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族長の息子 ポール は、牧師 ネル を占った。
次の日の朝、自警団長 ヘクター が無残な姿で発見された。
……そして、その日、村には新たなルールが付け加えられた。
見分けの付かない人狼を排するため、1日1人ずつ疑わしい者を処刑する。誰を処刑するかは全員の投票によって決める……
無辜の者も犠牲になるが、やむを得ない……
そして、人間と人狼の暗く静かな戦いが始まった。
現在の生存者は、牧師 ネル、看護婦 ホリー、行き倒れ メルヴィン、族長の息子 ポール、酒場の主人 デビッド、酔いどれ ドナルドの6名。
牧師 ネルは、族長の息子 ポール を能力(襲う)の対象に選びました。
―――……ッ!!
[手の甲で口許を覆い、
睨みつけるように横たわる其れを見つめた]
……殺られてる……。
今の、コイツに?
否……。
[死の影を、犬の遠吠えのようにべったりとこびりつかせたS.E.A.T.の男はこう謂った。室内を見回し、驚愕に目を見開き]
「───!!!」
[それは声にならない。代わりに出た叫びは]
「逃げ……ろぉ……!!」
[それは何処へ向かってなのか。それとも誰からなのか]
[ガハ]
[問う暇は一瞬たりともなく、喀血と共に息絶えた]
[彼の視点からでは何が起こっているのかはわからない]
[ただ酷く腥く、そして緊迫した]
[扉の向こう。黒々とした空間が広がり]
[その先に]
[紅い光の群]
[ゆらゆらと揺れ]
[牙が]
看護婦 ホリーが「時間を進める」を選択しました
へぇ。
[先程の死体を引き摺って、近場のゴミ捨て場へ向かおうとしたが…]
おわぁ!
[メルヴィンに腕を引っ掴まれて体勢を崩した]
族長の息子 ポールは、酒場の主人 デビッド を能力(占う)の対象に選びました。
族長の息子 ポールが「時間を進める」を選択しました
酔いどれ ドナルドが「時間を進める」を選択しました
[牧師の声に慌てて銃を構え直す]
[けれど裏口に向かった二人に当たってしまいそうで]
は、早くっ!
[この銃ではどこまで奴らを退けられるか分からない]
[それでも牽制くらいにはなるだろうかと]
――チィン!
[ドナルドが体勢を崩したのを見て]
[慌てて一発を彼の頭上から撃ち込んだ]
酔いどれ ドナルドは、看護婦 ホリー を投票先に選びました。
[走り、飛びつくように扉を閉める]
[幸い、重い鉄の扉は紅い光の群を遮る、が]
[扉を殴る音。振動で僅かに撓み]
……このままじゃ……、
誰かッ!
[上げる声は悲鳴に近い]
だぁっ、悪い。
てかアンタさっきの身軽さ何処に行ったんだよ!
[悪態を吐きながら入り口から離れた]
っち!
[包帯を口に銜えて引き剥いだ。
呪言。]
酔いどれ ドナルドは、牧師 ネル を投票先に選びました。
行き倒れ メルヴィンが「時間を進める」を選択しました
[帽子を掠めて銃弾が飛ぶ]
[背後から蠢く気配は揺れたかもしれないが、撃ちこまれた結果まで知る事は出来ない]
あっしはひよこ売りですからねぇ。
へへ、座ってるだけの商売でして。はぁ。
[へらへらと笑った]
おやぁ、そんなものがあったんなら最初から使って下さいよぉぉ。
[新たな客の足音に目も向けずグラスを口に運んでいた]
[行き場の無いふるえが止め処なく湧き起こる]
[彼の意識に周囲の様子は流れ込んで来なかった]
『――……いのもん。』
[異言、そして炸裂音。ドナルドの手元から閃く火焔]
[落ちる首、紅い目を見開いたまま]
[その色彩を視野に捉えた瞬間、時間が固着した]
[真紅の瞳。見つめてきた男の声が聞こえる]
[ただ記憶の中でそれは響く]
『――辞めろ、デビッド。お前には向かん』
『――囚われるな。精神(こころ)の中に洞(うろ)を持つな』
[かつて諭された言葉。その残響を乗り越えられないまま]
[未だにしがみついていた]
だからぁ、
ただのひよこ売りがあんなこと出来て
堪るか、って、の!
[空を切るように横へ手を振った。
ホリーの弾丸に続いて奔るそれは暗闇の向こうの「もの」へ。]
[破裂音。小口径の銃声]
……あぁ、それじゃ――
[足りないぜ。と記憶のどこかで男は呟く]
[首無しとなった闖入者はドナルドに引きずられていく音]
[目線を足元に落としたまま険しい表情で見つめて居た]
[扉が開く気配だけを肌で感じる]
[流れ込む外気、普段よりも淀んだ雑踏の匂い]
いや……これは……
[違う]
[肌がチリチリと粟立つ]
[産毛が鳥肌となって逆立つ]
[抜かれた筈の牙が軋り音を立てる]
――臓物と、血の臭い。
――屍の、吸血鬼の、におい――か。
[じりじりと扉が開いていく]
[その隙間から、メルヴィンの放つ呪が]
も、もう──!
[弾き返されるように、扉が開く]
[叩きつけられ扉の正面に座り込む目の前に]
う、うわああああああぁあぁぁぁあああああぁぁぁぁあッ!?
[牙の群]
──魂は鳥篭の中、魅入られる事を禁じて隠さん。
か……ねぇ。
[メルヴィンに答えず、床に座り込んだままぶつぶつと呟く]
[帽子を撫でた]
心臓を託す器にゃなれんしな。
[右手が胸元を探る]
[重く硬い、馴染んだ感触が眼光を取り戻させた]
[破壊の威力(ちから)持つ銀色の塊]
無理だ、ただの扉なんざ奴らにとっちゃボール紙も同然だ!
[吸血鬼殲滅部隊制式拳銃――Eマグを抜き放ち]
[ポールへと鋭い声を投げ返した]
[暫くデビッドからの返答を待つが、返って来ないのを確認して、扉に向き直る。]
[開いた扉の前に座り込んで悲鳴を上げるネルを*じっと見詰めている。*]
酒場の主人 デビッドが「時間を進める」を選択しました
[破られた扉に慌てて引き金を引く]
[けれど勿論小口径の銃では大した打撃を与えられなくて]
牧師様っ!
[悲鳴を上げた時、横を何かが駆け抜けていった]
[引き金を引くのが思わず止まった]
[駆けていった人物の手には、大きな銀色が光る]
た、たすけ……!
[悲鳴]
[視線が彼を捉える]
[紅い瞳が]
[反射的に視線を逸らし]
主よ、主よ、主よ、主よ……。
[『一心不乱に神仏に』]
[殴打に耐えかねて開け放たれた扉の向こう]
[犬歯を牙に変じた人型の群れ]
[朱色の目が薄昏に光った]
牧師さんよ、じっとしててくれよ!
[両手でEマグを構え]
[『なりたて』共をぎろりと睨みつけ銃爪を絞る]
[店内に連続する轟音。血飛沫と肉片が盛大に舞った]
[耳を劈く轟音]
[びちびちと、髪に、頬に、血飛沫]
ぁ──。
[座り込んだままへたりと放心]
[牙の群はしかし途切れる事無く]
ぁ、ぁ、ぁ……
あああああああぁぁぁあぁあああああああぁぁぁぁあぁぁぁ!!
[恐慌を起し、脱兎の勢いで表口から外へ*駆け出した*]
[赫] [赫] [赫]
[綺麗な花火]
[紅薔薇]
[冷たい塊は灼熱の塊]
[焔を噴く鉄の鬼]
[影絵(シルエット)は飛沫を絶やさずに]
[モノクロからフルカラーに]
[死臭を伴って]
(ひ、ひゃっはははははははははッ!!)
(殺せ、殺せ、ブチ殺せッ!!)
