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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
桐生 茜は九鬼 聖法に投票を委任しています。
梧桐 曹は九鬼 聖法に投票を委任しています。
ランサーは九鬼 聖法に投票を委任しています。
蒲生 延は九鬼 聖法に投票を委任しています。
キャスターは九鬼 聖法に投票を委任しようとしましたが、解決不能でした。
名塚 聖は九鬼 聖法に投票を委任しています。
アーチャーは九鬼 聖法に投票を委任しています。
眞奈 みなみは九鬼 聖法に投票を委任しています。
キラーは九鬼 聖法に投票を委任しています。
平 芽祈は九鬼 聖法に投票を委任しています。
桐生 茜 は キャスター に投票した。
セイバー は 桐生 茜 に投票した。
梧桐 曹 は キャスター に投票した。
ランサー は キャスター に投票した。
蒲生 延 は キャスター に投票した。
キャスター は 九鬼 聖法 に投票した。(ランダム投票)
名塚 聖 は キャスター に投票した。
アーチャー は キャスター に投票した。
眞奈 みなみ は キャスター に投票した。
キラー は キャスター に投票した。
九鬼 聖法 は キャスター に投票した。
平 芽祈 は キャスター に投票した。
桐生 茜 に 1人が投票した。
キラー に 10人が投票した。
九鬼 聖法 に 1人が投票した。
キラー は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、名塚 聖 が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、桐生 茜、セイバー、梧桐 曹、ランサー、蒲生 延、アーチャー、眞奈 みなみ、キャスター、九鬼 聖法、平 芽祈 の 10 名。
投票を委任します。
ランサーは、平 芽祈 に投票を委任しました。
−教会−
[程なくして、細かい調査と事後処理のために動いているスタッフから、昨夜の戦闘地域の後始末を完了した報告と、キラーのクラスのサーヴァントの消滅、アーチャーのマスターの死亡報告を受けた。
アーチャーのマスター、名塚聖の亡骸は一度教会で預かり、名塚家へ連絡を入れた。]
クラス・キラー……か。
くっきーの話では、うら若い娘さんが召還したと聞いたわ。
――中央通り・古美術店――
[左之助は体に受けた傷を癒すため、長椅子で横になっていた。
生前に比べるとさすがに治りが早い。
先日の午後も動けない事は無かったが、気分的に戦いに勝てる気がせず、勝手に休養日としていた。]
だが、まあ……こうしてばかりもいられないな。
[昨日、かすかではあるが街のどこかで魔力の増大と消失を感じた気がする。]
宝具の使用か英霊の消失か、あるいはその両方があったのかも知れねぇな……。
ちょっと出かけてくらあ。
[左之助は玄関を出ながらそう言うと、東ブロックに向かって*足を向けた。*]
ちょ、一文字?!
[ 振り返った時にはすでに左之助は家を出ていた。]
ん…。まあ、いいか。
[ 自主的に動く分には問題ないだろう。出掛けた先は概ね予想がつく。昨夜、戦いと思われる魔力の動きが感じられた。きっと左之助もそれに気付いていたのだろう。
居場所が判らないという事態にももうならないはずだ。ならば、自分は自分で出来ることを進めよう。]
じゃ、次はこっちかな。アラビア語だと思ったんだがなあ…。
[ 先日に対決したキャスターの唱えた呪文の言語から、キャスターの出身地を判別しようと考えた。が、自身が詳しくない地域の言語のためその作業は難航していたのだった。]
ふむ、ペルシア語か。こちらの方が近いかな…。
[ 地域を特定すれば、キャスターがどの英霊かある程度絞られるだろう。ツカサは、地下書庫より取り出してきたアラビア地域の書物をあれかこれかと漁る作業に*戻っていった。*]
投票を委任します。
桐生 茜は、平 芽祈 に投票を委任しました。
―六日目・朝 マンション―
[ゆっくりと目を開ける。
ふと、目の前に誰かの肩が見えて、一瞬思考が停止した。
まだ上手く働かない頭が、ゆっくりと覚醒していく。
それが信長のものだとわかり、自分があのまま抱きしめられながら眠ってしまった事に気付くと、顔が火のように熱くなった。]
……っ
[脱出を試みようと、体を小さく捻ってみたりしたが、上手くいかない。]
[あの後、腕の中で寝息を立て始めた茜。
寝床へと寝かせようと思ったが、茜の手が着流しを掴んでいるのに気がついた。
腕を解くのは簡単だったが、その赤子の様な行動を見てふと微笑んだ信長は、起こさないようにその場に座り込む。
そしてそのまま、自分の腕の中で寝かせ続けたのだった。]
起きたか、よく眠れたか?
