、これは……まさか、こんな白昼に?!
[バーサーカーは普通の犬がそうするように、低い警戒の唸り声を上げ始める。]
これのほうが道具の運搬に便利なんだ。
[バイク屋の中で声高らかに武器とはいえずもどかしいが、どちらにしろセイバーは納得しない様子]
判った、そんなに言うなら大型にする。
[と、渋々大型2輪に変更する。
”KAWASAKI 1400GTR”は二人乗りが可能で、かつ運搬にも適しているようだ。予算は少しオーバーしたが仕方がない]
[参考文献:http://www.redbaron.co.jp/buy/...]
これでいいか。文句が無いなら、保険の手続きとか少し時間がかかるから色々買い物をしてきていいぞ。
[店員と会話をしている間に、「彼女を後ろに乗せるんですか?」とひやかした対応をされた。
怒るというよりも、セイバーの騎乗スキルが発動し自分が後ろに乗っている姿を想像し、少し青ざめた]
[近づいてくる気配は
昨夜の甲冑の魔に酷似していた。
方角を探る。]
おい、御前。守るべき者があるならば
連れて此処から離れろ。
あれの狙いは恐らく私だ。
命ぜられて動いているのだろうが
――…気に食わん。下衆が…。
[僅かな予備動作。]
[アーチャーの言葉に一瞬の躊躇を見せたバーサーカーだったが、彼がここにいてくれるのならば、セムラの元に戻りたい気持ちがわいた。]
これは貸しになるのかな?
だが、感謝する。
[そう言うとバーサーカーは、走って図書館の中に飛び込んでいく。
驚く職員の声が聞こえ、セムラの姿を探すキースの姿が目に止まったが気にせずにセムラの匂いを追った。]
[館内が騒がしい。
一拍遅れて気付いた時には、目が開いていた。
開いたままの地図帳、帽子、杖、風景。
騒がしさを除けばここがどこであるかは明白。眠気でギアが入らない体と視界に無理矢理言うことを聞かせ、立ち上がりながら周りを見渡す。
勿論帽子を被ることは忘れずに。]
お待ちを、名も知らぬ英霊よ。
[戦闘体勢へと入ろうとする男を、声で制止する。]
此処で戦闘に入れば、罪無き民が巻き込まれます。
逃亡しつつ敵を誘導をしての、戦闘場所の移動を提案しますが。
[目線は迫り来る脅威の方向へと向けたまま、静かに語る。]
勿論、その為の協力は惜しみません。
民が傷つくのは見過ごせませんので。
おお、いたいた、セムラ!
えーと、表に何かとんでもない奴が来ようとしているみたいだ。
あと、昨日の眼鏡と知らないサーヴァントとそのマスターもいる。
知らないサーヴァントは迎え撃つつもりらしいぞ!
要するにここは危険だ!
[匂いをたどってセムラを見つけると、まくし立てるようにそう伝えた。]
吾を道具扱いするつもりか!
[幾らサーヴァントとはいえ、それは流石に気に食わない。
ムスッとした顔をしていれば]
…仕方あるまい、譲歩してやる。
[渋々と許可を出し、それから単独行動を許されたかと思えば、
リードを外してもらった小型犬のような勢いで、
バイクショップを後にする。
連絡手段も待ち合わせも決めていないが
あちらが何とかするだろうと。
足はウキウキと先日のパティスリーへとむかっていく]
― 中央ブロック / 図書館前 ―
「………。此処か。」
[浮遊する其れに導かれ辿り着いたのは周囲にある他の物より幾分にも大きな建物だった。
ブ…ン。
『影の綿毛』が示す。あの人物を殲滅せよと]
「気付いて居られるか。ならば準備はよいな」
[見やる先に居るのは、果たしてサーヴァントだった。其のクラス、アーチャー。撃滅すべき相手。]
「戦う前に名を問おう。
我が名はアイアン・メイデン。汝が名はなんと申す。」
―中央ブロック:図書館―
好きにせよ。
[貸しかどうかと口にする犬に、
王は尊大に答える。
次いで、眼鏡をかけた英霊に視線を流し]
無論移動はするつもりだ。
民草を巻き込むのは私とて御免被る。
御前は此処の地理に明るいか?なるだけ広い場所が良い。
[淀みなく謂い、それから僅かの間ながら眼鏡の英霊を見つめ]
――良い家臣となりそうなことだ。
[す、と眼を細めた。]
2分で良い。持たせよ。よいな。
[謂うやいなや、図書館の中に向かって駆けていった。]
−中央エリア/繁華街・バイクショップ・−
[書類手続きは、全般お任せでお願いすればそれほど面倒でもない様子。じきに手続きも完了し、そのままこの大型マシンを持ち帰る事になりそうだ。
あまり小回りの利くマシンでも無くなってしまったが、とりあえず戦闘準備を確保するという意味では悪くない。
受け渡しが完了後、試し運転も兼ねて自宅へ帰還、バウンティハントに使用する小道具一式や水球を10個ほどバイクに積んでセイバーを迎えに戻る事にした]
[そして快適なドライブで自宅に戻った瞬間に、セイバーとの連絡を取る手段を確保していない事に気がついた]
しまった。
つい久しぶりの単独行動で羽を伸ばしすぎた。
[相真、痛恨のミス。
慌てて再度東エリアから中央エリアへ]
――お任せを。
[目の前には、建物の中へと走り去る英霊の名を尋ねる"脅威"。]
申し訳ないが、彼の者は少々用事があるようです。
僭越ながらその間、この馬岱がお相手しましょう。
[遠目でしか確認は出来ていないが、この先に川と開けた土地があったはず。
其処まで誘導できれば……。]
[其処まで考え、魔力を解放する。
目の前の者がどの程度の速度を持つのか知らないが……。]
――っ!
[付いて来させるつもりはない。
すれ違い様に一撃を放ってから、目標の場所へと誘導する。]
―中央ブロック:図書館内―
キース!!
[良く通る声がざわめきを貫く。
係員が咎めるも気にしない。
既にキースも異常に気づいているだろう。
合流に時間はかかるまい。
駆け寄り囁くは]
気づいているな?
…呪詛の主が仕掛けてきた。
英霊が足止めをしている。
すぐに此処を離脱してアレを誘導するぞ。
[2分に10秒足らず。駆けて出る――!]
「………。む。逃げるか。」
[顔を顰める。追うべく歩を進めようとすれば、別の男が立ち塞がった。
―― 一瞬の思考。『影の綿毛』より殲滅せよと示されたのは、アーチャーのサーヴァント。そしてそのマスター。目の前の男は違う。]
「邪魔立てすると申すか。為らば他を当たれ。」
[言い捨て、標的が駆け込んだ建物へと更に歩を進めようと………。]
「!!!」
[ガヅン。
其の疾き動き。咄嗟に防ぐべく腕を上げたが間に合わなかった。然し――]
「………。ふむ。」
[鉄の塊の如き鎧に、薄い傷がついただけだった。]
−−中央ブロック、繁華街−−
−−……豊かな街だな。
[買い物袋を提げた猛将は、気儘に商店街を歩いていた。
否、目的はある。
偵察と索敵、情報収集]
−−……うむ。美味。
[その手の紙袋には、先程露天商から購入した、魚型の温かな菓子。
召喚からこのかたなにも口にしていなかった腹具合は、その誘惑に勝てなかった。
……いや、現代の食を知ることも立派な偵察活動なのだ。多分]
[――硬い。
一言で言うならばそれに尽きるだろう。
まるで城壁に斬りつけたかのような感触。
ちぃ。
心の中で毒づく。
現在私は、命令されてこの場にいるわけではない。
故に、現在の筋力はD相当。
上昇していれば何かが違ったのかと言えば、それは解らない。
それでも、この場での1ランクの差は大きかった。]
[ゴロウが駆けて入ってきた。そこまでは良かったが、彼がした報告が宜しくなかった。つまり、大変なことになっているらしい。]
…………。
[セムラはと言えば地図帳を閉じ、机に置いてあった杖を握った。]
迎撃する。
−東エリア⇒中央エリア/爽快なドライビング中−
[風になる。そんなCMがあったのを思い出した。さすが大陸ツーリング用のマシン。安定感が違う。大きいが。
そんな快適なツーリングを味わっていたが、違和感を感じる]
……敵、か。
[マスターの反応と、強大な魔力が複数。何かある。
セイバーは最悪令呪で呼ぶとして、可能な限りの偵察は行っても損は無いだろう。今回は水球もすぐ補填出来る状態でもある。
気配を辿るうちに図書館の付近へと到着した。
氷結弾4発と水球4つ、それとスタンガン等の武器を所持し、バイクを近くに停車して付近を散策する]
…何事かの。
[大気が震えている。
まるで剣に何かを伝えるかの如く]
おや。
[ちらりと横を向けば硝子越しに不思議な形の菓子が並んでいた。
甘くて香ばしい香りがする。
茶色いものの上には木の実が乗っているものもあった]
───豊かなのだな。
[この時代は、物に溢れ、人に溢れている。
怯えるべき物など、それほどないように思えた]
[セムラに状況を伝え、窓ガラスから外を見る。
ガラスは人の身長ほどの大きさがあって見通しがよく、入り口付近でメイデンとアサシンの戦う姿が見える。]
姿が違う……昨日の化物とはまた別なのか?だが、感じる気配はよく似ている……。
[アサシンが戦いを挑み始めたのが解った。昨日と同等の相手なら1人ではきついだろう。]
昨日の今日で見捨てるという訳にも行かないか。
それに、セムラはどうやら戦う気らしい……となると仕方ないな。
[バーサーカーは、その場から身を翻し、再び入り口へと走っていった。]
[ゴロウが入り口へと走っていく。
彼が見ていた窓の外を見れば、そこには馬岱の姿。
急ぎ追おうとしたが、途中で動きを止める。
振り返るのは図書館の中。
―― こくり。一つの頷いた。]
[微かに耳鳴りがする。
この音は誰からするのか。
少なくとも、弓騎と騎兵では無いことは分かる。
音が違うからだ]
(───何者か)
[周囲に注意を払いながら見回す。
まさか鯛焼きを食べている相手がその誰かだなんて最初は予想だにしなかったのだが]
これくらいの数なら、操れる。
[図書館の人々が外の光景を見て避難し出したのをいいことに、セムラは思い切り魔力の ―― 魔術の構築を始めた。
操作対象は、『図書館の本』。
装填霊は、『熊』。]
― 中央ブロック / 図書館前 ―
[姿を隠しながら状況を確認する。昨日見かけた、女性のサーヴァントと眼鏡の男。以前教会で見かけた気がする。だが付近にマスターの気配は無い。
それ以外にも、図書館の中に数名戦争参加者がいるようだ]
どうやら震源地、のようだな。
[昨日の騒動。その原因がここにいるとするならば。情報を得る絶好の機会。それにしてもマスターが不在のサーヴァントが多すぎる。違和感]
「其処な者。なかなかの武人と見受けた。」
[振り返る事無く、アサシンへと話し掛ける。]
「然し――我が鎧を砕けぬならば立ち去るがよい。今ならば見逃そう。」
[未だ出て来ぬ標的を睨み、また図書館へと歩き始めた。]
[今ならば見逃す、成程それは有難い。
だってそれは、言い換えれば]
退かなければ、見逃さないと言うことですよ、ね?
[再び歩き始めた脅威の背中へ、突きを放つ。]
[走って行くとメイデンの姿と突きを放ったアサシンの姿が見えてきた。
バーサーカーは充分スピードのついた体をそのまま武器とする事に決める。
猛スピードで走り寄るとメイデンの利き腕では無い方向から跳躍し、彼女の顔をめがけ、体を丸めて体当たりを試みた。]
単呪融合。
……、1、2、3、4、…………。
[ありったけの魔力を回し、本に霊をこめていく。
絵本や写真集といった軽いものはパス。
辞書や大百科、それに順ずるものを選んで装填する。
強がりを言ったが、全ての装填は難しい。
杖をもう一際強く握った。]
[その存在に気付くのが遅れたのは、感知能力の低さばかりが理由ではなかった。
平和な街の空気。それに浸って油断していた。
戦に明け暮れた生前は、甘いものを口にする機会など稀だった。
気付いたのは、魔力にではなく、視線。
自らに視線を注ぐ、一見、この時代の少女のようにしか見えぬ存在。
視線に混じった違和感に、注意を払って、漸く]
……サーヴァントか、貴様?
「………。為らば。」
[無造作に得物を持ち上げると。]
「我が金砕棒の重さ、後悔せぬ事だ!」
[振り返りながら突きごと薙ぎ払おうと――]
「!!!???」
[然し、其の動きは飛び掛る猛犬により妨げられた。砲弾の如き体当たりを横顔で強かに受け、バランスを崩し倒れ落ちる。]
[鯛焼きを加えていた男の手元を見て、
うまそうだなんて思ったのは一瞬。
相手が近付いて来るのを確認すれば少女を装う]
…貴方もまた、そうなのではありませんか?
[軽く首を傾げるがまくろい瞳は少しも引かない。
剣はまさか、目の前のサーヴァントが騎兵の主から嘘を吹き込まれているとは知らないまま]
―図書館横の大木―
[転げた足元へ、
力込めた石つぶてが突き刺さる。
木の上から名乗りをあげる。]
《鉄の乙女》よ!私はここぞ!
我は《反逆する》!
相手をしてやろう。
光栄に思え!
来い!
[威風堂々と見下ろし、
人の少ないほうへ誘導せんと動こうとした]
――ッ!
[此方を迎撃しようとする動き。
しかし遅い。
堅固な体は、速度を犠牲にしての物なのだろう。
後方に避けようとしたその視線に、建物の中より走り来る小さな影。
それは目の前の脅威へと、己が身を武器として使った。
城壁が揺らぎ、崩れ落ちる。]
お早いお帰りですね、犬の英霊。
[それと同時に、頭上から聞こえる声。
どうやら待ち人という物は同時にやってくるらしい。
ならばもう足止めは必要あるまい。
どうやらこの敵は、あの英霊に固執している様だ。
ならば後は、動くだけでいい。]
それでは私も参りますか。
[誘導しようと動く英霊のあとを追う。]
[戦局の見極めが困難。それが今の感想だった。
”情報の取得”と”潰し合わせる”というのが第一目標だが、謎が多すぎる。
図書館から飛び出してきた小さい影は、魔力を感じるに間違いなくサーヴァント。となれば。
この場にマスターがいない状態でサーヴァントが3体となる]
裏を返せば、どこかにマスターが隠れているかもしれない、って事か。
[サーヴァント同士の戦闘に意識を取られたマスターを討伐する機会かもしれない。もしマスターがいるとすれば、まず図書館の中に1人はいるだろう。静かに侵入するのは悪くない]
[図書館内へと侵入を試み、回りこもうとする。そこでアーチャーの影を発見した]
アーチャー…いったいどうして。
ここでいったい何が起こっているんだ。
サーヴァントが合計で4体も集結するなんて。
―――― 。
[装填完了。
完全な魔力回復はしていなかったから、詰め込む速度は速くなかった。それでも装填は完了した。
杖をくるりと回し、降霊した本を浮遊させる。]
行きましょう。
[呪の解放はまだしていない。
戦闘準備完了だ。欲を言えば火が欲しいが焚書すればさすがに叱られる。
本たちを引き連れ、外に走った。]
[飛来した礫をそのまま転げる事でかわし凌ぐ。
そして聞こえてきた声に歓びの声と共に立ち上がった。]
「由!反逆するよ、見事我が鎧を砕いて見せよ!」
[来いと呼ばれ、アーチャー目掛けて駆け出す。]
「場所を変えるつもりか!為らば先ずは其処まで逃げ切るがいい!」
[走りながら金砕棒をアスファルトへと振り下ろす。大地が砕け、破片の幾つかがアーチャー目掛けて跳んだ。]
[バーサーカーの体重はこう見えても70キロほどは有る。
さすがにそれが顔一点にぶつかれば相手もひるむようだ。
だが、体を丸めているとは言え、自身にも衝撃はある。
バーサーカーは顔をゆがめつつ、激突し、跳ね返った体をくるくる回しながら器用に地面へと降り立った。
すかさず、皆の移動する方に走り始める。]
セムラがやる気だから仕方ない。
だが、この頑丈さ……割に合わないな。
[アサシンにそう伝えた。]
……否定はせんがな。
[言って。人で溢れる周囲を視線で示す]
よもや貴様も、この場で猛る気はあるまい?
[もっとも。
眼前の存在、そのクラスを推定すべく、思考だけは戦場でのそれと同じく、回転を上げてゆく]
[そんな中、犬の英霊の愚痴とも言える声が聞こえた。
彼女がやる気なのは致し方ない。
この様な状況を見過ごせる性格ではないだろう。]
諦めなさい、犬の英霊。
彼女の臣下となった時点で、この様になるのは決まっている。
[破片を叩き落し、割って入る男の姿に笑みを浮かべる。強き者と戦うは、此の身の至宝。
確か、馬岱と名乗ったか。]
「やる。だが然し覚悟せよ。其の疾さが衰えた為らば、我が金砕棒にて粉微塵ぞ!」
[跳び、其の影へと巨大な金棒を振り下ろした。]
手合わせを望まれるのでしたら人気のない場所と時を望みます。
[答えることは真面目なれど、剣の目線の高さでは
どうも鯛焼きに視線が行って仕方がない]
話をされるのなら店に入りますか。
それとも、今直ぐ決着をつけるのをお望みでいらっしゃる?
[戦闘となればマスターのいない状況は些か不利なわけだが]
―図書館―
[一人と一匹を背に、図書館の中へと入っていく。
令呪の反応で中にマスターがいることはわかった。
そして、地図帳を開き、眠っている様子の娘がそうであることも、気がついた。
が]
マスターより情報が先だ。
[近寄る事無く目的の棚へと移動する。
目当ての本をいくつか見つけ、さっと目を通した。
神話の時代。
クーフーリンに関する本。
その数冊から必要な情報を見つけ出す。
いくつかわかったものはあったが、それでも確証はなかった]
いつまで寝てるつもりだ。
どうやらあの鎧姿が問題みたいだな。
[アーチャーや他のサーヴァントが全員、鎧姿の女性と対峙する形になっている。それでも全く打ち負けない。
このままあの鎧姿が他サーヴァントを駆逐するならばそれも良しだが、逆にセイバー単体であれとぶつかり勝利出来るだろうか。
ならばここはアーチャー側に加勢したほうが得策かもしれない]
問題点は鎧か。
サーヴァント相手にどうにかなるとは思えないが、やらないよりはましだな。
[激しい戦場からわずかに身を隠し、懐から水球2つと硫酸、それに水酸化ナトリウムの粉末を取り出す]
水球1。運搬−硫酸。状態変化、螺旋。
水球2。運搬−粉末。状態変化、螺旋。
[水球がそれぞれ硫酸と粉末を飲み込むと、それを飲み込むように細く長い蛇のような形状を取り始める。集中し、溶液とならないように内包した物質と分離状態を保つ]
……行け。
[地面を這うように、鎧姿の女性に向い疾走を始める2匹の蛇。
目的地は、鎧の内側]
[今度は、私が標的ですか――っ!
己へと向かってくる脅威、
明らかに見た名状の質量だろう。
食らえば最悪、即戦闘不能も在り得る。]
――神速戦法。
[消費魔力の事など考えていられない。
緩めた瞬間に、残る魔力ともに"消し飛ぶ"。
刹那の後、己の居た場所が大きく凹む。
地面が凹むとは、一体如何なる質量と威力なのか。]
……正直、想像もしたくありませんね。
[一撃たりとも受けられない。
そう再認識し、馬岱は再び駆けた。]
−西ブロック 農道−
『ドゥルルルルルルルルル』
馬岱さんの書き置きによると、そろそろ約束の時間ですね。
先方をお待たせしていなければ良いのですが。
[駅前に向かっている。]
[外へ飛び出すと、まるで大怪獣と戦うヒーロー戦隊のようだ。
―― 正直なところ、そういう展開は胸が躍る。
数少ないTV知識を思い起こしながら ―― もしかしたら神主の息子の影響かもしれないが ―― 適度な距離を置いたところで、立ち止まった。
瞬間、蛇。
いや、蛇のようなものがメイデンへ向かい――。]
融呪解放。
[熊の霊。故に単呪。
そして、彼等に共通する一なる思念を連ね、解放する。
出し惜しみはしていられない。
半数近くの本を総動員し、蛇の後を追うように詠唱した。]
『我が子に手を出すな』
[―― 恐らくは母熊だったのだろう。
大量の本が、浮遊状態からメイデンめがけての猛撃に変わる。]
[当たらぬなら、当たるまで振るのみである。
然し――]
「ふん!」
[見かけた赤い物体――ポストだ――をアサシン目掛けて殴り飛ばし、自らはアーチャーの後を追うべく跳ぶ。逃げる動きを深追いはしない。あくまでも、標的はアーチャーなのだから。]
―中央ブロック―
―――よいぞ、
[アサシンの動きを小さく褒め。
キースへは目配せを。
狙われては危なかろう。]
私はこちらだ!
[標的を誘導するは狩人の領分だ。
時おりつぶてを投げながら
目的の地へと駆ける]
馬鹿力が…
[小さく悪態をついた]
「ぬ!?」
[するりと、其れは鎧の隙間より入り込んだ。蛇のような動きを見せる、何か。]
「ギ…ッ」
[そして其れに気付いた時には、爆ぜていた。
軋む身体。劇液と爆裂が“鉄”と“鉄”の間を躍り暴れる。追撃のように飛来し激突してくる大量の本。本。本。
跳んだ銀甲冑はバランスを崩し家屋の屋根を砕き墜落した――]
なっ……!
[次の追撃は予想外のものだった。
気付いた時には、背後へと迫る赤い塊。
それが、脅威の速度をもって己へと飛来する。]
――っ!
[幸運だったのは、唯のポストだった事か。
魔力により強化されていれば、切り裂けなかったかもしれない。
二つに分断されたポストだった物は、鈍い音を持って地へと落ちた。
その隙に、アーチャー目掛けて脅威が駆け抜ける。]
やれやれ、酷い有様だな。
[砕けたアスファルトの跡。金砕棒を振り回す女、対峙しているもう一体のサーヴァント。
気づけば、ヒポクライトの気配も近くにあっただろうか]
仕方ねぇ。
フラン、人気のないほうだっ。
[図書館から人家の少ないほうを差す。
得物を、と、近くにあったポールへと手を伸ばした]
貰ってくぜ。
[無理矢理引き抜いて、走り出す]
[本に襲われる女の姿に足を止める。もとよりサーヴァント同士の戦いに手を出すつもりはなかったが。
屋根の上に落ち、その姿が見えなくなる]
まずいな。
[様子を見に行くべきか。
建物の被害だけで済めばいい。だが、相手は現代のことをまるでわかったいない風だった。
標的は別とはいえ、一般人を傷つけない保証はない。
仕方なく、女が落ちたほうへと足を向けた]
[多少は回復したとはいえ、万全ではない。
主従ともに疲弊している以上、無駄な戦いは避けるべきだった]
――ならば、適当な店に入るか。おれはよく判らん、貴様が選べ。
[そこで、ふと。ちらちらと注がれる、紙袋への視線に気付く]
……ああ、これか。
確かに、持っていては店には入れんな。
待っていろ、いま片付け――、
[紙袋を持つ腕を上げると。視線もまた、上がったような気がした。
左右に振ってみる。気のせいだろうか。どうだろう。だが]
――……喰うか?
−中央ブロック−
『キキーー、ドッドッドッ』
[目的地に向かう途中、非日常の気配を察知して愛車を停めた。]
これは、戦闘……?
……こんな時間帯に、一体何故ッ!?
『ドゥルン、ドゥルルルルルルルルル』
[進行方向を変え、戦闘――即ちアサシン――の気配へ向かう。]
[爆ぜた。その魔術は何だったのか ―― 考えている暇など当然ない。
家屋に堕ちたメイデン目掛け、なおも追撃する。
残りの本は半数。先ほどと丁度同じ数だが、重量のある本はあまり残っていない。それでも何かの足しにならなるだろうかと、追加で呪を解放する。]
融呪解放。
『お母さん大好き』。
[今度は子熊の霊だったようだ。
うねりながら宙を滑空し、メイデンが堕ちた場所へと疾駆する。]
しかし、彼女はアーチャー一筋なのだな。
何かの魅惑的な間柄なのか、あの2人は?
アーチャーの方も自分が狙われて当然と言う風だったが。
[ひしゃげたポストを一瞥して、走りながら念話を飛ばす。
女サーヴァントには、いくつかの魔術も炸裂しているようだ。
セムラの魔術は感覚的に解ったが、もう1人は誰だ?あの強面のアーチャーのマスターなのだろうか?
疑問を抱きつつ、バーサーカーは走る。]
爆発…!?
っ、…―――
[気配が集結する。
これでは下手に技は使えない。]
キース…!
[方向を変え、地面を蹴り
屋根の上から電柱の上へと飛び、女の落ちた辺りを見下ろす]
[どうやら多少は効果があったらしい。鎧姿を怯ませる程度には成功したようだ。
このまま他のサーヴァントが彼女を撃破してくれれば何も心配はない。一般人の避難もアーチャー達がこなしている様子]
ならば、本来の目的に戻ろう。むしろ今こそが最大の好機。
”周囲にいるマスターの居場所を察知し、これを撃破する”
適当な店…ですか?
[適当、と言われると昨日のあのファーストフードか、
バームクーヘンを買ってもらった店か、其の辺しか思いつかない]
───ああ、そうです。
どうせなら、何か食べるものと飲み物を買ってここを離れませんか。
何処かに広場のようなものがあるかとおもいますので、そこで話すのもよいかと。
[万が一他騎の襲撃にあったとしても、ここよりは幾らか都合がいいだろう。
昨日のファーストフードに主が忘れものをしてきたせいで
入りづらいというのもあったわけだが]
──い、いいのですか。
[紙袋が手の中に落ちてくる。
音を立てて開ければ、ふわりとふくよかで甘い匂いがする。
ちら、と見上げた。貰っていいのか、と確認するように。
まるで、お預けを食らう犬のようでもある]
「………。く、が…!」
[がらり、と音を立て身を起こすも、更に無数の書物が降り注ぎ再度瓦礫の中へと埋もれる。
辛くも身を起こせば、腰を抜かしているらしい中年女性の姿が目に入った。]
「住人か………。邪魔をした。」
[謝罪とも取れる言葉を投げると、空けた屋根へと攀じ登り標的の姿を捜した。]
[中年女性が腰を抜かしながらも
無事なのを確認する。
だが破損があったのは手落ちか]
キース!戻れ!
[鋭く呼ぶ。
ここから離れねばならぬ。
ジャケットの裾を翻し
電信柱から地へと狩人は舞い降りる。]
おい、女!
[落ちた辺りまで走っていくと、気配を探す。サーヴァントではない。マスターでもない。
では何者なのか。
警戒は怠らない。だが、回避するための策は、己の身体能力だけ。
屋根の崩れた家のそばまで行くと、その屋根の上に女の姿が現れる。
思わず身構えた]
中の、人間は無事か?
[窓から覗けば、生きているらしい女の姿は見えた。ただ、驚き、動けないようではあったが]
[その提案を数瞬で吟味して、首肯する。
屋内では、いざというときに動きにくいし、何より、店の者を巻き込む怖れがあった]
ん?
構わん。おれももう、二つほど食べた。
それを食べて待っていろ、適当に買ってくる。
[言って。
真っ先に目にとまった、大きく"7"の文字が描かれた店へと歩を進めた]
[アーチャーへと迫るかと思われた脅威は、更に後方より放たれた追撃により墜落した。
民家の屋根を突き破ったようだが……。
此処でふと、別の考えがよぎる。
"一体今、此処に何人いる?"
