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「こことここ、削りすぎてる。ボンドか何かで埋めとけ。」
ん。
「けんど、ここんとこは綺麗にできてる。いいな。」
……ん。
[一瞬、頬が緩んだ。横目で見ると祖父もニヤリと笑っている。]
「明日っから、楽しんで来い。
海は、でっけぇぞ」
ん。
[大きく頷くと、わしわしと頭を撫でられた。]
[リュックの中を見直すと、タオルなどが比較的新しいものに変えられ、替えの服が少し増やされていた。]
(……別に、いいのに。)
[気遣いに感謝しつつ、今日買ったおやつなどを詰め足していく。]
博くん、おはよう。
やっぱり?
翔平くん、張り切ってたもん。臨海学校についたら、探検隊の隊長になるんだって。
あ、荷物置いてくるね。
[一度バスに乗り、また降りてくる]
翔平くん、寝ちゃってた。何時に起きたのかな。
ねえねえ、博くんはどこの席だっけ?
[座席表を広げてみる]
3列目なら、近くね。
ああ、そういえば言ってたね。
あんまり危ない所に行かないでくれればいいんだけど。
[校長先生の方をちらりと見た後、視線を戻す]
あー、もう寝ちゃったのか。
うん、2列目と3列目だから前後だね。
ちょっとお喋りには大変そうだけど。
[走り始めた時、遠くでこちらを見ている桜野と目が合った。
微笑む顔に、少しだけ居心地の悪さを覚えて、視線を前方へと向ける。
時折流れる景色を目で追いながら、荷台の重さから伝わる普段と違う感覚。
沈黙の後、聞こえた声に]
……どこ?
[速度を緩めて、注意深く視線を上げる。視界の端には飛行機と雲と、なびく髪。
カナカナカナ、とひぐらしの鳴く声。日記に綴られた臨海学校前日の*思い出*]
【出発前日・自宅から図書館へ行く途中の道】
[手には、母が作った手提げ袋を持っている。
中には、返す図書館の本『はれときどきぶっだ』『どらいもんの手相占い』が入っている。
梨子は、『はれときどきぶっだ』のことを考えながら歩いている。]
…空から仏陀が降るとか、本当にあるんかな?…うーん…
…藤本くんなら分かるかなー?…明日聞いてみよっと。
翔平くん、無茶するからなあ……。
博くんとか藤本くんたちがいれば、大丈夫かな。
[もう一度座席表に目を通し]
そうね、ずっと後ろ向いて喋ってたら、首が痛くなっちゃうかも。
あ、バスの窓から、海見えるかな?
あー、楽しみ。いいお天気でよかったね。
【人物関係〜というか梨子の目線:出発前】
・藤本くん…お寺の子はお金持ち。何か凄いと一目置いている。
・柿田くん…勉強好き?東大行きたいんかな?などと思っている。都会っぽいなあと思っている。
・紫藤くん…紫藤くんみたいな男の子のことをカッコイイというのかな?などと思っている。
・桃ちゃん…大変頼もしく思っている。
・宏樹…クロともども側にいると不思議な居心地良さを感じる。
・翔平…おもろいヤツだと思っている。全力感が眩しい。
・久美ちゃん…久美ちゃんみたいな女の子がカワイイ子,モテる子というのだろうなーと思っている。実際カワイイなあとも思っている。
・小百合ちゃん…何かときたま不思議なこと言う子だなあと思っている。
・歩ちゃん…翔平同様おもしろい子や楽しいなと思っている。
・北斗ん…熱中して絵を描く姿を見るたび気持ち良さそうと思っている。将来は有名な絵描きさん?などと思っている。
・実るん…小動物的な可愛らしさを感じている。
・雛ちゃん…純粋や。このまま生きていけるんやろか?と余計な心配をしている。
[リュックには極力余計な物は入れていない。
勉強道具も、絵日記と国数のドリルだけ。読書感想文は帰ってきてからと決めているので放置、自由研究は今作っている飛行機を提出するようだ。
お菓子を一番上に入れて、ジッパーを閉める。
あとは水筒には明日ばっちゃんが麦茶を入れてくれるらしい。それを持って準備完了。]
「準備できた?じゃ、お風呂入っといで」
[祖父母の生活サイクルに合わせているため、就寝も早い。風呂に入った後は、そのまま3人で床に着いた。]
そうだね。でも、島に行く日が別々だったら、そういう訳にもいかないしなぁ。
まあ、校長先生がついてるから、翔平くんだってそうそう無茶はしないと思うよ。
[うん、とひとつ頷いて]
そうだね、途中で車に酔ったりしてもよくないし。
海……どうかな? 見えるといいね。
[楽しみ、と呟く久美子に、にっこり笑って頷く]
うん。ぼくも楽しみだよ。
日なたはちょっと暑いけど……やっぱり、夏はこうじゃないとね。
そうね、校長先生がいるから。
……でも、校長先生、今回すごく張り切ってるよね。
案外、島に着いたら一番ハジケちゃったりして。
そうだ、念のために酔い止めを飲んどかなくちゃ。
前の席の方が酔いにくいっていうけど、2番目なら大丈夫かな。
博くんは平気?余分に持ってきてるから、要るときは言ってね。
[ポケットから錠剤を取り出して、首を傾げた]
臨海学校は、暑い方がいいよね。
北斗くんはちょっと大変かも知れないけど、きちんと準備してくると思うから…。
一緒にたくさん楽しめるといいな。
【布団の中】
……海。とうちゃんと一度だけ見た。
でっかい塩水ってホントなのかな。
魚とか、貝とか……
無人島は、見たことないな。
木の家とか、言ってたな。すごそうだな……
(うつら、うつら。)
校長先生が弾けてる所か……ちょっと見てみたい気もするな。
[普段は真面目そうな校長の事なので、余計に気になった]
久美子さんは準備がいいね。
ぼくは多分大丈夫。他に酔いそうな人がいたら分けてあげるといいよ。
[首を傾げる久美子に丁寧に断りを入れた]
ああ、北斗くんか。うん、木陰とかも上手く使えば大丈夫だと思うけど。
折角だから、みんなで楽しみたいよね。
[心のメモに、こっそり北斗の事を書き留めるのであった]
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