[身じろぎをするのに気付き、声をかける。]
………とりあえず、離してもらえると、ありがたいんだけど…。
[顔を背けながら、とぎれとぎれに言う。このままではまともな会話になりそうも無い。困ったように、みじろぎを大きくする。]
……。
[――ただ目覚めた時に、信長が目の前に居た事に安堵もしていた。
まどろみの中で、何かが――
水晶のような透明で、硬質な何か。
それがゆっくりと落ちて砕けるような感覚。
以前見た、赤い光と同じように、誰かの魂が消失したのを感じた気がしたから。]
投票を委任します。
梧桐 曹は、平 芽祈 に投票を委任しました。
投票を委任します。
蒲生 延は、平 芽祈 に投票を委任しました。
ふむ、離れたくなさそうだったのでな。
痛みはないか?
[現在、丁度胡坐を掻いた足の上に茜が座っているのに近い形だ。
そのまま抱きしめていた腕を解き頭を撫でる。]
……そんなこと…。
[無いわ、と言いかけて、そこで止まる。]
…痛みは大丈夫。
印もちゃんと組めるし、問題無いわ。
……昨日、また誰かが。
[『死んだ』と言いかけて、口を噤む。その言葉を発する事が何故だか怖く感じた。]
[口を噤む茜の様子を見て、寝ているときに乱れたであろう耳を隠してしまっている髪を指先で整えてやる。]
ならば良い。
アカネの体が大丈夫ならば用意をして出かけるぞ。
確か、アーチャーのマスターだったか。
――斬らねば、な。
[髪に触れられて、くすぐったそうに目を閉じる。]
…なんか、斬りに行く理由が間違ってる気がするけど。
[信長の言葉に、困ったように笑いながら、*頷いた*]
―東ブロック・路地裏―
[あてども無くさ迷い歩いていた左之助は、ふと魔力の残滓を感じ取り、そちらに目を向ける。
その先にある、狭い路地裏に入る道には「工事中」と書かれた看板がおかれ、鉄柵に覆われていた。]
ふうん……くせぇな。
[身の丈ほどある鉄柵の合間から中を覗き込むがうす暗くてよく見えない。
左之助は人通りの無い事を確認すると、少し力を入れて柵を曲げ、体をねじ込ませる事にした。
そのまましばらく奥へと歩いていく。]
[やがて、ビルの壁一面にブルーシートが張られた場所が見えてきた。地面の所々に重そうな鉄板も引いてある。
左之助は目を細めて辺りをまじまじと見回した後、壁に近づき、ブルーシートの一部をめくる。]
こいつは……。
[そこについていたのは無数の切り傷。
何かが、がむしゃらに刃物を振り回したかのような印象を受け、壁の一部が切り落とされている箇所もあるようだった。
続けて地面の鉄板を掴み、力を入れて持ち上げると、大きな陥没痕のようなものが現れる。]
間違いなく激闘の後だな……。
ただ今隠蔽工作真っ最中ってところか。
[左之助はその痕をしばし見つめてから鉄板を下ろす。
手を軽く叩き合わせてほこりを落とした後]
……誰かが死んだな。
[と、つぶやいた。]
―― 中央通り・古書店 ――
[ キャスターは千夜一夜物語の何れかの登場人物ではないだろうか。それが、ツカサの出した結論だった。
が、元々千夜一夜物語に詳しくないため、自宅にさほどの資料はなかったため、古書店まで出向いてきた。
全ての話をきっちり読むような余裕はない。バラバラとものすごい速度で流し読みしてそれらしき女魔術師を探すも、しかしどうにもこれだと断言できるものにあたらない。]
なあ爺さん、このズバイダと呼ばれている女性の資料ってあるかい? 本名は多分にアマトル=アジーズでいいと思うんだが…。
[ そんな中で目星をつけた女性の資料を、店主に求める。しかし魔術師としての記述も乏しく、さてこれが本当にキャスターの正体なのかは自信がない。
「…いいけどさ、ツカサちゃん」
イスラム帝国アッバース王朝に纏わる史料を取り出しつつ、店主が呆れたような声を出す。
「聞く限りじゃさ、まずシェハラザードを疑うもんじゃないかい?」
大きく、間を開けて。]
………………………………………………………………あ゛。
――六日目午前/東ブロック――
[夜が明けるのは早かった。朝陽が少しずつ水平線の向こうから顔を出し始め、空は淡い橙色を帯びていた。
あの後、アーチャーとは話し合う事で合意し、みなみは教会へと連絡を入れた。五日間ずっと傍にいたものが無くなると言うのは不思議な感覚で、みなみはどうしても、もう一度現場を見たいと、そんな思いから昨日も来たその場へと足を運んでいた]
……こんなこと、する意味が無いって、解ってるんだけどね。
教会に連絡入れた後だし、さ。
[黄色いヘルメットをした作業員のイラストが、こちらに向かって頭を下げている。頑丈な鉄柵で辺りを囲まれている事を確認した。昨日の事を思えば、どう頑張っても補修には数ヶ月単位の月日が掛かる上に、その間に一般市民が踏み込む事は非常に危険だと判断できた]
Ay amor――Tuerce
[短い、単純な詠唱。柵はぐにゃりと曲がり、みなみが通るのに充分なだけのスペースを開けた。中に入ると、鉄板やブルーシートで覆われているものの、凄惨さは昨日のままで、爪痕をそこにはっきりと見た]
夢じゃない、もんね。
[路地の奥に入っていた左之助は、かすかな魔力の気配に振り向いた。]
うん?誰か来たのか……?