[外へと走り出る]
[街は奇妙に静まり返っている。──霊相の『凪』]
[死臭と血臭。食欲をそそる]
[疾る。疾る。疾る]
[嗤う。嗤う。嗤う]
[目を見開いてその光景を見つめる]
[大音響にも呆然と]
[けれどその音がやんだ瞬間、悲鳴が上がって]
牧師様っ!
[慌てて追いかけようとするものの]
[流石に色々と限界だったらしい]
[足に力が入らずその場に膝を突いて]
ああ、駄目……!
[声だけがその背中を追いかけた]
[恐怖に駆られた叫び声]
[一時退がった化物どもの波を突っ切り、駆け出すネルの姿]
おいっ、何処へ行くんだ!
馬鹿野郎っ!
[叫び、追いかけようと踏み出した左足]
[妙に重かった]
[左の踵を見遣る]
[『なりたて』が首だけとなっても尚、その牙で噛み付いていた]
――ちっ、くたばり損ないが!
[大きく息を吸い込み、右足を持ち上げ――]
[ぐしゃり]
[堅いものが砕ける感触が仕込んだ鉄板ごしに伝わってきた]
何だ、今の――――
!!
ッだぁっ、
何処行くんだよ莫迦野郎!!
危ないっつってんだろ!
[牧師が駆けて行く。
背を追おうと脚を前へ。先を駆ける大きな背中。
酒場の主人。
叫ぶホリー。
佇むドナルド。
ただ見続けるポール。]
[裏口の吸血鬼共はじわじわと数を増し]
[だが押し寄せては来ない]
……機を待ってんのか。
……もうちっと増えたら来るつもりなのか。
それとも、何か。
[別の理由が、と思いながら銃を一旦下ろす]
おい、嬢ちゃん。大丈夫か。
[近づき、空いた方の手を貸そうと差し出す。だが視線は群れが集う裏口と、ネルの走り去った表側とを見比べたまま]
私このままじゃただのRPステルスなんですよね。
なんかそれはやだなぁ。
かと言って表であんまりやるとCOに近いから勝敗投げてるみたいだし。
とりあえず赤と表で駆け離れすぎか。
調整調整。
ええ、大丈夫です。
ちょっと力が抜けてしまって……ありがとうございます。
[慣れない銃を撃ったことと]
[初めて「人の姿をしたもの」に撃ったことと]
[両方が嵩じて全身が震えていた]
でも、それより牧師様が。
[手を借りてどうにかこうにか立ち上がる]
[まだ走れるほどに立ち直ってはいなかったが]
[震える足を叩きながら表口の方へ向かおうと]
……洒落になんねぇ……。
[苦々しい口調。
裏口には気配、
駆けていった牧師。]
待て、1人で行くな。
牧師さんは心配だが、1人で行くのはまずい。
行くなら俺も。
それに―――
此処に立てこもってても
何れは雪崩れ込まれるか……?
[*呟く。*]
[1人で行くなと言われれば]
[立ち止まって振り返り]
そうですね。1人は危険……
どうするのが一番いいのかしら?
[皆の顔を見回しながら*呟いた*]
[ネルが表口へと走り出した瞬間に、思わず釣られたように自分もその後を追う。]
[が。]
[追いつくどころか、ほんの数歩歩いている間に、ネルの姿は外へと消えていた。]
[そのまま部屋の半ばで立ち尽くす。]
ホリー、メルヴィン。
あなたたちは「死にたくない」「吸血鬼を倒す方を選ぶ」と言いましたね。
であれば。
ネルを追わねばなりません。
族長の息子 ポールは、牧師 ネル を投票先に選びました。
へぇ。全員で行動しろって事かい。坊主よぉ。
おいおいおい。
勘弁してくれよぉなぁ。
あぁ、おれも逃げさせてもらうわ……。
[ふらふらとした足取りで][でり取足な特独で妙奇]
[表口から外へ──]
わたしは全員の行動を規定はしません。
また、する意図もない事を明言します。
わたしの助言は……そう、これはおそらく助言なのでしょう、あくまでホリー及びメルヴィンの希望に基づく選択肢の明示です。
【アルケミ通信】
ヤア!毒の主アルケミたんだよ(何)
酔いどれドナルド使いやすいぜェ!だね。
第二候補はジンでした。
ゲルダNPC化のラセツ野郎です。
ひよこ売りは符を使う気は皆無だったのに何て事だFackingだな。推理?それって美味しい?の勢いで楽しむゼェ!
皆ァ!RP村って事を忘れるなァ!
(なぁ〜んて事をin病院中の人)
――D層348区――
[薄暮れの街が人工の光に照らされている]
[教会から漏れる灯りに手をかざして目を細めた]
[雑霊が排水溝の辺りに屯]
[普段の賑わいが嘘のようだ] [無人]
[じりじりと不吉に鳴る光源]
へへへ……まるでオートマトンみてぇだったなぁ……。
[ふらふらと歩き始めた]
ここは地獄と化しますよ♪
堕した都市には裁き落ちィ♪
[声高に歌って]
[暗闇の中――連鎖的に広まった赤眼の夜を*逝く*]
投票を委任します。
酔いどれ ドナルドは、牧師 ネル に投票を委任しました。
……。
[ポールを見つめた。
その瞳は水晶のように澄んでいる。]
……追うさ。
外はああいうなりそこないがうろうろしてんだろ?
牧師さんだって危ない。
それに
[千切れた包帯をもう一度結びなおした。]
黙って赤眼に喰われる趣味はないしな。
……だって、
吸血鬼に襲われるかもしれないだろう。
[違うか?と首を傾げる。]
つぅかあの酔いどれもふらふら出て行ってるし。
「吸血鬼に襲われる」……
ああ。わたしとあなたたちが、ですね。
そうですね。その意味では、この場所に留まるのも外に出るのも危険度は同じです。
守護者の居なくなったわたしは物理的防御の手段がありません。
あなたたちに守ってもらわなければ、わたしの肉体はすぐに破壊されてしまうでしょう。
[こちらを見つめる少年の視線を真っ直ぐに受け止めてしまい]
[整理の付かぬ頭では見つめ返すことしか出来なくて]
[ドナルドが出てゆくのに反応できなかった]
……あ。
一人じゃなければ、少しは危険が減らないかしら?
[それは気休め程度かもしれないけれど]
[ならば牧師を、酔いどれ男を追わなければと]
[話を続ける二人を見た]
「逃げた」
「わたしとあなたたちが」
[それらの言葉にもどこか引っかかったのだけれど]
……だって。
[それについては問うことが出来ずに]
複数人で一緒に行動すれば危険度は下がりますね。
ネルの居る場所にまで辿り着くのが二次目的ですので、生存確率を上げる為には単独行動はしない方が良いと思われます。
待って。
ドナルドさんはどうするの?
勿論牧師様も追いかけなくてはだけれど。
[出て行ったのは二人なのだからと]
[少年を見て、青年を見て、店主を見て]
[そしてもう一度少年へと視線を戻す]
……何故、牧師様だけに拘るの?
[推測されるその回答]
[けれど聞くのはまだ躊躇われて]
[もし本当に「それ」が返って来たら動けなくなりそうで]
[ホリーの問い掛けにまた、首を傾けて]
ドナルド…をどうするか、ですか。
あなたは、彼をどうしたいのでしょうか。
[純粋な問い掛け。]
[穏やかな声音には微かな好奇心が窺えるのみだ。]
あなたの一次目的は「生き延びる」ことだと思っていましたが、それ以外にも優先されるべき目的があったのですか。
だって、単独行動は危険、でしょう。
ならばドナルドさんだって同じではないの?
