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劇団「人狼ズ」。
その集団の名前を知る人はまだいない。なぜなら彼らは、公演を「まだ一度も」行ったことがなかったのである。
やる気がないわけではなかった。稽古にもまじめに取り組んでいた。ただ彼らは、「脚本家」に恵まれなかったのだ。公演日は目前まで迫っているのに、今回もまた、脚本家は1ページたりとも仕上げていなかった。
そんな事情で稽古場は、いつものごとく荒れていた。
1人目、脚本家 ケネヌ がやってきました。
脚本家 ケネヌは、村人 を希望しました。
だから、何度も言わせんな!喰われたんだよ、ヤギに。……何をって、原稿だっつってんだろコノヤロー!
……恥ずかしくねーもなにも、ねえもんねえモンはねえんだからどーしよーもねーつかなんつーか。
なァ、もう一日だけ待ってくんねーかな。今回は絶対に仕上げるからさ!
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
村の設定が変更されました。
2人目、ニコラス がやってきました。
ニコラスは、村人 を希望しました。
「肩書きなしにする」をチェックOKと。
ヤァ、私が稽古場に一番ノリみたいだ。
ケヌヌは相変わらずだなあ。
どうして、うちの劇団はこうも脚本家に恵まれないのだろうね。
> キャラセット:ぐります、人狼審問、mtmtスケルトン
じゃなかったのかい?
多分、今、人狼審問が人狼物語になっているよ。
某画伯の日記にあった【この村の内容】を、天の声で落とすのは一日目開始時なのかい?
もしも落とさない場合、参加者が逐一画伯の日記を参照する事になって、足跡で中身がばれたりばれなかったりすると思うんだ。
開始後に落とす予定なら、余計な口を挟んで悪かったね。
[ニヤリと笑って、稽古場の壁に*もたれた*。]
村の設定が変更されました。
3人目、クリストファー がやってきました。
クリストファーは、人狼 を希望しました。
やあニコラス、相変わらず早いね。座長はまだ、か。
ケネスさ、3年前も同じ言い訳してたよね。
そんなだからホン一本書きあがらないのさ。
ま、もう期待もしてないワケだけど。
例の【この村の内容】は開始前後に振ってくるのかな?一応控えてあるけど、変更があるなら早めだとうれしいかな。
ん、んんー、あーあーあー
[と壁に向かって*発声練習*]
4人目、ブライアン がやってきました。
ブライアンは、村人 を希望しました。
5人目、ナタリア がやってきました。
ナタリアは、村人 を希望しました。
もー、ケネヌのバカ!
座長に『この劇団の看板女優になってくれ!』なんて言われて入ったはいいけど、もう3年よ…。
こんな調子じゃ、脚本が出来上がるまでに私はお婆ちゃんになっちゃうわ!!
今回も脚本が出来上がらないなら、もうこんな劇団出て行ってやるんだから。
いいわね、きっちり脚本を仕上げるのよ!
[怒って*部屋を出て行った*]
6人目、ゴドフリー がやってきました。
ゴドフリーは、おまかせ を希望しました。
あいよ、いつもの事だわなぁ。
全く、ケネヌのやつも俺らも、おかげで大した即興劇団になっちまったぜ。人気もそこそこ出てきちゃいるしな。
まだのやつらもいるのか。酒でも飲んで待つとするぜ。
[椅子の背にもたれて*酒瓶をあけた*]
はじめは本格長編の演劇団だった、なんていまさら誰も信じねえぜ、これじゃよ。
ゴドフリーは、村人 に希望を変更しました。
7人目、異邦人 シロガネ がやってきました。
異邦人 シロガネは、おまかせ を希望しました。
おつかれー。今日は何するの?
…って、やっぱりまだホンは出来てないのねぇ。
相変わらずというか、なんというか。
話が決まらなきゃ道具や衣装の準備も始めようがないんだけど。
ま、何もしようがないってことは、何もしなくていいってことね。
[部屋に入るなり壁際に座り込み、一心不乱に携帯電話を*操作している*]
8人目、アリシア がやってきました。
アリシアは、おまかせ を希望しました。
おはようみなさん。ケネヌはやっぱり脚本できてないのね。仕方のない人。ふふ。
[やってくると、椅子に座ってお茶を飲み始めた]
いつになったらできるの、なんて聞かないから、ゆっくり書き上げてね?
9人目、モーリス がやってきました。
モーリスは、村人 を希望しました。
おひょひょひょひょ。
どうやらケネヌの坊主はまたさぼっておるようじゃの。ま、このいぶし銀には関係のないことじゃ。
台詞が一日でぬけちまうもんでな。
[椅子に座ったまま、*遠くを眺めている*]
公演前にしてこのユルい空気がまったくウチらしいね。
明日の夜、誰か練習つきあってくれないかな。どうせやることないでしょ。ホンないし。
[椅子にかけて、ペンをくるくる動かしながら]
21時から1時間程度エチュード。ネタは、まあその時のメンバーで考えるさ。
21時から即興劇をやるっていうから来てあげたのに、まだ誰もいないの?
