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【大広間】
[健二に気づいて]
おはよ、健二。
いかにも自転車乗ってきたって感じだね。髪が後ろに流れてるよ。
う、ラジオ体操…僕、ちゃんと動きを覚えてるかどうかも怪しいよ……2番はたぶん、ダメだ…。
ねえ、ところで健二、暇ならやることがあるだろ? ん?
[満面の笑顔で健二ににっこり笑いかけた]
そっか。阿紫花君、絵が上手だものね。
この景色、叶うことなら、ずっと残しておきたい、よね…
もし、絵に描いたら…あとで見せてね?
[阿紫花君に笑いかけると、再び水平線の向こうを見つめます。]
[大きな雲。澄んだ空。穏やかな海。いつまでもいつまでも、見つめていたいと思わせられる世界。]
【男子部屋→みよちゃん】
[財布だけを手に握って、走ってみよちゃんまで駆け込む。
ところどころに錆びのついた古い佇まいが、独特の雰囲気をかもし出していた。]
……みよちゃん。
[店の名前を呟くと、みよちゃんが「そうだよ。みよちゃんって呼んでもいいんだよ?」と笑うが、照れて小さく首を振る。若干みよ子にも慣れてきたらしく、表情にも角が取れてきたようだ。]
「はい、これが例のペンだよ。30万円ね。」
……。ん。
[冗談めかして言うみよ子に、黙って10円玉を3つ渡す。
ペンを受け取ると、「ども」と小さく頭を下げて公民館へと駆け出した。
後に残されたみよ子は、やれやれと肩をすくめて自分も朝食の後片付けに戻ったようだ。]
【朝・厨房→大広間】
[みよ子に、昨日残しといてもらったスイカと、朝ごはんをもらった。]
肝試しの後来たんやけど、見つけきらんやった。
おばちゃん、どこ行っとったん?
[みよ子は、ふふふ…と妖艶げに笑うだけで、教えてくれなかった。]
…ぶー!おばちゃん、変!!
[梨子は頬をふくらませた。]
[大広間では、藤本が遅い朝食をとっていた。ひとりじゃなかった!と安心しながら一緒に食べた。その後来た子たちとも、一緒に食べた。]
【みよちゃん→公民館】
[公民館に戻ると、実が前で待っていてくれたようだ。]
わり、先行ってていいのに。
[遠まわしすぎる感謝の言葉を述べて、男子部屋へ駆け込んで海遊びセットを掴んですぐ戻る。
いいのいいのと笑う実に「ん。」と頷くと、2人で海へ向かう。]
【→海岸】
【大広間】
梨子さん、ここ、おべんとついてるよ。
[梨子のほっぺたについていたご飯粒にひょいと指を伸ばして取った。そのまま梨子ののんびりした朝ごはんの様子を見守っている]
……
[あまり気にしていない小百合の様子に、ホッとした。]
うん、そうだね、残したい。
写真と違って、絵だと、見たもの以外にもいっぱい感じたものを残せるから……
描けたら見せるね。
[約束して、北斗も視線を海へと向けた。
青。蒼。藍。あお。静かに揺れる波はひと時も同じ色を見せない。
その美しさを目に焼き付けるように、ただまっすぐに見つめる。]
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