追撃は2種類、更に民家へと駆け寄る男が一人。
先程からの行動を視界の端に収めていた限りでは、恐らく男の英霊の主であろう。
この場所にいるべき者は己の他に犬と男の英霊。
そしてそのマスターの2人の筈だ。
つまり、一人多い。]
――― 。
[混乱に乗じて、バイクへと戻る。トランクの中から水球を2つ補充する]
図書館にそのまま戻るのは得策ではない。巻き込まれればこちらが一溜まりも無い。
あくまでも遠隔。もしくは離脱するマスターを狙う。
[図書館側の気配を探る]
[爆破の魔術を放った魔術師の思惑を察せるはずもなく、メイデンを凝視する。
本はもうない。魔力も ―― ゴロウを狂化できる程度には残っているが、理性を失えば周りをも標的にしないとは限らない。]
―― ――― っ …
[どうするべきか。
霊を込められるものさえあればなんとかなりそうだが、今しがたメイデンが生んだ瓦礫くらいしかない。
そも瓦礫は一般人の家の中だ。魔術は行使できない。]
では、そうしましょう。
[肯定が返ってくる。
簡単に察するならこの人物もある程度は徳のある人物だということだろう。
食べてよい、と言われたので早速紙袋から一つ取りだしたが]
あ。あの───
[店に入ろうとした背中を呼びとめる。
間にあったのなら言うだろう。バウムクーヘンを二つほど、と]
わーったよ!
[無事であるのを確かめればそこに用はない。
民家から離れるように走る。
途中、握っていたポールをもちやすいサイズに変えて。
女がアーチャーを狙っているらしいのはわかった。だが、「何故」]
後でわけを聞かなきゃなぁ。
[図書館から、人の多い場所から離れるように走る]
[背に掛けられた声に、片手を上げて応えて]
……ばうむくーへん?
セムラ殿と関係は……あるまいな、まさか。
[
店員に聞けば、それは直ぐに判った。
樹の断面、その中央を抜いて、輪にしたような菓子。
小さな袋に入ったそれを、籠へと二つ。
そうして、果物の絵の描かれた缶と茶を、二本づつ]
ああ、店主。
その、中華まんというものを……ああ、餡と肉を、二つづつ頼む。
[自分の生きた時代には、このようなものはなかったが。
あの大地で育った味ならば、味わってみたかった]
[その場でバイクの中の水球4つを消費し、術の詠唱を開始する]
−汝は我。汝の雫は我が血潮。
数多の目、数多の食指によって我と同化せよ−
”形状変化・斑蜘蛛糸”
[想真を中心に、ミクロン単位の水糸が広がっていく。周囲の物質や生命体の反応を水糸で感知する、いわば結界。
触れた者の魔力を感知し、それを敵と判断すれば。新たな水球の追撃を与えるのみ]
……待たせたな、行くか。
広場か。さて、どこにあるのか……、
[新たな袋を手に提げて。
鯛焼きを食べるサーヴァントを促して、歩み始める]
[夢を見ていた。
目の前に広がるのはかつての記憶]
父さん、母さん、どこに行くの?
『剣助、お父さん達は遠い所にいかなくちゃいけなくなったんだ……』
[目の前に現れるのは嘗ての自分。
そして、もう会うことが出来ない両親だった]
『でもね、いつでも近くにいるからね?』
遠くに行くけど、近くにいるの??
僕、よく分からないよ……。
『お爺ちゃんに言うことをちゃんと聞くのよ?』
[両親は俺の疑問に答えることはなかった。
そしてそれ以来、両親と会うこともなかった]
…せむら?どなたです。
[殿とつくからには人だろう。美味しそうな名前がこの世にはあるものだ。
しみじみ感心しながらその背中に軽い会釈をして見送った。
さて、槍騎が買い物をしている間にこちらは鯛焼きの攻略にとりかかる。
魚を模しているものらしい。皮はうつくしい狐色で、ほのかに甘い匂いがする。
とりあえずかじってみると、中は少しとろりとした豆の餡がみっちりつまっている]
(美味い)
[これはいい。こうして鯛焼きもまた、相真にたかるリストに追加された。
三匹も入っていたのだが、槍騎が買い物を済ませて戻ってくる事には
既に三匹目が最後の尻尾だけになっていた]
ふぁ。ああ、ええと、申し訳ない。
…ええと、あちら側にあったような。
[最後の欠片を飲み込んで、先日歩いた記憶を探る。
指で示したのは東にあたる地域。
教会から戻ってくるときに、見かけたような気がしないでもなかった]
『剣助、お父さんとお母さんからプレゼントが届いたぞ』
[しばらくして、両親からプレゼントが届いた。
それが、魂の剣だった]
おー、かっこいい!!
ちゃんとおじいちゃんの言うことを聞いていたからプレゼントをくれたんだね!!
[後に切り札となる剣。
その意味を俺はこのとき理解していなかった……。
出来る方がおかしいともいえるのだが]
[差し込む光で目を覚ました。
懐かしい両親――
そして同時に無邪気で残酷だった自分――
今日の目覚めは複雑だった]
将軍ー? いないのかー?
[姿が見えない魏延の名を呼ぶ。
しばらく待ってみるも返事はなかった]
まったく、マスターおいてどこに言ってるんだよ……。
[姿の見えぬサーヴァントに愚痴を吐きながら外に出る準備を整えた]
おい、そんなとこで戦うな!
たく、目立ちやがってっ!
[アーチャーに迫る女。振り上げられる金棒。
心配はしていない。威力があろうとも、それにやられるような英霊ではないと]
離れすぎたか。
[女を止めるには、距離がありすぎる。あそこで戦えば、人への被害もだが多くの人の目に触れる危険があった。
止めようとしても、自身の魔術では、止められない]
―中央ブロック空き地―
[キースからの返事は届いている。
頷き1つ、彼には見えたか。
こちらの位置はわかるだろう]
少々狭いがまあよかろう。
白昼堂々御苦労なことだ。
[握った右手を
前へと差し伸べる。
相手の動きは速くない。
重騎手。
なれば真正面からは敵わぬ。]
……御前の主は誰だ?
[きり、と見えぬ糸がうたう。]
[自分とは頭一つほども違う、小柄なサーヴァント。
その指した方向へと、緩めた歩調で、向かいながら]
――……そうだ、貴様な。なんと呼べばいい?
この場限りの呼び名で構わんが、飲食を共にするのに、『貴様』では収まりが悪いわ。
ああ、おれのことは、好きに呼んでいいぞ。
[背の高い相手の後ろを追いかけていくのはなかなか大変である。
物を持っていないので、その後ろを追いかければいいだけなのだが。
相手の持っている袋から、ほのかにいいにおいがする。
食べものの匂いにはどうもこの英霊は敏感らしい]
呼び名、ですか?
ええと、ではこちらのことは───聖母、と。
[好きに呼んでいいと言われたので、幾らか迷うが]
…呼んで欲しい名前とか、そういったものはないのですか?
[一応聞いてみる。
服装で既に散々主と意見が合わなかったので、それを踏まえたというのもある]
−図書館前−
[白昼の惨状を目の当たりにする。]
なんという……。
あれは、……昨夜の?
[見覚えのある銀甲冑。]
騎士殿、お止めください!
罪無き民草を戦いに巻き込むのは騎士道に背く所業ッ!!
[問われて一度、構えを解く。]
「すまぬな、其の問いに答える口を我は持たぬ。」
[答えようにも、主より其の名を伺ってさえいない。]
「………。参る。」
[後ろ手に得物を構え、直線的にアーチャーへと飛び掛った。]
[走って追った先は、空き地だった。]
…………。
[迷っている暇は無い。
あの二人が何かを仕出かすつもりなら、一瞬でもいい。
メイデンに隙を作ることが出来れば ――。]
――――。
『祖にして素は万に宿り、苛烈にして火裂は地に還る』
[杖の先端を回す。
カチリという音がして、中に宿っていたのは、一振りの刃。
その刀身は、詠唱と共に炎を纏う。]
『澪に降り散る、げに珍しき紅雪は彼岸を追う』
[更に続く詠唱は、炎を刃から乖離させ、
熱風でセムラのローブをはためかせながら、
その前方でまあるく弧を描いて、揺れる。そして]
『衣は蒼に、滞空は白に。
さらば、幽世の際にて彼岸を越えよ』
[最後の詠唱で、炎は青く燃え盛り、
巨大な一塊となってメイデンへ向かった。]
[そして、最後の仕上げ。
メイデンへの距離を十二分に詰めた瞬間、]
複呪装填。リミット16。
―― 『置いていかないで』
[最後の詠唱と共に、青き炎は巨大な手のように五指を伴って、メイデンを呑み込もうと ―― メイデンを握り締めようと拡大し、閉塞する。]
特にはない。
おれのマスターは、将軍……と呼ぶが。名前ではないからな。
[聖母。そう名乗ったサーヴァントを、肩越しに見遣って。
思ったよりも開いていた距離に、今少し、歩幅を緩める]
聖母、お前が呼びたいように呼べ。
それが面倒ならば、真名の交換でもするか?
[喉の奥で、低く笑う。冗談のつもりであった]
「!? く、無粋な真似を!」
[突如吹き荒れた青き炎に捕まる寸前、大きく得物を振り回し其の焔を弾き消す。
――が、其の為に標的の姿を一瞬、見失った。]
―中央ブロック・空き地―
[対峙する二人を離れた場所から見守る。
と、図書館で見たマスターの女が魔術を唱え始めるのが映る。
が、キースは動かない。
動くのは、アーチャーの身に危険が迫ったとき。そのための陣を、敷き始める]
火を使うか、あの女。
……厄介だな。
……
[どうやら強い魔力は空き地に集結し直している。サーヴァントと思われる魔力が3。マスターだと思われるものも3]
3つ?
[違う。サーヴァントのほうが数が多かった。ならば発見出来ていない魔力がある]
”アサシン”か。
[総力戦であるはずの戦場で発見出来ない。となれば隠密行動中。その目的は何だ]
悟られたか。どのみちマスターはあの激戦の中にしかいない。
今回は諦めた方が良さそうだ。
[斑蜘蛛糸を解除し、魔水を回収する。そしてバイクに跨る]
今回発見したサーヴァントは4体。アーチャーに眼鏡、小動物、そして鎧姿。うち1名がアサシンだとすれば、発見出きなかったのは多分眼鏡。残るはランサーとバーサーカーとキャスターか。小動物がランサーというのは考えづらいな。
[エンジンをスタートさせる]
そうですか。どうしましょうか。
[軽く首を傾げた。相手が振り返ったので、慌てて距離を詰めた。
将軍と呼ばれているらしい。貰ったのは魚の形の菓子。
背が高くて、徳がありそうで。ぱっ、とは思いつかない]
このままだと、菓子の人になってしまう…。
[それでは流石にまずいだろうと思った。
いっそ位階だけでも尋ねてみるかと思ったのだが]
───聖母は、私の真名ですが?
[ためしに、ケロリとした表情で伝えてみた。
相手が何やら、からかうような顔をしていたので。
そのうち歩いていれば市民公園が見えてきたのだが]
ッ。
[背後。大きな魔力の揺らめきに思わず足を止める]
―中央ブロック・空き地―
――――そうか。
[きり、ともうひとつ引き絞る。
甲冑が動くより数瞬速く、
横へと疾風がごとき走り。
瞬間的加速をつけ、
見えぬ弓から引き絞った矢を放つ。
それが届くは、焔が甲冑を包むとほぼ同時。]
…!
[ならばともう一矢。
次はキートンの叫びが届くと同時]
次から次へと…
[弓はまだその姿を朧に隠している]
/*
ハムの人ならぬ菓子の人。
こいつ←本当にひどすぎる…
何でこんなやつセイバーにしちゃったのぽてちさん!!
[希望出したからですn]
しかもへきさんまで「一番女性っぽいのがセイバー」とか言い出す始末。
おちついてみんな。こいつおとこ。おとこだよ。びーくーる。
なに?
そうだったか、無礼を許せ。
おれは、魏――……、
[言いかけて。
只ならぬ様子で、緊張を身に纏った聖母の様子に、別の言葉を紡いだ]
――……どうした?
[尋ねながら。自らもまた、叶う限り、感覚を研ぎ澄ませる]
[炎は直撃……はしなかった。
だが隙を生み、それがもう一矢を番える間を奪った。
今はそれで十分だ。]
………ゴロウさん。こちらに。
[頑丈な相手に手数で挑んでも意味が無い。
後はアーチャーに任せるべきだ。
そう考えながら、見知らぬ男の叫びを耳にする。]
魔力。……また回復しないといけません。
[杖に剣を戻そうとするも、それ以前に膝をつく。
だが、倒れる前にゴロウが支えてくれた。]
あ………。
[思えば。
ゴロウに触れたのはこれが初めてだったなと、息をついた。]
[――微かに。ほんの微かに。
見知った魔力、自らの身体を癒した魔力。
でなければ、魏延の感覚では気付けなかっただろう距離]
――……これは、セムラ殿か?
このような時間から、何故……?
[口のなかだけで、小さく呟いた]
[円を二つ。その縁に手をかける]
Fusion changes shape.
[空き地に現れたキートンに目を向けて、何事もなかったように陣の内部へと集中する。
陣の中には、取って来たポールが一つ]
Set sat.
[見た目には、何もない。陣の中にポールを持って立ち、アーチャーと女のほうを見守った]
[バイクの音が走り去る。
乱戦から少し離れた場所に、それを見送る視線が一つ。]
ふむ……諦めたか、それとも感づかれたか。
[後者だとしても、致し方あるまい。
事実、この状況でふいにマスターを狙われたら、あの乱戦の中で反応できる英霊は居ないだろう。
例え己の情報が漏れたとしても、必要な代償だったと言える。
最も、今走り去った人物が本当にそれを行おうとしていたという確証は無いのだが。]
まぁ、どちらにせよ"護り"も必要でしょう。
[また戻ってくると言う可能性もある。
馬岱は再び気配を殺した。]
[冗談だと、言おうとした言葉が相手の名乗りによって止まる。
流石にこればかりは、ばつが悪くて思わず視線が泳いだ。
きっと性別も看破できていないのだろう。
後で謝らなくてはならないと思いながら]
───何処かで、大きな力が。
[大気が震えている。
先程、この男に合う前にも感じた気配だ。
そして、昨日も───]
こちらに近づいてくる気配は、ありませんが…
何が起きているのでしょうね。
[青き炎を消し飛ばし其の侭に跳ぶも、其処に標的は居らず。]
「其方かッ」
[アーチャーの姿を瞬時に見つけるも、既に此方が捕捉された状態。臆せず跳び掛からんと身を屈めた処に聞こえた叫び。]
「!!?」
[聞き覚えのある声に瞬間、動きが止まる。狩人が放ちし矢は避けきれぬも、何故だか威力あるもので無く、軽い音を立てて鎧に弾かれた。]
「雄々々々々々々々々…ッ!!!」
[更に矢を番える姿など気にも留めず、雄叫び、アーチャー目掛けて殴り掛かった。]
…先程もその名前を口にされましたね。
[セムラ。バウムクーヘンに関係のある名前らしい。
ちらりと、自分たちが来た方向を振り向いた]
関係のないものが、巻き添えになっていなければよいのですが。
[小さく呟く。
けれど、頭の中にあるのは奇妙な確信。
余計な犠牲は、おそらく回避されているだろうという、何らかの]
[聞こえてくる雄たけびに、身構える。
手にしたポールへと、魔力を注入し始めると、それは、ゆっくりと形を変えた]
Dispersed.
Accel.
[言葉とともに、ポールの半分が小さな礫となって、女へと飛んでいく。速度は、徐々に早く。狙いをつけて]
[キースとフラン、先日不戦と情報協力の約を申し出た相手が視界に入る。]
キースさん!フランさん!
騎士殿!何故貴方がたが争うのですか!?
[事情も判らないまま、メイデンの方へ駆け寄る。]
――……恩人の名だ。
[――……関係のないものが、巻き添えに。
聖母の言葉は、解答のようなものだった。
損得勘定抜きで、他のサーヴァントを助けるような魔術師。
民の命、この地の平和を護りたいといった魔術師。
それが、陽のあるうちから戦う理由など]
そうか――……出たのか、奴が。
[再び気配を殺し、乱戦のほうへと目を向けた時、信じられないものが目に留まる。]
――主?
[何時の間にこの場へと来ていたのか。
この脅威に関しては未だ何も事情は知らないはずだ。
ならば何も知らないまま、あの乱戦の近くへといるというのか。
それは拙い。
とにかくあの場より引き離し、簡潔に事情を呑み込んでもらわねばなるまい。
一刻を争う、馬岱は主の元へと駆け出した。]
おっと、忘れる所だった。
増血薬、増血薬っと。
[昨日の手当てから一晩立って傷は魔術刻印のサポートもあり大分戻った。
しかし、圧倒的に血が足りない。
魂の剣なんてとてもじゃないけど撃てそうになかった。
しばらくは本当無茶せず、回復に努めようと改めて決心した]
よし、今度こそ出るか。
とりあえず肉を食おう。
[肉を求めて外へと向かった。
財布から金を抜かれている事など知るはずもなかった]
―中央ブロック―
―…《 》…―
[唇の中でだけ呟くひとつの言葉。神代の言葉。
何も持っていなかったはずの手に
豪奢な螺旋の蔦が絡まる弓が
御伽噺のように浮かび上がる。
殴りかかるメイデンの眉間を目掛け
遥かに神秘の力篭った矢が奔る。]
――!?
[キートンが走り寄る姿には、
さすがに僅かに眼を見張った。]
そう、ですか。
[口を噤む。
己には、それ以上は何も言えない。
だが、あの澱みの中から聞こえるものは───]
どうしますか。行きますか。
恩人だと仰るなら、助けに向かっても…よいのでは?
[軽く首を傾げて見上げた。
さて、将軍と呼ばれるらしい男はどうするのだろう]
[迂闊だったといえば迂闊だっただろう。
ゴロウに支えられているその間に、先ほど叫んでいた青年がメイデンの方へと ―― 戦場へと駆け寄る。
一瞬のことで魔力があるか、マスターであるかなど判断出来ない。ならばあれは一般人ではないかと、焦りが生まれ、]
っ……。ゴロウさん、あの人を、
[助けてください、と言おうとして、咳き込んだ。
―― 炎は通じず、青年も助けられない。
なんと情けないことだろうと、土を握り締めた。]
ちぃっ! 何やってんだ、キートン!
[陣から出て走る]
そいつの標的はフランだ!
出てきてどうする、怪我してもしらねぇぞ!
[キートンを止めようと、駆ける]
[脅威へと走り寄る主。
己のほかにも制止する動きがある。
そのどれよりも早くその腕を掴みとり、そのまま離れた所へと無理やり駆ける。]
何をしているのです、主。
あの様な場所に生身で飛び込もうなど、無茶にもほどがあります!
[聖母の言葉。
それは、だが――……駆けて、間に合うか?
いや――……間に合わせる。
間に合わなければ、自分が奴を討つ。自分も敗れれば――……馬岱がいる]
……ふ。
[苦笑が浮かぶ。順序が逆だ、と。
馬岱のことだ。事態に気付けば、その神速で以って、自分より先に戦場に辿り付くのは間違いない]
――……真打登場となるか、邪魔者となるか。さて、どちらかな。
[放たれた矢は、我が鉄の身に於いても容易に防げるものではないと察する。然し既に此の身が止まる術は無い。]
「雄々々々々々々………!!」
[振るう金砕棒で弾き飛ばさんとした其の刻。
視野の端に、此の暴力へ飛び込まんとする勢いで駆け寄る男の姿を見て取った。]
「馬鹿が…!?」
[気を取られた刹那。必殺の矢は暴の嵐を潜り抜け、見事メイデンの鉄兜を捕えた――]
[抵抗できない力によって目的の遂行を阻害された。]
――ば、馬岱さん……っ!
あの女(ひと)を止めなければ――ッ!
[手の届かない眼前で炸裂。]
[キートンの姿が、消える。否、消えたように見えた]
な。
[足を止め、その姿を探す。
遠くに、見えただろうか。
アーチャーの声にその場で足を止めて、一歩脚を引いた]
はいはい、わかってるっての。
[身を低くして地面に手をつける。引き寄せるのは、陣の下に作ったもの。それが足元まで来れば、再び形を変えて、陣の場所まで、戻る。
矢が女の鉄兜を捕らえたのはほぼ同時か]
さあ、どうだか。
遅れようが間に合おうが、大切なものが無事と解ればよいではないのですか?
[投げられた白い袋は思ったよりもものが入っている。
きっちりと受け止めるだけの技量は当然あるが]
───武運を。
[それは、次に会ったら手合わせをしてみたいという願いも込めて]
主、時間がない故簡潔に言います。
あの者は――!
[馬岱は主の肩を掴み、動きを制止しながら、伝え聞いた事を簡潔にまとめて主へと伝えた。]
―中央ブロック―
[街に魔力が迸るのを感じる。
魔力感知に疎い俺にわかるぐらいに大きな魔力だった]
あちゃー、まさか速攻やりあってるわけ?
大丈夫と思うが将軍、平気かね?
[参加する気は全くなかった。
怪我が感知して無い上に魔力も血も足りない。
そして何より参加する意義を感じない]
[神代の矢はメイデンの鉄兜を捉える。
金の眸が更に射抜くように睨みすえた。]
―――להגזים (貫け)!!
[追い討ちかけるようにもう一矢。
続きしは神代の言葉。
矢は光の筋となり、鉄兜を貫き、眩く爆ぜた。
光が失せるのに合わせ、アーチャーの手からは
豪奢な弓は幻のように消えうせる。]
[聖母の言葉に頷いて。その礼に、ひとこと]
――……闇色の女、銀の小娘。奴らに気をつけろ。
[聖母の返事を待たず、駆けた。
駆けながら、新たな――、
神々しささえ感じる波動が弾けるのを、薄っすらと感じ取った]
[一条の光に貫かれ、銀甲冑の娘が大きく後方へと吹き飛ばされる。
貫かれた鉄兜は砕け散る。
どころか其の下にあった頭さえも塵となり消え失せ、首へ、身体へと順に消えて逝く。]
「――――――。」
[声など、既に発せられる筈も無く。
――ガシャン。
最後に残ったのは右腕。其れが先程に駆け寄ろうとした男――キートン――へと差し伸ばすような形で地面に落ちると、然し其れもまたすぐに塵となり*消えていった*]
気遣い、感謝します。
[将軍の残していった言葉を受け取りながら、遠くなっていくのはその背中。
闇色の女。銀の小娘。
その言葉に引っ掛かりを感じずにいられないままだ]
───…。
[海から吹いてきているのか、風に少しだけ潮の匂いが混じっていた。
幾らか瞳を細める。
手にした重みを見下ろして、軽く苦笑が浮かんだ]
[平静とは比にならぬ、倍加した速度。
疾風と化して。それでも尚、神速に比べれば遅い。
――……そして。
近付くと幾つもの気配。
そのうちの一つ、あの銀色の気配。
その消失を感じ、安堵と共に苦笑を浮かべる]
――……やはり間に合わなかった、な。
[――……さて、どうしたものか。
感知に優れたサーヴァントならば、こちらに気付いていてもおかしくはないが。
しかし、すべてが終わったあとに出ていったとして、さて、何を言われることやら]
――… …、
[差し伸べられた腕の行く先を
ちらと流し見た後小さく眉を寄せた。
終わったか?と謂う声が聞こえれば]
…… 今は な。
[キースの元へ歩み寄りながらそう答えた。
呪詛の中心はこの娘ではない。
あの、不気味に妖艶な声の主ではありえない。]
…少々目立ってしまったな。
[それから、先ほど炎の魔術を行使した少女へ
視線を向けた。
あの気配に、覚えがあったのだ。]
[塵となって消えたのは、その女の全て。
最後に伸ばした腕は、誰に伸ばされたのか、キースは気づいていない。
立ち上がると、ゆっくりとした足取りでアーチャーのほうへと歩いていく]
大丈夫か、フラン。
[自身の魔力消費量も大きい。二度目の戦闘はまずそうだと辺りを見回した]
[セムラが何を望んだか解ったが、バーサーカーが行動に移るより早く自体は決着したようだ。
そのまま疲労困憊のセムラを支える事にする。]
……倒した……のか?
[そう念話でつぶやいた。]
[眼前の光景に呆然としながら、アサシンの説明を受ける。
その間に全てが終わった。]
き、し……どの……?
[世界の均衡を崩しかねない破滅的な力。
相対していれば間違いなくその存在を否定したであろう暴力。
だが――]
……騎士殿。
[――ある一時その存在を認めようとした相手が、名も知らぬまま、消え往く右手を、ただ見送る。]
[どうやら終わったらしい。
崩れ落ちる鉄塊の音が、それを知らせてくれた。
視線を上げるとそこには ―― 光に飲まれた銀色。]
……よかった。
でも、今回は、前回よりも被害が。
[神社は自分たちが住んでいただけでよかった。
……いずれ神主の息子が帰ってきて欲しかったのだが、今はどこでどうしているかすら分からない。悔やむとすれば、やはりこちらのことだろう。
図書館から逃げ出した人々、崩れた民家の住人。]
彼等の安否も確認 ――、?
[ゴロウに、住民の安全確保を指示しようとして、
眩い矢を放ったサーヴァントの視線に気付いた。]
主が、あの脅威とどのような形で知り合ったか。
そして今の心中を察することは私には解りません。
ですが、今は私の話を信じてください。
[膝をつき、深く礼をする。]
詳しい話をするには、私よりも相応しい方がいます。
後ほどお引き合わせするつもりでしたが、このような状況ならば今すぐのほうが宜しいでしょう。
一度居へと戻り、話をお聞きください。
[馬岱は半ば放心状態の主への報告を終えると、立ち上がりセムラの方へと歩み寄った。]
目立ちすぎだ。
だが、仕方ないか。
ん?
[アーチャーの視線の先、先ほどのマスターの姿]
どうかしたか。あれは、恐らくあの犬っころの飼い主だろう。
[魔力がいっそう高まり、弾けるのを感じた。
戦いに決着がついたのだろう。
令呪が残っている、つまりそういうことなのだろう]
とりあえず、まだ生きてて幸いだ。
俺は肉を食べよう。
[肉を食べれる店を探して繁華街をうろつく]
[槍兵とは知らぬが、
まだ近くで感じたことの無いサーヴァントの気配。
――敵意がなさそうならば今は仕掛けはせず。
今一度、物語に出てくるような格好をした
炎を使った少女へ視線を向けた。
覚えがあった。
されど、はっきりとは分からない。
――アレは、歪んでいるゆえに。
わからなかった。
今は、まだ]
いや。
――先ほどの働き、ご苦労であった。
[だから。そうとだけ声をかけたのだった。]
[見上げる視線を蒼は素直に受けた。
少々厳しい、という言葉。それはこちらも同じで、アーチャーに流れた魔力は多い。
元々魔力量は多いほうではなかったのだから]
気配? ……サーヴァントか?
[少しうんざりしたように辺りを見回す。先ほどはなかった気配が確かに。ただ、正確にどこからか、はわからない]
―――浦舞市・東ブロック 湖―――
湖に棲まう龍神様
一つ命の御子を捧げます
どうかお怒りをお鎮め下さい
[湖岸を一人歩きながら、歌うように唱える]
命の御子よ
そなたの美しき心を讃えます
そなたの優しき心を讃えます
そなたを柱にこの地は救われる
大丈夫ですか?