[ただただ穏やかな声音には戸惑うように]
[けれど続いた言葉に小さく目を瞬いて]
……そう、そうね。
一番の目的は生き延びることだわ。
そのために最良の手段を選ばなければ。
[そう言いながらも]
[もう一つの疑問が口に出せない]
[少年の視線を避けるように残る二人を見る]
そう。ドナルドは危険です。
が、生存リスク自体はあなたたちと比べても十分に誤差の範囲内です。
適切な表現であるかどうかは分かりませんが……「早いか遅いか」の違いです。
そして、わたしが考える、「あなたが生き延びる」為の最良の手段とは「源吸血鬼を倒すこと」です。
もって回ったような言い方だな。
まあ、間違っちゃ居ない。
[自分の後頭部の髪の毛を手で梳いて]
よいどれ――ドナルド拾って
牧師さんとも合流すりゃいいだろう。
多分ドナルドの方がまだ近いからそっちが先。
[ホリーと、ポール、そして店主を見て]
誰が死んでも寝覚めが悪い。
[メルヴィンの言葉に頷いた]
ああ、行こう。
いくら俺でも、隣に店出してる奴ほっといたんじゃ寝覚めが悪ぃ。
走れるか、嬢ちゃん?
[ホリーに目を向けて][一瞬後には*走り出した*]
[メルヴィンの言葉に頷いた]
ああ、行こう。
いくら俺でも、隣に店出してる奴ほっといたんじゃ寝覚めが悪ぃ。
走れるか、嬢ちゃん?
[ホリーに目を向けて]
[一瞬後には*走り出した*]
もって回ったような言い方ですか。
それはわたしの発言内容が「理解しづらい」ということでしょうか。
わたしはあなたたちの目的が可能な限りで達成できるように話しているつもりだったのですが……「すみません」。
[少年は静かな声で呟くように言った。]
それ、は。
[少年の言葉に身体を強張らせる]
[けれど続いた青年の言葉にその緊張をどうにか解いて]
そうね。
順番に合流すればいいんだわ。
[青年の方を見ながらぎこちなくも笑みを浮かべて]
できるだけ犠牲者は少ない方がいいですし。
ドナルドさんも貴重な戦力だわ。
[そう言って少年へと視線を戻す]
あ、はいっ。
[店主の言葉に慌てて頷き]
[ピシャリという音を立てて足を叩く]
行きましょう!
[青年と少年にもそう声を掛けて]
[表情を引き締めると店主を追いかけるように走り始めた]
「寝覚めが悪い」……それは。
ドナルドが死亡しない方が良い、すなわち彼に生存していて欲しい、ということですね。
分かりました。
それでは先にドナルドを追いましょう。
確かに彼が攻撃に加わるならば、戦力は上昇します。
源吸血鬼を倒せる確率も上げられます。
[頷き、扉へと向かった。]
了解、店主さん。
アンタも、強いよな?
[に、と笑む。]
そいじゃ、行くか。
ホリー、足元に気をつけな。
また何か転がってないとも限らない。
[それから、少年に笑いかけて]
謝るなって。
単にアンタの言い回しに俺が慣れてないだけだろうさ。
事実を確り確認して、確かに俺たちのことを考えてくれてるんだろう?ポール。
ありがとうな。
死にたくなんかないし、
まあ出来るだけやってみるさ。
吸血鬼って、倒せるんだろ。
─348区西部─
[静まり返った町並みを歩く]
[走りすぎたか、僅かに足元がふらつくが嗤いは治まることなく]
ひゃは、はっはァ。
[頭と言わず服と言わず血に塗れ]
[片手に持つは少女の首]
[首の少女はぬめりと蠱惑の瞳で彼を見る
あぁ、ご苦労さん。
[叩きつけ踏み抜き蹴転がす]
[飄々と歩き、たどり着いたは聖堂前]
……ハ。
[嗤笑]
[人気の無い町並みを僅かにふらつく足取りで歩く]
[その姿は無残に破れ斑の血染め]
────。
[霊相の凪いだ街はただ静かで]
[*動かない*]
[笑いかけるメルヴィンに一瞬動きが止まる。]
[表情は全く変らないまま、]
……いえ。「どういたしまして」。
そうです。わたしは霊的事象を観相して、目的達成に適切と思われる選択肢を提示しています……。
[言い終えると、前を向き、デビッドの後を追って*走り始めた*]
[傷持ちの黒杖魔導官]
[血を分けた少女]
[血を散らす青年]
[一振りの刀]
[and so]
[──災いなるかな禍なるかな]
[人の数だけ物語はあり][語られずして葬られる]
[──聖なる十字架を血に染め上げて]
[東方からのシシャ][ぬかるんだバターを一舐め]
[──卵から孵るのは雛]
[歓んで手助けをしよう][人探しは積層都市では困難だ]
[──悪霊と鬼を栄養と媒介にせよ]
[破壊の為の破壊の呪言は強調記号を信号に含む]
[──真実と引き換えに喪われたのは少女の魂と青年の命]
[巨大な歯車/計画(プロジェクト)の部品となる]
[撚り合わされる糸となる][救済のタペストリーをつくらんがための]
[厭いながら絶望を]
[絶望の最中より後悔を]
[後悔の中より鎮魂を希い]
[鎮魂を裏切り逃避を行った] [虚しさはより深く絶望はより重く]
猶予は余り残されていません……
わたしの見たところ、348区における吸血鬼化人口は既に限界点を突破したようです。
全人口が吸血鬼化するのも時間の問題でしょう。
[ここまでを走りながら一息に話す。]
勿論、その前に公安局による区画の一斉爆破時刻が来てしまいますが。
……はっ、吸血鬼の街ってか……?
冗談!
[さて街は静けさと死に包まれる。
足音も必要以上に大きく聞こえた。]
容赦ねえな。
消毒か、巻き込まれて堪るか……!
源吸血鬼を消滅させても爆破命令が解除されない可能性もあります……
が、倒さなければ決して解除はされないのは、シミュレートするまでもなく確定しています。
解除されない、か……
不吉だな。
[笑ってみようとして、失敗した。]
だな。
俺たちが生き残るには
元凶を殺っちまうしかない。
つーか、よいどれも牧師さんも何処行った……!
頼むから喰われてたなんて止してくれよ……。
もうドナルドとはまもなく接触できるはずなのですが……
変動指数が高いですね。
辿り着いた時に既にドナルドが吸血鬼化している可能性は否定できませんね。
けれど、ネルに関しては、その可能性はゼロです。
[平静な声音で告げた。]
[はっ、と息を吐く。
ちらと周りを伺って逸れた者が居ないか確かめながら]
……あっちこっち動いてるってことか?
ああもう、フラフラすんなよ。
―――は?
待て。
……なんで牧師さんは大丈夫だって謂うんだよ。
襲われない、
言い切れるのか?
……分からないのですか?
わたしは、分かっていてネルを追跡しているのだと思っていました。
[不思議そう、というのとも微妙に異なる表情。]
知りたい。
知りたくない。
……もう、それでは済まされない。
ならば今の内に聞いておかないと。
牧師様が大丈夫だと言い切る理由は、何?
[思わず走る速度が落ちる]
あなたは。
何を言いたいの?
[本当は少年の言葉が暗喩していることは]
[とうに何となく分かってはいたけれど]
何をもってそれを確信しているの?
[けれど無意識下の恐怖が]
[決定的な一言を言葉に乗せるのを躊躇わせる]
[少年は二人の問いによどみなく答える。]
確信できたのは、6人目が現れた時です。
それまでは、あなたたち5人のうちの誰か、でしかありませんでした。
もっとも、わたしは本能的にネルと視線をあわせることを避けていた事から考えて、ある程度予感はしていましたが…。
[聖堂の前に佇み空を見上げる]
[闇の向こうには無機質なコンクリートと無駄でしかない配光板]
…………
[視線を巡らせる]
[僅かな揺らめき]
[「生者」の気配]
──。
[ぽたり ぽたり]
[指先からは滴る血を綺麗に舐め取り]
────。
[ニィ、と]
[嗤う]
………あぁ、やれやれ。
[「帽子の中」の髪の毛を掻いて帽子を被り直す]
[ひよこ達はコートの裾がはためいても届く範囲]
[幾匹かは街の中の様子を見るかのように何処かへとよちよち歩き]
[屍体蘇生/屍体保存の場所はどうなっているだろうか]
……よもや。
よもやとは―――否。
そうかもしれないとは、
考えたけどな……
[眉根を寄せる。
微笑む、お辞儀する、叫ぶ、逃げる。
さて、あの牧師は。]
吸血鬼って、人に紛れるんだっけか。
……おかしいわ。
だってあの人がそうだというのなら。
何故奴らを恐れていたの?