[確かめるため来た道を戻ると、壁の痕に手を触れている女の姿が目に入る。
薄暗い工事中の路地裏にはひどく場違いなその姿に、左之助は一瞬戸惑ったが、すぐに神社での出来事を思い出した。]
お前は確か……ジャックの……
へっ面白れぇ!切り裂き魔もその辺にいるのかい?
あいつとはもう一度やりたいと思っていたのよ!
[身構えながら、みなみに向かってそう言った。]
投票を委任します。
眞奈 みなみは、平 芽祈 に投票を委任しました。
[触れた壁から手へと、記憶を伝えてくれる。それはみなみが持っているものと全く同じもので、薄っすらと再現される昨晩の出来事が痛かった。ふと極近くで気配と声を感じ、目を開ける。そこには以前神社で出会ったランサーが居た]
えーと、原田左之助、さん、だよね。
あの時もそうだったけど、また、一人なんだ?
[相変わらず口に細長い棒を咥え、感情が素直に書かれた顔を見返す。これから伝えようとする事を思うと、何処かふわふわ浮いているような気持ちがした]
ジャックと戦いたいなら、残念だったね。ちょっと遅かったみたい。
――もう、居ないから。
[「もう、居ないから」
その言葉を聞いて、みなみの目をじっと見つめる。
左之助には嘘を言ってるようには思えなかった。]
……そうか、そりゃすまなかったな。
あいつは逝っちまったのかよ……残念だ。
面白ぇ奴だったのによ。
[左之助自身は「切り裂きジャック」が何だったのかは全く知らない。
だが自身の影と戦えなくなった事を素直に残念だと思った。]
じゃあ、お前さんも棄権って事かい。
まあ、いいやな、危険を犯さなくてもその若さと器量なら大抵の願いが適うだろ。
第一、あいつを使ってたんだから度胸も充分あるしな。
[慰めのつもりか、そんな言葉をかけてから壁を見つめる。]
……。
[原田の口から出てきたリアクションに、きょとん、と、した。元より身構えなかったのは、原田がみなみを襲ってくるようなサーヴァントではないと言う予想からだったが、それにしても、敵対していたサーヴァントのマスターに言う言葉ではないように思えた]
なぁんか、調子狂うなあ……。
あなたがすっごい嫌な奴だったら、あなただけは消すまで納得出来ない! とか、思えるのに。
――ありがとう。
理由はどうあれ、そう言ってくれて。
すごく、嬉しい。
……そうだね。
教会の人には申し訳ないけど、なんか、良いな、こういうの。写メ撮っておこう。
[原田の言葉に従って壁を見つめる。無数にある線が重なったり、隣あったりして、奇妙な芸術性がそこにあった。携帯を取り出しながら、口を開く]
結局、あなただけね。
ジャックの正体を知っても、面白い奴だなんて素直に言ってのけるのは。わたしだって、最初は違った。
英霊って、そういうものなのね。
何でぇ、嫌な奴だった方が良かったかい?