[アーチャーの視線が気になったが、特に今は何もないようだ。
ならば声をかけても構うまい、と
今にも倒れそうなセムラへと声をかけた。]
ここは騒がしすぎる。セムラの疲労が濃いし一旦切り上げたほうが良いか。
これだけ派手にやれば、そのうち警察だって来るだろう。
[そう考え、]
セムラ、一旦ここを去ろうか。
[と、提案した時、アサシンが近づいてくるのが見えた。]
然様。不可抗力だ。許せ。
……
[目だったことについてはそう謂って、
そこで少し声を潜め、
キースの耳元に顔を寄せた]
…呪詛の声が我らを狙うと宣言したのだ。
間を空かず、鉄の娘が私の元に来た。
私があれを気に食わんように
あれも私が気に食わんらしい。
……――努々注意を怠るな。
[少女へ声をかける様子を、見る。先ほどいた眼鏡のサーヴァントも近寄ってきたようだった]
知り合いか。
……いや、あんたが、キートンのサーヴァントだな。
[放心したようなキートンの様子をちらと見る]
――……無事と解ればよい、だったか。それでも良かったが。
[ひとつ、呟いて。空地を見渡す位置に、跳ぶ。
――……抉れ、焼け焦げ、砕けた大地。崩れ落ちた民家。まさしく戦場。
馬岱、狗、見知らぬ一騎のサーヴァント。そして、セムラ以下の魔術師が三名]
……全く。本当に出遅れたらしい。
……………ありがとうございます。
あなたも最後の一撃、見事でした。
[視線を向けたサーヴァントに、首を緩く振りながらそう返す。
先ほどの武器から見ればアーチャーなのだろうと考えつつ、ならばそれを見られたことを警戒しているのかと考えた。
―― 少なくとも、今は。
ゴロウの提案に、こくこくと頷き、]
一応、教会にも連絡した方が ――。
―― 馬岱さん。
そちらの方は、……無事、だったみたいですね。
[歩み寄り、声をかける馬岱にほっと一息、胸をなでおろす。
ならば後は、住民の被害をなんとかするために、教会にでも連絡しなければならないだろう。……予定は色々と変更のようだった。]
私は、……大丈夫だと、思います。
戦闘は無理のようですが、昨夜よりは。
−東・市民公園−
[幾らかその場にとどまっていたが、袋を手にした英霊は
東へそのまま向かう。少し先に見えてくるのは市民公園。
適当なベンチを見つけたのでとりあえずそこに腰かける]
───しかし、一人で食べるにはいささか多くないか、将軍殿。
[寄越された中身をしげしげと見る。
どうやら温かいものもあるようで、まずはそれから手をつける事にした。
まあるく、白いもの。ふかふかとしていて、柔らかい。
齧ってみる。粉の甘さと、それから奥のほうに肉と野菜の旨みがある。
幾らか冷めてしまっているが、これはこれで美味い]
ずいぶんと目立ったな。昼間だぞしかも。
まあ、襲ってきたのがあれなら、仕方ないか。
[昨夜の様子も踏まえれば、あの女が昼間戦闘を仕掛ける事に躊躇するとは思えなかった。
耳許で囁かれた言葉に、少し難しそうな顔をする]
呪詛の、声か。
注意はする。勝てない戦いをする気もない。
もし一人で狙われた時には、なんとか対処はするさ。
しかし、魔力を消費したら腹が減ったな。
どちらにしても長居はまずい。いくぞ。
[アーチャーへ告げて、少女とキートンらが行くようなら、それを少しだけ見送ろうと]
確かに怪我はないようです。
しかしながら、明らかに休息が必要な様子。
[目線を合わせるように身を屈めると、セムラだけに聞える様に耳元へと囁く]
どうか、主の居へおいで下さい。
休んだ後に主への説明をしてもらった方が、何かと都合がいいかと。
[そこまで言うと、軽く微笑み立ち上がりアーチャーのマスターへと顔を向ける。]
はい、私がキートン……主の臣下です。
先程は主を助けようとして頂いていた様子。
心よりお礼を申し上げます。
[キースへと軽く頭を下げる。]
[アサシンの言葉を請けて、撤退を開始する。
顔面は蒼白。]
あ……、はい、……。
『ドゥルン、ドゥルルルル』
[ほぼ無意識のまま、愛車に跨り*移動した*]
[その光景を、視野に収めて。
関わりのある――借りのある二人と一匹、それに目立った傷のないことを把握する。
それだけ解れば、その場にいる意味はなかった。
勝利の宴は、勝者だけのもの。傍観者はただ、消える]
[キースに頷く。]
…恐らくあちらだな。
仕掛けてくる気は今は無いようだが…
[槍兵の位置を大まかに視線で示した。
それから、少女のほうへ向き直る。]
うむ。当然であろう。
[セムラの賛辞には鷹揚に答えた。]
しかし、……聖杯戦争の組大集合だな。
[腕を組み、やれやれといった風。]
ここで仕掛けることはせぬ。
いまだ夜の帳も降りておらぬゆえな。
……教会に連絡か…面倒だな。
私は教会も神も好かん。連絡を取るなら御前たちに任せる。
いや、まだ借りを作ったままだったから、な。
借りを作ったまま死なれるのは、目覚めが悪い。
それだけだ。
[眼鏡の言葉にそう告げる]
ここは、そのうち教会がきて処理はするだろう。
俺たちはもう行く。人が集まってきても厄介だからな。
―東ブロック・公園―
[まったくもって運が悪かった。
入る店が全て混雑か或いは定休日だった。
気付けば東ブロックの公園まで来ていた]
まったく、なんってこったい!!
店ぐらい空けておけよなっ!!
[言いがかりに誓い文句を言いながら歩く]
キートン。
[放心したように見えるキートンへ視線を向ける。
エンジン音に紛れぬ声は、届いたか。]
あれは最後、
御前に手を伸ばしていた。
[じ、と笑顔の消えたキートンの
恐らくは素の表情を僅かの間見つめ]
それだけだ。
[それからアサシンへと顔を向けた]
其方の働きも見事であった。
次に相見えるのを楽しみにしていよう。
[そうして、去り行くものたちを見送るだろう。]
成程、ならばそういう事にしておきましょう。
[眼の前の男の答えに、再び礼をもって返す。]
あと、其方の英霊も。
一時の共闘、感謝いたします。
[中央ブロック、商店街を一人歩く。買い物を済ませてきたらしい。
すれ違う人の声に顔を上げた]
図書館……?
[何か撮影をやってると聞いて。]
ちょっと、行ってみよっかな。
[とことこと向かう事にした。]
−東:市民公園−
[肉まんをひとつ食べ終え、もう一つに手を伸ばしかけたところで
何やら騒がしい気配を見る。
因みに今度は噛んだら餡まんだった。
僅かに胡麻が入って風味がいい]
…随分、騒がしいの。
[ポツリ呟く。
ベンチに座っている限りでは、餡まんを食べている少女だが。
その少年がどうするのだろうと行動をじっと追ってみるのは黒い瞳]
それ、は、……っ
[怪我は無いが心配はさせまい、と返事をしようとしたが、耳元で囁かれ、目がまるくなった。]
あ、……は、はい。
……ありがとう、ござい……ます。
[放心したように、あるいは喉に詰まったように。
ゆっくりと、しかし確かに、こくりと頷くのが関の山だった。
返事をしてしまってから、恐る恐るゴロウへと視線を向ける。]
成程、ならばそういう事にしておきましょう。
[眼の前の男の答えに、再び礼をもって返す。
そして視線は、横にいる英霊へと。]
お褒めの言葉、有難う御座います。
私も次にお会いできるのを楽しみにしておきます。
[例えそれが、どの様な状況であろうとも。]
それでは私はこれで失礼いたしましょう。
[見つめてくる瞳の持ち主はサーヴァントだった。
しかも、明らかに絡まれている。
恐らく相手は気付いてないのだろうけど]
わるかったなー、ついてなくて愚痴っただけだよ。
[ここで無視していくの不自然だろう。
何気なく知らない振りをしてやり過ごそう]
[顔を上げれば、まだ昼。
自分の作った陣の跡を消す。その下にあるものも、今は無用と元へ戻した]
あの女。
キートンに手を伸ばしたのか。
……心が、あったということか? あれは、人でないものに見えた。サーヴァントでも、ないだろう。
じゃああれは、なんだ。
フランが聞いたって言う、呪詛の声の主と関係があるならなおさらわからん。
[去って行くキートンの背を見詰めた]
[左手で目隠し布を外す。潰れて間もない隻眼が外気に触れる。
神社は夢幻のように現世より去り、世界はまた一つ飛龍を……猿飛龍人を拒絶した]
僕は、
ワタシは、
[一般人として生きた猿飛龍人は、仮面を被っていた。
魔術師として生きた猿飛龍人を知るものは、もう居ない]
……エン・フェイロン。
[化け物になろう。正体不明の化け物に。
それが、あの言葉を踏みにじりこの聖杯戦争に参加する、ただ一つの資格なのだ]
[向かった先。既に騒ぎは収まっていたようす。]
大変な事に、なってたみたい。渋爺に連絡しなくちゃ。
えっと。
[懐から紙片を取り出す。]
えい。
[掛け声とともに息を吹きかけると、鳥の姿へと変わる。そして教会のほうへと飛んでいった。]
渋爺さぼってなければいいんだけど。
[体の様子を見るにセムラの疲労の色は濃い。この上、食事なし宿無しではきついだろう。
アサシンのマスターらしき男は行動を見る限りは、善意の人のようにも見える。
バーサーカーはセムラを見つめ、同意のうなずきを示した。]
[絡んでいるつもりはなく、むしろ現代の若者の生態観察に
余念がないだけといえばそれまでなのだが、
口は相変わらずあんまんをくわえたままだ。
ちゃんと飲み込んでから、一応口調は常ではないものに]
そう、それはまた…難儀な話で。
[軽く首を傾げた。
憐れんでいるようにはとても見えないが]
−中央エリア・バイクで移動中⇒繁華街−
[走りながら、考察する。情報を得るという意味では非常に有意義だった。とりあえずセイバーを迎えに行かねば。
しかし、おかしい。確実におかしい]
難儀な話なもんかよ……。
俺はただ肉が食いたかっただけだ。
あんたはいいな、そうやって食いたい物が食えてさ〜。
[適当に話をあわせようとおもった。
目の前であんまんを加えるサーヴァントを見て少しだけ本音が漏れた]
[再び視線はセムラへ。
了承の声は聞こえていた。あとは戻るだけなのだが……。]
ふむ、主は戻られてしまったか。
[どう見ても歩けそうにない様子だ。
主のバイクに乗せてもらおうかと思ったが、時既に遅し。]
仕方ありませんね、歩かせるわけにも行きません。
[失礼します、と。
馬岱はセムラを抱きかかえた。]
暫くの間我慢していてください。
居へと運びましょう。
──肉?
[そういえばさっき貰った袋の中にあった白いふかふかの、片方は肉ではなかったか。
行儀が悪いと解っていながらも、あんまんをくわえて袋を漁り、
暫し二つの白いふかふかを見比べて、そのうちの片方を差し出した]
貰いものなので。
肉でなかったら、申し訳ないけれど。
[果たして、幸運の低い槍騎の主の幸運はいかなるものか]
信頼してもらえるのは、助かる。
それに、マスター一人で出歩くのは危険だとも、わかってる。
あの嬢ちゃんは、図書館で眠っていたようだが。
[眼鏡が少女を抱えて去っていくのをちらと見る。
アーチャーから呆れられると、は、と息を一つ吐いて]
仕方ねぇ。朝は二つ食べただけだったからなぁ。
昼はもう少しがっつり食わないと、減った魔力分補給できんぞ。
[歩き出す]
[今までのサーヴァントについてだ。
セイバーは我々。
アーチャーは確認済み。生前は高貴な人物だと予想。
ライダーはゲイボルグを所持していた女性。スカアハとも考えたが、よく考えればゲイボルグを所持する可能性がある女性の英霊はあと1人いた。失念していた。
多分だが、眼鏡の男性がアサシン。戦闘中に隠密で気配を消せた。
問題はここからだ。
残りの該当者は、鎧姿の金棒。そして、動物。
動物がランサーである可能性は低い。キャスターが変身している事も考えたが、あの動物は肉弾戦を中心としていた。ならば動物はそう。バーサーカーが一番有力。
だが鎧姿の金棒は、確実にキャスターでもランサーでも無い。そう。
俺は、まだランサーとキャスターに会っていない。
なのにサーヴァントには既に6体を確認している。
一体、多い]
[アーチャーが不穏な事を言っていたのを思い出す。
これか、疑惑の正体は。つまり正規のサーヴァント以外の何者かがこの聖杯戦争に干渉している。
それと、あの閃光のような魔力を放っていたサーヴァントはいなかった。となれば、まだ出会っていないランサーかキャスターがsの力の主という事になる。
9体目がいなければ、の話だが]
[澱みへとつながる言葉が近くにある]
[濁りを更に掻きまわす感情が目の前にある]
[嫉み][怒り]
───。
[強まる不快感]
だめ、だ。
[耐えなくては。耳を傾けてはならない]
[澱みに。濁りに。己の中に凝らせては]
[このままではあの女──闇き女の声にまた飲みこまれてしまう]
[ベルトに差していた神刀を一つ在る手で抜く。小烏造の美しい刀身が木漏れ日を反射し、スゥ、と持ち上がる。
日本刀。しかし、その構えはフェンシングのそれ。
……まるで彼の存在そのものを表しているかのように、そぐわず、融けず、しかしそこに在る]
……祈りと覚悟の前に、現世は跪き頭を垂れる。
聖杯よ。見定めよ。
僕より覚悟を持つ者など、他に居ないことを。
お、良いのか?
恩にきるぜー!!
[肉まんにかぶりついてから、しまったと思った。
敵に塩を送られてしまったし何より毒を盛られる可能性を失念していた。
きっと、血が足りなかったり空腹のせいに違いない。
うん、そう思わないとやってられない]
い、いえ、歩くだけ、な、ら――っ
[デジャヴ。
またしても言い切る前に事が起こってしまった。
突然の空中浮遊……というわけではない。
感覚はそれに酷似していたが、これは、その。]
あ、………。う。
[―― 馬岱の顔は、暫くまともに見られそうも無かった。
おとなしく縮こまり、杖をしっかり握り締める。
抵抗など、出来るはずもなかった。]
−中央ブロック/繁華街−
・・・・・・
[居ない。セイバーがどこを見回してもいない。あれだけ目立つのだから間違いない]
どこにいったんだ、あいつ。
[セイバーがいくら好奇心旺盛とはいえ、さすがにこちらと合流できないような場所にいくまい。と思いたい。
もう一度バイクに跨り、東ブロックへと移動する]
[餡まんをかじりながら、幾らか瞬きを繰り返す。
それから、肉まんにかじりついた少年を見ながら]
私も、貰ったものだから。
…あと、他にも。
[肉ではないが、貰ったものが幾らかある。
袋の中身を見せ珠ではよかったが、他に食べるものはバウムクーヘンしかなくて]
───まぁ、飲みものでも。
[持った感じ水が中にある感覚があったので、茶の缶を差し出した。
そしてしっかりとバウムクーヘンだけは死守する行動に出る]
しかし、この馬岱とあのマスターは良いコンビだな。行動が仰々しいというか、何というか。
だが、セムラも立ってるのが辛そうだったし、今はよしとするか。
[そう思いながら、走ってアサシンについて行った。]
…――教会は好かんが
[行きながら、小さく呟く]
この“戦争”を深く把握しているのも
あの教会の者なのだな。
[考えるような様子を見せる。]
……――“呪詛”、について
あの喰えない爺は知っていると思うか?
ぶッ……。
[袋の中のバームクーヘンを見て思わず噴出してしまった。
勿論思い出すのはセムラの名前だった]
お、悪いな。
なんだ? そんなに守らなくても取ったりしねーよ?
[サーヴァントは俺がマスターとは全く気付いていないようだ。
はー夢クーヘンを守るその姿はどこにでもいる女だった。
もっとも、サーヴァントの服装だけは理解できかねたが……。
まぁ、そんな訳で急いで逃げる必要もないかもしれない]
−東ブロック/公園−
[反応がある。マスターと、それとサーヴァント。多分だが、セイバーだろう。だが何故一緒にいるのか。公園前でバイクを停止させ、公園の中に入っていく]
聖母、こんな所にいたのか。探したぞ。
で、彼は・・・?
―、 … …?
[I'm dying to kill]
[I'm dying to kill]
[I'm dying to kill]
[I'm dying to kill]
[繰り返し、繰り返す呪詛の唱和に、混沌に
会話を交わしたものの揺らぎを感じる。]
… 何、…――
[―― who died and made a person the devil]
確かに、犬は入れんな。あれは、まずい。
目立つが、それよりはましか。
[ちら、とアーチャーを見下ろしまた前を向く]
だなぁ。
魔力回復にはいくつかあるが、寝るか食うかが一番手っ取り早い。
[お前なら、と言おうとしてやめた。少しむすったとした様子で歩く足を早める]
───。
[明らかに視線が疑いの目だ。
これだけは微塵も譲らないとばかりに。
しかし、餡まん片手にコンビニ袋を死守するというのは
幾らかシュールな図でもあった]
あ。
[救世主、であるわけはないが、主がやってきたのはそんなところ。
近づいてきたので、コンビニ袋を抱えながら]
肉を食べたいと騒いでいたので、与えてみました。
[ちら、と少年を見て示し、餡まんの最後の人口をもぐり]
ああ? ……どうだろうな。
いつからあの教会にいるのかわからんが、少なくとも文献なんかを漁るよりは確実かも知れん。
飯食ってからでも、行ってみるか?
少しなら、我慢してやる。
そんな目をすんなって!!
バームクーヘンは別にいらんって……。
[どうやら、噴出したのがまずかったらしい。
サーヴァントの中では俺はバームクーヘンを狙う盗人になったらしい]
そうか・・・それで、君はマスターみたいだな。
セイバーが世話になった。礼を言うよ。
[先ほどまでは、マスターならば対決するという意思があった。しかし今はそれよりも疑問を解決すべきだ。
このままでは、例え勝ち残っても聖杯を手に入れられるか疑問が残る]
少し話がしたいんだけど、いいかな。戦闘の意思は無い。情報交換だ。
[歪み] [歪んで]
[澱んで] [腐る]
[殺せ]
[殺せ]
[殺してしまえ]
[殺すがいい]
[殺すために死んだのだから]
[供物は己が命]
[殺せ][殺せ][殺せ][殺せ][殺せ]
[唱和は繰り返される]
[呪なう歌は浸蝕する]
あー、えー、マスターってなに?
[こちらの令呪が反応してる以上、相手も同様だ。
無駄ではあるがとぼけてみた]
情報交換? 戦闘の意思がない?
よくわからねーけど話を聞こうか。
[ふざけた振りをしながら情報を引き出そうとした。
こっちのカードを切るとは限らないが……。
とりあえず、表情と口調から判断するに堅物のようだ相手は]
−中央→西ブロック−
[すっかり固まってしまったセムラを不思議に思いながらも、犬の英霊と共に西へと駆ける。
腕の仲の少女のことを考え、速度をある程度落としてはいたが、それでも常人の数倍早い事には変わりはなかった。]
さて、此処です。
[目の前には、古くから日本に馴染みが在るであろう日本家屋。
一見古くは在るが作りはしっかりとしているのが見て取れる。
アサシンは少女を腕へと抱いたまま、中へと入っていった。]
どうも主は部屋へと戻られているようですね。
[恐らくそのうち出てくるだろう。
どちらにせよ、まずは少女に休息を取らせるのが先決だ。
居間にあったソファーへと、少女の体をゆっくりと寝かせる。]
暫くの間休んで於いてください。
必要なものは何かありますか?
姿は犬だが、同じサーヴァントだ。
気を抜くなよ。
今回は共闘だったが、いつ正面から戦うかわからん。
だが、……犬は厄介だな。
見た目が。
[文句を言う声に、少しスピードを落とす]
――。……そうか。
やはり、総元締めに聞いてみるは、
悪い選択肢ではない か。
[しばし、考えるような間があった。
眉を寄せるのは、やはり「嫌い」だからか。]
……私とて嫌だが、
そうだな…行ってみる、 っ…、!
[――、赤い呪詛に新たな呪詛が、重なり歌う。
殺せ殺せ殺せ殺せ――殺すために死んだのだから]
っく、…
[顔を半分覆い、振り払うように首を横に振った。]
───本当に?
[幾らか念を押すかのように確認の言葉。
マスター。その言葉に少年へと視線を向ける。
こちらがサーヴァントであるとは知っていたということなのだろう。
幾らか軽率であったと唇を噛んだ]
単刀直入に聞きたい。
今回の聖杯戦争、サーヴァントが8名以上いる気がする。
君は何か情報を知らないか。
別に何も言いたくないならそれでもいい。
情報が足りなければ俺達が戦力にならないだけだ。
例え俺達が先に倒れても、君達が生き残れるわけではない。
勿論その逆も然り。
[真剣に、かつ力まずさらっと言いのける]
[それは]
[霊を浸蝕した呪詛が新たに作り上げた歌]
[殺せ][壊して]
[総てを][はじまりへ]
[繰り返す]
[呪詛(すそ)]
[蝕まれ続ける霊すらも預かり知らぬところで]
[生まれ続ける]
[新たなる澱み]
っ…、…うるさい
[繰り返し繰り返す回る歯車の重なりが]
[軋みと澱みを伴って赤黒い深淵を走る]
[呪は形となりもう一つの径《パス》を]
[飲み込み喰らわんと欲す]
――黙れ。…黙れ。
単刀直入って言う割には随分話がなげーな。
情報ねぇ、特にないな。
全部のサーヴァントにあったわけじゃねーし。
それに情報が欲しいならまずはそっちからカード切るべきじゃね?
[誤魔化すのは諦めた。
しかし、唯で情報をやる気はない、故にまずは情報を求めた]
…、――っ
[肩にかかる手を掴む。
それは。
引きずられまいとするかのように見えた。]
……―聞かぬようにすればよい、と
思っていたのだがな。
予想外だ。…――聴こえる声が 増えるとは
[忌々しげに呟くと、視線を上げた。
蒼の眸が見えるだろうか。]
……魔力を早々に回復したほうがよさそうだ。
食事を、急ぐぞ。
そうだな、ならば。
こちらはセイバーのクラスだ。
[自分がこの結論にたどり着いているなら、相手も遅かれ早かれこの結論に気がつく。クラスを伝える事については既に抵抗を持つ必然性が無くなった]
これは、良い家だ。懐かしい匂いがしている。
[アサシンたちの住居を見て、そう思念を漏らす。駅前に立ち並ぶ無機的な建築と異なるたたずまいは、バーサーカーが生前いた家屋を思い起こさせた。]
― 西ブロック・キートン宅 ―
[まるで不思議な時間だった。
腕に ―― 風に抱かれながら目を瞑っていると、そこはいつの間にか誰かの家。―― いや、さっきの青年の家だ。
かすかに田園のにおいがかすめた気がする。
中へ入ってからも、周りの風景にはまだ慣れない。
そうしている内にソファーへと寝かせられ、一瞬、また馬岱と目が合ってしまった。]
あ……。い、いえ。
私は特に。でもゴロウさんは……。
[召喚されてからお茶しか飲んでいない。
自分もそれは同じだったが、空腹度という意味ではゴロウが優先されるべきだろうし、何より一連の出来事もあってか空腹は感じていなかった。
ソファー、というものには初めて座る。
まだもう少し周りを眺めていたいのだけれど、使い切った魔力と体力は ―― 瞼は、それを許してはくれなさそうだった。]
馬岱さん。あの。
ありがとう、ござい、まし………。
[さっき言い忘れていた感謝の言葉。
結局、それはここでも言い切ることが出来そうになかった。]
[こういうタイプは苦手と言うかめんどくさい。
自分の道をひたすらに行くのだろう、きっと]
あー、随分と軽いな。
それに最優のサーヴァントといわれるセイバーのマスターなのに情報がないと戦力にならないなんて随分弱気だな。
じゃ、一つだけ教えてやるよ。
得体の知れないサーヴァントと遭遇した、俺の感覚でだけどあれは規格外と感じたよ。
だけど、それが8人目かどうかは解らない。
[戦闘の詳細は隠しながら例のサーヴァントのことを伝える。
どうせそのうち、ばれる話だから問題はない]
聞こえる声が、増える……?
[乗せた手を掴む指。その、様子に奥歯を噛む]
聞こえない俺が言うのもなんだが、呑まれるな。お前は、王なんだろう。
王は、他のものに膝を折らない。
なら、その声にも同じくだ。
[見上げてくる金の眼差しが、蒼に映る]
――ああ。
[アーチャーの肩を叩いて、歩き出す。見かけた洋食屋を選んで、中へと入った]
[繰り返す呪詛]
[その両の手で縊れ]
[殺せ][殺せ][殺せ][殺せ][殺せ]
[その両の足で砕け]
[殺せ][殺せ][殺せ][殺せ][殺せ]
[その両の指で壊してしまえ]
[殺せ][殺せ][殺せ][殺せ][殺せ]
[この腐った現実を無へ]
[殺せ][殺せ][殺せ][殺せ][殺せ]
[そうすればそこに]
[赤く濡れた手で開くがよい]
[お前の願う楽園がある]
[貴なる虚像の扉]
[最後まで言葉にされずとも、その思いは伝わる。
最後の気力と体力を振り絞っていう言葉が感謝の気持ちとは、心が本当に綺麗なのだろう。
主が己のためにと用意してくれていた毛布を、そっとかけてやる。]
それでは食事……でしたかね。
恐らくは簡単なものしか用意できませんが、我慢してください。
[足元へと横たわる犬の英霊にそう告げると、台所へと入っていった**]
/*
表で主達が真面目なので
思わず裏でニムたんいじめ(ニムたんいうな。
ニムたんは裏切り系ではなさそうなので
こっちは存分に赤一直線で行こうと思います。
― 西ブロック / 発電所 ―
[さて、とキャスターは考えた。
魔力の衝突、消失。確かめなくとも分かる。
アイアン・メイデンが破壊されたのだ。
しかし、彼女は大きな感慨を浮かべることはない。
鉄塊(ほうぐ)が破壊されたならまた再生すればいい。
それだけのこと。
気にするのは、魔力の消費程度のことであった。]
――北ブロック・港の倉庫――
[食料を買い直し、帰還した本拠は無人。
それが意味するところは、つまりは]
……あの身体で出歩いているのか、剣助は。
[呆れたように呟いて。
陽が落ちるまでに帰ってこなければ、探しに行こうとだけ決めた**]
私と同じように《繋がって》しまったものが、
ほかに居るようなのだ。
……特定は…できていないが。
[続いた言葉に瞬いて
それから――王は、王の顔で笑った。]
嗚呼。…そう、だ。そうだとも。
…――謂われるまでも、 ない。
[腕を少しだけ撫ぜるようにしながら手を離す。
そうして、ゆるく握りこんだ。
洋食屋に入ったなら
読めぬメニューがあるらしく、これはなんだと
尋ねたりしただろう。]
[薄暗闇には依然、さっきの『メイデン』が遺していった産物がある。血のにおい。指をつければ当然赤く染まり、その卑猥と不快は長らく取れることなどない。
居合わせなかったので聴くことは出来なかったが。
―― 実に素晴らしい、阿鼻叫喚を歌っていたことだろう。
惜しくらむはそれを行うのが自分ではなかったということ。
キャスターは血の根城に一人在りて、魔力の回復を図っていた。……全快までには、まだ数時間かかるだろう。
まだ今は、焦る刻(とき)ではない。]
…。
[マスター同士の会話が行われている中、
口を挟む気配はまるでない。
正確には、挟むだけの余裕がなかった。
澱みと濁りの狭間から流れ込んでくるものは、
少しでも気を抜けば剣を蝕む。
それを主達に気取られぬようにするのは、
なかなか面倒なことでもあった]
[メニューを開く。アーチャーに聞かれれば読み上げ、どんなメニュー書き枯れれば答えた。
大盛りでステーキ定食を頼むと、漂ってくる匂いに眉を寄せる。
――懐かしい。
そう思わせる匂いは、日本の食堂だからこそだったかもしれない]
……俺は。
昔日本にいた。
俺に魔術を教えたのは、日本人でな。
[ぽつりと、零す]
[メニューを開く。アーチャーにわからない部分は読み上げ、どんなメニューか聞かれれば答えた。
大盛りでステーキ定食を頼むと、漂ってくる匂いに眉を寄せる。
――懐かしい。
そう思わせる匂いは、日本の食堂だからこそだったかもしれない]
……俺は。
昔日本にいた。
俺に魔術を教えたのは、日本人でな。
[ぽつりと、零す]
・・・・・・
[今の返答が空虚な印象を受けた。実のところは判らないが、彼が言っているサーヴァントはあの金棒では無い気がする。
あの戦闘に彼が参加していないという事は、彼はランサーかキャスターのマスターだろう。今回の異分子は、どちらか。とはいっても彼はあまり喋るタイプの人間ではなさそうだ]
有難う、なんとなくわかった気がする。
それで・・・・・・肉、が食べたいのか?