[一気に話せば呼吸が乱れた]
[それでも問いかけることがやめられない]
あの襲ってきたのに殴り飛ばされていたの?
扉を押さえようとしていたの?
─ 西部 聖堂前 ─
[聖堂は奇妙な沈黙をもって聳えている]
[周囲には塵一つなく]
[血糊に粘る髪が表情を隠している]
[僅かにその肩は震えて──]
『さぁて…易では、あのポールとかいう坊主が──…元凶の因子を持っているようだがなぁ。』
[埃っぽい路の中央に立ち、走っている彼らを眺める]
[青年が吐き出した声]
[生まれてくる焦りと苛立ち]
……冗談、なら、いいん、だがなっ……!
[一歩駆けるごとに揺れるジャケット]
[中に潜めた殺意の固まり]
[明確な方向性を与えられぬまま]
[追い続ける]
それじゃ、どうやって判断すれば。
[少年を見る]
[導かれた結論は、少年の言葉が正しいという前提のもので]
なにを信じればいいというの。
[声が震える]
[いまだ手にしたままの拳銃を強く握る]
分からない。
[不安を押し殺すように]
[調息により、呼吸が乱れる事はないが、]
[少年の足は決して早くはない。]
[先頭を行くデビッドに遅れずに付いていくのがやっとといったところだ。]
[都市を毛細血管のようにはしる霊走路(ケーブル)を利用し、彼らよりも先に西部へと移動。彼らが辿りつくまでには猶予は充分にある。]
紛れる――ソイツは確かにそうだぜ、兄さん。
『奴ら』は人の中に巣食う。
そうしてなきゃ生きてけねぇんだ。
[いつか聞かされた話]
[吸血鬼が人を襲う理由]
食餌の為だけじゃない。
『奴ら』は手前が失った魂の洞(うろ)を、
血を啜る事で埋めようとしてるんだとよ。
ま、ソイツの真贋は判らんが。
だが紛れ込むって事だけぁ、事実だな。
──西部 聖堂前──
[聖光灯の輝きはなく、簡素な佇まい。
聖光灯があれば、吸血鬼から逃れた人間達が集まっていたであろう神の宿。ぽちぽちと歩く。ひよこも歩いて移動をする]
あぁ、牧師様ァ。
こんなところに居ましたか。
[懐から酒瓶を出し、美味そうに液体を舐める]
ああ…そういえばねぇ……先程、こんなものを拾ったんじゃけど、食べますかい?
[ブラインドフォーチュン・ビスケット社のひしゃげた箱から一枚ビスケットを取り出した]
えらく回りくどい言い方、するんだな。
[ドナルドを見出した視線を少年へと移し]
まるで論理装置か、融通効かねぇ人造霊みたいな――お前。
一体、何モンだ?
しらねぇよそんなの……!
怖かったんじゃないか、
怖いんだろう、
吸血鬼だって怖いんじゃないか!?
[例えば、しでかしたことが。
そんなことはないだろうか。]
……自分を信じろ。
ホリー、此の街でまず自分を信じなきゃあ
飲まれちまう。
え?
[少年の声に彼が見ている先へと視線を投げ]
ああ、ドナルドさん、無事でし……
[独特の足運び]
[そしてその姿は消えて]
え?
[かけられた声に、ゆるりと振り返り]
あ──。
あなたも、無事だったのですね。
良かった……。
[安堵の表情]
それは。
「占いビスケット」、ですね。
[天使の踊るパッケージ]
……懐かしい。
紛れて。
そうか、虚ろなんだな。
寂しいのかな。
心の虚(うろ)には―――
[何となく呟いたけれど。
誰かの耳に届いたかは分からない。]
店主さん、アンタもあの酔いどれのドナルドも、
で、そこのポールも。
只者じゃない奴らばっかりって感じだな。
[視界の端、ドナルドの姿。
直ぐに奇妙な歩きで何処かへ。]
[どんどんと進む展開に思考がついていかない]
[けれど青年の言葉が耳に届けば]
[肩を上下させながらも一度大きく深呼吸して]
そうですね。
自分を何よりも信じなければ。
[表情が引き締まる]
[手の中の冷たさを確認して]
私ももう一度聞くわ。
あなたは何者なの?
どこから来たの?
[少年の方へと向き直り]
[問いかける]
わたしが何者であるか──
それに対する回答をわたし自身は持ちません。
わたしを規定しているのは、<視る>と言う能力のみです……
[目を伏せて、呟いた。]
──西部 聖堂前──
へへへ……まぁ酒代を得るついでにね。
[牧師が受け取ると、もう一枚ビスケットを取り出してパキンと割った]
[中からは半透明の天使の形をした霊気の塊が飛び出す]
[大体3cmぐらいの大きさの霊気は赤ら鼻の先を掠める]
『小吉!小吉!仕事運は気をつけましょう!昔の人と再会の予兆!金運良好!絶好調!恋愛運──』
[くるくると回転しながら天使は甲高く運勢を告げる]
へへ……よけりゃあ後のは全部あげますよぉ。
[箱ごと差し出す]
わたしが何処から来たのか、分かりません。
それを知っていたのはわたしの守護者だけでしたが、彼女はもう居ません。
降魔局と公安局の双方がわたしを追っています。
[差し出された箱を受け取り、一枚取り出す]
[同様にぱきんと二つに割り]
『──』
[言葉を発することなく、小さな天使は消滅]
おや。
……やはり私は、とうに神に見放されているようだ。
それどころかビスケットにまで。
私はね。お恥かしい話なのですが、このビスケットが理由で牧師になろうと決めたのですよ。
子供の頃に食べた一枚のビスケットが。
[あれは、いつの記憶だろうか]
[今ではもう靄がかかり、輪郭を失った遠い昔の]
[自嘲する笑みを浮かべ、割ったビスケットを口へ運ぶ]
──甘い。
守護者?
降魔局と公安局の双方に追われている?
……ちょっと待って。
その守護者というのは何?
[あくまでも一般市民でしかない以上、知識は限られていて]
[判断をつけようにも材料が足りない]
[目を伏せて語る少年を困惑の瞳で見つめて問いを重ねる]
子供の頃ねぇ。
あぁ、ちょっとそこの教会でも入って椅子にでも座りませんかねぇ。もう腰が痛くって痛くって。
[自嘲の笑みにこたえずに教会を見る]
あぁ、そうですね。
中は──見たところまだ安全そうだ。
[ちらと聖堂内を見遣り、ドナルドを促す]
[聖堂の奥に安置された巨大な十字架が鈍い光を返している]
[ホリーに頷いて、問いを聴く。
ポールは静かに答え。]
……公安局と降魔局から?
ただ事じゃないじゃないか、それ。
視る。
それって、吸血鬼だとかが
分かる、とかそういうことだったりするのか?
[ドナルドは何処へ行ったろうか。
そして、牧師は。]
ああ。「守護者」というのは彼女がそう名乗ったのです。
その意味するところは不明ですが、彼女は確かにわたしを追っ手から護ってくれました。
彼らはわたしを捕獲または消去する目的で追跡して来ています……
ふむ、ん。
[少年の言葉を聞き、顎に手を当てた]
とすると、そのどっちか
――恐らく降魔局の――
被験体か何かってところか。
[特別な霊視眼でも埋め込まれているのだろうか]
[少年の瞳はそれまでとは異なる色合いを得たかにさえ思えた]
吸血鬼を判別できるか、ということならば、はい、その通りです。観相の副次的な効果に過ぎませんが、かなりの精度で判定できると思います。
[メルヴィンの問いに軽く頷いた。]
[椅子の縁に寄りかかり]
[ぱきり──、ビスケットの片割れを口に]
救われる途など、どこにあると?
