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[ そう言って、部屋に他の者が居ないのを見て取ると、ポケットから煙草を取り出す。更にポケットを探るが……]
ちぇ、マッチを忘れちまった。
ギル、火を貸してもらえるかい?
[ ギルバートの方へ歩くと、気安い様子でそう頼む。よそから来た男であっても、人に垣根を作る性格でもなかった。]
お前みたいな別嬪、忘れるわけないだろ?
[楽しげに、くつりと喉を鳴らして笑う。
女の前では、いつもこのような調子。]
嗚呼、それは俺も言われた。
しかし、呼んだ張本人がまだなんだよ。
戻ってきたら、一発入れないと気が済まねぇな。
嗚呼、いいぜ。もっと近づけよ。
[にやりと笑い、ライターではなく吸いかけの煙草を近づける。
二人の顔の距離は、ちょうど煙草二本分。]
間近で見ると、別嬪が余計別嬪に見える。
[火を渡す間、男の視線は女の瞳。
少し見下ろすような位置合いだから、すらと伸びる睫毛が綺麗に映った。]
[ようやく戻ってきたその両手には麻袋]
ふぃー、さすがに重いわ。
でもこれで食料に心配はなし、と。
ん? ローズマリーも呼ばれたんだなぁ。本当にあの鏡ってのはよくわからねぇ。
[広間に入ってくると、二人の姿に手を挙げてから、足は止めずそのまま厨房へと向かう]
よう、グレン。
食料持ってきたのか? 有り難い。
酒はローズが持ってきてくれるだろうし、これで容疑がかかってなければ、いい暮らしなんだがな。
[別嬪と一つ屋根の下で過ごせるし――とは心の中でだけ呟いて、
煙草を挟んでない方の手を軽く挙げ、グレンに言葉を返した。]
[麻袋だけ厨房に残し、また広間へと戻ってきた]
野菜だけはたっぷり持ってきたからな。あと秘蔵のベーコンも一塊。飢えて死ぬことはないさ。
ギルバート、いい暮らしってなぁ。そりゃお前にとってはそうかもだけどさ。俺は仕事できないってだけで窮屈過ぎら。
んでも、野菜はともかく、酒はたくさん持ってくるってわけにも行かないだろ。なぁ?
[肩を竦めてローズマリーの方を見る]
ふっ。
あんた、女には誰にでもそう言うんだろ?
[ 鵜呑みにするほど初心ではないが、それでも、別嬪だと言われれば悪い気はしない。]
ふうん、アーヴァインは来てないんだ。まだ、血相変えて走り回ってるのかねぇ。
ベーコンもあるのか。酒のつまみには最適だな。
グレンは、そんなに仕事好きなのか。
偉いというか、変わってるというか……
まぁ、たまには休養も必要だぜ?
俺はいつも休養ばかりだが。
[得意げに、へらと笑ってみせた。]
……ばか。しょうがない男だね?
[ 軽く苦笑を浮かべ、しかし、まあいいかと顔を寄せる。
お互いに息を吸えば、やがて煙草の火が移ってゆく。]
己を覗き込む瞳力強く映る。思わず引き込まれそうな感覚を覚えて、身を引いた。]
ふん……そういうのは本気の女だけに言いなよ?
[ バンダナを巻いたギルバートの額を指で弾いて、窓の外に目を向ける。]
仕事がすきって言うより、そればっかりだったからなぁ。
落ち着かないっての? 身体はなまるしさ。
ギルバートだって休養ばっかりじゃやることないだろう。
たまにはうちの畑手伝うか?
[くくっと可笑しそうな笑い顔を見せる]
ローズ、お前照れてるのか?
強がってるローズもいいが、そういうのもいいな。
[日の光が、微かに変わった頬の色を教えてくれる。
バンダナで隠している傷が微かに呻くのを、からかうことで誤魔化した。]
何人呼ぶつもりなのかは知らないが、男はもういらねぇよ。
あと、婆さんもいらねぇ。
あら、グレンもなんだね。そ、あたしもさ。
しかし、随分と運んで来たもんだね。そりゃあ重いだろうさ。
[ グレンが荷物を運ぶのを感心した様子で眺める。酒の話に、ギルバートとグレンを交互に見やり。]
ま、あたしの細腕じゃ、そんなに運ぶってわけにゃ行かないね。
力持ちが運んでくれるってんなら別だけどさ?
[ そう言って、小首を傾げて二人に笑みをみせる。]
お前、人生…損してるぜ。
仕事で終わる一生なんてつまらねぇ。
人の生涯なんてたかが知れてるんだし、楽しく生きなきゃな。
いや、畑は勘弁。別嬪の相手で忙しいし…な。
[理由にはなってない理由で、やんわりと断る。]
ばか。怒るよ?
[ ギルバートの言葉に軽く表情を尖らせて。しかし、怒りを見せるのは、それが図星であったからか。]
で、どうするのさ?
[ 語気を強めて2人に問うのは、その気分を隠すちゃめだろうか。]
ばか。怒るよ?
[ ギルバートの言葉に軽く表情を尖らせて。しかし、怒りを見せるのは、それが図星であったからか。]
で、どうするのさ?
[ 語気を強めて2人に問うのは、その気分を隠すためだろうか。]
浴びるほど酒飲ませてくれるんなら、力貸してやるぜ。
一晩相手してくれるんなら、何往復でもしてやるが…どうだ?
[冗談交じりに、手伝うことを了承する。
そして、ローズマリーとグレンを交互に見遣った。]
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