聖母があげたとかどうとか。
[セイバーの手にまんじゅう。別行動のうちに色々と味をしめたのだろうとまた頭痛]
―洋食屋―
[何だかんだと聞いた末、
白身魚のソテーを選んだ。魚を好むらしい。
よい香りがあたりを漂う。
両の手指を緩く絡ませて、テーブルに置いた。]
――ほう?
……そうなのか。
それで、そのように流暢に
日本語(ここのことば)を話すのだな。
[男の言葉を促すように、視線を送った。]
[沈黙が流れる、恐らく嘘を見抜かれたんだろう。
しょうがない。
元々自分はそんなに腹芸が出来るタイプではない]
そりゃ良かった。
お宅のサーヴァントには食べ物貰ったしな。
聖母? そりゃ随分大層な偽名だな……。
てか、その格好なんなの? アンタの趣味か?
[直接戦闘には関係ないがやはり気になった]
違う。かなり違う。断じて違うぞ。ほんとだ。正直この返答を何度すればいいのかと息が苦しくなるくらいだが本当に違う。
[もうやだこの街。いっそこの女子高生の性別を暴露してしまいたいくらいだ。まあ色仕掛けも戦術の一つとして割り切るしかない。本当にこれは色仕掛けなのだろうか。悩]
だから、日本には何年かいたことが、ある。
ちゃんと読み書きまで覚えたのは、いい歳になってからだったが。
俺に魔術を教えた男は、俺が12の時に死んだ。
魔術師同士のいざこざでな。
俺は魔力量は多くないが、その男の魔術を引き継ぐにはたいそう相性がよかったらしい。
元々なりたいわけじゃなかったんだけどな。
そのときに貰った名前は、日本の名前だったが、忘れた。
今の名前は、名前のない俺に、ある女が付けてくれた名前だ。
……1年前に、死んだ。
お前の目を見ていると、その女を思い出す。
きれいな、ブロンドだった。
[レンズの奥の、瞼を伏せた]
[意外とちょろいかもしれない、そう思った。
つまりペースを崩してしまえばいいのだ]
そんなに向きになって否定するのは怪しいな。
剣のサーヴァントを趣味に使うなんて贅沢な奴だ。
で、聖母。君はこの人とずっと一緒にいたのかい?
だとしたらそれなりにもてなさないとな。
[もしかしたら二人でいた時間の間に情報が漏れている可能性もある。状況によっては・・・・・・ ]
悪い、詰まらん、話だったな。
[水を口へと運んだ。
食事が運ばれてくると、慣れた手つきで肉を切り分けていく。大き目の塊を、口に入れる。少し、硬かった]
・・・・・・まあ、君には俺の苦労はわからないだろうな。
[どちらかというと、この件については諦めの境地にたどり着いている気がする。
からかわれているのをうっすらと気付きつつも、正直に返答をしてしまう]
じゃあ、どうだろう。お礼という事で食事でもいかがかな。
君の好きなところで奢らせてもらうよ。
[もう少し、彼のことを*探ろうと考えた*]
おっと、嫉妬は怖いね。
じゃなくてそっちの頭固そうなアンちゃんの気が変わる前に俺は帰るぜ?
もし、追ってくるならそれなりの覚悟はしてから来いよ?
[男の気持ちの揺らぎを感じ取った。
実際は戦闘だけ正直避けたかった。
軽い脅しをかけつつ、その場を去った]
―洋食屋―
――…、…
[語られる過去に、静かに耳を傾ける。
魔術を使う理由や、生い立ちや。
ふと、傷だらけの体を思い出す。
金の眸と、死んだという女の話が終わったとき、
――自分の目元に、手をやった。]
…、――御前は 、…
[漸く口を開き、窓辺の男に問いかけた時と
同じ言葉を紡いだ。
願うのは――失せものをもう一度、]
[暫し、暗い色のレンズ越しの蒼を見つめた後]
……
[少しだけ 眼を伏せた。]
詰まらぬということはない。
……――構わんさ。
[運ばれた料理を、
此方は少々慣れぬ手つきで切り分けた。
問いを言葉にしなかったのは、
できなかったのはなぜか、
*――分からなかった。*]
― 教会 ―
ふう。やっと終わったか。
[電話を下ろすと、渋沢神父は長い溜息をついた。
図書館周辺での処理が終わったらしい。本来ならスミス、とら、たつの三人で行うべきところなのだろうが、『見てしまった』一般人の記憶修正も行わなければならない。
―― 本来ならば魔術を見た一般人の処理は一つ。
『殺害』だ。
しかし渋沢はそれを良しとしなかった。片っ端からたつととらに『被害者』を運ばせ、その記憶を修正したのだ。]
いつやっても抵抗があるな。
理想論は振りかざすべきではないと分かってはいるが。
[理想を追い求めた極致こそ『神の家』なのだ。
少なくとも渋沢老人はそう考えていた。
そして全てを終え、『被害者』を自宅へ帰すことにも成功した。
何をどうやったかは禁則事項です。]
[問題は家屋と図書館の本だ。
家屋は隕石が降ってきたとかガチャポンが降ってきたとか屑水が降ってきたとかいうことにしておけば良いだろうが、図書館の本はそうはいかない。
結果、せっせと本を棚に戻す渋沢神父がいた。一人で。
戦闘が始まってから、既に日が暮れた頃に全ては終わった。]
しっかしまぁ。派手にやってくれたな。
掃討指令出しちゃおっかなー。
[残念ながらどのサーヴァントかは分かっていない。
それと、もう一つ気になることがあったのだ。]
………… 考えすぎかねぇ。
[図書館の本。こちらにはまだ魔力の残滓があった。
しかし破壊された家屋の屋根は ―― 残滓がなかった。
残滓ではなく、まるでペンキでも塗りつけたかのような。
サーヴァントが墜落したのでも、魔術が直撃したのでもないだろう。酷似した事例はただ一つだ。]
それにしては……中の人は誰もいましたよ。
だったしなぁ。
[宝具の使用。もしくはそれに順ずる大魔術。
だがどちらにしても、何故中の住人は無事だったのだろう。
宝具も大魔術も、器用な形状をした放出ではないはずだ。
夜の教会で、渋沢は*頭を悩ませていた*。]
.....
....
[心地よい、『殺意』。
女は顎(あぎと)を開けずともそれを啜り、その闇(にく)とする。表情は喚起。口元だけを切れ込みさせる笑み。
応じるように、『殺したくて堪らない』の概念を上乗せする。
I'm dying to kill(殺したくて堪らない)
I'm dying to kill(殺したくて堪らない)
I'm dying to kill(殺したくて堪らない)]
― 教会 ―
[――はい、こちらの丸い珠を見てください。視力の検査です。赤い光がでますのでそれに集中してくださいね・・・・・・シュボッ
・・・・・・ええと。]
さすがの渋爺もネタが尽きてきたみたいですわね。
[記憶の改竄が行なわれている様を背後に聞きながら、とらは図書館付近で起きた騒動の処理に勤しんでいた。]
でもまあ、安易な手段を使わないところは、渋爺の数少ない美徳ですしがんばっていただきたいものです。
[集めた本を山済みに、うん、と頷いてみせる。これの片付けは渋沢がなんとかするといった。代わりに頼まれた事は・・・]
渋爺ー。飛び散っていた書籍類はこれで全部と思いますわ。
それでは情報機関の処理にいってまいりますのでー。
[しゅた、と手を挙げてそれだけ告げると、ぱたぱたとどこかへ向けて*走り去った*]
― 西ブロック / 発電所 ―
方法を変える必要がある。
[長時間の沈黙を破って、闇は唐突に呟いた。
魔力の回復は八割。召喚された方法の特殊性もあろうが、何より搾取する「マスター」の魔力は心地よい。
無尽蔵とまではいかないが、もし自分に搾取されていなければ、魔力の消費を気にすることのない、恐ろしい大魔術の繰り手となっていたことだろう。
だが、その大半は己に流れてきている。]
…… メイデンだけでは力不足。
搦め手が必要。――――。
[血肉の檻を跡にし、発電所のシステムを見上げる。
―― 外界は夜。御誂えの条件。
しかし ―― まだ早い。
そう判断し、キャスターは夜の浦舞へと向かった。
発電所には、骸を踏み越える水音染みた足音が響いた。]
[重なる。]
[重なる。]
[重なる。]
[重なる。]
[質量さえ持ち得そうな]
[呪いの渦]
[―――不遜なる王は
忌々しげな表情を隠さない]
― 教会 ―
[快くとらを見送ってからどれほどが経っただろうか。
渋沢は腰を上げた。]
あそこに行ってたら、まだ帰ってこないだろうしな。
どれ。とらしゃんの仕事やっとこうか。
[普段からとらに任せている仕事。今は担当者不在。
渋沢は書庫の整理を行おうと奥へ進もうとする。]
……… あん?
[振り返る。
そこには『誰もいない』。気配の揺らぎも感じられない。
天窓から注ぐ月光があるだけだ。]
…………。ちっ。
だから一人で留守番は嫌なんだよ。
[渋沢は、外套の下から一振りの剣を取り出す。
ライダーに向けたものと同じそれ。
だが今は、比較にならないほどの魔力がうねっていた。]
なんだ?
[問われかけてその眼をみた]
言わなければ何もわからんぞ。俺は、表情から質問を読み取れるほど器用じゃないからな。
[肉の最後の一欠けらを口に放り込む。
アーチャーがこめかみを押さえる様子には少しだけ心配そうな色が浮かぶ]
……――、
אמטינט אמטינט(何度も何度も)
בלתי-פוסק…(しつこいことだ)
[悪態をつく思考が、本来ひとつだったころの
神代の言葉で呪いの渦の中に堕ちて、消える。
――キャスターが教会を襲ったことなど
知る由も ない。]
――…、また、
“I'm dying to kill(殺したくて堪らない)”か…
[ごく低く呟いた。
こめかみから少し手をずらす。]
なに、
――…気にする程のことではない。
…御前の求める「失せもの」が、
その、死んだという女なのかとな。
…、…
[口にしてしまえば本当に、
願われることも多かろう事だ。
何を躊躇うやら。
――窓の外は既に暗くなり始めている。]
また、その言葉か。
人の血を見たいのか、ただ殺す瞬間を楽しみたいのか、どちらにしても理解できん。
……いや。
[アーチャーの女か、と言う言葉に首を振る]
少し、違うな。
[目を伏せる]
あれの、人生を、取り戻してやりたい。
俺に会ったことで、壊れてしまったものを。
だから、俺の元には戻らなくても、いいんだ。
……分からんな。
“who died and made a person ...”
(誰がひとを、――に、してしまったのか)
[もうひとつ、径《パス》から流れ込み
繰り返される言葉を口にした。
ほんの僅か、――女の気配に、幽かに混じったいろはなんだったろう。]
――、…。
―……そうか。
[金の眸を、伏せられた蒼に向けた。]
出逢うたことで得たものも
あるのではないかと私は思うがな。
壊れたばかりではないのではないか。
[――謂ってから、らしくないとばかり口元を覆い少し眼をそらした。]
俺は、与えられるばかりだった。
あれが、何か得たのかは分からん。
だが、俺と会ったことで、あれの、幸せを奪ってしまったのは、確かだからな。
……who died and made a person?
[復唱してから、黙り込む。
暫くしてから、立ち上がった]
教会に、行くぞ。嫌な、予感がする。
「――― 大丈夫ですか?」
[彼は”私”を抱き起こしながら、そう言った。]
『―――― にゃぅ』
[”私”は、衰弱した体を押して小さく鳴いた。
あれは浦舞に溺れ死にそうになりながらも漂着した時。
初めてこの地に足を踏み入れた時のこと ―― 。]
……――
[何があったのか。
何を思っていたか。
なにも、知らない。
だから何も謂えず、少しの間黙していた。]
――――そうか。
御前がそう謂うのならば、
……そうなのだろうな。
[絶えず繰り返される呪詛は
耳の奥から侵す様だ。立ち上がる前、
またこめかみに手を添えてから]
ああ。
[頷き、教会へと向かう。]
「大変だったね」
『――――』
「どこから来たんだい?」
『――――』
「……。何にしてもずぶぬれだ。まずは体を拭かせて貰うよ」
『! ふー!』
「おっと。これは参った。どうやら恥ずかしいらしい。
……んー、じゃあこれをあげるから、自分で拭くんだよ?」
[そう言って、彼はどこか家の奥へと去っていった。
”私”は、丁寧に床に置かれたタオルを見つめていた。
―― 体が冷たかったので、仕方なくごろりと転がった。]
[懐かしい記憶。
それ以上を思い出そうとしても、赤い闇が拒み刻む。
―― もう150年以上も前のこと。
赤い闇が囀らずとも、温かな記憶も段々薄れ始めている――。]
[――道すがら]
[静寂(しじま)があれば
聞こえる呪詛と
それに混ざる何者かの気配が明瞭になる瞬間がある]
[――妖艶な女の声ではない]
[――何か、別の]
[―― 夢を見ていた。
とても懐かしく、温かいユメ。
意識の浮上と共に掠れて消えて。
まだ見ていたいと願っても、どうにもならずに目は覚める。
やがて手を伸ばしても届かない奥底で、ユメは弾けて消えた。]
― 西ブロック・キートン宅 ―
――――。
[ここが神社でないと気付くのに数瞬。
昼間のことを思い出すために数瞬。
今は日没後らしいと気付くのに数瞬。
目を開くだけの格好で聴いている必要があった。
どこかから聞こえてくる、時を刻む針の音を。]
ここは。
[意識は覚醒している。体には温かな毛布。
けれど、まだ体は起き上がってくれそうにない。]
― →教会 ―
[――フラン?
呼びかけられれば、
はっと意識が明瞭になる。
意識を《赤》のこえに集中させすぎたらしい。
深淵をのぞき込むとき、
深淵もこちらを見ている――と ばかり。]
…――少々眼を凝らしすぎたようだ。
[実際《視る》わけではないが、喩えとして口にして。
神の家が近づくにつれ、
異様な気配が残っていることが感じられ。
キースと顔を見合わせると、駆け出した。]
…………。視たのですか。……私の夢を。
[過去の記憶。過去の夢。
ラインが繋がっているキャスターは当たり前のように土足で踏み込み、セムラの過去を知る。
ならば、キャスターをパスで繋がった『彼』も見たのだろうか。
正体よりも、名乗りよりも。
別のところで、セムラの問い返しはどこか拗ねていた。]
[声が帰ってきた。
少しの間の後。]
……――見たのではない。
勝手に流れ込んできたのだ。
[不遜な言い回しだが、
少々バツが悪そうにも聞こえた。
おそらくは、キャスターが視るものほどに
しっかりとした映像では無かった。
声は途切れ途切れで
断片的なもの。
だから。]
…猫を好むのか?
[なにやら、ずれた問い掛けにもなるわけだ。]
― 教会 ―
[足音がする。
血濡れのスミスは、千切れていた意識を再修復する。
助けが来たのか、奴が舞い戻ってきたのか。
動こうとすると、口から血が零れ落ちた。
剣を探すもぼやけた視界では上手く探し当てられない。]
お目覚めですか?
[あれからどれだけ経っただろうか。
既に日は落ちかけ、夜の様相になろうとしていた。
幸い台所には、主が2人分用意していたであろう食事。
更には篭城する場合の備えであろう大量の食材があった。
それらを簡単に調理したり、温め直したりすることで食事は事なきをえる事が出来た。]
起きることは出来ますか?
………それは……。
[どうやら見たらしいことを確信に至る。
自然、声は少し小さくなった。
どのような感情によるものかはセムラ自身にも分からない。]
……ニンゲンに、ニンゲンという動物が好きか。
と聞くのと、同じことです。
[感情。理性。悪性。善性。
蟠りの生まれるが必然のものではなく、「動物」としてのニンゲン。ヒト。ホモサピエンス。
それを、ヒトのあなたは好きなのか、という質問。
―― 裏を返せば、セムラの正体を推測させるに至る一言。]
―教会―
[足音も大きく、乱暴に教会の扉を開く。]
…!!
[そこには、倒れた老人の姿があった。
キースが傷の具合を見るだろう。
彼は止血や治療は自ら行っていたと謂っていた。]
そちらは任せた。
[キースに謂うと、
僅かながら気配の残るあたりを探る。
本棚。資料庫。漁られていた。
――無くなっているのは、]
…… 馬岱さん。
おはようご……ざい、ます。
[どう見ても『おはよう』という時刻ではない。
言葉に詰まったが、他に適切な言葉がなかったので、しどろもどろになりつつも最後まで言い切った。]
はい。魔力は完全ではありませんが。
体力は、大丈夫だと思います。
[こくり、一つ頷き、集中して体の具合を確かめる。
回路に目立った乱れはない。
体力も、身を起こしてみることで確かめてみた。
眠っていた影響か頭が少し痛かったが、概ね問題ないようだ。]
……?
[瞬きを幾度かするほどの間。
思考時間ののち]
……あの猫は、……御前なのか。
[犬の次は猫。
確かな驚きが静かな声ににじむ、が]
ッ…、話は後だ…!
[――呪詛に混じる気配へと向けていた感覚を
外へと向けた。教会に辿りついた、ちょうどそれくらいの時間に。]
[不意に、相手の『声』が乱れてジャミる。
テレビに浮かぶ砂嵐のようだ。]
…………? 何か、あったのですか。
まさか。
[サーヴァント同士の争いか、もしくは ――。]
……早く決断しなくては。
[キャスターを殺すために出来ること。
馬岱と、魏延と。必ず彼女を倒すと、約束したのだから。]
―教会―
………――、これは……
[書架のあるひとつの場所。
その資料が、ごっそりとなくなっていた。
アーチャーは、眉を寄せた。
僅かに残る闇の気配。
知っているような気がした。
まだ、確信には至れない。]
おい。その爺は無事か。
[応急処置を施したならば、
キースは救急車なりを呼ぼうとするかも知れぬ。
アーチャーは渋沢の顔をのぞき込むように
床に片膝をついた。]
[助けの方のようだった。
剣を探そうとしていた手を止め、今度は傷の具合を診るために残ったキースの肩と腕を強く掴む。残った力を振り絞っていたためか震えていた。]
あ、あれは……。あ、れを私、はシって、いる。
ぐふっ
[吐血。だが、なおもキースを掴む手は衰えず。]
…ゼンカ、イ……も。しっぱ……うぐ。
セ……、セム、……。
[言葉は要領を得ない。
崩れ落ちるように、手と体が床へ落ち、]
さ、最期に……一つ。願いを……聞いて、欲しい。
…、…、―― 教会のものがやられるとは
[口の端から溢れる血を見て
苦々しげに眉を寄せた。]
喋るな。
[されど、老人は言葉を続ける。]
…、 しっている?
……ぜんかい?
[要領を得ぬ言葉を繰り返す。
キースと眼を見合わせることも
あったやもしれぬ。
願いを、と聞けば何か、と尋ねるような目を向ける。]
[目を向けられればに、スミスは久方ぶりの笑顔になる。
恐らく最期の灯火というやつだろう。
そして彼は呟くようにこう願った。]
―― 今日のパンツの色を、教えてく、……れ……。
[渋沢は、キースの腕の中で力尽きた。
どうやら眠ったようだ。寝息が聞こえる。]
ええ、おはようございます。
[起き上がるセムラに挨拶を返す。
上体を起こす動作は少し危なげではあったが、動けるようにはなったようだ。]
どうぞそのままで居てください。
貴女も食事をしていないと聞いています。
簡単ですが、用意しておいた物を温めますので少しお待ちください。
[自分と犬の英霊の食事を用意するときに、ついでに用意しておいたセムラと主の食事……白米に味噌汁、ハムを焼いたの簡素なもの。
それを台所で温め直し、セムラの元へと運ぶ。]
それは……その、
[慣れています、と言おうとする前に馬岱は台所へ行ってしまった。デジャヴ三回目だったが、困ったような何とも言えないような表情は変わらない。
馬岱の背中が台所に消えてからきっかり○分。
運ばれてきたものは、昨今一度、二度食べたか食べていないかの豪華なものだった。]
馬岱さん、お料理も上手、なんですね。
[料理の出来る王子様(仮)。
一体どこの英霊だろうと想像を膨らませるよりも先に、運ばれてきた食事に目を奪われた。そして輝いた。
しかし本当にここまでして貰っていいものか ―― と思った時。
お腹の虫がきゅると鳴いた。]
…………。………。
[徐々に、しかし確実に。
顔は赤くなり、視線は下がり、最後に小さく、ごめんなさいと呟いたのだった。]
フフ。
――― 奪われた一手を、取り返したまでのこと、ですわ。
―――。血みどろにおいて。
後手は勝利足り得ない。――― それだけの、こと。
―→教会へ―
[教会へ道を急ぐ。矢張り、足が欲しい]
フラン、矢張り何か足を手に入れよう。
そのほうが、移動も早い。
おい、フラン?
[呼びかけても返事がないと、もう一度強く呼ぶ。
漸く気づいたアーチャーへ、ほっと息をついた]
凝らしすぎて、引きずり込まれるなよ。
そいつは、やばい。
[やがて教会にたどり着く。その異様な雰囲気に、駆け出し、ドアを開けた。
――咽る、血の臭い]
爺さん、無事か!?
[駆け寄り、傷の具合を見る]
フラン、ここは俺が見る。他が大丈夫か、見てこい。
[アチャーへ告げて、止血をし始めた]
少し、乱暴だがな。
余り、治癒魔術は得意ではないんだ。
[止血、そして傷の修復。痛みは残るだろう。傷口を塞ぐだけなのだから。
肩と腕を掴む力は強く、何か言い残そうとしているらしかった]
喋るな、ジジイ。傷口が、開く。
ぜんかい? セム?
[要領を得ない言葉。戻ってきたアーチャーを見る。最後の願い、と聞き取れて、また教会の男を見下ろした]
[その視線は、アーチャーを見ていただろうか]
……。
[次いで出たアーチャーの言葉に無言で頷きかけた]
いや、待て。具合が良くなれば事情が聞けるだろう。
救急車を呼ぼうかとも思ったが、何の怪我か聞かれればまずい。
他に治癒魔術が使えるやつがいるなら、そいつに任せよう。
[一応はアーチャーを止めて、応急処置した渋沢を椅子の上へと寝かせる]
[なくなっていたという棚のほうへと歩いていく。
見れば、確かに資料があったと思われる場所は空になっていた]
ここにあったのは、何の資料だ?
誰かに、聞けば分かるか。
…じじいは口をきけそうにないからな。
他に誰かいないのか、調べてくる。アーチャーは、ジジイを見ててくれ。
[そういって、教会の奥へと]
[料理が上手……その言葉に思わずくすりと笑ってしまう。]
いえ、これは主が用意していたものです。
肉……ハムというらしいですが、その方に関しては私が切って焼きましたが、その程度しかしていませんよ。
生前より、戦うしか取り柄のない不躾な男ですので。
[その時、小さな音が当たりに響いた。
音の元は、目の前の少女。]
どうぞ、食べてください。
客人を空腹で倒れさせたとあっては、私の面目が立ちませんので。
……そうか。それもそうだな。
[ものすごく渋々といった態度で
これまた一応了承した。]
治癒魔法…。
この教会にいた他の者はどうなのだ。
私は他の魔術師を知らん。
分からん。
だが、これの命を奪わず
それだけを盗っていったということは
余程重要なのだろう。
襲撃者にとって、は――、…!!
[そこで。またこめかみを押さえて
眉を寄せた。赤い声が、聞こえる。]
[裏口から戻ってくる。血の臭い]
何かあったみたい。
教会で?
怖いなあ。
[足音が近づいて来る。びくりと肩を震わせて、自室へと逃げ込んだ*]
−−北ブロック、港−−
[埠頭で一人。干し肉を噛み、酒を片手に、闇に包まれる海を眺める。
剣助は、肉を喰わせて呑ませたら寝たので、倉庫においてある。
サーヴァントの情報。それを整理する。
武器を持たぬゴロウは、バーサーカー。百歩譲っても、キャスター。ここは確実だろう]
おい?
[アーチャーの途切れた声に振り返る。今度は、何も言わずにまた奥へと向かった]
ジジイがやられてる。誰かいないのか?
残念だが、俺では完治させることができない。あのジジイを治せるのは、他の魔術師か教会のものか、どちらかだ。
[先ほど扉の音がしたのは分かっている。なら、誰かいるはずだと、いくつかのドアをノックした]
[扉を叩く音が聞こえる。]
渋爺が、やられたって本当かなぁ。
あれでも、それなりの腕だったと思うんだけど。
でも、うーん。
[しばらく悩んでから、扉を開ける。
男が目に入った。また扉を閉めた*]
[馬岱が判らない。
ランサーかライダー、適正はその程度だろうが、そのどちらも埋まっている。
いや、飛龍と名乗った男が、偽りを述べた可能性もある。
判らない。セイバーやアーチャーとして喚ばれることはないと思うが。
自分の死後に大功を立てたのやも]
[扉が、確かに開いた。見えたのは少女か]
おい? いるんなら返事位したらどうだ。
……俺は、この聖杯戦争に参加しているマスターだ。
別に取り立て屋とかじゃない。
すまんが、やつを治してくれ。
[声をもう一度かける。扉が開けば、渋沢のところまで連れて*行くだろう*]
―教会―
[扉が開閉する音が聞こえる。
一応(爺を含め)用心しながら、
考え込む仕草のまま、金の眸は険しい。]
…、――
[“セム”――つい先程聞いた気がする。
良く似た響きの言葉を。]
なんだったか…。
[ゼンカイ――前回。
しっぱ――出発?違う。失敗か。
キースが治療可能なものを者を連れてくるなら、顔をあげて]
[不躾だと自分を評価する馬岱に、ふるふると首を振る。
紳士的な彼が不躾だというなら、世に蔓延る男児は殆どが不躾だということになるだろうとセムラは考えた。]
そういえば、マスターさんはどうなさいましたか。
[様子がおかしかったが大丈夫なのだろうか。
―― あと、ランサーが言っていた『オウセ』の意味から考えるとあのマスターは男装している女性という可能性もある。いや、むしろそうでないと話が繋がらないと思いつつも。
食事を、と言われれば、先ほどのこともあってか恥ずかしそうに頷いた。]
ありがとう、ございます……。
[改めて目の前にすれば、やはりまたきゅるりとお腹の虫が鳴きそうになる。なんとかそれを我慢して、温まったご飯にゆっくり手を伸ばした。]
…… いただきます。
[男の声に仕方なくドアを開けた。]
わかりました。
渋爺の怪我はどれくらいですか?