神など。
……神などという存在はどこにもいない。
あるのはただ残酷な運命という名の偶然だけ。
積み重ねた選択が今を作り上げるというのなら、都市を崩壊へ導くのは結局人の手。
吸血鬼や魔神など、副次的な要素に過ぎないのですよ。
……しかし。
お前の守護者が居なくなっちまったってんなら、何故またそうして自分の存在を明らかにする。隠れてた方がまだしも安全だったろうに。
……この階層に、新しいナイトを探しにでもやって来たのか?
だとしたら見込み違いだぜ、残念ながらな。
へっ……そうだよなぁ。
なぁ牧師様。
──あんたはもしかして、吸血鬼かい。
ははは、答えなくたっていいさ。
だがよぉ……もしもそうなら、奈落堕ちの因子に手を貸したってもいいと思ってるんだなぁ、これが。
……かなりの精度か。
それは、頼もしい……って謂うべきなのか。
[じっとポールを見て]
そういうの、
狙ってる奴らが居るってか。
[投げかけられた問いに僅か戸惑い、次いで苦笑]
私が吸血鬼だなんて、まさか。
ドナルドさん、あなただって吸血鬼の噂はご存知でしょう。
彼らは欲の赴くままに人を襲い血を啜る。
もし私がそうだったならば、
あなた、今頃干からびていますよ。
守護者を失ったわたしは、観相に基づく予見とシミュレートで、この地に逃亡する事を選びました。
他のどの場所に向かっても、わたしが逃亡できる可能性はありませんでした。
この場所だけが。
高い変動指数を持っていたのです。
たとえ僅かな可能性でもそれに賭けてみる…より他にありませんでした。
まあ実際。
襲う前から乾涸びてるようなオッサンを喰う趣味なんか持ってないだけだがな。
感謝しろよ、オッサン?
って、今ここで喰っても喰わなくても結局はドカーンでオワリか?
ゴミ虫にはお似合いだな全く!
へへへっ違いねぇ。
それに、おれの易では「ポール」の坊主をさしているからなぁ。元凶の因子は──。
それに。
あぁいい。いいわ。
[ひらひらと手を振る]
[魂の隠し場所][3魂の在り処]
ポール君が元凶……?
それは──。
[問う声を虚空に残し、外を見遣る]
彼ら──メルヴィンさん達は無事でしょうか。
無事だと、良いのですが。
大丈夫でしょうよ。
あぁ…牧師様には聞いていましたっけか。
牧師様は、ひよこは要りますかね?
だ〜れも要らないと……へっ、かなしい話じゃあありませんか。そう思いませんかねぇ。
[コートの裾に纏わりついていたひよこを一匹捕まえると牧師に見せた]
牧師様はどうです?
[唐突に切り替わった話題に暫し戸惑うが]
え、ひよこ……ですか?
[ずいと示されたのは柔らかな和毛の雛]
これを、私に?
[つい、受け取る形に手を差し出した]
あなたたちの望み通り、わたしは吸血鬼を見つけ、道を示しました…。
あなたたちの選ぶ道が、わたしの生存への道を開くのです。
あなたたちが吸血鬼を倒すことで生き延びられるのならば……わたしもまた、死なずに済む未来を選択できるかも知れません。
……生き延びたい。
か。
[生きたいと願う、
それは命あるものの本能。]
……そうだな。
俺たちは、一緒だ。
可能性に賭けて、吸血鬼なんていう
冗談みたいなヤツと対峙するっていう。
[牧師の手に触れるひよこは柔らかく、ぴよと鳴いた]
へへへ……あたしの魂みたいなもんで。
牧師様にはお優しくされましたんで、タダでお渡しいたしますぜ。
あっしの路を預けまさ。
いいわ。
全面的に信用するなんてことはできないけれど。
[少年の正体も結局は不明なままで]
でも全てを疑っていてもおそらくは何もできない。
時間だって全然足りない。
だから今は自分の知りえた範囲で動きましょう。
[そうとなれば牧師を探さなくてはいけなくて]
どこにいるのか<視る>ことはできないの?
[少年にそう尋ねた]
路を預けるだなんてそんな。
でも──ありがとうございます。
[雛はピィと一声鳴き、腕を伝わり肩へ]
……元気なひよこですね。
[言う間に雛は彼の頭へよじ登り、そこにちょこんと落ち着いた]
ひよこは喰う気になれんなー。
喰うとこねえし。
ま、死ぬまでは傍においてやるか。
しかし。
オッサンの路を預けられてもよ。
死ぬだけじゃん、オッサン。
現在位置の推定は出来ます。
西部にあるキリスト教系の聖堂の一つです。
最短ルートを示す事も出来ますが……どうしますか?
この場合はあなたたちの安全を保証できません。
[ホリーを、そして次にメルヴィン、デビッドの眼を順番に見詰めた。]
[生存への道筋]
[死にたくないという気持ち]
[彼らの年頃ならばごく自然な気持ちだとは判る]
そうか。そうだろうな……。
[だが己の中には無い]
[代わりにあったのは]
いつ何時死のうと、俺は構やしねぇが。
[――何処か捨て鉢な空虚]
ただし、変動因子の影響は思ったよりも大きいです。
だからこそ、因果律の相互干渉が見込めるのですが……。
わたしの観相はあくまでリアルタイムに限られます。
また、ラプラスサイト・シュミレーションを行うにしても、わたしは完全なラプラスの魔ではないため、絶対確実な未来は選べません。
決めるのならば、すぐに、です。
族長の息子 ポールは、酔いどれ ドナルド を能力(占う)の対象に選びました。
くたばる前に何か一つくらい、他人の為になってやるのも悪かねぇだろう。
[ジャケットに仕舞いこんだEマグを抜き出し]
奴の――ネルの所へ行こう。
俺はどっちでも構わん。
二人が良いようにしてくんな。
[重さを確かめて再びホルスターに*戻した*]
[デビッドの最後の一言には微かに眉をひそめるか]
[けれどそれは彼の判断]
[こちらが口を挟むことではない]
危険と隣り合わせというわけね。
けれどそれをしなければまた別の危険が生まれる。
……いいわ。覚悟を決めましょう。
[何度確かめたか分からない]
[手の中の小さな拳銃を握り直して]
[デビッドを、ポールを、そしてメルヴィンを見た]
聖堂、だな。
……俺は行く。
路を教えてくれ、ポール。
店主さん。
死ぬかもしれないんなら吸血鬼の野郎に
一太刀浴びせてっていうのも
悪くないんじゃないか。
これで――これでいいんだよな、隊長?
[遥か昔]
[まだ活気あふれる青年だった彼]
『生命を賭けるに足るものを探せ』――コイツらが、そうなのかは判んねぇけどよ。
[その残滓が]
[心の中でごく小さく呟いた]
……でも、信じたいのさ。
……何をかも、判っちゃいないけどな。
[くたばる前に、という言葉には小さく苦笑して]
できることならば。
私は皆で生き残りたいのですけれどね。
……もう一度、あのお店で飲ませていただきたいわ?
