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――診療所――
[彼は音もなく床に降り立ち油断なく室内を伺う。
標的はすぐに見つかった。
ベッドに眠る少年。
慣れた動作で拳銃を抜き放った]
……こんな所に居たのか。
[サイレンサーの先、無防備に眠っているのは。
彼と同じ色の髪、
彼と同じ色の瞳、
彼と同じ――姿。だが、しかし]
[無造作な動作に、軽い射撃音。
サイレンサー付きの銃口から発射された弾丸はベッドの膨らみに吸い込まれ、ぽすぽすと布団に穴が開いた。
やがてじわりと朱色が滲みだした]
あばよ、“二人目”。
[右手の拳銃を下ろし、彼はベッドに背を向けた]
【屋敷玄関】
そうですか。私も容疑者の一人なんですね。
不安?当たり前です、アーヴァインさん。
貴方方は私達を始め国を守るのが仕事でありながら、
このように民間人が犠牲になるような失態を犯した。
不信感を募らせて当然ではありませんか。
どうぞ尋問等なさるおつもりであるなら
望んで基地までご同行しましょう。
もっともその部隊員を貴方方が見つけられるか、
疑問ですけれど。
[心無い言葉をアーヴァインにぶつける。
アーヴァインは立場があるので
言葉を選び善処している旨を伝えれば]
守る・・・?ならどうしてこんな事になったんですか!
どうして弱い人が死ななければならないんですか!
どうして・・・。
>ラッセルさん
キック機能がなかったのでそのままとなりました。
申し訳ないです。
ただ、お忙しいと思いますので
あまりご無理はなさらないでください。
成る程、あの医者は世間話にもってこいか。
[薬を取りに奥へ消えるニーナを眺め呟き
戻るニーナが缶詰を前に躊躇うのに瞬き
漸く受け取られる缶詰に薬瓶を受け取り]
患者が居ないとなるとさしたる仕事も無かろうに、
軍のお偉いさんは外出も良い顔をしない様子だったか。
[困惑の色が混じる声音の侭に俯くニーナを眺め]
何をするも何も、この場合する事が無いな。
退屈凌ぎに医者殿の本でも漁るかね?
[冗談か本気か首を傾げ問い]
いっそ回診とでも言って出歩けば如何かね?
どうせ誰も彼も出歩けぬならどこぞのお嬢様も屋敷に居ろう、
アレはニーナとも歳も近く話し相手にもなろうに。
…ええ。先生は、親しみを持ちやすい、と評判ですから。
[微かに頷けば、その瞳を目の前の男に向ける]
…確かに、仕事がありません。
外に出るのも…軍の方々はあまり良い顔をしないでしょう。
…トリガーの気まぐれで…今、私は生きている様なモノですから…
本を読んで、知識を蓄える気にもなりません。
[問いには暗い声で返す。
考える素振りを見せれば、微かに首を横に振った]
…回診、と言いますが…診療所でさえコレ、なのです。
患者はいないでしょうし…
…シャーロットさん、は…今、気が立っていることでしょう。
[…彼女と見とった者の事を思いだしたのか、少し歯切れが悪く]
【屋敷玄関】
[アーヴァインが去った後もその場から動けないでいた。
暗殺部隊が紛れ込んだ事、
その容疑者に自分を含め親しい人達もいる事、
そしていつ戦火に巻き込まれて死ぬのかわからぬ恐怖に加え
もしかしたらその親しい人物に殺されてしまうかもしれない悲愴感。
しかし最後の考えが頭をよぎれば首を振る。
一瞬でも親しい人を疑った事が情けなく唇を噛み締めた]
見捨てる、か。
[呟きは遠く]
この場合は誰が誰を見捨てるのかね?
オマエがこの村の嘗ての仲間をか?
上層部とて何時我々を見捨てるか知らん。
尤も、この力はそう容易く手放すとも思えぬが。
[淡々と紡がれる声に感情は現さず]
ルーサー、是は赤と黒が蔓延る戦争だ。
誰も傷つかぬ侭には終らぬが、
背中を預かる以上、我はオマエが何者にも蹂躙されぬ事を願う。
[軍内部の話を聴いて
そうか、と短く返し]
[アーヴァインが立ち去った気配を察すると
薄暗い廊下から玄関のシャーロットへと歩み寄る]
お話は終わりましたか。
お嬢様。
[声色はただ、淡々と。
色のない瞳で彼女の後姿を捉える]
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