眠ってるなら、起きた時にはぴんぴんしてそうなんですけど。
[男の後をついていく。
サーヴァントと渋爺の姿が見えると、駆け寄って治癒をかけ始める。]
……主は、まだ部屋です。
先ほどの戦いの最中、簡潔にですが事情は話しておきました。
何分突然すぎる話です、整理し受け入れるのに多少の時間がかかっているのかもしれません。
[あの脅威の事を、主は多少見知っている様子だった。
それにより何か、思い悩んでいるのかもしれない。]
何、心配は要りませんよ。
主も戦いに赴く男です、どの様な答えを出そうとも、倒れたままという訳はありません。
[心配はさせないように、微笑んでフォローする。
そしてそのまま、少女に食事を促した。]
−西ブロック 自宅−
客人のおもてなしを任せ切りにして済みませんでした。
[アサシンに詫びながら、部屋から出てきた。]
改めまして、今晩和、お嬢さん。
粗末な住まいで恐縮ですが、どうぞごゆっくり。
[にこ、と少女に会釈する。]
…………。
[セムラが知っているメイデンとは、戦いに身を置く武士の娘のような性格だ。
馬岱によるマスターの説明からすると、そこに何か共通項があったのか、あるいはもっと別の。
そんなことを考えていると、見透かしたように馬岱は微笑んでいた。]
………。おいしいです。とても。
[促されるままにご飯を食べ進める。
―― 何というか、その、ずるい。
馬岱の微笑みにそんなことを思ってしまった。
きっと体が熱いのは、一口運ぶ度に徐々に回復する魔力のせいだけではないだろう。
ゆっくりと味わいながら、やがて食事を終えるまで、そんなことを考えていた。]
っ
……お、お世話になっています。
[噂をすれば何とやら。
部屋から男性――恐らく実は女性――が現れ、慌てて会釈を返す。
馬岱のこともあってか無防備だった。]
あの、それで。
[話すべきことは分かっている。
それでも、すぐに切り出すことは躊躇われ、そっと馬岱に視線を向けた。]
[にこ、と笑う。]
綺麗な、眼だと思って。
はい、終了です。
[渋爺から離れると立ち上がって一礼した。]
しばらくはそこに寝かせといてくださいね。
[とてとてとさっていく*]
[少女の食事風景を見守っていると、足音が聞こえた。
部屋から出てきた主へと、頭を下げる。]
主、お疲れ様です。
失礼かとは思いましたが、私の判断で客人に食事を出させて頂きました。
お食事の方、ご用意いたしますか?
[自分へと向けられた視線に気づき、セムラへと顔を向ける。]
どうぞ、お話ください。
簡潔に話はしましたが、急ぎ足の上にあの混乱の中でしたから、最初から話して頂いた方がよろしいかと。
―教会―
[たつの、真っ直ぐな言葉に瞬きひとつ。]
――…そうか。
[ほんの少しだけ、眼を細めた。
走行している間に治療は済んだらしい。
去っていく後ろ姿を見送り]
さて、…こいつは暫く目覚めんだろうし、
どうしたものか。
[礼拝堂に飾られたステンドグラスが
色鮮やかに透きとおる。
祈り捧げる聖人と、それから聖母マリアと]
[セムラは馬岱の言葉にこくりと頷くと、男性を見た。
これは仮定の話です、と前置きした後。
神社で話した内容を、男性にもかくかくしかじかした。]
あの、図書館で襲っていた銀の少女。
彼女の名前はメイデンといって、………。
[前回の聖杯戦争、聖杯の異常で重複召喚されたサーヴァントもどき。そしてその宝具の一つが『メイデン』という少女であること。
そして、サーヴァントもどきは今回の聖杯戦争に至る年月で正式なサーヴァントとなるまで成長したであろうこと。それを倒すには、サーヴァントもどきに力を搾取されている魔術師を殺害するか、魔術的な力を失わせるかしないといけないだろうということ。
サーヴァントもどきの願いは、『殺す』という一点に集約されること。勝ち残れば願いを叶えてしまうだろうということ。サーヴァントが束になっても今のままでは勝ち目がないこと。
―― 最後に、メイデンは破壊されてもサーヴァントもどきが健在なら再生出来るが、記憶がリセットされることも付け加えた。]
……ということなんです。
[バーサーカーは腹ごしらえが終わった後、身を休めながらセムラのいる方に注意を向けている。
今のバーサーカーの嗅覚なら、食事の匂いである程度の成分はわかる。自分に出された物にも、セムラに出された物にも特に異常は感じなかったので、黙って受け入れた。
バーサーカーの耳にもセムラの話が聞こえてくる。]
それにしてもメイデンと言うのが宝具なら、サーヴァント自身の名前は何なのだろう……そして昼間の男は何故狙われたのだ?
[心の中に沸く疑問は尽きない。]
―東:市民公園―
…え?
あ、いいえ。先程までは別の方と。
[中華まんとバウムクーヘンをくれた相手は、
無事に辿り着けたのだろうか。
否定のために首を横に振ると黒髪が揺れた。
そのまま去って行く少年を見た後、
小さく息を吐き出した]
…すまん、迂闊だった。
[まさか他の主だとは露知らず、とはいえ。
己の非を素直に認める言葉は、剣にしては珍しかったか]
/*
…しかし、投票誰にしたものか。
と、悩みながら
C狂人全力で対ラスボスに動きまくりな件
どこかで飲まれかかるのが
おいしいだろうか。
せっかくなので。
[昼間の彼、というとアーチャーらしきサーヴァントだろうか。
そちらについては心当たりがなかったので、ふるふると首を横に振る。一つ、彼がこちらに視線を向けていたのは気にはなったのだが ――。]
……アレを何と呼ぶべきか、私には分かりません。
確かにベースとなった人物(れい)はいる。
ですが、……前にも言ったように、言わば複数のサーヴァントの能力を保持している状態です。
真名が分かったとしても、対策になり得るとは、限らない。
[それでも良ければ、と。
言うべきか言わざるべきか、ゴロウと、面々に視線を向けた。]
いえ、私は結構ですよ、ありがとうございます。
[アサシンの厚意を柔らかく断り、少女の話に耳を傾ける。]
……なるほど、ご説明ありがとうございます。
事情は良く理解できました。
我々が争っている場合ではないかもしれません。
強大すぎる力の存在は、闘いの意思すら持たない者にまで犠牲を強いてしまいます。
一刻も早い対処が必要でしょう。
[そして、聖母と名乗った少女。キャスターかとも思ったが、あの立ち居振る舞いは武の心得がある者。セイバーかアーチャー、そのいずれかだろう。
いまひとり。あの戦場にいた、小柄で女顔のサーヴァント。女物の服こそ着ていなかったが−−飛龍の云う変態は、あの色眼鏡の男だろう。あたりをつける]
―教会―
[居心地が、悪い。唯一神なぞ、
やはり崇める気になれなかった。
彼方の時代に奪われた王国。]
…長居は御免だが…
[それはキースも同じだろう。
爺は起きるだろうか。金の眸で見下ろす。]
真名が解っているのならば、一応聞いておきたい。
まあ、私は人名には疎いのであまり役立てないかもしれないが、他の人たちが何か知ってるかもしれないしね。
[セムラにそう伝えた。]
―教会―
[カッ、と音がしそうな勢いで覚ました渋沢に
ちょっとだけ顔を引いた。]
やっと起きたか… …―― 誠?
[名前だろうか。]
誰か知らんが、人違いだろう。
おやおや誠。やっとお爺ちゃんの下へ帰ってきたか。
いいんだ。
もうお爺ちゃんはあの日のことを怒ってなどいない。
今日は特別な日だ。何でも誠の言うことを聞いてやろう。
何でも応えてやろう。
さあ、何がいい。
[渋沢は頭を打って人格が変わったかのようにニコニコだった。出血のしすぎとか傷のショックとかそんな感じだろう。]
[それからキートンの顔を見つめる。]
うちのマスターも人の事は言えないが、聖杯争奪戦なんてものに不似合いな感じだね、君は。
これだけの家を持って、性格も善良そうなのに命がけの戦いをしてまで欲するものがあるのかい?
[そう問いかけてみた。]
[食事の不要を聞いて、主の後方へと控える。
真名の話になって少し反応したが、判断は主へと任せるようだ。]
――。
[その視線はただ静かに、セムラへと。]
[幾らか口を噤んだまま一人で二十面相していたのだが]
まぁ、いいか。街に戻るぞ、相真。
まだ吾は服を買えていないのだよ。
[冷えてしまったあんまんを囓りながら促す。
空は少しづつ、杏に似た色を滲ませはじめていた]
―教会―
[――だめだ、こいつ。聞いてない?
怪訝そうな表情を浮かべた。
どうしたんだろうかこいつ、と
キースの方を一度見遣る。]
……あの日ってどの日だ。
[随分にこにこしていて、
有り体に謂えば なんだか不気味だ。
こたえてやろう、と聞こえたので
一応聞いてみることにした。白い指で示しながら]
……そこの書架にあった資料が
一部ごっそり無くなっている。
あそこには何があった。
犬さん、とお呼びして宜しいのでしょうか……?
命を賭ける価値があるかどうかは、その人の内にしか答えが無いものではありませんか。
私の願いは、世の中をもう少しマシなものにしたいという、ただそれだけです。
[穏やかに答えて、少女の言葉を待つ。]
あの日はあの日だよ誠。
そう、あれはお前が中学二年生だった頃……。
[聞けば、誠は中学二年生の頃にあるものを本棚の後ろに隠しておいたらしい。たまには掃除をしなさいと部屋に入った渋沢はその『あるもの』を見つけてしまい、誠は激怒した。もうグレてやる! そう言って誠は家を飛び出した。しかし渋沢は彼を追った。捕まえた。運悪くそこは国道であり、誠はたまたま走ってきたトラックに服が引っかかり、どなどなよろしく連れ去られてしまった。それ以来、誠は渋沢の家に帰ってこなかった。渋沢はアルバムを捲りながら誠との思い出を以下略。]
あそこの書庫かい。
あそこにはね、浦舞の前回の聖杯戦争に関する資料がね。
もう大変だったんだよ! まとめるのさ。
[相変わらずニコニコしている。]
ところで誠、腹はへってないかい。
今日は爺ちゃんと一緒に焼肉を食おう。
そちらは彼女さんかい? 随分逞しい彼女だねぇー。
[三人とも、肯定と取れる沈黙を以って言葉を待っている。
この名前が何を意味するのか。
何を知ることが出来るのか。何を生み出すのか。
セムラには分からなかった。
ただ一つ、こくりと頷き、言った。]
アレの真名は、―― 『ティチューバ』といいます。
……セイラムの黒人召使。
そこまでは、前回の折、私も調べました。
名前は「ゴロウ」だけど、犬さんでもわんちゃんでもいいよ。
……ふーむ、嘘はないみたいだね。このマスターにしてこのサーヴァントありか。
[そう伝え、アサシンの方をちらりと見た後、]
まあ、おかげで私たちは飯にありつけたわけだから、それは礼を言っておくよ。
[そう伝えて、身を横たえた。
それからしばし後、セムラの口から「ティチューバ」と言う言葉を聞く。]
― 東ブロック・アパート ―
(くらり)
[一瞬の目眩を、額に手を当てることで隠す。
足元には、ボロぞうきんのようになった主が転がっていた。]
……まったく、勝手な真似をするなとあれほど…
[そこまで言いかけて、首を傾げる。言っていなかったかもしれない。だが、どうせ言っても聞く気などさらさらないだろうから、気にせず前持って制裁しておく事にした。]
[その名を聞いたバーサーカーの第一印象は、「何だかすっぱそうな名前だ」であった。当然心当たりは無い。]
それって有名な人?
[首をかしげつつ、周りに問いかける。]
……
[少し口の悪い青年を見送る。少なくともサーヴァントを連れ歩かずにサーヴァントに接触するあたり、かなりの無鉄砲と見受ける。どうやら彼とはあまり気が合わないようだ。
とはいえ、情報は集まってきた]
他の人とも食事をしていたのか。ずいぶんとモテるじゃないか。
買い物か、しょうがない。出来るだけ手短に頼む。
[違反者がいる、もしくは外部介入があるとなれば、監督者への確認も考えたほうがいい。だが多分同じ結論に達した参加者も教会へ行くだろう。だとしたら、そこが集中的に外的に狙われる可能性もある。教会が不可侵なのは”ルール”でしかない。
今後の行動に対して慎重にならざるを得ない、と考えつつも、次の行動はセイバーのショッピングの付き添い。頭痛はさらにひどくなる]
じゃあ、繁華街へ戻る。
・・・・・・ほんとにバイクに二人乗りするのか。
[さらに誤解は深まるばかり]
[ティチューバ……名を聞いても心当たりはない。
その響きからして東洋の英霊ではないのだろう。]
主、心当たりは?
[しかし、現代の神秘の中に生きる主ならば心当たりがあるかもしれない。
その期待を、言葉として投げ掛ける。]
[足に力を入れると、『ぷぎゅる』と妙な声が、主の口から漏れる。]
『何するアルかー!
というか、せっかく令呪まで使って呼んだのに、あの体たらくは何アル!?こっちがおしおき……ぴぎゅる!』
[捲し立てる主の顔を踏みつけながら、ゆっくりと呼吸を整えていく。気づかれないように]
……。
[見知った顔と見知らぬ者。おそらく、見知らぬ方も、聖杯戦争に関わる者だろう。
目には入っていた。だが、突然、周囲が歪む程の目眩に襲われた。]
(吐き気が……する)
[ふいに違和感に襲われ、右手を見る。そこには、いつの間にか黒々とした跡が残っていた。]
(……拒絶反応…か?)
[擬似、とは言え、誇り高きその聖物は、仮の所有者など認めないらしい。
それは、一度たりともその槍の、真の力を引き出せていない事で実感してはいたが――]
…行くぞ、猿!
貴様のせいで中断していた柱を建て直しに!
[床にのびたままの主を布団で簀巻きにすると、それを担いでアパートを出た]
ああ、まあ、なんだ…成り行きでな。
…持てる?なんだそれは。
[現代の言葉は意味が解らない、とばかりに瞳が丸くなる。
確かに、手には貰いものの袋を持っているのだが、とばかりに
しげしげと手にもっとビニール袋を見下ろした]
あのせせこましい輿に乗せられるよりはマシよ。
なに、後ろに乗る事自体は慣れている。
吾は昔から体が小さかった故な、よく───
[そこまでで言葉が止まる。微かに口籠る。
目を伏せて、それから息を吐き出して]
…早く用事は、すませてしまおうかの。
[主を促すように、公園の出口へと向かう]
―教会―
[そうしてそっぽを向いたまま]
…情報は得た。
もう此処には用は無い。
呆け老人に付き合っていられるか。
行くぞ。
[未だ聞けることはあるかも知れないが、
我慢と忍耐の限界だったらしい。
そうして、教会を後にしようとした。]
そうか・・・
[ため息をつく。そして渋々バイクに跨り、あらかじめ用意しておいたセイバー用のヘルメットを手渡す]
これを頭に被って乗ってくれ。
あと、セイバー。さっきの会話で確信を持った。
今回の聖杯戦争、違反者がいる。
そして多分だが、ランサーかキャスターのサーヴァントのどちらかが、昨日の閃光の正体だ。
[率直に考えればさっきの鎧姿の金棒か動物が外部介入者となる。だが、さっきの彼の言葉。今回の件の中心には必ずライダーかキャスターがいると思わざるを得ない]
もしかしたらとんでもない化け物と戦うことになるかもしれない。覚悟しておいてくれ。
[バイクのエンジンをスタートさせ、中央ブロック・繁華街へ]
セイラム魔女裁判……。
暗い時代の忌まわしい歴史ですね。
[アサシンの言葉に振り返る。]
私も詳しいわけではありませんが……。
300年ほど前に、ある田舎の村で“魔女”として裁かれた女性の名前がそうであったと記憶しています。
[合っているだろうか、という様子で少女に話の続きを促した。]
なんだ、何か文句でもあるのか。
[主の懸念など知らない。
メットを渡されて、不思議そうな顔をしたか。
変な兜だ、みたいな、そんな顔だ]
違反者?
それはどういう───
[言葉が止まる。
主には口にしていないけれど、心当たりがある。
澱み、濁った何か。不可思議な絲を辿ってくるあの]
…わかった、頭の隅には置いておこう。
[そうやって短い返事を返して、主の後ろに乗せられて繁華街へと戻る]
―教会外→中央ブロック総合病院付近―
……ッ…
まったく、なんなのだ。
王に向かい無礼にも程がある。
もとより厭う場所だが、もう二度と行かん。
[夜の帳が降りた浦舞の街で、
王は怒り心頭だった。
しかしもう二度と、などと謂っておいて
どうなるかは分からない。
繁華街や図書館の辺りでは暴れすぎたため
人通りの多くない道を選び少々迂回するルートを取る。]
[程々に気配を遮断しながら、
目立つなりに目立たぬように行く。]
……それにしてもだ。
教会を襲ってまで資料を手に入れようとは。
[顎先に手をやり、考える所作。
I'm dying to kill…
who died and made a person…
更に重ねて謳う呪詛。
笑う女。]
仔細はわからぬが、
聖杯戦争が関わっているとなれば、
やはりサーヴァントか。
おい、今までで遭遇したマスターの数……、…
[そこで。アーチャーの言葉はとまる。
視界の端に何かを捉えたからだ。
同類。すなわちサーヴァント。
そこまではいい。
何故か簀巻きにした多分人間を抱えている。
そしてその両方に見覚えがあった。
ライダーの組だ。]
なんだあれは。
[敵対云々を抜きにしても少々見なかったことにしたい図ではあった。激しく目立つ。]
―中央ブロック・病院付近―
…ええいっ!
じたばたするんじゃないっ!
[肩の上でもがもがと動く主を小突き、地面にどすんと放り投げてから一息をつく。]
……華奢そうに見えて、案外重いのだなお前は…
[いっそ、ここに捨てて行こうか――
そう本気で思った時、その気配を感じた。]
……どこかで見た顔だな、お前。
[立ち去るかと思ったところで
ライダーがこちらを振り向いた。
歩き去ると余計におかしいか。
教会での一件もあり、辟易した表情でライダーを見た。]
……何だ。
[あの騒ぎの中では
はっきり憶えていないのだろうか。
ずっとマスター――猿を踏みつけていたわけだが。]
簀巻きを担いで居たと思ったら放り投げて
何をしているのだ、御前は。
ふん、放っておくと録な事をせんのでな、この猿は。
担いで連れてきたのだが、いささか肩が疲れた。
…欲しいのなら持っていくがいい。
[そう言って、簀巻きを蹴り飛ばそうとする]
[顔が微妙に見え隠れ。
やはりあの時の青年――猿だった。]
要らん。
御前のだろう。
自分で何とかしろ。
[そしてにべもない返事だった。
簀巻きが転がれば、猿が昨夜のことを口にするか。]
黙れ、やかましい。
[簀巻きを見下ろす大の大人3人。
ちょっと問題のある図だった。]
[足元で騒ぐ主をちらりと見て、ため息を一つ。
その表情にはあきらかに、「面倒だ」という文字がありありと刻まれている]
……ああ、そういえばお前…
[そこで言葉を区切り、アーチャーに向き直る。]
先日会った輩だな…。
なんのクラスだ?
[右手をゆっくりと天に掲げる。]
……ランサーならば、この場で命は諦めてもらおう。
[倉庫に戻るとはすでに戻っていた。
また、お説教の時間の開始だった、もちろん単独行動について。
適当に流した後、用意されていた肉と酒をひたすらにがっつきとりあえずの睡眠とした]
く、らいな。
もうこんな時間か……。
[再び目を覚ますとすでに時間は夜へと移行していた。
だいぶ治ったとはいえ体は体は急速を欲していたのだろう]
[どうやらこのサーヴァントは
相当マスターの所為で苦労しているらしい。
美貌の表情に刻まれた「面倒」の文字が
それを物語っている。]
――…然様。漸く気づいたか。
昨夜の茶番は少々呆れたぞ。
[眼を細め、
手を天に掲げる女を見る。]
御前は騎兵だったな。
この私が槍兵に見えると謂うか。
だとすればその眼は節穴だな。
[腕を組んだまま、金の眸で見下ろした。
神代に触れたものならば、覚えがあるやも知れない色だった。]
[青年の言葉に、こくりと頷く。]
私もその認識です。
なので、更に詳しく調べようと図書館に赴いたのですが、…… 途中で終わってしまって。
[セイラム。魔女裁判。ティチューバ。
それがあのような、物騒な単一理念を持つに至った理由は何なのか ――。]
ティチューバの最期は分かりません。
ただ一つ言えることは、セイラム魔女裁判は、………。
[それ以上を語ることは出来ない。
何故なら。
あの村で起こった事態が何であったのか。
300年以上経った今でも、真相は不明なのだから。
事実として、大量の『魔女』が告発され、裁かれ、時に処刑され、―― 中には、つい最近まで『魔女』の汚名を撤回されることのなかった被害者もいたという。]
[倉庫の外に出ると魏延が立ち尽くしていた。
何か考え事をしているようだった]
そうそう、セイバーのサーヴァントとマスターにあったぜ?
セイバーは聖母とかよばれてたな。
マスターの方はそれなりにできそうだった。
でも、万全の状態なら負ける気はしないけどな……。
[持ち帰った情報を魏延へと伝えた]
[情報を伝えると魏延は顔を真っ赤にして怒り出した。
なんていうか、もはやトマト見たいな色で笑えた。
思わず笑ったら余計に怒り出してしまったが]
まぁ、そう怒るなよ。
情報持ち帰ったし、俺は無事だしさ!
さぁって移動しようぜ。
夜は戦争の時間だ。
[お互いの情報を交換しようと話を少しだけした。
それがすむと二人連れ立って街へと*歩き出した*]
[かのクラスを否定され、右手に収束しつつあった魔力を止める。警戒は怠らなかったが。]
……ふん。
(ならば、今、不安のある状態で戦うべきでは無い…)
[跡の残る、掌を強く握って隠す。
ふと、何かを思い出したように相手を見上げた。]
…その金の瞳。
……どこぞで聞いたか、子守唄であったか…
[くっ、と、口端を上げて笑う]
…貴様、愚かな搭の主だな。
―中央ブロック:病院付近―
[魔力の収束が止まるのを流し見る。
食事でそれなりに回復したとはいえ、
昼のこともあり真正面からやりあうには少々厳しいゆえ、幸運ではあった。]
どうした。
何ぞ槍兵に恨みでもあるか。
[しかしそれは悟らせぬよう態度はかわりなく尊大。
声に揶揄るような色を混ぜた。
騎兵が隠した掌の痣は今は見えず。]
――、…
[笑う相手に、金の眸が少々険しくなる。
己の姿を知っているとなると、限られる。創世記に自分の仔細は語られていない。しかし、それを知っているとなれば]
騎兵……貴様は神代に連なる者か。
…恨み?
恨みなど無い。ただ――
[そこまで言って、ふいに目の色が暗くなり、続く言の葉を飲み込む。]
……愚かなる王よ、またもや現世に生を受け、力を手に入れ、汝は何を望む?
再度我らに逆らう心づもりか…?
[笑いながら、蔑むように、告げる]
我は、モリガン。
戦場に降り立ち、死と狂乱を司る女神――
ふーむ、伝説が彼女をああいう姿にした可能性もあるけど、あの調子じゃ元から何らかの力を持ってたのかな。
魔女かぁ……私はその単語を聞くと、ほうきで飛んで三角帽子かぶってって姿を思い出すけど、あれはそんなほんわかした物じゃ無かったよな。
そういえばセムラがほうきで飛ぶと、魔女って感じだね。
[バーサーカーはそんな念話を飛ばしながら、空になった皿を前足でもてあそんでいる。]
――…?
[女の眸に挿す色の意味を汲み取るには、
見えた時間があまりに少なすぎる。]
その言葉、そのまま返すぞ。
……神が受肉して何の願いを為すつもりだ。
身勝手で傲慢な神に従い続ける理由など無い。
我が都、返してもらう。
――私は“反逆する者(נמרוד)”
今一度天を貫いてくれよう。
[笑う“女神”を睨み据える。
高い神格を持つはずの、女神だった。]
この格好は……。特に意味は、ありません。
でも、ありがとうございます。ゴロウさん。
[『魔女っぽい』というのは、セムラにとって褒め言葉だったらしい。語っていた内容のせいか硬くなっていた表情は少しだけ柔らかくなる。
だが、ティチューバに関して推測しか出来ないのは確かだ。セイラムで裁かれた魔女が、或いは疑われた『魔女』の中に真実の魔女がいたのだとしたら。
それがティチューバだったということなのだろうか。
可能性はゼロではない。しかし……。]
……彼女の正体を推測するよりも、魔術師を探して叩く。
ないしは、魔術的な要素を封印する。
ティチューバの能力如何よりもそちらが優先事項。
そう、思います。
[それはつまり。
今はまだ、遭遇してしまったら為す術がないということ。]
[目の前の王に、鼻先で笑ってみせる]
…屑共に何を言っても無駄か。
ならば、人間よ、同じ過ちを繰り返すが良い。
…我の望みか?
貴様より先に我が息絶える事があれば、教えてやろう。
…さらばだ。
−中央ブロック/繁華街−
[優雅な二人乗りのドライブも終了。途中セイバーのはしゃぎであわや大事故になりかけたものの何とか繁華街に到着した。
バイクを繁華街の入り口付近に停車し、ショッピングを再開する]
とりあえず、俺の用事は終わったからあとはセイバーが行きたいところに付いて行く。
出来るだけ早く終わらせてくれよ。
[口ではそういいながら、なにやら考え事をしている。多少心ここにあらずの状態でセイバーの行動に追尾する]
―中央ブロック:病院前―
ハ、……驕り高ぶる神よ。
――やはり私は御前たちが大嫌いだ。
[口元を笑みの形に歪めるが、
眸は全く笑っていない。
――傲慢不遜はこの王もであるが
それゆえにぶつかるものなのか。]
私は勝ち残る。
なれば、聞く日も遠くあるまいな。
[美貌の女神は去り行く。
簀巻きの人間を、抱えて。]
…… …。
[神代の人物が要るなら、と思ったが
神そのものが現れるとは、と苦い表情を浮かべる。
名が知れればそのまま能力の予想となろう。
だが、相手の名も得た。]
キース、…――戻るぞ。
[――夜は、戦争の時間だ。]
−繁華街−
相真、あれはとんでもないものだな!馬よりもよほど早い。
自分で操る事が出来たら素晴らしいだろうにの…
[服を見ながら、バイクについて熱く語る見た目女子高生。
何ともシュールな展開である。
そして、残念なことに剣と見た目だけは同じような少女たちが
多くいる服屋の中で主の姿の浮くことこの上ない。
早く終わらせろと言われたので、とりあえずは従うことにした。
結局はカットソーを何枚かと最早定番のミニスカートが二枚。
それからショートパンツが二枚に、グリーンのショートジャケットと青緑のストール。
しめて23780円なり。勿論荷物は自分でなど持たないわけだが]
…ああ、そうだ。先程、食事をしていた相手だがね。
何処かのサーヴァントだ。位階は解らんが、将軍、と呼ばれていると言っていた。
話の解る相手ではありそうだよ。
[服屋を出ながら、それくらいは報告しておくべきだろうと、主を見た。
あの場で言わなかった事は起こられたかもしれないが、
そんな事よりも今はそのサーヴァントに貰ったバウムクーヘンを食べるほうが重要だった]
戦略としては其が良いでしょう。
[少女の提案に対して首肯する。]
問題は戦術、つまり根源を絶つ具体的な方法ですね。
所在に心当たりはありますでしょうか、――。
[少女の名前を呼ぼうとして、まだ名乗ってすらいなかった事を思い出す。]
これは失念しておりました。
私は国分=キートン=太一。
此度の聖杯戦争に名を連ねる者にして、既にご存知の通り、ここに居る馬岱のマスターです。
[慇懃に頭を下げた。]
/*
実際にはタイツ三枚の値段も入ってるんだけどねこれ<23780円。
まあ、ほら、今セールしてるからさ。
残金は26220円、と。
・・・・・・はあ?
え、あ、ちょっと待て。なんでそれを先に言わないんだ!!