こんな路地裏に、乙女が1人だと危ねえぜぇえ。
[そう言って両手を挙げておどけてみせた後、くわえた楊枝をつまむ。]
ジャックの事は俺は良く知らねぇのよ。
ただ、俺の中にも確かにああいう部分はあるのさ。
あまりお目にかかりたくはねぇがな。
[そう言って左之助は壁の痕を見つめた。]
あはは、それもそうだね。
[おどける様子に笑う。憎む対象があった方が、気が反れて良いのは誰もが知っている逃避術だ。けれど、原田のその動作はそれ以外の選択肢を提示してくれているように見えた。みなみの携帯電話がかしゃりと音を立てて、携帯が壁に刻まれた今と言う時を切り取る]
"ああいう部分"……?
誰が持っていてもおかしくない部分を、ジャックは沢山抱えていたと思うけど。
でも、あなたは、そうは見えないけど。
[素直に抱いた感想を述べ、ふと空を見れば、うっすらと浮かんでいた月が消え、太陽が街の影をしっかりと作り出していた]
さて、と……。わたしはもう行くね。
色々、ありがとう。それじゃあ。
[来た道を一歩、一歩と後ろ向きに歩きながら、原田ににっこりと笑った]
バイバイって言いたい所なんだけど。
聞きたいことも知りたいことも出来たから。たとえば、その、楊枝のこととか。
だから、――"またね"。
[「そうは見えない」と言う言葉に、「そうでもねぇよ」と声を出さずに思う。
戦闘の享楽に浸る事は、ジャックにつながる可能性も存在すると左之助は感じていた。]
またね――か。
[笑顔で立ち去るみなみを見て、それが今日のように良い形である事を*左之助は願った。*]
死者は必要とされなければ現れない。
しかし必要とされれば現れる。
ヒジリの願いを鋭敏に察知して参上した。
ウォーターメロンのサーヴァント・マスクだ。
投票を委任します。
キャスターは、平 芽祈 に投票を委任しました。
投票を委任します。
アーチャーは、平 芽祈 に投票を委任しました。
―東ブロック・マンション―
[一人で出かけてくる、と簡潔に告げたみなみの口調に無理押しはできず、少年はマンションのリビングに残っていた。時間帯は早朝というにはそろそろ遅い頃合。引かれたままのカーテン越しに、強い日差しが差し込んできた]
……彼女は、何を望むのでしょうね。そして、私は……。
[待つ時間が退屈、という訳ではなかった。
万人を受け入れるためのホテルの一室とは異なり、誰かが日常を過ごす室内には、その主の人となりが端的に現れる。
ローボードに置かれたフォトスタンド。壁に掛けられたカレンダーの絵柄。積み上げられた音楽CDの山。それらからは共通して受ける印象があった]
魔術師の部屋らしくない、のでしょうね。この部屋は。
普通の日常を営む、単なる一般人の暮らしぶりのようだ。
−蒲生邸−
[夢を見ていた。砂漠の国の夢――。
美しい姉と才能豊かな妹。
仲睦まじい魔術師の姉妹。
愛情に満ち溢れた日常。
――愛情?そんなものは知らなかったはず。
場面が変わる。王宮の寝室。
毎夜処女を殺す暴王。
国のため、民衆のためにその身を捧げた女性。
王はやがて優しさを知り、平穏が訪れる。
――平穏?そんなものに興味は無かったはず。
目が覚める。昨夜あれからキャスターを休ませ、何とはなしに眺めていた。どうやら自身もそのまま眠ってしまったらしい。
目の前には、昨夜と変わらぬ寝顔。静かな寝息を立てている。]
―― 中央通り・古美術店 ――
[ キャスターの正体は、シェヘラザードであろう。
確証があるわけではないが、そのような推論を立ててツカサは自宅へと戻ってきた。英霊の真名が判れば、対策を立てることが出来る。
シェヘラザードに関する史料を何冊か買い込み(買わさせられ)、居間にてそれらを広げる。魔術の腕や魔力で勝ち目がなくとも、その存在から弱点に辿り着くことが出来れば対応策を準備だてることも出来るはずである――
■シェヘラザードとは:結婚相手を初夜翌日に処刑しまた別の娘と結婚する…という非道を行い続けたシャーリアール王に嫁いだ女性であり、夜伽に物語を語って聞かせる事で処刑を免れた。そして千一夜を語り明かし、シャーリアール王にそれらの物語から人の倫理と仁王としての心得を学ばせ非道の行いを改めさせた。]
………弱点もなにも、なあ。
[ ツカサは、頭を抱えた。]
[主なき部屋で感想を洩らしつつ、ローボードに歩み寄った。
フォトスタンドに収められた写真を手に取る]
おや。これだけは違う――魔術師、の男性?