私を待たせるなんていい根性してるわね。
ま、いいわ。時間まで発声練習でもやっておこうかしら。
10人目、テリー がやってきました。
テリーは、村人 を希望しました。
うーん、あいつは宿題しなさい!って言ったら今からやろうとしてたとこなのに言われたせいでやる気がなくなった!って感じの難しいやつだからなぁ。
とりあえず逃げないようにだけして、自由に書かせてやってくれ。
一応このまま脚本ができてこないときのことも考えておかなくちゃな。
かといって公演日を延ばすなんてできるわけないし、ここで成功させなきゃ、劇団存続も危うい状況だ。
やっぱいざとなったら例の作戦しかねーのかな。
チケットだって捌けちゃってるし、明日は幕開ちゃいますしね……。
まあ、ちまたは例のニュースで持ちきりだから、お客さんの入りは少ないと思うけど。
まじかるばなな。ばななといったら、テ・リ・ィ♪
……分かった、今こそ分かった。
この劇団がマトモな公演できないのは、ケヌスだけのせいじゃない!
ちょっと!うちはミュージカルはやってないんだから、歌は関係ないじゃない!
まったく、奇跡の名優といわれた人が劇団を作るっていうから期待して入ったのに。
俳優としての才能と座長としての才能は全然別物なのね…。
そうだよ!ナタリアはちょっと音感が不自由なだけさ!
あと演技もちょっと不自由だけど。
あと活舌もちょっと不自由だけど。
あと胸囲もちょっ……ゲフンゲフン
知らなかったんですか、座長の貧乳枠だったこと……。
候補として幼稚園児との究極の二択を迫られたときは、さすがに警察に通報すべきか悩みました。
確かに、ここの劇団員はなんだかんだ言って演技が上手いから座長の目は確かなんでしょうけど…。
私だけ胸重視って…、しかも貧乳趣味で選ばれてたなんて……。
[ショックのあまり*呆然としている*]
その夜テリーが用意したのは、翌日の公演にかける即興劇の設定だった。
毎年公演前夜の、彼の恒例の作業だ。
今年の設定は以下のような内容だった。
●場所・時代
2009年秋。
日本のどこか山奥。携帯がつながらず、麓からのバスもなく、一番近い街から数十km離れた僻地。あるものは、雪を頂く遠くの山々の景色と、木々、小川、草花、野生動物、キャンプ場だった場所の跡地と、そこらにありそうなもの全て。
長袖一枚では、肌寒いくらいの涼しさの季節。標高1km程度で朝夕は冷え込むだろう。
●状況
『キャンプやろうぜ!』
ひと月前に発起人が投稿した mixy の日記のタイトルは単純明快だった。その内容は『取り壊し前のキャンプ場があって、タダ同然で使わせてもらえるから、そこを借りてキャンプをやらないか』というオフ会の誘いだった。本人と面識のある人間のうちの何人かがそれに興味を示し、そのうちの都合がつきそうな数人が参加の表明をした。
発起人は続く日記で準備の様子を報告し(貸し手との交渉、現地視察、タクシーや布団の手配など)、参加者はそれぞれの思いでその日が来るのを心待ちにしていた。
当日、集合場所には数人の男女があつまった。共通するのは発起人の知り合いということだけで、面識の有り無しは各人各様(人狼プレイヤでない設定も可)。しかしそこで知らされたのは、発起人が急用で来られなくなったことだった。初対面同士の人もあり、準備も任せきりでよく分からないなかで、あからさまに気まずい空気が流れる。
さてしかし、せっかく準備し休みを空け、期待して遠出してきたのにキャンプをせずに引き返すわけにはいかない、と、誰からともなく、予定通りに事を進めようという提案があった。「帰りたい人は帰っていいんじゃない?」との提案もあったが、それを受けて帰る者はいなかった。結局一同は、揃って近くの店で早めの昼食を取り、周辺で2泊3日分の食料を調達し、二台のタクシーに分乗して「キャンプ場」を目指して、山を登った。
乗ってから40分ほどして、地図の通りの場所に着いたときは正午を過ぎていた。山深く緑溢れる自然の中に、人気の無い、鄙びたキャンプの施設はあった。中央の広場のまわりに、2戸のコテージ、炊事場、薪置き場、シャワー室、簡易トイレ、川のせせらぎも遠くなく、その他そこにありそうなものがある。
さて、お話はそのタクシーを降りたところからはじまる。君はそのオフ会の参加者の一人か、そこにいそうな誰かとなる。どんなキャンプになり何が起こるのか、二泊三日の後何が起こるのかは、君のでまかせ次第。
●その他
・毎日一人ずつ役者を減らす。(舞台裏で投票)
・公演が無事続いても、残り5人程度になったら最終日としよう。
・「はじめは現実的な話なのに、だんだん架空じみていく展開」みたいなのを期待。
・トンデモ展開ばっちこい。反応は、設定の「現代の日本人」としてリアルに。
・その理解の上で、あえて違和感のある反応を提示する、何らかの伏線のオファーとするのはおk。
・後から登場して、その時間に来るべき誰かを演じても良いが、一日目の内には最初の発言よろしく。
・キャンプの二泊三日(リアルで4日目)まで、場所はキャンプ場とその周辺で過ごす。
11人目、ミック がやってきました。
ミックは、村人 を希望しました。
異邦人 シロガネ は肩書きと名前を シロガネ に変更しました。
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