[あまりの唐突な告白に少し声を荒げてしまった。しかも勢いでちょっとだけ胸倉をつかんでしまい、そうしたら少覗けた胸元に『あっ、ごめん』・・・・・・なんていうシチュエーションは当然無く、ただただ唖然とした]
もっとしっかり教えろセイバー!将軍って、クラスとか真名とか宝具とか特技とか好きな食べ物とか過去の思い出とか女性遍歴とかこう個人を特定出来そうな情報は何か言ってなかったか!?
[声が大きい]
[青年――キートンに頭を下げられると、セムラも返すように頭を下げた。変わった名前ではあったが、それは自分も人のことは言えない。]
私はセムラ……です。
彼……ゴロウさんのマスターを務めています。
よろしくお願いします。太一さん。
[フルネームを語ることは、神社で剣助に笑われたことを思い出して途中で止まってしまった。表情にも出てしまったかもしれない。
ともあれ、同じ聖杯戦争の参加者でよろしくお願いしますというのは複雑なものがあったが、今はそれが適切のように思えた。]
その魔術師の所在は、…………。
一人だけ、心当たりはあるにはあります。ですが。
[困ったような表情をして、その先を言えなくなる。
少しの沈黙の後、搾り出すようにこう続けた。]
まだ、そうであるという確証がありません。
…… 最悪の場合の方法論として。
生命体としての機能を停止させることになる。
――― 、もし、間違っていたら。
[犠牲者が、一人増えるだけだ。
―― 一般的にも魔術師的にも、そうなる。]
ちょ、っ。
[いきなり胸倉を掴まれたのは流石に驚いた。
どうせ男なので本人的には問題がないのだが、見た目的には幾らか問題がある。
まあ、とりあえず主が機嫌を損ねたのは確かだったので今は逆らわずに置く]
…まあ、とりあえず落ち着いたらどうだね。
これは人に物を聞く態度ではなかろうよ、お前。
[とりあえず落ち着かせることが最優先。
セーターからとりあえず手を外させると]
───真名は、聞きそびれてしまったが…ええと、背の高い男であったよ。
真面目そうな男だったな。それと、今日の昼間の騒ぎに、恩人がいたようだね。
…それくらいだろうか。
どうしたものかね。
[他に何か繋がるものはあっただろうかと考えてみる]
昼間の騒ぎに恩人?それと真面目そう・・・
あまり情報にはならない話だが、一般論だけで言うなら将軍と呼ばれる人物であればランサーのほうが有力か。
あ、いきなりつかんでしまってすまない。つい。
しかし・・・・・・君も相手ももう少し緊張感という物をだな。
[先ほどの青年といい、どうも開放的な参加者が多いようだ。無論隙をつき安いには越したことは無いが、どうも調子が狂う。
一通り目立つ状態でセイバーに説教をし、満足した頃に深呼吸]
ランサーがもし規格外の戦闘力を持っていたとするなら君は多少なりとも何かに気がついたかもしれないが、どうだった?
此方こそ、宜しくお願いします。
[名乗る際の不自然な間には触れずにおく。]
問答無用で其の魔術師を襲う心算はありません。
ですが、心当たりが在るのであれば調査するのが妥当でしょう。
現状では其れが最も先程セムラさんの仰った戦略に沿うように思います。
[如何でしょうか、とセムラに尋ねた。]
それは。
…………。
………その、魔術師は、…………。
魔術師は…………。
…………。
[協力すると違った。
倒すために、―― 必ず倒すと誓った。
誓ったはずなのに。
言葉が、続かない。]
[今はまだ、自分から告白することは出来ない。
”彼”にこの地を、留守を任された。
だから、せめて引き継がなくてはならない。
浦舞を引き継ぐに相応しい誰かを、戦争中に。
それと、ゴロウの再契約相手も。
けれど。
そうしている間にも、犠牲は増え続けるかめしれない。
なら、―――― でも。]
──ああ、そうだ。
白いふかふかを大量に買い込んでいたので、もしかしたら
あれを食べた事があるのか、それにかかわるような文化で育ったのかも知れん。
[白いふかふか=中華まん。果たしてこれは伝わるのか否か。
ランサー、という言葉に、なるほどと思うのは雰囲気で合点がいくからか。
緊張感というよりは食べ物につられたというのが正しいのだが敢えて言うまい]
うん?そもそもの規格が解らんでの、何とも言い難いが。
ただ、彼の御仁は呪いには幾らか疎いのか弱いのかそんなようには見えたよ。
昼間の騒ぎを感知するのは遠いあの場所からでは少し大変だったようだ。
[微かに表情が変わったが、すぐに消えてしまったか。
夜は深くなってきている。杏色から紫黒へ変わりつつある空に広がり始める夕星]
/*
正直あと何処とあえてないのかさっぱり!!
えーと、アサシン・セムラ・わんこ・ぼすけて。
こうか?こうなのか?
たっとらは、そのうち会える気がする。
夜は戦争の時間……か。
[剣助の言葉を、小さく繰り返す。
いまや、そのような規定に何の意味があるのか。
三組の主従が、あの怪異と踊ったのは、輝く陽光のもとではなかったか。
そも、既に二組と不戦を約してもいる。
果たして、いまこの秋。
戦争などにかまけている場合なのだろうか?]
済みません、少々立ち入り過ぎたようですね。
少し休憩しましょうか。
[立ち上がって台所に向かい、手際良く紅茶を淹れて戻ってくる。]
心が穏やかになると思ってミルクティーにしました。
気に入って頂けると良いのですが。
[セムラの前に、湯気の立つカップを差し出した。
アサシンにも同じものを、ゴロウには少しだけ温めたミルクを差し出す。]
こんなものしかありませんが……。
[意識を赤黒い澱みへ向けていた。
探していた声は聞こえない。
ふと、思い出したように]
御前、キートンとの取引は
どうするつもりでいるのだ。
面倒なものは、
早々に何とかしてしまいたいのだがな。
[―――面倒なもの。
あの笑う影か。
皆殺しをいとわぬ自称《化け物》か。]
何にせよ……
今宵ぶつかるは得策とは謂えまいな。
御前も完全には回復していまい。
……ありがとうございます。
[カップを両手で受け取る。
掌がとても冷たくなっていたことを知った。
一口飲むと、それはまた、温か以上の味がある。
美味しいという意を伝えるべく、顔を上げ、薄く頬を緩めようとしたが、瞳は彷徨ったままだった。]
主、その様なことは私が……。
[全員へ茶を入れようとする主を制止しようとしたが、逆にそれを手振りで止められた。
無理に止めるのもまた無礼となるだろう。
はぁ……と、諦めて小さくため息をつく。]
−−中央ブロック、オフィス街−−
[或るビルの屋上。
高いところから敵を捜してみよう。そう主張する剣助に従って、上ってはみたものの]
……お互い魔力感知に疎く、視力も普通で。
どうする気だったのだ?
[なんとかと煙は高いところに、という言葉を知っていれば、真っ先に思い浮かべたことだろう。
半目で剣助を見やって、溜め息ひとつ]
[しかし――。
やはり先程からセムラの様子が若干おかしい。
それが話に内容によるものなのか、
それとも体調がまだ不完全で、無理から来るものなのか。]
セムラ、やはりまだ無理をされているのでは?
体調が芳しくないなら、少し休まれた方が……。
[主の後ろより歩を進め、目線を合わせるために身を屈める。]
[魔術師の名を口にしようとした時のセムラの様子に、バーサーカーは少し心配になる。]
以前に聞いた、恩人でも関わっているのだろうか。
あるいは別の何かか……。
[色々想像して、出されたミルクに手がつかない。]
白いふかふか。
[最初はマシュマロか何かと思ったが、公園でセイバーが手にしていたのは中華まんだった。としたらランサーと思われる人物は中国出身である可能性が高い。槍・中国・将軍と言われれば該当者はごまんといる]
大体見当はついた。有難う。
[教会にいく前に、
”キャスターと思われるサーヴァントを確認すべきではないか”
ふとそういう感情にとらわれた。
状況説明するのにに足りない自分達の情報量では何も解決しないだろう。もし既に緊急招集が為される事態となっていれば、マスター全員へ通達が来るはず。それも無い。
となるとまだ非常事態であるという判断は為されていない。
確認する必要がない訳ではない。
但し、その時は総力戦になる。セイバーの戦闘力がキャスターに匹敵するか、自身のサポートが足りるか、もしくは・・・キャスターのマスターを早々に沈黙させる事が出来るかどうか]
そう、白いふかふか。
[頷く。パッケージなど当然だが見ていない。
大事なのは中身であるからして]
本当か?まあ、お前がそれで見当がついたというなら構わんが。
さて、どうするのだ相真。
そろそろ───時間ではないのかね?
[ちらりと空を見上げてから、主へと視線を戻す。
服屋の紙袋がどうみても場違いだが仕方あるまい。
己の技巧の中に、気配を消すものはない。
そういう意味では、自分が此処にいると知らしめて歩くしかないのだが]
[馬岱の目が目の前に来て、漸くはっとした。
咄嗟に目を逸らそうとしてしまいそうになる。]
い、いえ。私は、大丈夫、です。
それに、じっとしてばかりでは、何も出来ない。
[首をふるふると横に振る。]
私はあの時、きっと皆さんの、……馬岱さんたちの力になると誓いました。
昼間のようなことが繰り返されるようなことがあれば、今度こそ被害者が出てしまわないとも限りません。
だから………。だから、私は。
私は……大丈夫です、から。
[違う。そうではない。
確かにあの閃光のような魔力放出が起きれば、次はこの繁華街が吹き飛ぶかもしれない。しかし、あれだけの力であれば他サーヴァントが自然と離脱するかもしれない。もっと状況を見定めるべきだ。
それが聖杯戦争においてのもっとも賢い戦略。
先ほどの青年も、サーヴァントが付近にいない以上無傷で返すべきではなかった。
今の俺の思考は、何か巨大な無差別殺人犯を追う”Hypoclite”でしかない。非合理的だ。
俺は、何がしたいのだ]
[女だったから。
使用人だったから。
奴隷だったから。
黒人だったから。
始まりは、とても小さな、子供の嘘。
彼等にとって、それは『悪戯』をしてもいい相手だった。
そう、最初はとても些細な『悪戯』。……だったはず。]
……わかりました。
ならば止める事は致しません。
――ですが。
[セムラの意思を聞き、静かに目を閉じる。]
あの場に居た者達が、私に力を貸したいと言ってくれた事と同じ様に。
私も、他の者達の……セムラの力になりたいのです。
ですから、"一人で"無理はしないでください。
その心に秘めている重さは肩代わりできない物でしょう。
ですが、その背を支える事ぐらいは出来るかもしれません。
[再び目を開き、少しだけ微笑んだ。]
― 西ブロック / 発電所 ―
[―― 嫌なものを思い出した。
キャスターは目を細めながら、そんな事を思った。
教会を襲撃に向かってからどれ程の刻限が過ぎただろう。
発電所に蔓延る血の臭いももはや錆と同列化し、嫌悪も吐き気も感じない。―― 元からそんなものは感じていなかったわけだが。
一人座り込み、キャスターは次の手を思案している。
正面からの戦闘では、他の勢力を呼ぶ可能性が高いと二回の戦闘で知った。負けることはないが、殲滅することも出来ない。
ならば、と教会に赴いて自分に繋がる痕跡を消した。……あの爺が死んだかは確認しなかったが。
しかし、恐らく、それも無駄だろうとキャスターは考えた。
次の手を打たなければならない。
掌から滴る血で影の使い魔を生成しながら、思案する。]
………… 馬岱さん。
[魏延は ―― 彼と因縁があるらしいサーヴァントは、一人でティチューバに挑もうとする馬岱を指して、協力を誓った。
きっと、今の自分も同じことをしているのだろうと思う。]
馬岱さん。……ありがとう。
[一瞬だけ。ほんの一瞬だけ、泣きそうになった。
さすがに、それはその、恥ずかしかったので俯いてしまった。
けれど、今は。
何故だか一番欲しい言葉を、馬岱がかけてくれた気がした。
視界が霞んでいたのは、湯気のせいだけではないだろう。
こしこしと目をこすり、応じるように、微笑んでみせた。]
え?
[幾らか面食らった。
主の問いかけは唐突だった、今回も]
相真、いきなりその質問では吾もどう答えていいか解らないよ。そもそも、だ。
…お前はどうか解らないけれど、少なくとも、吾はまだ問題の状況に
遭遇した事がないね?つまり、今の状況では判断するには不十分ということだ。
それに、この戦で味方などいないのではないのか。
一つの杯を、七騎で奪い合うのがこの戦だろう?
休戦を約そうが、何らかの協定を結んだとしても──須らく周りは敵だ。
つまり、敵であれば倒し、脅威であるならば殲滅する。
けれどすべては見えてから。
[幾らか言葉を告げてから]
これが、吾の意見───というところかな。
いえ、礼を言うならば私の方でしょう。
私一人が先走ろうとした所に、魏延と貴女が手を貸そうと言ってくれたのですから。
――あ、いえ。
私の主は、もちろん主ですよ?
[何か可笑しな事を言ったのだろうか。
主の苦笑が聞こえて、若干慌てた様に返答をした。]
―東ブロック・アパート―
[ドアを開き、主を簀巻きのまま部屋に転がすと、窓際に腰を下ろす。]
……。
[窓をからからと開けると、月明かりにはためく旗―
命じた通りの文面で]
…ふん。
おかげで、迷わずに帰ってこれたぞ。
[聞こえるか聞こえないかの声で、ぼそりと。
主は耳に入っているのかいないのか、相変わらず簀巻きのまま転がっている。
もう一度、窓の外の+夜空を見上げた+]
・・・・・・ああ、そうか。少し自分の中で考え込みすぎてしまっていた。
本当にすまない。
[言葉に出来てなかった。セイバーへ自分が得た情報を伝えていない事を強く反省した]
少し頭を冷やしながら、説明する。
それより、少しお腹がすいたかも。何か美味しいものでも食べていかないか?
[気分転換をすべきだと思った。自分の目の前にいるセイバーは、身なりこそ奇異な存在だが常に冷静でいる。それに比べ、人間である自分の小ささを感じてしまう。よく考えてみれば、さっきから荷物もちで疲れてもいる]
[そしてたどり着く。
シンプルな一つの答に。
視線の先は窓の外。
幽蓮寺聳える汐野山。
キャスターは大量の影を引きつれ、夜行を開始した。]
いや、構わんよ。
考えが回る事は良い事だが、お前は聊かこう、視界が狭いようだね。
[自分の両手で、目の横に壁を作る。
其れをスッと前に持ってくる。それが壁の仕草]
ああ、頼もうか。吾も状況はいくらも把握できておらんのでね。
──美味い物?それは楽しみだ。では、そのようにしよう。
[美味い物、と聞けば素直に表情が緩むのが食べざかり。
槍騎と公園に向かいつつどれだけ食べていたかというのは最早記憶のかなただった]
そうだな、狭い視界のままだといつか転んでしまう。
さて、それじゃあ・・・・・・
[視界内に、確か評判が良い日本蕎麦屋を見かける]
バームクーヘンや中華饅だけではなく、たまには和食でも食べようか。蕎麦とかどうだい?
転ばぬように頼むよ。
お前は吾より大きい故、起こすにも一苦労だ。
[蕎麦、と聞いて小さく頷いた。
蕎麦ぐらいはどうやら知っているらしい。
但し、麺状に似たものかどうかはさておいて、だ]
ああ、そうだ…相真は魚の形の菓子を知らないか。
件の将軍殿から戴いてな、あれも美味かったんだ。
[蕎麦屋へと向かう足は止まる事はなかったけれど、
思い出したように尋ねる]
魚型とすれば、多分鯛焼きだろう。繁華街のどこかで売っていたような気がするんだけどなあ。
多分その将軍もここらへんで買ったんだろうし。
じゃあ、お土産に買っていこう。
[凝り切った心を解された気分になりながら、そのまま蕎麦屋へ入る。店員に少し怪訝な表情をされつつも、少し奥の座席へ案内され、メニューと水を置かれる]
そうだなあ、とりあえず天麩羅蕎麦がお勧めだと思う。
蕎麦を知っているなら、他の店よりもお品書きの内容は判りそうだな。
[水を飲んで、喉を潤した後に深呼吸]
鯛焼き。
そういう名前なのか、あれは。
[土産に買ってくれるというので、遠慮なく甘える事にした。
流石に女子高生(見た目)と蕎麦というのは何だかシュールな気もしたが、
落ち着いていて、本人的には好感が持てる店だった]
てんぷら?…よく解らんが、何やら目出度そう名前だな。
ではそれにしよう。お前が勧めるというなら、それを信じてみるよ。
[出された水には手をつけず、その代わりにお絞りで手は拭いた。
主の言葉を、割合落ち着いた様子で待ってみる]
― 南ブロック / 幽蓮寺 ―
Virgin of Nuremberg
恥辱苛む偽りの拷問具
[参道を登り切ったキャスターは、静かに宝具を展開する。
山を包む森を揺らすささやかな風も、キャスターの髪を梳かす冷たい月明かりも、その現界に変化を見せない。
メイデンが再生されるのを待ち、魔力を回し続ける。]
―教会→―
[教会を離れ、病院のほうへと向かって歩く。憤慨した様子のアーチャーを見ながら震える肩]
確かに、無礼だな。だが、本当に目がどうかしていたかぼけたんじゃないか?
俺の方が、女に見えるんだからな。
いや、フランが孫に見えたなら、それでもいいが、だが彼女はないな。
[笑いを噛み殺したような様子。人の少ない道を選ぶ]
何故襲ったのだろうな。
資料が欲しければそれだけ持っていけばいい。あのじじいを殺す理由はあまりない。
殺したがってるなら、ありだろうが、それなら一般人も襲うだろう。
ん? ああ……キートンに猿、ヒポクライト、あの娘、の4人、か?
[アーチャーの言葉が途切れる。キース自身も、その気配に気づいた]
……ありゃ、なんであーなんだ。
[ライダーとそのマスター。簀巻きにされた猿を見下ろし、けれど意識はライダーへと向ける]
[一歩引いて、その場を見守った。
愚かな塔の主、というライダーの言葉に、眉だけを動かす。
そして告げられた真名]
やはりか。
[それだけ小さく呟いた。図書館で漁った資料の中、ゲイ・ボルグに繋がる女の英霊。その候補だった名。
火花でも散りそうな様子に肩を竦める。
危険ではない。まだ、そんな様子ではなかった。
やがて去っていくライダーの背を見詰める]
ああ、やっと終ったようだな。くたびれたぞ。
[戻るぞ、との言葉に頷いて、首を鳴らした]
それじゃあ、セイバーがその将軍やあの青年のマスターと食事をしている間に僕が見たものを説明する。
図書館で騒ぎがあって、そこに居合わせた。正確には戦闘には直接参加はしなかったんだけど。ああ、図書館にいた人達は無事逃げのびた。
それで、そこにサーヴァントが4人いた。
一人はアーチャーで、もう一人は教会に行った時にすれ違った眼鏡の男性。途中で気配を消したので、多分アサシンだと思う。
問題は残り2名。片方は全身鎧姿の女性で武器は金棒。もう一人は、要するに獣だった。
セイバーは将軍と会って、これで俺達は自分達を除いて6人のサーヴァントと会ったはずなんだ。
ところが、キャスターらしきサーヴァントがいない。金棒と獣についてはどのクラスかよく分からないのはあるけど。
それで、昼間の青年の言葉。
とんでもない力を持ったサーヴァントがいるらしい。
多分それがあの閃光の原因なんじゃないかと思う。
それで、俺はこう思った。8体目のサーヴァントがいるか、もしくは誰かがルールを破っているかのどちらかなんじゃないか、と。
図書館での戦闘では、金棒のサーヴァントが一際戦闘力が高いって印象で、他のサーヴァントがその金棒に全員で攻撃していたから、あの金棒のサーヴァントが異端なんじゃないかと思ってはいるんだけど・・・・・・
[魔力が流れ込むに攣れ、元素が構築され往く。
――――体は 鉄で出来ている
血潮は鉄で 心は鉄――――
――そして其の存在の全ては鉄――]
四人。フランと、…ああ、あの男か。
気配が消えたというなら、暗騎の可能性は高そうよの。
獣に───金棒?どうなっている。
まあ、その、なんだ。獣も、それこそ将の首を取ったということがあれば
有り得ない事ではないとはおもうが…。
[何かが調理される、よい匂いがする。
それに少しだけ意識を取られながらも、話は続く]
まあ…その状況であれば、その金棒持つ霊が異端ではあろうな。
しかし、なぜそのような
[考え込むような言葉が途切れる。
目の前に運ばれてきた器に、興味を持って行かれた。
相真に倣って箸を割りながら]
それで、先程の問いかけへつながるというわけか。
中身予想
つーかいくつか確定してるけどww
アサシン:戸田
主:紳士
バサカ:魔王さん
セムラ:粗食さん
ライダ:ツンデレ
猿:ドM亀
多分渋沢も粗食さんかな?
つーかGM側は何役やってるんだ。
たきさんとかそれっぽいの合わせると数が……。
まあ、そういうわけなんだ。
セイバーと公園で合流した時点では、ランサーも不明だった。
だから、中国の将軍と聞いてランサーの可能性が高いと思ったのさ。一般論だけど。
中国の将軍でもキャスターになる可能性は無いわけじゃない。ただセイバーが魔術体制が低そうだったというなら、多分キャスターではないと思う。だからランサー。
[そういいながら蕎麦をすする。さすが評判の店、蕎麦も天麩羅も旨い]
それにしても、俺がいない間にサーヴァントとマスター1人ずつと食事をするなんて。その変装の威力はすごいな。史実は本当だったという事か。
それで、俺の今の悩みはその違反者の迎撃を優先するのか、それとも聖杯戦争の定石通りに事を進めるかって事だ。
実際に遭遇してみなければわからないが、あの閃光を放ったのがキャスターで、青年の言うとおりそのキャスターの戦闘力が規格外で、もし違反者側だとしたら。
あれだけの魔力の開放、もし街中でそれが起きたらというのも含めて。
[ずずっ、と汁をすする]
放って置けば他のサーヴァントが倒れるかもしれない。けど被害もかなり出るかもしれない。
――――。
[懇願の声を上げるメイデンに、キャスターは再消滅を止める。]
――――。
ニンゲンの世界には、タブーというものがありますの。
放送禁止用語。言ってはいけない。
[ふう、と溜息をつく。
ちなみにキャスター自身もよく分かっていない。]
―――東ブロック・アパート―――
[簀巻き状態から何とか抜け出し、今は窓枠に腰掛け月を見ている]
良い、夜アル。
今日は……。
[簀巻きで担がれ連れ回された一日を思い出し、その言葉を口にする]
何処かの誰かに八つ当たりしたい気分アル。
む。これはたしかに美味いな。
[とりあえず真似をしてすすった後に、えび天を食べてみた。
さくさくの熱々だ。蕎麦つゆがほのかに滲みて、確かに美味い]
海の向こうは様々なものがある故、そう考えたのも解らんではない。
それに、呪う事ができるなら、わざわざ走って戻ったりはせんだろうよ。
それ故お前のその推論はある程度信用できるものだとおもう。
[衣のさくさくとした食感はお気に召したようだ。
海老はしっぽまで食べてしまったようだが気にならないらしい。
春菊と貝柱のかき揚げを加えたところで]
ん?ああ、当然よ。
お前、吾を誰だと思っている?
[しかしかき揚げを加えているせいでいまいち威厳がない]
――――。それよりも。
[視線は闇の先。登ってきた階段へ。
参道から登った頂上にある唯一の正門。]
――――。死守を命じます。メイデン。
何人たりとも通しては、なりませんわ。
[それだけ告げて、背を向けた。
ここは活きた寺。寺にはニンゲンがいる。
―― 篭城には、不必要な因子。]
……。
お前、これが聖杯戦争だってわかってるんだろうな…。
[今度こそ、脱出出来ない箱にでも入れて、海に沈めてやる―
月を見上げる主を見て、そう心に固く誓った]
[狭い路地を歩きながら、黒の外套を押さえる。風が冷たいと、吐く息は僅かに白かった]
宝具を使うには、足りんか。
……わかってる。回復はもちろんさせる。
一晩眠って、満タンになりゃあいいんだけどな。
明日は、早いうちに足を手に入れる。
レンタルバイクで何とかなるだろ。
男と二人乗りは、あまり気乗りしないがな。
[言いながら、行く先に拠点であるウイークリーマンションが見えた]
「申し訳………。御座らん。」
[蒼白な顔で、辛くも現世に身を残された事に安堵する。
そして――]
「――相、分かり申した。」
[告げられた自由に、眼差しを厳しく命を請けた。]
/*
春菊と貝柱って微妙に合わない気がするのよな…
最初は桜エビのつもりだったんだが、吾の中身が桜エビ嫌いでの。
えび天・かき揚げ。もう二つぐらいは乗せたいのだが如何しようかの。
鱚とちくわでどうだろうか。
このあいだ飲みに行った店のコーンのかき揚げが絶品だった…(どうでもいい。
行くアルよ、ライダー!
この時間なら文句無いアル。何処の誰でもいいから、とりまぶっ飛ばすアルネ。着いてくるアル!
[神刀をベルトに差し、何かスジの間違った怒りをまき散らしながら……飛龍はアパートを後にする。
あてはない。目指すのはどこでも良かった]
[前髪を揺らす風に眼を細めた。
見上げた先、月が見えた。]
――使えても、私が魔力不足で
行動に支障がでかねん。御前もな。
眠って戻るならそれがよい。
ああ、あの鉄の騎馬か。
……文句を謂うな。
王を乗せるのであるぞ。
むしろ光栄に思え。
[抗議した。――冷たい風に、僅かに生ぬるさが混ざる。顔を少しだけ其方へ向けて]
…――今宵、荒れそうだ。
[信頼しあった二人のやり取り。
太一の人柄はまだ全て把握できたわけではないが、この二人はもしかすると似たもの同士なのかもしれない。
先ほどまでの感情は、別のものに浚われる。
こういうのを、居心地が良い、というのだろうか。
神社は無くなってしまったけれど、失ったものはここにある。]
……ご飯と紅茶、ありがとうございました。
また、…………いえ。
[―― また、ここに来てもいいでしょうか。
言葉は寸前で飲み込み、窓の外を見た。]
ちょっと、待……
[止める間もなく飛び出す主に、いっそこのまま放置しておこうかと思いつつ]
……また部品が減るのも…寝覚めが悪い。
[苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをして、大股で主の跡を追う]
そろそろ、魔術的な調査には良い頃合なので。
……行こうと思います。
[ソファにあった杖を持って、帽子を被る。
―― 洗い物くらいは手伝いたかったのだが、残念ながら、セムラはその方面の器用さは持ち合わせていなかった。
ちら、と食器を見た後、二人にお辞儀をする。
魔力はともかく、体力は八割方回復したようだった。
帰る場所は、全く決まっていなかったのだが。
―― ずっとここにいたくなる。そう思ったから。]
[下界を見渡していた剣助が、声を上げた。
――神社で会った奴がいる。と]
……誰のことだ?
[馬岱。セムラ。ゴロウ。
それに、銀の怪異、メイデン。誰だろうか。
ああ、いや……ほかになにか、もう一人]
[寺に入ると、ニンゲンは既に寝入っているようだった。
幸せな寝息を立てている。
幸せな ―――― 。]
――――。
[キャスターは影の獣に目配せをし、『指示』をした。
―― 一人残らず、食い潰せ。
獣たちは、雄たけびを上げながら寺の住人に圧し掛かり――。]
[真白い月浮かぶ浦舞の夜。
汐野の山から、ニンゲンが綺麗さっぱり消え去った。
ニンゲンの形をした二つだけが、そこに在り続けた。]
[出て行こうとするセムラ。
何か目的があるのだろう、それならば引き止めることは出来ない。]
――今宵の助けは、いりませんか?