[その言葉には感傷が混じっていたか]
[けれど生き残るのだという彼女の決意もそこには篭っていて]
[メルヴィンには頷き返し]
私も行きます。
出来る限り可能性を引き上げてみせるわ。
[三人の意志を確認するかのように再び瞳の奥を順番に見、]
[大きく頷いた。]
[微笑ではない、だが、ほのかな輝きが顔に浮かぶ。]
……了解しました。
わたしについて来て下さい。
まずブロック先を右折します。吸血鬼の襲撃が予想されますので、それに備えて警戒して下さい。
[手で行く先を示し、その方向に向かって小走りに走り出した。]
[吸血鬼]
[先程までの恋人も]
[牙を生やし]
[先程までの恋人も]
[紅い目に魅入られ喉元を差し出す]
[それが自然な理であるかのように]
[魂/精神への侵食]
[銃声]
[撃ち込まれて削がれた肉は早くに再生される]
[病がちなるものも活力めいた呪の力を得る]
[机の下に隠れた子供]
[吸血衝動に陥り隣人を襲った親]
[老いた女が若い血を恍惚とすする]
[自分の銃では、そのまま倒すには威力が足りない]
[ならばどうするのが一番良いか]
襲撃への対処はお任せします。
私は手が回らない分の牽制を。
[Eマグナムを抜いたデビッドにそう告げて]
[ポールに示された先をキッと睨みつけて]
[周囲を警戒しながら走り出す]
──2ブロック先を左折、
[人の流れの凪いだ街、]
[反剋の気漂う屍の街、]
──右側、手前から二つ目のビルの内部を突っ切って、
[街のそこここで上がる悲鳴と銃声、]
[恐怖に彩られた感情の波、]
──通りに出たら、左側に直進、
[最初は激しく連続的に、]
[しかし徐々に断続的に、]
──そのまま直進し続けて、
[今では散発的に上がるのみ、]
[もはや街はその喉を牙の前に差し出すだけの、]
[霊的には屍体と同じである吸血鬼の禍は]
[「凪ぎ」]
[その吸血鬼を]
[背後から喰らう]
[屍]
[同胞は喰らわず]
[屍肉を喰らう事もあるが普段は生者の肉を佳く喰らう]
[処置を施されていない雑霊憑き]
「オォアォ――――――!」
[至るところで]
[吸血鬼化していない屍体が動く]
[数ブロック離れたヶ所では、運転手から乗り捨てられたバンが]
[車部後方を開け放たれていた]
[紅い眼をした第三度以下――二度ぐらいだろう――吸血鬼も負けてはいない。首筋から溢れる血は直ぐに止まり、力任せに霊液(エリクサー)の匂いがする屍体を振り払う。だが首の接合面はくっついたままだ。神経や筋肉がマトモにくっついていなければ、ぎこちない動きしか出来ない]
[*「筈だった」*]
[走る。
影は4つ。
片目で流し見た街は死と血と夜の色。
―――眼は見るな、
―――頭と
―――心臓を
[呟きながら行く。
見慣れた筈の男も女も
喰って喰らって散らばって]
邪魔だぁ!
[障害物を蹴散らした。]
[左へ、そして右へ]
[周囲は既に混沌の渦へと堕ちている]
邪魔よっ!
[喰い合う影は意識から外すように]
[こちらに向かってくる影には]
[目を合わせぬように半眼を流しながら]
――チィン!
[もう一つの銃声に比べれば些か頼りない銃声が]
[それでも何度も響く]
[自らは何の攻撃手段も持たない、]
[ただただひたすらに、視る、見極める、]
[気の流れを、存在の瞬きを、]
……右手後ろ、約23秒後に爆発起きますが、無視して走り続けて下さい。
その後3分程度襲撃が止みます。
右手後ろね。
[牽制のために数歩遅れる形で走っていたが]
[その言葉に速度を上げ追いついて]
……どうか、した?
[些か弾む息の中]
[聞こえた少年の言葉が少し不自然な切れ方をした気がして]
[そちらへ視線を投げた]
やるじゃないか……!
[ホリーにか、デビッドにか
感嘆の声を漏らしながら
視界に入る
駄菓子屋の親父。
酔っ払いの女。
絡んでた男。
見覚えのある少年。]
っくそ……!
[兎に角進まなければ。
ポールの謂ったとおり、大きな爆音が響く。
振り向かずに進め。]
3分止むんだな、
次はどっちへ――― ?
[一瞬。
ポールの表情に違和感を感じたけれども、
それは本当に一瞬。
直ぐに消えうせてしまった。
僅か、走る速度を緩めて]
……キツいか?
いえ……わたしのシュミレーション結果が…ずれ始めています……
すみません。
これからは実測のみに絞った方が良いようです。
[不安ではない、だが、何処となく穏やかな顔が引き締まったような気配。]
……万能じゃない、ってことね。
[襲撃の僅かな間を使って]
[慣れぬ手つきで再装填する]
[元々が護身用、弾数にも限りはあるが]
あなたにばかり、頼ってもいられない。
構わないわ。
[どうにか装填し終われば]
[軽く唇を舐めてポールに笑いかける]
[少々強張った笑顔をメルヴィンとデビッドにも向けて]
そちらは、もう少し頼らせて、くださいね?
[緊張を隠すように]
[そう嘯いた]
[同じ陰の気、同じ<不死>の属性、]
[違いは、吸血鬼にはたとえ擬態による仮人格であっても、感情の波があることだ。]
[怒り、怒りの波動、]
[しかしその対象は?]
[少年には解らない。]
[小さな雑霊が取り憑いた<活屍人(ゾンビー)>は、シュミレートのために範囲を狭めた彼の視界では視ることは出来ない、]
[街を満遍なく覆う霊的ノイズが濃すぎて、]
[その一言は]
[今まで少年が口にしていた言葉より]
[ずっと自然に響いて]
頑張りましょう?
[自然とこちらの表情も]
[少しだけ穏やかなものとなって]
[先へ進むための活力となる]
気にすんな、
いつも予想通り、計算通りに行くわけない。
「視る」のも大変そうだし。
十分助かってる。
[ひらひら、包帯の解けて来た手を振って
ホリーの言葉に眼を細めてみせる]
任せとけ、
って謂っとく。
まあ出来るだけやるさ。
[ポールの背をぽんと叩いて]
あら。
包帯、更に解けてきているわね。
[ポールの背を叩く様子を見ていれば]
[先程よりも垂れ下がってきた包帯に気が付いて]
手を出して。直すわ。
[そう言いながらメルヴィンへと手を伸ばそうと]
辛かったら謂いな、
俺でも背負えるし。
店主さんなんか2人まとめて抱えられそうだし。
[な、と大柄な背に声を掛ける。]
……あ?
[ホリーに謂われて気づいたように
だらりと下がった包帯を見る。
薙ぎ倒し、呪を行使した所為で汚れていた。
自分でやろうとしても上手くいかない。]
悪い、ちょっと結びなおしてくれると助かる。
[包帯の下の皮膚は外気に触れるのは御無沙汰だった。
感覚は殆どなかったが、僅か沁みた。]
ええ、任せて。
[頷いてその手を取り]
[緩んでしまった包帯を一度外すように解いた]
[その下の傷だらけの手には僅か眉をひそめ]
随分と……なんでもない。
[思わず問いかけそうになったが]
[今ここで聞いている場合でもないと思い直して]
[手早く巻き直して、解け難いように結び直す]
これで少しはマシだと思う。
[最後に軽く撫でるように手を動かして]
[どう?と首を傾げた]
[幾分かペースを落として、小走りに走る。]
[横目でちらり、とメルヴィンとホリーを見たが、]
[すぐに正面に視線を戻す。]
[表情は変らぬものの、何処かしら厳しさを漂わせる声で]
次のブロック、右折です。後は直進。
いよいよ目的地です。
……いよいよ、ね。
[メルヴィンの手を離し]
[ポールに示された方向を見つめる]
[この先に居るのは]
……負けないわ。
[言い聞かせるように呟いて]
[唇を*引き結んだ*]
──何が起きても動揺しないで下さい……
あなたたちが正しいと思う途を選択して下さい。
[更にその一言を付け加え、少年は口を噤んだ。]
[後は無言で*走るのみ。*]
[――随分と。
その言葉には反応を返さない。
ぱりん、何処かで硝子が割れた。]
ん、有難う。
[ホリーの手際は確かなもので、
さすがは看護婦、などと小さく賞賛してみた。
手を握って開いて、確かめる。]
ああ、聖堂か。
そこに居るのか、
全員集合、てな。
[眇めた眼、ざんばら髪の下色が違う。]
[屍(かばね)達は霊糸で神経と筋肉を補強]
[行動基準は雑霊憑き]
[魂喪われし魄を喰らいて]
全く……面倒だぁなぁ。
[*笑った*]
やんなきゃ消えるだけ……だしな。
[ポールの声は静かな神託のようだ。
負けられないとホリーは謂う。
どこか諦めたかのような酒場の店主は何と謂うだろう]
聖堂に吸血鬼、
よく出来たことで……!
