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え? あ、うん。
[飯盒を任せてその場を離れる翔平に頷いて]
うーん、そろそろ……
[ご飯が炊けた頃合いを見計らって、軍手をした手で火から下ろし引っ繰り返した。
しばらく蒸らした後に蓋を開けたら、その出来栄えは84点という所か]
[雛の言葉に、目を丸くする。はじめて言われた言葉にちょっと動揺している]
へっ……?
おかあさんみたいなら、言われ慣れてるんだけど……おとーさん?
【昼過ぎ・秘密基地 調理場】
[久美と雛に味付けを頼まれ、胸を張った。]
うん、わかった!
そーゆーのなら、できると思うっ!!
♪塩抜きでー 調味料は適当よー
[雛が浸けたボウルのワカメを水から取り出し、手で千切った。
その後、塩をかけずに、3(3)をふりかけ、酢の物を完成させた。
塩抜きの意味と適当の意味を思いきり勘違いしている。]
1 砂糖 1人につき、[[1dX]]g
2 ケチャップ 1人につき、ティースプーン[[1dX]]杯
3 愛情 54%くらい
人間らしい?そう?
[首をかしげる。]
うん、健二君変わったと思うよ。
何だかね、大人っぽくなった!
博君と如月君に負けないくらい!
[笑顔で言って、ふと思い出した。]
ねね、気になってたんだけど、
健二君は、雛ちゃんに「恋」なの?
バッカ!それ入れすぎだって ちょっとでいい!
あー入れすぎた!
[あーだこーだ言いながら調味料を足したり入れたりしてなんとか酢の物っぽいものを二人でつくりあげた]
[おそるおそる味見]
うっ・・・・
[酢の物の出来栄えは5点だった]
【女子部屋】
[みよ子にタコノマクラを渡したが、
それは食べられないと告げられ、
しょんぼりしながら部屋に戻った]
ただいまー……と。
[布団部屋のふすまをそーっと開けて確認する]
桃子ちゃんいた、……よかった。
[雛にしてみれば、藤本は自分をすっぽり覆えるくらいに大きかった、くらいの認識のようだ]
うん、おとうさん。確かにお料理が上手なのはおかあさんみたいなのかもしれないけれど、でもね。ちゃんとおとうさんっぽい感じがするよ。
[そう言って、自分の父親にするみたいに、藤本の胸元に頭を擦り付けてじゃれてみた]
ほら、ほら。
[…などと言われても、藤本には分かるはずも無い]
六年生って、背も高いし、大きいんだね。
[そんなことを言って、一人で納得している]
わー、海で泳いで体、べとべとだあ。
[乾いた髪はがさがさして、塩を吹いている。
手足も砂だらけで、日に焼けてひりひりする]
お風呂入ってこよっと。
【昼過ぎ・秘密基地 調理場】
ケチャップなんか入れるわけないやん!!
お料理の味付けは、あ・い・じょ・う!!…やろ?
手伝い?翔平の愛情なんかが混じったら、味が変わるやん!
[梨子は、ワカメに両手をかざし、愛情を注いだ。]
んー…適当…やけぇ…半分…?
…うーん…ちょっとおまけしとくかぁー♪
[梨子は、愛情を54%注いだ。]
あああーーー!…ちょっ……!
翔平のいらんことしぃぃぃぃーーーー!!
味が、にごるーーーー!!
[翔平の愛情が混ざり、5点の出来の酢の物が完成した。]
んー、わかったような……わかんないような……
ま、悪い気はしないな。
[雛のあたまをぽんぽんと叩くと、他の料理が進んでいる様子を見て、急いで魚を切り分け始める]
こんな感じでいいかなー。
[切り分けた身に小麦粉をまぶすと、温めたフライパンで魚を焼き始める]
…………
[偶然にも如月に頭を擦り付ける雛を目にして、絶句した]
え、えーと……?
[雛って確か――]
お、おとなのかんけい?
おんなのこってすすんでるなあ。
[口調が片言になった。
茫然としていたせいで、鍋が噴きこぼれ始めていることに気付かない]
何て言うか、その。
距離が縮まって、とっつきやすくなった?
[うまく言葉を見つけられないようだ]
そっか?へへ。
まだまだ如月や博には敵わねえけど。
そう言ってくれるのは嬉しいぜ。
[ちょっと得意げな表情を浮かべたが、それは]
……ぶっ?!
[北斗の最後の言葉に崩れた。げほ、げほっとむせた]
愛情と根性だけで・・・料理が出来ると思わないほうが いい・・・
[酷い出来栄えの酢の物を口にして言い放った]
味が足りないのか?足りないのか?加納やっちゃう?
やっちゃうか?
[その他の調味料を見つめながら更に足そうか迷っている]
……博くん。
うん、楽しもう。
無理に忘れようとすると、余計に気になっちゃうよ。
おいしいごはん食べて、たくさん遊ぼう。
[ね、と首を傾げて目を合わせる]
[照れて逃げるように移動する翔平を、ふふ、と笑って見送る。やがて炊きあがったらしいご飯を、博の肩越しに覗き込み]
わ、おいしそう……!
酢の物は、どうなったかな……?
[何やら大騒ぎしている梨子と翔平に、おそるおそる視線を向ける]
ふふふ〜♪
[藤本にぽんぽんと頭を叩かれ、楽しそうな表情になった。雛の脳内ではとある作戦が着実に進行しているようだ]
うん、いいと思う。すごいなぁ、おかあさんって言われるのも納得。
[藤本の手際を見ながら]
う……
[酢の物チームを見つめ、困った表情になる]
く、くみこちゃん、あれ、手を出してもいいもんかな。
それとも任せたほうが……いい?
[久美子にこっそりと聞いた]
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