[だが、望むならばともに行き支える事は出来るだろう。]
[月を眺める。レンズ越しの月は、暗く写る]
ああ、荒れそう、だ。
なおさら、魔力は回復しておかないとな。
夕飯、何か買っていくか。
作れんことはないが、美味いものじゃない。
光栄ねぇ。
慣れないやつを乗せるのは、危険なんだ。
まあ、わかるさ。乗ってみれば。
[ため息をついた所で、コンビニの明かりが見えた]
[セムラの言葉を聞き、バーサーカーも腰を上げた。あの女サーヴァントを倒してなお、戦いが続くのならあまり情が移らないうちに切り上げた方が良いと思ったからだ。
別の理由もあるが、こちらはまだ想像の域を出ない。]
[次に与えた指示は、森への潜伏。
正門と参道以外の場所に入ることは、霊体である彼女には好ましくない。しかし、血液から出来た影は、一体一体の脅威性が薄いせいか、汐野の山は「敵」だと認識しないようだった。
汐野山を埋め尽くす無数の黒い獣。
息を潜めて、侵入者を嵌め殺す戦闘マシーン。
―― こうして、幽蓮寺を核とした影の城が出来上がった。]
[耳を澄ませるように、片手を耳朶に当てる。
――乱れる魔力の澱。「猫の声は聴こえない」]
…――駄目か。
[小さく呟いた後、顔を上げて頷いた。]
嗚呼、食事か、そうだな。
調達しておくに越したことはなかろう。
……作れるのか?
[疑わしげだった。]
……?馬とは勝手が違うものか。
では明日、お手並み拝見と行こう。
[危険、の意味が今ひとつ理解できていない。
コンビニの明かりを見れば、眩しげに眼を細めた。
並ぶ食品類を見回したりもした。]
いえいえ、大したおもてなしも出来ず、済みませんでした。
[アサシンの言葉に頷く。]
調査に出掛けるのでしたら、ご一緒しましょうか?
お邪魔でしたら無理にとは申しませんが。
き、さ、ま、はーーっ!!
[主の胸ぐらを掴んで、がっすんがっすん揺さぶる]
ここまで連れてきてその言い種だとっ!?
せめて周囲の気配を探るなりなんなりやってみたらどうなんだっ!!!
はい。
……無茶はしません。
[別れ際。
馬岱の言葉に、自然に微笑むことが出来たような気がした。
少しの間、二人を ―― 馬岱を見て。
もう一度お辞儀をしてから、背を向けた。]
行きましょう。ゴロウさん。
[外へ出る。
今宵は、夜気は冷たくとも、月が綺麗だ。]
一時の宿と食事には礼を言うよ。おかげでこちらも随分回復できた。
できれば君たちには長生きして欲しいな。これは本心だ。
[そう伝えると、セムラの後を追った。]
[やはり、嘘だった。
横にいる女性から感じる気配はサーヴァントだ]
将軍、やっぱりあの眼帯嘘つきだわ。
横にいる女、あいつサーヴァントだ。
ここから狙えるか?
[弓を出している魏延に問いかけた]
ああ、軍にいたころは、当番制だった。
一人で暮らしていた時間も、長い。
だが俺の好みだから美味く作れてるかは自信ないぞ。
ついでに、非常食も買っとくか。
[コンビニに入ると、かごに弁当をいくつか入れていく。
冷凍食品と、カップ麺もいくつか入れれば、数分の内にかごは一杯になった]
酒も、買っておくか。
長いこと飲んじゃいないが、魔力補充には一番効く。
[かごを持つ手と逆の手で、ウイスキーの便とロックアイスを握り、そのままレジへと運んだ。
一度アーチャーのほうへ、何かあればもってこいと声をかける]
[セムラの表情を見て、必要無いと察する。
何、あの犬の英霊も居る事だ、大抵の事ならば大丈夫だろう。
ならばその去り行く背中に、声を掛けるに留めよう。]
セムラ。
―――"また"の"お帰りを"、お待ちしています。
[そうこうしているうちに、器から鱚天が消え、烏賊天が消え。
蕎麦もなくなったかと思えば既につゆもない]
で、どうするのだ相真。
ここでひたすら話し合いを続けているわけにもいかんだろう。
とりあえず、現物を見るなら歩いてみるしかなかろう。
他の面子もそろそろ動きだすであろうしな。
[箸を合わせてごちそうさま]
対岸の家事を眺めるのは好きだが、それが続いて不戦勝なんて
つまらん展開だけは避けておきたいのだが。
[食後の茶をすすりながら、今後の進退を尋ねる事にした]
[剣助の、示した先。
――そこには、あの。
忠君。忠孝。父の形見を獲り返してくれと嘆いた男。それが]
――……お、のれ。謀りおったな。
[この身は槍兵のクラスとて。
生前、長沙の老黄忠から習いし弓の腕が衰えたわけでもない]
――……狙えるか、だと? ああ、狙えるとも。
逆賊・曹操の歯を砕きし、この弓――受けるといい。
な…
[さらりと重大な事を告げる主に、頭が沸騰しそうになったが、そのクラス名を聞けば脳内がそれで飽和する。]
……っ!
[見上げるは、ビル。
同時に、右手に魔力を収束しながら――]
[―― "また"の"お帰りを"。
その言葉に、振り返りそうになる。
けれど、馬岱と、キートンの申し出に断ったばかり。
それに今振り返ったらきっと、立ち行けなくなるだろう。]
――――、
[立ち止まろうとしてしまって。
けれど、なんとか歩を夜の先へと進める。]
また、…………。
[また、―― ここへ帰ってこられたらいいなと。
歩きながらも、漠然と、そんなことを考えてしまった。]
ありがとうございます。……馬岱さん。太一さん。
[せめて、感謝の言葉だけは置いていってもいいだろう。
強くなる想いを杖を握ることで霧散させて、その場を去った。]
―コンビニ―
ふむ。そうか。
ではそのうちでよい、私に振舞え。
興味がある。
[肉料理なのだろうか、と少し思った。]
食料選択の采配は御前に任せる。
……酒か。
[ふむ、と考えてからひとつ手にしてきたのは
チョコプレッツェルの箱だった。]
そうだな、実際にもっと他のサーバントと接触して見ないとな。何も得られないな。
よし、今日は少し町中を探索してみよう。
もしセイバーが何か気配を察知したら、誘導してくれ。
[蕎麦屋を出でバイクで街中を探索しようと誘う]
[頭上から放たれる、矢。
その威力は計り知れない程に大きく――]
…猿っ!!
[まっすぐに主を狙っている。
思わず主を突飛ばし、その威力を自身の左肩に受けた。]
……ぐぅっ…
[膝を、がくりとコンクリートの上につく]
[アーチャーが持ってきたものも一緒に精算すると、袋を握って外へ出る]
近くだ。そんなに離れちゃいない。
……この魔力は、ライダーか?
[コンビニから走り出ると、上を見た]
解った、ではそうしよう。
…しかし、あの不思議な兜をまたかぶらねばならんのか。
[どうもメットはお気に召さないらしい。
会計を済ませて店を出ると、バイクを止めてあるほうへと向かう。
───瞬間]
?
[感じたのは違和感。近くで何かが起きている。
それは解るので、咄嗟に相真の上着を掴んだ]
― →北ブロック / 工業地帯 ―
[これと言って目的があるわけではない。
いわゆる魔術師に必要な夜の巡回というやつだ。
けれどなまじ時間は夜ばかりだから、周りの風景など覚えられないし、街がどう変わったかも覚えていられない。
夜に生きれば、魔術に生きれば、どんどんと遅れていく。
最近はそれが顕著になってきたように思う。]
まずはここを回りましょう。
[工業地帯。
昼間は煙突からもうもうと煙を吐いているのだろう。
何を製造しているかはやはり知らないが、ここはそう変わった場所ではない。だからこそ異常があればすぐに分かるだろう。]
……。
[突き飛ばされ、たたらを踏み、そして目を見張った]
……何受けてるアルか。
宝具ならともかく、ランサーの弓なんか避けるか払うかするアル。
[そこまで言って、顔に疑問符を浮かべる]
……もしかして、どこか調子悪いアルか?
[――矢は、飛龍には中らなかった。
そのサーヴァントらしき女――それが、飛龍を庇った]
――……あのような男に忠を捧げるか、女。
[追撃を促す剣助の言葉に、ただ、新たに絃の鳴る音で応えた]
[キースを追い、外へ。]
――…矢か。
[射た先を見やる。
ビルの上、サーヴァントの気配。]
ライダーだな。もう一人は分からん。
だが、弓を使うとなればどこぞの武将であろう。
[セイバーではなかろう。
なれば、アサシンか、ランサーか。]
――どうする?
飛び込むは得策ではないと思うがな。
っ!!
[手の甲がさらに痛み出す。
別マスターが現れたようだった]
マスターが近くにいるぞ、つまりサーヴァントも来るぜ。
とりあえず地の利を確保している分だけ俺たちが優勢だ!!
今のうちにうってうってうちまくれー!!
……こ、の…
屑共がっ!!
[ゆらりと立ち上がり、肩から矢を引き抜く。そこから、だらだらと血が流れ落ちた。]
…猿!!
宝具を使うぞ!
魔力を吸い付くされて死ぬなよっ!!
[右手を天に掲げる]
行くぞ、向こうだ。
[言って、繁華街のほうへと向かって走り出した]
もうひとつは誰だ?
[近づくにつれ、感じられるのは大きな魔力。サーヴァント同士だろうと、あたりをつける]
[外には心地よい夜風が吹いている。
アサシンたちの住まいから外に出たものの、宿も金も無いということには変らない。]
今日泊まる所を探さなきゃね。まあ、屋根があるところなら上等か。
[そう伝えつつ、歩みを進める。]
貴女方も、長生きして下さいよ。
[少女と犬の背中を見送った後、屋内へ戻ってアサシンに告げる。]
馬岱さん、今はまだセムラさんを死なせる訳にはいきません。
ゴロウさんには気付かれるかもしれませんが、後で彼女達を追いかけて、必要とあれば助太刀してあげて下さい。
ただ、その前に少しお話ししておきたい事があります。
先程ゴロウさんにも問われた話ですが、貴方の目的を私は知りません。
私の目的と食い違うとは思いませんが、念のため知っておきたいのです。
話して頂けますか?
[ライダーの言葉には、仏頂面のまま。
飛龍はビルの屋上を見上げた]
誰に言ってる。……僕はお前を喚び出した者だ。
さっさと終わらして帰るぞ。
上だな。
飛び込まずとも、情報を得ぬまま返すわけにも行かんだろう。
近くまで行く。視認できるところまでだ。
[ビルの上に、見える二つの影。令呪が、疼いた]
――。
[ひとつ頷く。]
……あれは恐らく、今日の昼
ちらとだけこちらを見ていたサーヴァントだ。
――…消去法になるが、ランサーか。
アサシンはあの眼鏡のほうだろう。
途中で気配が途切れていた故な。
私以外に気配を遮断できる者は暗殺者以外にあるまい。
…
――セイバーもいるな。
遠くない。
[視線を動かす。]
[剣助の言葉に、肯いて。
二の矢、三の矢を放ち、番えて、また放つ。
だが。
女に。魔力の収束する気配――……宝具と、直感した]
ち……あれは、不味いか?
[主の言葉に一瞬だけ笑い、目を閉じる]
『偽りの殻を破り、その姿を表せ。
英雄の血よ 我に、――力を』
Lia Fail a Failias anall,
ファリアスからは運命の石〔リア・ファル〕
Gesed fo rigaib Erend.
アイルランド王の下で叫びし
Claideb lama Loga luidh
かの剣は敏捷なるルーの手に
A Goirias, roga rocruid.
ゴリアスより、― 千宝のうちの選りすぐり
このようすだと…どちらも、気配を消す事は出来ぬものらしいな。
解った、向かうとする。だが、幾らか周りに注意を払うように。
吾は気配察知は、得意ではない故な。
[派手な陽動とも考えられなくはない。
気配のほうへと向かう足は次第に走りだす]
相真、珠をこちらへ。
[走りながら、主に声をかける]
あまつかぜ ─── 雙風。
[呼んだ声にそれは緑の珠。生まれるのは一陣の風。
魔の力が高いものなら感知もできよう]
先んじて、様子を見て参れ。くれぐれも、無理はせぬように。
それはそうだな。
[――透化。気配遮断。
――狩人は追う。百獣練磨。
獲物を追うときのように気配を殺し、
影から影へと渡る。
キースがいては昼のように無茶な跳躍はできない。]
――…あの建物に居る片方はマスターだな?
地の利で、先手をといったところか。
解りました、主よ。
その御命令、確かに。
[屋内へと戻ったアサシンは、主の言葉に了承の意を示す。
そして、続く主の質問し暫くの無言。]
そういえば、お話していませんでしたね。
わかりました……お話致します。
[少々長くなるので、と主を椅子に座るように促す。]
私の目的とは……武の根絶。
この世から、全ての"武の法"を消し去ることです。
ランサーか。弓の威力はわからんが、本来の武器でないなら、何とかなるだろ。
槍を出されちゃたまらんがな。
[マスターの姿が見えた。より疼くのは、その証か]
あれか。
……フラン、気をつけろ。
[建物の影に身を潜める]
[右手には、闇夜の中で月明かりを弾く、銀色の槍。ライダーを纏う魔力のすべてが、そこに集まる――]
すべてを 貫け!
『スカー・ボルグ!
偽りの 黒槍 』
[解き放たれた槍は、無数の銀の刃となり、光の早さで四方八方からビルの人影に向かって襲いかかった]
[女のマスター……飛龍に、保険はかけてあった。だが。
この距離、そして、眼下の闇を埋め尽くして迫りくる光の矢に対しては、間に合わない]
――……剣助。漏らすなよ。
[返事を待たず。剣助の襟首を掴み。建物を挟んだ、逆側へと駆けて。
――……眼下に広がる夜へと。跳び込んだ]
将軍、あれはまずいぜ!?
こっちも宝具だ!!
[敵宝具が発動する。
迎撃のために宝具を要請する。
しかし、瞬間襟首を掴まれた、そして自由落下。
どうやら回避のためにビルから飛び降りたらしい]
おおおおおお!?
将軍、そりゃないぜーーー、着地任せるからなっ!!
死んだら恨むぜーーー!!
[我ながら情けない言葉。
ただ、実際余裕はないのだ。
魔力、体調が万全ならともかく今は厳しい]
[夜空に立ち並ぶいくつかの煙突群が見える。どうやらこの辺りは工業地帯のようだ。
夜でも煙を吐いている煙突があるところを見ると、この時間でも動いている所があるのだろう。
匂いに気を配りつつ、歩いていくバーサーカーはふと小さな工場前で歩みを止める。]
[風は、風であるので形をとる事はない。
色もなく声もない。ただあるのは、剣の命──先見のみ。
大まかな状況だけ把握するようにして、風は吹く。
気配を消した弓騎に気づく事はないが、それ故に、
風の帰り道を辿れは剣たちの位置を教える結果にはなるだろう]
[光る銀の雨。否、刃。
ビルへと降り注ぐそれは、レンズ越しにも眩しくみえた]
宝、具か。
[その神々しさに一瞬見とれるが]
……落ちて逃げるか。
[狙われた影が、落ちるのまでは捕捉した。
キースは、動かない。動くのは得策でないと、アーチャーに任す]
[続きを促す言葉に頷き、言葉を続ける。]
ご存知の通り、私は嘗て戦乱の世に居ました。
そこで虐げられ、苦を押し付けられるは常に民。
私は己の武を以って、信じるべき主に仕え、世に和平を齎すべく闘い続けました。
これで終わるのか……終わらない。
ならば次か。いや、更に次こそ。
殺せども殺せども民に平和は訪れず、一度落ち着いたかに見えても再び戦乱で世は満ちる。
そして、思ったのです。
"武"こそが、全ての諸悪の根源なのだと。
[敷地に入る入り口には、金網で出来た門が閉まっていて鎖と南京錠で閉ざされている。]
ふむ、人の匂いが薄いな……それにさびの匂いが濃い。
セムラ、ここは使われていないみたいだ。ここで夜露をしのごう。
[そう言うと、門の鎖にかじりついた。
バーサーカーは犬の英霊である。そのあごの力は人型サーヴァントより強い。
あまり苦労なく、鎖を噛みちぎる事ができた。]
["武"とは何か。
――それは殺法。
"武"とは何か。
――それは死法。
"武"とは何か。
――それは狂法。]
どんな綺麗事や信念を口にしても、武とは相手を死へと至らしめる法。
それが真実。
武とは殺し合いの為にある。
――ならば、殺しあわねばならない。
[そう、正しく純粋に武の高みを追えば。
それに行き着く他無い。]
武が正しく在るのならば、世は戦乱に満ちる。
そして、世に和平を布くのであれば――
[そう、それは単純にして唯一の答え。]
――武は全て、滅ぶべし。
ゴロウさん?
[早速、煙突か何かに昇って見渡してみようかと画策していたら、ゴロウが何か気にかかったようだ。
踵を返し、ゴロウの下へと歩いていく。]
何かありましたか。
[度々思っていたこと。ゴロウのサーヴァントとしての優れている技能は、戦闘よりも諜報能力なのだろうか。
だとしたら狂化を使うことは、今まで考えていた以上に判断を要するかもしれない。そんなことを思いながらゴロウの背後で立ち止まった。]
工場。
ここは ―― 廃工場、でしょうか。
[そんな呟きをしていると、]
…逃がすかっ!
[消えた人影を追おうと、足を一歩踏み出すも――]
ぐらり
[地面が揺れる。
地面が迫る。
いや、迫っているの……は…私、か…?]
[そうして門を体で押し開け、敷地内に入っていく。しばし鼻を引くつかせて、]
うん、やっぱり廃工場みたいだね。奥に使われてない建物があるみたいだ。
[そうセムラに伝えた。]
……しかし私には、戦乱の中で鍛えられた"武"しか持ち得ない。
"人を殺すことしか出来ない"私が、世を和平に導ける道理がない。
ですが、最後に例外があった。
私でもまだ、目指せる道があった。
それが―――。
[聖杯、戦争。]
[突然、ゴロウが鎖に噛み付いた。]
っ ――。ゴロウさん。
確かに、ここは使われていないようですが、
[とか何とか言っている内に噛み千切ってしまった。
さっきの評価は訂正しなければならないかもしれない。
噛み千切られた鎖を眺めながら、恐る恐る門を開きながら、こう問うた。]
……、苦(にが)くないですか?
[さっきまで食事をしていたからだろう。
ついそんな疑問を呟いてしまった。]
/*
そういえば、ハチで一瞬八房(里見八犬伝)を思い出したのよね。
でもあれって物語の犬だからあれは流石にないよなあ…あってたら俺天才。
[ビルの一部が崩れ、破片が舞い落ちる。視界の端、宝具を放ったライダーの姿を捉える。と、その姿が揺れて、倒れた]
魔力が尽きたか?
なら、猿は……。
[その姿を探す。ライダーがいるほうへと、足を向けた]
[ライダーの宝具。神々しい銀の光。無数の刃。暴力の流星群]
避けたか。
[飛龍もその発動には、かなりの魔力を消費しているはずであった。だが、微塵も消耗を見せず……その視線はビルを飛び降りた二つの影を追う。
背後でライダーが倒れたことには気づいたが、振り返りはしなかった。
ただ、一言]
……今日は、そのまま寝ていろ。
――…神代の宝具。
[小さく呟く声は忌々しげに。
幾万のきらめく破片と銀の刃が
金の双眸に映りこむ。
狩人は動かない。
獲物の様子を見定めるように、息を殺していた。]
…――?
あれの様子、おかしいぞ。
[ライダーを見てか、飛び降りるもう一組を見てか。
キースが動くなら、その後を追うように駆けた。]
[聞こえてくる着地を否定する声。
冗談ではない、自分は人間なのだ
そう、人間は高い所から地面に激突すれば死ぬのだ]
くそっ!!この馬鹿サーヴァントっ!!
ランサーのマスターたる神嵜剣助が命じる。
その能力全てを駆使してマスター共々着地せよ!!
[手の甲の一角が消えていく。
絶対的命令権の一部消失だ。
しかし、命には代えられない]
わかっちゃいるが、今は動けんようだぞ。
[猿の姿は、ない。ただ、ライダーがそこに臥していた]
……マスターは、ここにはいないようだ。
フラン、どうする?
[やってきたアーチャーへ視線を投げる]
…連れて、帰るか?
それとも、放っておくか?
[夕刻のやり取りを見ていただけに、意見を聞いた方がいいだろうと返事を待つ]
うん、さびの味がするよ。
[ぺっぺっと吐くしぐさをしながら、太い鎖を見つめ、]
あ、これは使えるかもしれないな。
セムラ、ちょっとこの鎖を私の胴に巻いてくれないか。
気休め程度だが、鎧代わりになりそうだ。
[そうセムラに伝えた。]
[アサシンの言葉を黙って聞く。]
そうですか、解りました。
話して下さって有難う御座います。
それでは、先程申した通り、セムラさんの身辺を守るべく行動をお願いします。
[響いたのは――不可能を可能にする、切り札の一。
――命じられたのは、着地。
サーヴァントと同格などと豪語していた主が、
たかだか数十メートルからの跳躍で、令呪を用いるか]
――……おおおっ!!
[思考とは無関係に、動く身体。
流れ落ちる建物の石壁に突き立てる大薙刀が、飛礫と火花を散らす――……!]
……は。命は果たしたぞ、剣助。
[――……地上、わずか二メートル。
制止した中空で、掴んだ剣助の襟首を、はたと放した]
だいじょう……え。鎖をですか。
…………? 分かりまし、た。
[鎖だと隙間が空いたりして危険じゃないのだろうか、とセムラは思った。後、肉が挟まったりしやしないだろうか。
いつだったかブランコの鎖で指を挟んだ時のことを思い出す。]
う、動かないでください。ね。
痛いのは、私も嫌。……ですから。
[トラウマのせいか言っていることが滅裂だ。
ゆっくりゆっくり、そろりそろりと巻いていく。
夜の工場に不気味な鎖の音が響いた。
―― 後に、新たな怪談が生まれたことは言うまでもない。]
[大薙刀と壁の接触する音が響き、そして収まった。
地上2メートル、まさにぎりぎり着地に成功したといった所だ。
襟首が離され、自由を取り戻す]
将軍、アンタな!!
逃げるなら逃げるって早くいってくれよ、あんな不自由な状態で地面に叩きつけられたら死ぬぞ、俺!!
例のサーヴァント戦で消耗してるの知ってんだろう。
令呪をこんなことで使わせんなよ。
ま、助かったからいいけどさ……。
[地面に着地しへたり込む。
さすがに心臓に悪かった。
礼を言うことすら忘れて罵倒を始めた]
そうですね、結構な時間がたってしまいました。
[思ったより長く話したようだ。
時計の分針が、それなりに進んでいる]
それでは行って参ります。
[馬岱は主へと一礼すると、外へと駆けた。]
――…、……
[心底、厭そうな顔をする。
半ば睨むようにキースを見た。]
……連れて帰りたいのか?
敵であるサーヴァントを?
……――愚かな。
[不機嫌そのものの声でそう謂った。
生前の記憶と、やり取り、そしてある種の意地や、
――何らかの感情も絡んでいたかもしれない。
ふん、と顔をそらす。]
……連れて帰るなら勝手にしろ、
だがそいつが居る間は私は塒には戻らん。
案外、いい判断だったかもしれないな。
ま、サンキュー将軍。
さて、あの嘘つきを叩くか?
それとも後から来た別マスターを叩くか?
[文句を言い切って改めて考える。
令呪こそ使用せざるを得なかったが、敵の宝具を無傷で回避できた。
これはかなり大きかった]
[令呪を使用し、二つの影が無事に着地する。それを確認し、駆けながら飛龍は神刀を抜いた。
月明かりに、小烏造の刃が怪しく光る]
ランサーか。まあ、あれをまともに相手すれば……死ぬな。
[倒れているライダーを置いて逃げれば、生き繋ぐことはできるだろうか……そんなことは、まったく考えはしなかった。
息を止め、獣のように身を低く駆け……ランサーへと斬りかかる]
[思っていたアーチャーの言葉に、肩を竦めた]
だろうな。
さすがに、お前に反対されたら、そうするとは言わんさ。
自分から、敵に斬られに行くようなものだ。
だが、このままにはしておけんだろう。
[ライターに近づく。肩を揺り動かした]
おい、こんなところで寝てると、朝大変な事になるぞ。
帰れるなら、自分の足で帰れ。
うん、良い感じだ。ありがとう。
昼間、相手に体当たりした時、こっちも痛かったからね。
これで少し、体に来る衝撃を散らせる気がする。
[バーサーカーは鉄の鎖をさらしのように胴へ巻いた姿になった。]
これで街歩くのは目立つかな……。
鎖巻いて歩く犬はさすがに見かけなかったし。
……そういえば、ここでは犬が服着ててもあまり不自然じゃないんだよね。
何か着るものがあると良いんだけど。
[そう伝えて、建物の方へと進んだ。]
[――……殺気。その主は、あの、自分を謀った男。
保険をかけた、あの男……宝具を使っても良かったが、だが]
――……おい、剣助。
人間同士、こいつの相手をしろ。
おれは、もう一組の連中の顔を拝んでくる。
[言って。
斬りかかる刀、その横腹を軽く拳で叩いて逸らし。
ビルの向かい。幾つかのサーヴァントの気配を目指し、跳ねて飛んだ]
…………。
作業着などがロッカーにあるかもしれません。
[ちょっとかわいい。
そう思ってしまったが表情には出さない。
鎖を巻いたゴロウについて、建物へと入っていく。
そこは、まごうことなき廃工場だった。
曰くのある追い出され方でもしたのか、機械も器具もそのままに置かれている。ガラスが割れているのが少々危ないくらいだろうか。
ともあれ、まずはゴロウの服探しを。]
……こっち。かな。
[勘に任せて事務室か更衣室を探す。]
だからさー、俺疲れてるんだけど??
ま、しょうがねーな、遣ってやるか。
[荷物の中から剣を取り出し鞘を振り飛ばした。
そしてその切っ先をライダーのマスターへと向けた]
───何か、確信でもあるのか?
[妙に、返事がはっきりしていた。
軽く見上げるが、視線はそのまま前に]
どうする。単独行動している気配があるね。
───この音は恐らく、将軍殿だな。
[耳鳴りの音。確かめて、主の前に一歩出たのは念のため]
知るか阿呆。
私が反対せなんだら連れて行ったのか。
[呆れも怒りも混ぜながら、
腕を組み、斜に睨んだ。]
…お人よしが。
[小さく悪態を吐く。届いたかどうかは知らない。
近づく気配があるならば、
其方へと視線を動かした。]
……っ…
[肩を揺り動かされ、意識が深い所から覚醒していく。]
(頬が、冷たい…)
[そんな事をぼんやりと思いながら、段々と状況が見えてくると、突然がばりと立ち上がった。]
無理はしない様にお願いしますよ。
[アサシンの背中に声を掛ける。
その姿が消えたのを確認して、一人呟いた。]
武の根絶……。
彼の思想は、純粋に過ぎる。
禁断の果実を口にした時点で、人は純粋たり得なくなったと云うのに。
人の世には、天秤こそが相応しい……。
[一撃で決めねばならぬ剣。それを容易く払われ、飛龍は鋭く舌打ちする。
だが、体勢を立て直した時には……ランサーのサーヴァントはもはやその場を離れていた]
奇襲の上……よそ見か。屈辱だな。
こっちに向かってくるか。よし、やってみよう。
[サーヴァント同士の戦闘に口を挟めるわけがない。あとはセイバーの水系統の技をサポートできるか。妻達が俺の水を受け入れるかどうか。
どちらにしろ戦闘準備を開始する]
反対しなければ、そうだな。お前という見張りがいるなら、平気だろう?