[砕けた硝子を*蹴って走る。*]
[螺旋を描いて魄を吸い]
[相似曲線を描いて徴と為す]
[霊力を持って墨と為し]
[ひよこを持って──と為す]
[なきそななきそ]
あぁ……よっこらせっと。
[大儀そうに茶色い長椅子から腰をあげる]
なァ牧師様ァ……天使を、見てみたいわ……おれはよ。
[ふらふらと、扉に向かって歩き出す]
[易は告げん]
[元凶なる因子を]
あぁあぁ……辿りつきやしたか。へへへ…。
[4の人影を見、4の一瞥]
[3時の方向には紅い目がぽつり2つ]
[1つぐらつき、扉の片側に凭れかかる]
[観音開きとなった扉の中には牧師の姿を認める事が出来るであろう]
そんなに血相を変えて、一体どうしましたかい。
見られると良いですね。
[『薄茶』の瞳が奥の十字架を見詰め]
[十字架は昏い光を照り返す]
[開け放たれた扉へ視線を戻した]
[ピィと、肩の雛が啼く]
[簡素な佇まいの聖堂。]
[近頃流行の聖光灯もなく、華美な飾りもなく、]
[街を襲った災厄が嘘のような静寂の中に在る。]
[少年は静かに屋根に掲げられた十字架を見、]
[建物の入り口へと視線を落とす。]
[硝子、砂利、アスファルト
欠け落ちたネオンだけが煌々と。
聖堂。
聖なるかな、
聖なるかな]
せいなるかな。
[十字架は厳かに。
扉はこれ見よがしに。]
……聖なるかな、か。
ドナルド、さん!?
[開けた視界の先、現れた聖堂]
[扉の前に佇む影、奥にも人影]
……どいて。
その奥に居るのは……
[扉の奥に居るその人を]
[じっと見つめて]
…………
[静かな言葉、浮かぶ微笑]
[その様子は余りにも穏やかで]
[続けるはずの言葉を紡ぐことは出来なくて]
えぇ。
途中で何度も「あいつら」に襲われましたけれど──
今生きていられるのも、主のご加護のお陰ですね。
私は今程、神の存在を実感したことはありませんよ。
そしてあなたたちを助けてくださったことも。
何よりもホリーさん、あなたが無事で良かった……。
[穏やかな笑み]
なぁ……悪いけれど、ここは退かねぇなぁ。
何たってもよ。
──元凶の因子は、そこにいるんだからなぁ。
[看護婦の真っ直ぐな眸を下卑に似る笑みで弾く]
[ぼりぼりと首元を掻き]
あぁ、ポールだったか。
そいつを殺さんとならねぇのさ。
……私は。
[牧師の穏やかな顔に戸惑う]
……その原因は。
[扉に凭れる男に視線を動かして]
……源吸血鬼が。
[手前で立ち止まり]
さて、
それは
“アンタも見る力を持っている”
っていう事なのかい。
謂っていることが食い違ってるな。
それなら―――どっちかがウソツキってことで。
こぉの──馬鹿野郎がぁ。
[ニヤニヤとメルヴィンへ向かって笑いかける]
坊主、出直してきな。
嘘吐きとか嘘吐きじゃねぇとか、そういう話じゃぁねぇんだ。おれは嘘は言ってはいねぇし、何だ。そいつが何か言ってるのか?まぁいい。
だがよぉ。
──公安や降魔が集まり──吸血鬼禍が今更起こり、何故未だ封鎖で留まっているのかを考えやがりなぁ。
そいつを逃がせば
また吸血鬼禍が起こる事だけは確かだろうなぁ。いいや──それとも──
だから今──
俺も聴いたことを述べてるだけだぜ酔いどれ。
[矢張り眼は細めたままだ。]
ポールは吸血鬼を見つけたと謂う。
だから俺たちは此処まで来た。
アンタは災厄の元凶がポールだと謂う。
じゃあどっちか嘘謂ってんだろ。
[ホリーをちらと見]
源吸血鬼を消滅させなければ
残ったヤツはもろともに御陀仏なんだから。
否、下手すりゃ吸血鬼の天下だ。
[ポールの言葉を聞き]
[聖堂の奥へと再び視線を戻す]
……答えて。
牧師様。
あなたは……
[声が震える]
[それでも必死に冷静さを掻き集めて]
おいおい坊主。
お前は混沌六芒の民か?
──初めて出会った奴の事を好く信じられるもんだなぁ。おめでてぇ。源吸血鬼を消滅させて、「ポール」のためにまた同じ事が繰り返されるってんだぁよ。
そう──元凶の因子だ。
源吸血鬼よりも先に──因子を滅ぼそうかねぇって言っているのさァ!!
……随分と御目出度いコトだなぁ、えぇ?
[顔を覆う指の隙間から、微細なものが剥落していく]
[ぱらりぱらりと、光を受けて薄茶に光る──]
今更になって原因だ、偽者だァ?
テメェら今んなってまだ、生きて逃げられるとでも思ってんのか、あァ?
ぜーーーんぶ無駄なんだよ。てめーらまとめてここで死ぬんだ。
ジ・エンド。アディオスアミーゴ、ほなサイナラ。
どかーんでオワリ。なーんも残らねェ、いっそ綺麗なもんだぜ?
テメェらゴミ虫ウジ虫にゃあ、お似合いじゃねえか。
なァ?
[嗤笑]
[その瞳に湛えられるは]
[血の紅]
[やはりいつもと同じように首を傾け、]
[どことなく不思議そうに、]
[だが、ただ意志を確認する口調で、ドナルドへと]
あなたも、公安局や降魔局と同じく、わたしの消滅を望んでいるのですか。
[目を伏せる]
[何を期待したのだろう]
[自嘲が唇の端に浮かぶ]
そうね。
答えてくれてありがとう。
「牧師様」
[上げた顔は]
[どこまでも冷たい表情]
[ここに来るまでの間、人々を撃ってきた時と同じく]
へっ、黒杖捜査官も妖術技官も来た今となっちゃあ、おれ達が生き延びる術なんてものぁ、
一つも残っちゃいねぇだろうなぁ。
圧殺的に
「消毒」だ。
クリーンってのはいい事らしいしなぁ。
──坊主。
「全ては決まっているのさ」
早いか遅いかの違いさぁ──訪れる時には訪れるだけだ。ここで訪れないのなら訪れねぇ。
時計の針を早めても遅めても
通過しなけりゃならねぇものを迂回する事ぁ出来ねぇってぇの──知ってるか?
[ホリーの言葉にす、と哄笑を治め]
あなたに私が殺せますか?
かつてのように。先ほどまでのように。
肉親、友人、知る人全てを殺し。
生き延びるためだけに。
──かつて生き延びたように。
[打って変わり、穏やかな微笑・穏やかな声]
[慈愛に満ちた視線でホリーを見詰め]
それ謂うんなら俺ぁ昨日今日出会った奴らと
生死を半ば共にしてるんだ。
今更だな。
因子なんぞ知ったことか。
[不機嫌そうに包帯の端を逆の手で解く]
迂回できないなら
その御し方ってもんがあるだろう。
牧師様はねぇ……へへっ、あっしのひよこを貰ってくれやしたからねぇ。へっ、喰らうのかもしれねぇが。
──さぁ、退いてもらおうかねぇ。へっへ……。敢えて、ポールを護ろうと言うのであれば。
[すぅ]
あっしを殺せ!!!!
