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……特に目的は無いわ。
包囲されたって言うでしょう。
逆に言うならば、村の何処に居ても同じだと思って。
[危機感のない口ぶりで言う。
何処か弱い彼の口調に、ほんの少し目を細め]
心配して下さった?
[出てきそうで出てこない亡くなった者の名前。
せめて、どんな人かさえ分かればいいのだが…
視線をドアに向けていたが、不意に開いた扉に軽く目を見開いた]
…何か御用でしょうか。
[中に入ってきた兵士も部屋の中の暗さに些か驚いた様に部屋の中を見回していたが、静かな声…そして、闇の中で微かに鈍い光を放った双眸に少し慌て、用件を伝える]
…私、に…?
[誰なのだろう…
少し考えるも、答えは出てこない。
…ただ、ささやかな願望は生まれていただろうか。
鞄を持つと、兵士を先頭に仮宿舎の入り口へと向かう]
褒め言葉として受け取っておこう。
[ふ、と耳の横の髪を指で梳き]
何をしているんだ、あの男は。
姿を見せないと思ったら。……きな臭いな。
……小僧もか。
[眼を細め、ふむ、と小さく唸る]
絡んでくるものが多いな。
そう、情報が少なすぎる。
訝しみ調べを進めたがなしの礫だ。
特に小僧に関しては寝耳に水だったな―――このような状況でなければ詳しく調べられたものを。
[ジーンがニーナを呼ぶ様子を見ながら続け]
クインジーには部下が居る。
それぞれコードネームで呼び合っているようだが、位置の捕捉まではしきれていない。
[のそりと土を払いながら立ち上がり、手頃な脇道に身を隠す]
…いつかの譲ちゃんとちっこい少佐か。
譲ちゃんがあの少佐に気を取られたお陰で、俺はまた少し静かに動き回れそう、か。
他の人間の調べはバイパーに任せるとして、俺は取り敢えず見える範囲の人間を優先しておこうか…。
[トントンと耳の下を叩くと、小声で二言だけ呟いた]
分かったな、バイパー。
[兵士に付き添われニーナが姿を見せるのを見守り]
此処の居心地は如何だったかね?
昨夜は遺体搬出やらもあって此処の方が落ち着くかと思ったが、
事態は些か変わってきたし、若し望むなら帰っても良いとの事だ。
帰るなら送るが如何するかね?
[首を傾げニーナの顔を覗くか
キャロルの言葉に向き直って
髪を梳く所作に僅か眼を細め]
オマエにかかれば全ては褒め言葉だろうに。
このような状況であろうとも必要と感じれば調べる他あるまい。
あとは、上層部しか知りえぬ情報もあるやも知れん。
あの少佐殿が何か知っているかは甚だ疑問だが。
アレの部下の位置捕捉は難しかろう、
そう易々と見つかるとたまではあるまい。
お眠り私の可愛い王子様 お眠りなさい
庭も草原も静寂に包まれ 羊も鳥も眠っている
小さなハチさえも羽根を休めている
窓に降り注ぐ月のほのかな光
銀色の明かりに包まれて
お眠り私の可愛い王子様 お眠りなさい……
――ああ。
[村を見下ろせる小高い丘。
月を見上げ歌う間少しは気分が晴れても、短い歌が終わればまた一人の丘は静かになる。
背後の廃屋にももはや、誰も住んではいないのだ]
一人で居るのは寂しいな。
…考えても仕方のない色んなことが、どんどん浮かんできて。
誰か…
[...はそこから立ち上がると、人影を求めてゆっくりと村中へ降りて行く]
…アーヴァイン隊長には手練の副官が
お出でだった筈だが…隣室でも気づけなかったとは。
噂さえも秘されていた人狼、ですか…
〔上官たるキャロルが発した厳戒態勢は、かなりの
動揺が広がる中にも速やかに敷かれるようだった。
予想される被害が不明な為か、余分な兵は引かれ
――結果、村を覆うように昨夜の数倍も強固な
包囲網が築かれることだろう〕
…あれは、…
〔宿舎から通りを横切っていると、リッタとネリーが
言葉を交しているのが見えた。ふと小柄な少佐の姿から
連想されることもあって〕
…そう言えば…一昨日の夜…
[入り口に付けば、意外な…二人だったので、一つ瞬きをするが、ジーンに問いかけられれば]
はい…
さほど、変わりはない…でしょうか。
寧ろ、何もしなくても良いというのは、逆に落ち着かないものがあるかも知れません。
[小さく頷けば、率直な感想を述べ…]
戻っても良いのなら…私は、診療所の方が落ち着きます。
…ありがとうございます。
[送るという言葉には頭を下げた]
ふふ、言ってくれる。
[何処か愉しげに唇を釣り上げる]
そうさ、いつ死ぬかも分からんからな。
出来る限りの情報は残すさ。
上層部はいつでも負の秘密の宝庫だ。
繋がっている事だってありうるからな。
[何と、とは明言しなかったが。]
困難なほど見つけてやろうという気になるな。
それに赤毛の男、
何処か別の場所で見たことがあるように思ってな。
これは確証が無いが、何処かのお偉いさんだったような――。
[ニーナを見]
好きにするがいい。私から話は通しておく。
あ…。
[三つの人影を見つけ、知らず早足になる]
ニーナさん、ジーンさん、それに軍人さん…
…いえ、キャロルさんも。
[近寄ってからニーナ、ジーン、キャロルと宿舎を交互に見やった後、ニーナとジーンの二者に]
もしかして、今日からはここに寝泊りしなさいって軍人さんに連れられて来たんですか?
[この二人を連れて来たのだと想像するところの、キャロルに目をやって]
ぼくは随分長く丘にいたから…。
逃げたなんて、思われていなければ良いのですけど。
《スカー。忍び込んだ屋敷の中で、恐らく能力者と思われる人間を確認した事を報告します。》
ふむ…ではその時の状況を説明してくれ。
《緑髪の女性が、境界線…真実…等という言葉や、スカーが探している人間の力と思わしき発言を拾いましたが、この集音マイクではそれ以上の事は…。》
十分だ、それで特定する事が出来た。
俺の方でも調べてみよう。
《くれぐれも…お気を付けて。》
あぁ、死にフラグを立てなければ何とかなるだろう。
《冗談でも。それで…死なないならば。》
いつになく弱気だな…。
《何でも有りません、では…――》
>>89
……。
素直じゃないこと。
[相手の本心がどうであれ、そう返すのは条件反射的。
続く納得の言葉には、すい、と目を細め]
軍の方にとっても脅威と言えるでしょう。
敵の軍と幾ら戦ってきていても、今回は初めてのことなんじゃないかしら。民間人の姿をしているかもしれない、人狼。
……怖くはなぁい?
[ゆるりと小首を傾げた後、
ふと相手の姿を見、思い出したように言う。]
名乗っていなかった気がするし、名前も知らない。
私はネリー。……あなたは?
戻ってもさしたる仕事もなかろうが、
ならば送って行こう。
[率直な言葉に頷き
思案気に顔を見て]
今日も一日中、誰とも顔を合わせて無かったのかね?
若し戻ってまた篭り切るくらいなら、
教会にコーネの顔でも見に行くと喜ばれるかも知らん。
アレも子供達が居なくなって暇だろう。
荷物は其れだけかね?
[ポケットから手を出し差し伸べて
来た時と同じく荷物を預かろうと]
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