もっとも、気があいそうには到底思えなかったからな。
俺だって本気で言った訳じゃ……。
おきたか。
[アーチャーの呟きは耳に入ったが、聞こえない振り。
起き上がったライダーが去るなら、そのまま見送る]
― 北ブロック・廃工場 ―
[開く扉もあれば、壊れて開かない扉もある。
開く扉の内の一つが元・更衣室らしかったのは幸いだった。]
ん、………。んー……!
[開かない。錆付いているのだろうか。
力の限りを尽くしたが無駄のようだった。
今度は隣のロッカーを探る。……と、呆気なく開いた。]
あ。
……ゴロウさん。ありました。
[中からぼろぼろと服が毀れ出てくる。
前の所有者が詰め込んだままだったのか、それとも立ち退きさせた誰かが邪魔だからまとめて突っ込んだのか。]
あいた。
[最後にヘルメットが落ちてきて、こつんと頭に当たった。]
[ランサーの行動に周りへ意識を向ければ、他にも気配があった。その中にはライダーに接触している気配もある。
そして、一番近い気配は……]
馬鹿か。
敵の前にマスターを無防備に晒すなど。
あー、めんどくさい、気が乗らない。
だから、早く死んでくれ!!
[なんだか、あまり物押し付けられた気分だった。
それでも敵マスターだから倒すべきなのは確かだった。
少し気が抜けながらも踏み込み敵に向かって剣を袈裟懸けで振り下ろす]
[跳び込んで――……三騎、その存在にと気付く。
一騎は、手傷を負わせたあの女。だが、残る二騎は]
――……何用だ、貴様ら。
[女を抱え上げる男と、金眼のサーヴァント。そして]
ああ……貴様か、聖母。
[聖母という真名を名乗った娘。それに、瞬間、視線を向けた]
― 北ブロック・廃工場 ―
此処のようですね。
[犬の英霊の気配を辿り追いかける事数分。
どうやら追いつけたようだ。
辺りを見回してから、気配遮断を行いつつ、静かに中へと入っていく。]
[頭をさすりつつも、ゴロウを手招きして服を着せる。
……着せようとしたが、どうにもサイズが大きいようだ。]
少し待っていてください。
[周りを見渡す。
丁度、机の上に鋏のようなものがあったようだ。
長い裾を適度に裁断し、再度、ゴロウにあてがった。
ぴったりだ。
急かすゴロウにいそいそと着させていった。]
[欠けた右腕。右目。片手では重い日本刀。
そして、相手は白兵を得意とする魔術師。
受けることはできない。だから、大きく後ろへ跳んで避ける。
それは、こちらの剣も届かない場所ではあるのだが]
[くく、と笑いを漏らす]
お前は、俺のサーヴァントだ。
そういう意味の、見張りだよ。
俺一人で相対するより、お前さんがいた方が安全だろ。
[舌打ちもやはり聞こえない振り。
ライダーの言葉には首を鳴らして]
追い討ちかけるの、趣味じゃねぇんでな。
さっきのは、宝具だろう。それで弱ったところを潰して、なんになる。
……さっきのサーヴァントか?
[気配が近づいてくる。警戒して、辺りを見た]
[アーチャーに問われ、反射的に掌を隠す。
そこからは、微かに肉の焦げる臭いがした。]
…ふん、単に火遊びがすぎたまでの事…
[言い終わらない内に、その気配に、気付く]
くっ。
[ライダーの宝具を受けても大きなダメージを受けている気配が無い。連戦のペナルティは無さそうだ。気持ちを切り替えるしかない]
聖母、彼が将軍か。
弱りし神を討ち取ってなんとする。
それでは意味がない。
万全で我が前に現れよ。全力で討ち取ってくれる。
[―――王は、驕る。
それから、少々苦々しげに眉を寄せ]
それにそこの御人好しが五月蝿い。
キース。もういいだろう。離れろ。
新たな客だ。
[金眼を気配へと向けた。]
――…見ての通りだ、
夜を侵食するものの一騎よ。
───将軍殿。
[咄嗟に装うのは女の姿。相真の言葉に小さく頷いた。
口を噤んだのは、幾らか離れた辺りにキースの姿を見つけたからだ。
彼がいる、すなわち転じて傍にはフランもいるということだ。
珠は確かに己が手にしているが、気配を読み取れないというのは聊か不便だ]
(…どうなるかな)
[三つ巴になるのか。
流石に休戦協定があるのは覚えているが]
ありがとう、これで街を歩いても大丈夫になったかな。
[その時、転がっているヘルメットに目が留まる。]
セムラ、それも良いね。私の首にかけておいてくれ。
[そう伝えて、首かけてもらう。今はまだ、かぶらずに紐で首にぶら下げたままにしておいた。]
[ライダーが起き上がれば、近づく意味もなくなる]
五月蝿いって言うな。結局お前も同じ意見じゃねぇか。
……さっきの、サーヴァントだな。
使っていたのは、弓。
だが、……ランサー、ってとこか。
[いくつかの情報からはじき出される答え]
[女を助け起こす、色眼鏡の男。金眼のサーヴァント。昼の戦いで見た顔]
――……よもや、四騎が一同に会するとはな。
[離れて、聖母。そして、そのマスターと思しき男。
下手には動けない――が。
剣助は、飛龍を抑えられるのか、どうか]
・・・・・・
[アーチャー達との休戦は生きている。どちらにしろここで破る意味が無い。セイバーとアーチャーでランサーと対峙する事になる。いきなり3騎士が一同に会し争うとなると、壮絶なものになるだろう。とりあえず相手の出方を伺う事にした]
[背後の声。背中に迫る剣]
背中に斬りつけるか。
誇り無く……正しいな。
[単純な、真っ直ぐ振り下ろすだけの剣。反撃をまったく予想していない剣を、来るのが分かっていたかのように避けた。
そして、その首へ神刀の刃を滑り込ませる]
・・・・・・
[アーチャー達との休戦は生きている。どちらにしろここで破る意味が無い。セイバーとアーチャーでランサーと対峙する事になる。ライダーが負傷しているとはいえ、いきなり3騎士が一同に会し争うとなると、壮絶なものになるだろう。とりあえず相手の出方を伺う事にした]
……………。
[改めて思う。
服を着たゴロウ。ヘルメットをぶら下げるゴロウ。
これは、なんというか。]
……………。
[ゴロウをなでるべく、そっと手を伸ばしてみた。
あと少し、あと少し、……。
――しかし、やはり積極的に触れることは出来ない。
支えてもらった時に克服したような気でいたが、そうでもなかったようだ。]
[あれ、ゴロウさんですよ……ね?
思わず心中で自答する。
想像の斜め上をぶっちぎってきりもみ回転後不時着もかくやという格好をしている。
一瞬、あれが彼の本来の戦闘姿かとも思ったが、その様なことはないだろう。
彼らの後方数mの場所で、馬岱は少々固まっていた。]
[女の言葉、それは。
戦乱の世を駆けた漢の、奥深い部分を刺激した]
――……認めない?
このおれを、か?
く、笑わせる――……、
[戦場。その空気が、漢の血を昂ぶらせていた]
――……この魏文長をおいて!
ランサーのクラスに相応しい英霊がいるならば、我が前に出でよ!
[かわされる剣、そして迫る刀。
しかし、恐れる事はなど、何もない。
既に体験している、何度となくシュミレートしていた事だ。
イメージの対象は闇のサーヴァント。
ならば、この程度の一撃がかわせないはずなどない!!]
この程度で!!
なめる、なっ!!
[体を捻り回転させて刀をかわす。
そしてその遠心力を剣に載せて斬撃を放つ]
道程が違うのは、当たり前だろ。
人も考え方も違うんだからな。大本が一緒なら、構わんさ。
[近くにセイバー。休戦協定は、生きているはずだ。ライダーは使えず、ならば、相手になるのはランサー一人。そこまで考えて、息を吐く]
ああ、面倒だ。
了解だ。飯も冷えるし戻るか。
[何事もなかったように、アーチャーのほうへと足を向けてその場を去ろうとする。
と、ランサーの声が響いた。
横目に見て、その場から引いた]
[槍が再度、ライダーの手の中に形成されるも――
それは、力の籠らない、なまくらの棒同然に。
それでもかの者に対して、屈服などしないと、体全体で表現する]
[アーチャーが引く気配を見せる。
これで実質ランサーとセイバーの一騎打ちになる。
あとは、セイバーが仕掛ける気があるかどうかだ。
相手のマスターがどこにいるのかは判らないが、総力戦の予感]
───ッ。
[吼える声。
それは男の真名すら夜に響かせんと。
けれどそれほどまでに真っ直ぐな姿勢には、心を打たれるものがあった。
真名を名乗らなかった己に対する、微かな負い目の感情。
それは───静かに波打つ]
…将軍、殿。
その名を欲されるのであれば
[自然と動いたのは己。
まるで、手合わせを求めるかのごとく]
ご自身で騎兵(あれ)へと、示されるが宜しい。
[己がその真贋見極めの立会に名乗りを上げるか如く]
(――――これを避けるかっ!)
[ライダーのマスターが見せた反応。その速度に驚嘆しながら、飛龍は神刀で振るわれた剣を受ける。
烈風のような一撃。受けきれず、弾き飛ばされる]
[こほんと一つ咳払いをする。
ゴロウに和むのはここまでだ。後は目的を達成しよう。]
……今日、回れるだけ回ってしまいましょう。
海沿いに調べていきます。
工場ももう少し見ておきたいですけど、…………ここを主軸に回るなら、後からでも問題はないでしょう。
[そう言うと、立ち上がる。
廃工場から出ようと、ゴロウを伴って踵を返した。]
[――驕れる王は 気づかない]
[深まる赤のその理由の一端に]
[セイバーの闇を揺らす一端に]
[己の驕りと不遜さが関わっているなど]
[気づきはしない。]
[刀で一撃を受け止められるも手ごたえは十分だった。
敵マスターは吹き飛んでいった]
これで、終わりだ!!
[さらに追撃をすべく間合いを詰めた]
[二人……いや、一人と一匹は外へと出るようだ。
回れるだけ、という発言が聞こえる。
それがどの程度の量を指すのかは解らないが、無理をするようならば声を掛けよう。
そう考えて、此方へとくる一人と一匹に道を譲った。]
武人であれば、名乗りを上げる、か。
嫌いじゃ、ねえがな。
[一度振り返り、けれどアーチャーの後を追って、闇の中へと消えていく。
黒い男は、すぐに闇に紛れた]
[線細い、顔貌のよい、金眼のサーヴァント。
それに添った、筋骨隆々とした屈強な男。まこと、気色の悪い主従が去り]
――……貴様は。
[槍を。震える腕で、尚も構える、その気丈な姿に]
――……もりがん、そう言ったか。
魏文長・・・
[名乗りを上げるなど明らかに悪手だが、潔い男だと関心はする。
しかもやはり中国の猛将、しかも魏延となると予想以上の強敵。
名乗りを上げるほどの自信も納得出来る]
[ビルの瓦礫の一つに、身体ごと弾き飛ばされた飛龍は危なげながら着地した]
付き合ってる暇は無いんだ、本当に。
[ため息を吐く。諦めるように。
また、一つ諦めるように、剣を瓦礫に叩きつけ、折った]
我が先祖を贄に造りし神刀を、贄に捧げる。
壁よ、在れ。
[ビルの残骸が、彼の剣を阻む]
貴様に呼ばれる名など、無い!
…槍の英雄は、我が看取った!
我は、あやつ以外の英雄など、認めん…!
[あの絶望を思えば、それ以上の恐怖など、あるものか。
残った力を振り絞り、サンサーに向かって槍を向けた。]
?
[何か、振り返った時。小さな違和感があった気がする。
暫し立ち止まって集中してみるも、何であるかは分からない。
周りを見渡しても、やはり何もないようだ。]
……ゴロウさん、何か感じますか?
[ゴロウに聞いてみても、何も感じないらしい。
首をかしげながらも、とりあえず廃工場から出ることにした。]
― 北ブロック・工業地帯 ―
[廃工場を出ると、神社を出る時の癖で鍵をかけそうになる。
しかし、先ほどここの鍵はゴロウが壊したのだ。
伸ばしかけた手を下ろし、そのまま夜の浦舞へと消えていく。
まず向かう先は港方面。
それから、時間があれば灯台の方へ足を伸ばしてみよう。
頭の中で計画を立てながら、ゴロウと共にひたすら歩いた。]
[間合いを詰めてとどめの一撃を放った。
しかし、それが敵マスターに届くことはなかった。
ビルの残骸が隆起し剣を阻んだのだ]
ちっ!!
[剣を戻し、地を蹴り壁を飛び越える。
しかし既に敵マスターの姿はそこにはなかった]
――……は、奇遇だな。
[槍の英雄。そんなもの、この身が選ばれたのが不思議なほどだ。
関、張、黄、馬、趙――共に駆けた、五虎将。そして、他国の雄敵たち]
――おれが"英雄"などと。おれとて、未だ信じられぬわ。
[言葉とは裏腹に、一閃。振るった大薙刀は、女の投じた槍を、+弾き飛ばした+]
[その体のどこにそれだけの体力があるのか。
少女は、傍らの犬と共に、只管歩く。
その後ろを静かに見守る。
この月夜の散歩が、平和に終わるようにと思いながら。]
[小さく聞こえた、男の声。向き直る]
――……そう。我が名は、魏文長。
蜀漢の前軍都督、征西大将軍――南鄭侯、魏延文長。見知り置け。
――喧しいぞ。
[『壊して───無へと』]
――それでは意味がない
[――呪う。殺してやる。殺す。]
……――、
[そこで、気づく]
ちっ……ややこしい事態に。
[状況を見て舌打ちする。名乗りを上げるランサー。魏文長。いつぞやの変態の姿も見えた。
躊躇無く足を向ける]
ライダー、一旦退くぞ。
やはり僕だけでは無理らしい。勝ち抜くにはお前の力が要る。
[場所からはなれ、既に暗くなった路地を歩く]
また、呪詛か。
[蟀谷を押さえるアーチャーを見やる。
ぞわり。
何かが浸食したような、気がした]
山が、昏いな。
陣を残してきたままだったが、嫌な予感がする。
あそこには霊脈がある。何か、居ついたか。
くそっ、無理は出来ないか……。
[戦闘中ずっと若干の体の鈍さを感じた。
やはり万全には遠い……。
闇のサーヴァントの一軒があったとは言え、
先程の一撃をかわせたのは幸運だったのかもしれない。]
取り合えず戻るか……。
[魏延の気配がする方に走り出す]
[繰り返す]
[すべてけして]
[殺して]
[まっさらにして]
[こわして]
[そうすれば]
[欲しいのは]
───…。
[澱みの狭間、微かに]
[聞こえる]
[声]
― 北ブロック・港 ―
[馬岱が尾行していることなど露知らず。
海を滑る風を身に受けながら、更に進む。
ここも、遠い昔を思えば様変わりした。
こんなに補正されてはいなかったし、何より船が行き来することなど、そう頻繁にはなかったものだ。
回想しながら魔力の痕跡を辿る。
波止場、魚市場の前、停泊場、倉庫。
―――― と。]
……これは。
[周りを見渡し、目をきゅっと瞑った。
―― 幽かに香る見知った魔力の残滓。どうやら、]
……ここは、何も無いみたいです。
次に行きましょう。
[港にも特筆すべきものはないようだ。
灯台へと向かうべく、更に足を向けようとする。]
―路地―
――……、
[呟きは闇に解ける。]
呪詛だけではないな。
……闇が濃い。
獣の群れが潜む森のようだ。
無防備に行けば、喰われるようなな。
[山のほうを睨んだ。]
霊脈か。私を喚んだ時に借りたという
力の流れだな。居ついたもの次第だが、
…――厄介だ。
[こめかみに当てた手は、離れない。]
……――
……、――…いや。
[首を横に振った。]
気のせいかも知らん。
[「すべて消して」「すべて消して」
「まっさらに」「まっさらに」繰り返す]
今一度相対すれば、
…はっきりするかも知れんが。
― →北ブロック・灯台 ―
[そこから先の道中は、更に長かった。
でも久しぶりにまともな場所で眠ったお陰だろう。
体力も、まだ尽きてはいないようだ。
これも巡回を繰り返していた賜物だろうか。]
灯台を見回ったら、今日はおしまいにしましょう。
[灯台を目指してひたすら歩く。
―― まだ海は暗い。まだ、海は魔物の色を湛えている。
月影の反射すらも僅かなその闇は、この先に待ち構えているものを暗示しているかのようだった。]
[槍騎の声は真っ直ぐに己の背の主へと向かう。
魏文長。それが男の真実の名だというのなら]
───其が、貴方の真実ですか。将軍殿。
ならば───非礼を二つ詫びましょう。
[静かに言葉を重ねる。
主からさらに一歩、二歩と前に出る]
[他の声を無視した。ライダーに歩み寄り、その手を引く。
そして……その場に集まっている者たちに、舌を出した]
ワタシのアルヨ。やらんアル。
[おどけてから、唱える。『我が寿命を一週間残し、全て捧げる』と。
瞬間、辺りが闇に*包まれた*]
―路地―
……、
[今、すべきは 休息か。
繋がった径《パス》は、呪詛と謂う名の汚水を
王の意識に流れ込ませてくる。
眠っても。休んでも。食事を摂っても。
「十分」に足りぬ。うまく回復しない。
アーチャーは声を潜めた。囁きのような声。]
……――キース。……この呪詛の主、
この街に契約者が居る。…それも恐らく、参加者だ。
[声が取引を持ちかけてきた日。
――女は謂った。
契約者の
あの、――を、攫って。
永遠の、牢獄の中で。
生かさず。殺さず。飼い続ける。と]
闇、か。
食われるような玉じゃねえだろう。お前は。
[アーチャーを見る。そして、山を見た]
あそこも、行って見なきゃならんな。
陣が壊されても問題はないが、あの場所を穢されたら、そっちの方が大変だ。
呪詛の主なら、手がつけられんようになるぞ。
[こめかみに当てたままの手。額に、手を伸ばす]
辛いか。
ずっと、声が聞こえるのは、そうだろうな。増してや、内容が内容だ。
俺には、何も出来ないが。
何かあれば、いえ。いいな?
[マンションへと、*向かう*]
槍騎、魏文長殿。
それが貴方の真実ならば───吾(俺)もまた、真実を告げる。
吾は剣騎(セイバー)。
吾が真なる名は小碓命。
倭建の名を戴きし、ひのもとの地の王に連なる者。
[瞬き一つ。変装は解ける兆しなど何もなく消えた。
そこにあるのは少女の気配ではなく、少年のもの]
八尋白智 ─── 来たりませ
[微かな祝詞の後に手に現れるは一振りの古き剣の姿]
真実の槍騎だと仰るなら、参られよ。
貴公のその力───見せて戴こう。
― 北ブロック・灯台 ―
[そうして辿り着いた先にあったのは、
一人の男が末路を迎えた場所。
一人の男が残した、最後の証明。]
―――、
[尋常ではない量。
しゃがみ、触れると、今まで誰にも発見されなかったのか既に固まっているようだった。いや、それよりも。]
…………、当たり、みたいです。
[夜気が肌を刺す。―― 周りの気配に集中する。
しかし、今感じることが出来るのは頭上の月と、
目の前の血痕に塗りたくられた、*魔力の残滓だけだった*。]
……
あの下衆を繋ぎとめる……――契約者を探さねば。
[――いまだ、それが、
《あの人物》だとは気づかない。
相対する時間が、短すぎる。]
無論だ。闇になど、屈さぬ。
[きっぱりと言い切った。
その通り、王ははっきりと、
闇へ反抗の意志を示し続けている。
その結果が、メイデンの襲撃だったわけだが。
だが、もうひとつは――]
[魏延の元にたどり着く。
瞬間、敵マスターの魔術が発動し闇が辺りを包む。
それが晴れた時、そこに姿あったのはセイバーとそのマスターの姿だった]
ちぃ、逃がしたか〜。
あと一歩だったんだけどなぁ。
――…、 …?
[額に伸ばされた手に、眼をまるくする。
驚いたように見上げ、一度瞬く。]
……、…
……呪詛は、…喧しい。
まったく、面倒なこと だ。
…、――
[数瞬遅れて、頷きひとつ。
キースの手が離れた後、一度額に触れてから
マンションへ向かう黒い背を*追った*]
―発電所―
[ひとり闇の中少女は歩く]
大変、なのです。
これはちょっと、ごまかせなさそうなの。
渋爺に頼んじゃ駄目かなぁ。
にしても、誰なの、ここでこんなことしたのは。もう。
[転がる死骸。それらを見下ろし、少女は呪を唱え始める。
損壊した体の、修復。
ただし、失った血は元に戻らない。
発電所の中まで死体を運ぶと、高圧電流に触れさせた]
これでよし。
傷跡のない大量失血死、ちょっとニュースネタね。
ごめんなさい。従業員の人たち。きっと、教会からご遺族には慰謝料が届くと思います。
[無責任に言って、少女はまた姿を消した*]
[――剣助は、聖母がセイバー。そう言っていた。
……ああ。確かに。あの、菓子を貪っていたときとは、比にもならぬ。
まさしく、これぞ、最強たる剣の英霊よ]
――……倭建。
聖母、貴様は……魏に仕えたという、倭国の皇族か?
[歩み出た、その姿を。吃と見詰めて]
は……良かろう。
無駄な戦いは望まんが。貴様が望みとあらば、是非もない――……!
[大薙刀の、刃を返して。構え、その剛腕に力を籠めた]
さぁ、どうであろうの。
名高き古の巫は吾が知には繋がらぬと聞いているがね。
[静かに首を傾げる。
少女の時と動作は変わらねど、その姿は幾らか違って見えようか]
無駄かどうかは、終わった時に決めれば良いよ。
何せ喚ばれてからこのかた飲み食いしかする事がなかったのでね。
幾らか、暴れ足りんのだよ───!
[身軽故の速度で、足が大地を奔る。
相手もまた速きものなれど、まずは懐へと飛び込む事を狙う。
叶えば下から斬りあげる一閃となるのだが、さて]
― 中央ブロック / 教会 ―
・・・・・・完璧に、こどもの出歩く時間じゃないですわ。
[暗い夜道をてくてくと歩いている。
市長と知事の元へは直接に、警察や消防・自衛隊には電話にて。そして各種情報業界への連絡など、こなしていたらこんな時間になってしまっていた。
ニュースには、浦舞市の市街地に暴れ馬が現れたと報じられただろう。
また、自衛隊の救難ヘリが飛行訓練中にトラブルを起こし、積荷を民家へ落下させたとの報道も流れているはずだ。これでまた防衛費がどうたらという話になるのだろうか。]
え゛・・・
[と、聞こえてきたのは轟音だった。
見れば、少し離れた先のビルの屋上付近がどうにも崩れている様子が伺える。]
・・・・・・・・・徹夜ですわ。
[力なく呟いて、とらはまた教会に背を向けて*駆け出した*]
/*
パラメーターがあばばってなりそうなのでコピペ
吾 筋力:B(A) 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:D 宝具:A+
↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓
槍 筋力:C+ 耐久:C 敏捷:B+ 魔力:E− 幸運:E 宝具:C
…何か俺は色々セイバー補正を貰いすぎなんだz
最初青年で申請出したしなあ。申し訳ない神様。
[暴れ足りない――と。疾るサーヴァント。
名乗られた、小碓命。その名は、敢えて遣わずに]
――……奇遇だな、聖母。
[想像よりも速い、斬り上げ。
だが――……その踏み込み。神速の馬岱ほどではない]
おれとて、それは同じよ――……!!
[眼下から、迸る銀光。薙刀の柄をかざして、防ぎ。押しつぶすように、体重をかける]
───ッ。
[まさか聖母の名で呼ばれるとは思いもせず。
けれどそれは剣先を鈍るには至らぬものであり、
剣先を留めるは重き刃。ガァン、と派手な音が鳴り響く。
手に幾らかの痺れがあるのはその遠心力による加速の重み故]
なる、ほど。これは惜しい事をした。
こんな稚い姿で出てくるのではなかったね。
…もう少し育った姿だったら幾らか、吾も力押しに出れたやも知れぬ。
[ぎ、と力同士が噛み合って音を立てるのは戦に生きた己には幾らか心地よく。
けれど圧迫せんと押し返してくる力に負けるわけにはゆかぬ]
────は、ぁっ!!
[それは、"豪力"と呼ばれるもの。一時的な筋力の上昇。
己よりも大きな力をそのまま押し上げて跳ねのけ、
更なる斬撃を仕掛けるために]
[剣と槍の戦いの火蓋が斬って落とされた。
もはや、そこに他者の介入する余地はない。
メイデン、謎のサーヴァントとの戦いとは全く異なった。
熾烈なんて単純な言葉で表すのが失礼な程だった。
胸に抱いた過信は霧散していった]
こりゃ、怒るのも無理ないわー。
かなわん、な。
[切り札を使わなければと胸の中で付け足す。
もっともあてる状況に持ち込むすら困難ではあるが。
横にいるいつぞやの堅物も黙り込んだままだった。
胸に抱く思いはやはり同じだったのだろうか?]
/*
なんか、こう。
あんまり気合いの発声を文字にしないタイプなので、
自分でやってて何か新鮮だなこのロール。
しかし バトルロール 下手になったなあ…&
/*
弓組の発言数がマジおかしすぎる。
あずま先輩まじパネェっす。
折角だから返事待ちの間にぼそぼそ赤とか落としとこうかなあ。
[サーヴァント同士、しかも三騎士同士の戦闘は想像をはるかに超えるものだった。
最初から、サーヴァントを相手にするべきではない、と肝に銘じていたが、それがどういう意味かというのをまざまざと見せ付けられる。
目で追うのすら厳しい斬撃の応酬。自分が一体どれだけの怪物を呼び寄せたのかというのを思い知った]
しかし、セイバーのクラスでしかも日本の英霊の最上位に近い英霊と互角に戦えるとは。ランサーは強敵といわざるを得ない。
[ちらっ、と以前見た青年が視界に入る。なるほど、ランサーのマスターだったとは。
だが、セイバーとランサーの名乗りを上げた一騎打ち。ここで水を差せば後でセイバーに何と言われるか判らない]
――は。そう華奢な身体では、どれだけ育とうとも――……、
[押し切る。圧し斬れる。抱いた感触は、唐突にと返されて。
己よりも小さな身体、その膂力に弾かれて。微かに浮く、身体。崩れる態勢]
――……ぬ、ぅ!?
[まさしく窮地。だが、であればこそ。互いの状況を視、見出すは活路。
跳ねあげられた大薙刀――長柄の武器を棄て、手放し。仰け反って]
……疾ィ!
[腰にと佩いた刀を、鞘走りもそのままに、横薙ぎに振るう]
[セイバーの剣捌きは見ているだけで参考になった。
無駄のない一連の動き。
それは脳に染込むようにイメージとして保存されていった。
そして気付けば手に持つ剣をイメージに合わせて振っていた]
生憎と、この身ならこの身なりの戦い方があるのだよ!
[文字通り力押しで相手の獲物をはじき返して
大きく振うは上段からの振り降ろす一閃。
けれどそれを留めるもまた刃。
横薙ぎのそれに、咄嗟に後ろに大きく跳ねて着地する]
…なるほど。彼の国の武人は流石よの。
体だけではなく戦も大味と見ゆる。
[そう言って立ち上がった手の剣を握り直す。
少年は小さく、玩具を見つけたかのように───笑った**]
[剣の英霊に、刀で向かっても勝ち目はあるまい。だが。
――笑みを向けられて、退くことなど、出来る筈があろうか]
大味、大味か――……さて、どうかな。
[乾いた唇を、ひとつ舐めて。いまいちど、刀の柄を握り締めた**]
まずい。
[互角すぎる。もしくは双方拮抗した戦いを楽しんでいるのかもしれない。
このままだと明確な決着が付く前に消耗しかねない。
ランサーとはまた日を改めるべきだ、そう考える]
・・・・・・きりの良い所で一度引くべきだな。
[人知を越えた戦いを見つめながら、*引き際を覗った*]
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