[決して大きな声でないに関わらずビリと震える声]
この世の事象の全てが予め定められているとするなら、それは「神」の領域です──人類は未だその域に到達したことはありません。
すなわち。
それが「予め定められた結果」であるかどうかを絶対確実に確認することは不可能なのです。
[少年は静かに告げる。]
>>211
「因子なんぞしったことか」
さり気にぶちまけましたよ中の人!
知らないので知らないなりにこうね……!(なんですか)
さあ?
どう思われます?
[半眼を伏せる]
私のこの手は。
救うだけでなく殺しても来ました。
直接的にも間接的にも。
[その瞳に浮かぶものを隠すように]
ならば私に出来るのは。
彼らの分も生きることだけ。
[唇が動く]
でも、そうですね。
単純に憎むことの出来る人だったなら。
或いは全く知らない人だったなら。
[壮絶なまでの微笑を浮かべて]
どれだけ楽だったかしら。
[そしてその手はゆっくりと上がって]
[ざぁ──…]
[灰色の空]
[靄のようなもの]
[うるえる]
[蟻がざわざわと集まるように]
[手の内には灰色のひよこ]
──さぁ。
牧師様を殺そうと言うなら、その前におれを殺せ!!!
[周囲を喰い殺すひよこの発動は握りつぶし捻り潰す事]
未だ──そう、早いだろう?
デビッドさんよぉ。
未だ未だだ。
未だ。
──未だだ。
そんなちっぽけな拳銃で、私を殺すと?
面白い。
その前に殺されなければ良いのですがね──。
[指を鳴らす]
[聖堂へと繋がる道のあちらこちらから]
[牙の群]
[シャァと哂い]
[無数に]
闘い、勝ち、生き延びてくださいね。
私はあなたを愛しているのですよ。
全てを己がモノとしてしまいたいほどに。
ラプラスの魔としての私は不完全な存在──
であるならば、私はその不完全な未来に自分自身を投じます。
そこに生存の可能性が僅かにでもある限り。
言うならば……
「当たって砕けろ」です。
ハハッ
神の不在を説きたければ──降魔へ言ってくれよぉ、坊主。そう一瞬足りとも思った事はないのか?
──ここで起こるこれらは
決して逃れようのない己が道の一石であったと。
ぐ、あ――。
[赤い][朱い][紅い]
[ネルの瞳]
[剥き出しにされた敵意と哄笑]
てめえ、っ――
[朦朧とした意識のままEマグのグリップを探る]
[だがその手はぶるぶると震え抜き出せない]
なら、コイツならどうだってんだ、牧師よぉっ!
[威勢良く叫び声を上げる]
[どこかからガチガチと鳴り響く音に遮られ]
[照準が合わせられない]
ち、クソ……っ!
アンタ殺して何になる。
用があるのは源吸血鬼だけだ。
[灰色の雛、
牙の群、
教会の境界を埋め尽くす。
色の無い色。
赤の中の緋。]
私は死にたくない。
ちゃんと言ったでしょう?
[引き上げられた腕]
だから、生き延びてみせます!
[放たれた銃弾は]
[澄んだ音を立てて]
──撃たないのか?穢れた栄光持つ吸血鬼殲滅部隊の生き残り。
それとも、撃てないのか?
ハッハァ!逃げ出した臆病者には怖くて撃てませんってか。
そら──
[血塗れたローブの前を肌蹴り]
吸血鬼を殺すなら心臓と脳幹だ。
逃げ出したってもそれくらいは覚えてんだろう?
[デビッドを見る瞳は三日月に歪み]
看護婦 ホリーは、牧師 ネル を投票先に選びました。
[五感は泥酔時のように覚束ない]
[ドナルドの声が己の名を呼んでいた]
『未だ──そう、早いだろう?
デビッドさんよぉ』
……早い……何が、だ。
……俺がくたばるには、もう、充分な、はずだ。
……あいつが死ぬには、どう、なんだ。
[声帯から紡がれたのは自嘲と疑問]
[視線をドナルドに向けようと思考したものの]
[ネルの変貌ぶりは意識の視野を覆いつくすかのようだった]
なら──全部、虚無に返すまでよ。
[メルヴィンへそう返す]
[魄を核とし小さき命を瞬間の媒介と為す]
さぁて……屍体人形繰り人形。
[皮肉げに唇の片端を歪めた]
ポールより前に、坊主。
お前から殺ってやろうか。
──さぁ、退きなぁ。
[ポールへ向けて足を踏み出した]
おれを殺すか、ポールの前から退くか。
二択だ。
[歯の鳴る音が止んだ]
[代わりに、ゴキッ、と。何かが砕ける音]
[口の中に現れた異物を吐き出すとそれは]
[白い塊。犬歯だった]
ホリー。メルヴィン。
あなたたちの目的は「生き延びること」でしたね。
わたしに構わずネルに向かうことを勧めます。
デビッドだけでは荷が重過ぎます。
[ホリーの放つ銃弾が着弾]
[鮮やかに血飛沫が舞う、が]
[心臓の僅か数cm上]
[流れる血はしかし数瞬後には消えうせる]
……甘いなあ、ホリー。
言っただろう?頭か心臓だ。
[安全装置をゆっくりと解除。震えは収まっていた]
てめえ――ッ!!
[緋色の瞳が歪んで哂う]
[銃爪に掛けた指に力を込めた]
は、は、ははははっはは――!
殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやるっっ!!!!
ばっきゃろ、
確りしろよオッサン!!
[紅い眼、
見るな見るな見るな。]
うっせぇよ酔いどれ。
ポールは殺させねぇ!
[高らかに響く銃の音が合図。]
ああそうだよネル、殺してやるよお前を、この今の距離でも俺はお前を撃ち抜く事が出来る、俺の『支配』はまだ俺には及んじゃいない、だからお前はもうじきくたばる。
そうさ、だが、その前に一瞬だけ時間をくれてやるさ、魂が無くなったと言ったって聖職者なんだろう?
だったら最後の祈りくらいは上げさせてやるぜ、クソったれが。さあ三つ数えてやる、そら、一、――
[続けて引き金を引く]
[その数のうちには]
[銀の輝きも混ざり]
全てを受けても。
まだそれが言えるのかしら!?
[貫くことが出来なければ]
[仕留める事は出来ないが]
[動きを阻害することにはなるはずで]
いいや、不要だ。
[紅い瞳が揺らめき光る]
祈るのはテメーらの方だろうよ。
居もしない神とやらにな!!
[飛翔]
[一飛びで聖堂の対面]
[彼らの背後へ]
はっ……それは──残念だぁな!!!!
[ぐしゃり]
[手の中でひよこ/符の封は破られ/起動]
[魂/魄は円を描き][陰/陽]
[顎(あぎと)巨きく]
[二重螺旋を描く白と彩]
[吸収した魄は一瞬にして肥大化]
[周囲を喰らいて喰らいて破を為す凶暴な嵐とならん!]
[記憶の声が甦る]
『デビッド。吸血鬼を相手にした時はもたついてちゃいけない』
『奴等を無力化しようなんて考えるんじゃない』
『可能な限り、迅速に、徹底的に、完全に』
『再生不能になるまで破壊するんだ』
[だが、時すでに遅し]
投票を委任します。
酒場の主人 デビッドは、牧師 ネル に投票を委任しました。
[ドナルドの瞳の奥の奥まで]
[或いはその心の奥底、]
[魂の在処を覗き込むように]
あなたが殺したいのはわたしだけのはずです。
メルヴィンを通して下さい。
[迷いも淀みもなく、話し掛けた。]
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