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――――。
[研磨していたグラディウス片手に、ぬっと現れる。
瀬良悠乎が手にした袋からは甘い香り。
……ヒジリからは更に甘い匂いがしたような気がするが、なんとなく危険な香りな気もするので気のせいだろう。]
それはありがたい。ヒジリ。礼を言う。
――だが。まともな食事、とはどういう意味か。
[グラディウスをしまいながらどこか拗ねた口調で。]
別に礼を言うほどじゃないから、気にせず。
二人でゆっくり語り合うと良いさ……。
甘いものが足りないならその辺にいるから、僕を呼べば良い。
承知した。
必要となれば世話になることにしよう。
いずれこの恩も――返せるかは分からないが。
[アーチャー掃討後、生きているかは不明だ。
今は軽はずみな約束をすべきではないと自問し、バーサーカーは瀬良悠乎から鯛焼きを受け取ったのだった。**]
悠乎は何時もどおりネオチだろう、きっと。
まったくしょうがないね……、本当に。
[悠乎にハルカの絵柄のついた布団を掛けた**]
スパルタクスはトラキアを飛び出し、第一次ミトリダテス戦争に傭兵として参加した。
幾人もの命を奪い、それでも何かを得ることも無かった戦い。
中にはスパルタクスより若い少年もいたし、子も孫もいるであろう壮年の兵士もいた。
――誰もが呆気なく死んだ。呆気なく誰をも殺した。
それは生前の瀬良悠乎に、泡沫の夢として流れ込んだ記憶(>>2:37〜>>2:41)。
――その後、スパルタクスは敵の手に落ち、捕虜として連行される。
実力でねじ伏せられたわけでもない。一人を殺すごとに、一つが消えるごとに刃からは魂が抜け落ちて行き、それを振るっていたスパルタクス自身も血に溺れた。
我を失った彼の刃が、最早敵に届くことなどありはしない。
捕虜となったのは当然の帰結だったのだ。
処遇がすぐの刑の執行ではなかったことは、ただの偶然でしかなかったのだろう。
故郷の自由と未来。トラキアの王子と誓った戦いの理由。
多くの死者を出したミトリダテスの戦争は、講和によって一時終結を迎えた。
――尤も。
その翌年に第二次戦争が勃発することとなる。
反ローマの気運が治まらなかったのか、それともスパルタクスの報を知ったトラキアの王子が根回しをしたのかは定かではない。
いずれもスパルタクスの命運とは別のところで巡る話。
それを聞いたスパルタクスが、経験した死地と重ね合わせて何を想ったかは、誰も知り得ないこと。自身の生涯について、英霊となった今でも語る術を持たない以上、誰にも知り得ないこと。
溶けた蝋、かびた四方、古錆の異臭。
草とも石とも固まった液体とも取れない何かしらに、足の踏み場も常時なく、人影は自身が汚れるのを承知で体を休める。
奴隷達の薄暗い隔離部屋。それぞれ繋がれた柱の近くで待機と休息を過ごした。……手と足の鎖はきっと錆びているのだろう。幾度も擦れて残った拘束の跡。囚人としての烙印のように、皆同じ蓄積を四肢と首にと焼かれていた。
見慣れた光景。
閉ざされる扉の重々しい響きを聞き、持ち場へと歩く。
次の見回りが来た時に鎖を嵌めていなければ、反逆の意思ありとして「処刑」される。
……いや、反逆というのも少し違う。彼らは自分の「所有物」が反抗を働いたことを許せないし、怒りを隠すこともしない。
あの血生臭いコロッセオで磔にされて焼かれるのか。
或いは猛獣と対峙させられて、四肢を千切られ、腹を裂かれ、挙句に頭から砕かれるのか。
どちらにしても辿りたい末路とは言えない。そんな遠まわしなことをする前に、自分で自分の命を絶っているだろう。
事実、朝目覚めれば昨日まで言葉を交わしていた誰かが自害していた――などという事態は稀でもなかった。
末路の悲惨も然り。それを「お客様」に見世物として提供する恥辱も、死に際まで浴びせられる歓声も、望むはずも無かった。
まるで死ぬ為に生かされている家畜。
――それも違う。家畜は肥えるか働くかして漸く飼い主の役に立つ。故に規則正しい食事は与えられるし、四足に鎖を嵌めて繋がれることもない。せいぜい縄や柵で閉じ込められているのが普通だ。
そういう意味では家畜以下。なるほどまさに奴隷は主人の「所有物」。働く必要はあるが肥える必要はない。規則正しい食事にありつけるわけもない。
家畜としてすら認識されていない。――笑える話だった。
それでも生きていれば空腹は訪れる。生きていたければ食べなければならない。みんな楽しみにしている唯一の時間は食事。
食事――と言っても、適当に選り分けろといって放り込まれるだけだ。皿もスプーンもありはしない。調理されたものでもなく材料そのもの。中には明らかに雑草だろうと思えるものもあったし、どう見ても歯も刃も立ちそうもない岩みたいなものまであった。
それでも、みんな楽しみにしている唯一の時間。この時ばかりは誰もが進んで会話をする。
普段からも会話はあれど、それは凡そ長い間ここにいる奴隷だけだ。明日殺されるか殺すか――という決定に耐え切れず、沈黙を選ぶ奴隷も中にはいた。
だけど食事の時間は、放っておくとみんな遠慮なしに獲っていってしまう。結果、口を出さずにはいられない。
――もしかしたらアレは、わざとやっているんじゃないだろうか。
そう疑いたくなるほど鮮やかな循環であった。
真実どのような心持だったかは不明だが、食事の最後まで話しかけてこない一人に、こっそり別の誰かが分け与えることもある。……多分、我先にと分捕るつもりなんて最初から無いのだろう。
だけどまだ、その日は食事の時間に遠かった。
剣闘士としての訓練を終えたこともあるからだろう。誰に話しかけることもせずに歩いた。
自分で枷を嵌めて、座り込む。背にした壁は決して心地好い感触でもない。高く遠くにある窓からの情けばかりの光と、どろどろに溶けた蝋燭の明かりが、土に塗れた足元を照らす。
……ついでに赤い肉片のようなものもちらついたが、嫌悪する気力も湧いてこなかった。
私が刻まれるのか、誰かを刻むのか。
試合を組まれてしまえば嫌でも見るだろう。
手に残る殺戮技巧の感触を潰すように、強く握り締める。
「随分とげんなりしてるな。まったく。こっちまで滅入りそうだ」
そんな複雑な時間に、痩身の男は蹴りを以って割り込んだ。
彼の名をクリクスス。
後に大反乱の首謀者の片棒として戦死する盟友である。
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