[壮年よりはやや若い男性の立ち姿。恐らくは魔術礼装であろう、装飾のなされた短剣を手にしてスーツの上に短外套を羽織った、魔術師らしき人物。勝気そうな目元と、意志の強さを暗示するように引き締められた唇が、みなみの表情を連想させた]
……みなみの父親、でしょうか。
――→自宅マンション(東ブロック)――
[帰路につきながら、みなみは原田との会話を回想していた]
……そういえば、聞かなかったな、結局。ジャックを殺したのは誰か、とか。
サーヴァントとして興味はあるはず、なんだけど。
[原田の人の良さそうな笑顔が浮かびかけ、表情が引き締まった。みなみのマンションには今もダビデがいる。マンションへ向かう足を早めた]
ただいまー。
[鍵を開け、マンションに戻る。なんて声を掛けて良いものか悩んだ後に、そう声を掛ける]
ぱっと行ってすぐに帰って来るつもりだったんだけど、ランサーに会ってちょっと遅くなっちゃった。
[事情を説明する声とともに扉が開き、みなみの姿が現われる。
危険な目に遭った訳ではないようだ、と見て取った]
おかえりなさい、みなみ。
……ランサーと会った? それはまた偶然というか、何というか。
まあ、今ではみなみはマスターではないのですから、無事なのも不思議はありませんが。
[キラーの消失と共に失われたみなみの令呪。少年自身にとっても、今の彼女は競争相手ではない。“契約能力を持った魔術師”の一人、であった]
それで、彼はどんな事を言っていました?
昨夜か――その前の晩の戦闘について、何か?
[純粋に興味があった。一昨晩はキラーとの戦闘を遠望したに過ぎない。ランサーとの直接の接触は一度会話し、離れたきり。それでも好漢、という印象の強い男だった。サーヴァントを失った娘に、彼はどんな言葉を掛けたのだろう]
[ユメを見ていた――……なにか、懐かしいユメを。]
――……ん……。
[
ぼんやりと滲む視界。どれだけの時間、眠っていたのかどうか。
アーチャーと思しきサーヴァントからの狙撃を受けてからの記憶が、定かではなかった。
――なにか、怖くて怖くてたまらなくて。泣き叫びたくとも、声すらも出なくて。
そんななか、ふと。自分を拾い上げてくれた、あの温もりは。
幸せだったあの頃に、陽だまりで肩を寄せ合って眠った妹のものか。
幾つもの夜を越えるたび、いつしか優しくなっていった王のものか。
それとも、もしかしたら……――
]
――……まさか、ですよね。
[
――呟いて、小さく首を振ってみて。
どこか険のとれた表情を浮かべて、自分を眺めている、主の姿をと認めた。
]
――……!?
お、おはようございます、マスター!?
偶然っていうか、情報収集に、来ていたような気がするよ。
……会ったのは、あの場所だから。
[宝具を使って戦闘を行えば、それを察知する事は容易い。みなみ自身も召還を行った後に、キラーと共に流廻川へ戦闘の痕を感じて向かった事を思い出した]
そうだね。マスターの資格を持った魔術師を全員殺そうとするタイプにも、マスターを直接狙おうっていうタイプにも見えないし。
わたしの姿を見た瞬間、ジャックと戦いたいって言ってた。だから、ジャックはもう居ないよって。
それ以上の事は、何も聞かれなかった。
相手が誰で、とか、そういう詳しい事は、何も。
[交わした言葉はそう多くは無いが、原田の人間性が良く現れていたような気がした。聖杯戦争に勝つ事だけを目的にしているのではないのだろう。だからこその、あの言葉]
……代わりにね、励まされたの。
わたしはまだ若くて、器量と度胸があるから、聖杯が無くたって大抵の願いが叶うだろう、って。
[廃工場の床を張り替えている。入口付近にはくつろぐためのソファやテーブル、がいくつか揃えられていた]
よし。あとは物を並べるだけだ。
[転んでも痛くないように、マットを敷き、その上にイグサで織られたゴザを。大型モニターは皆が見える場所に設置した]
一仕事したことだし、メロンを貰おう。
ところでバーサーカー、「マスクメロン」は仮面にかけていたと思ったのだが、ウォーターメロンでは意味がない気がするな。
[仮面に向かって突っ込みを入れた]
なるほど。
資格がある魔術師を全員排除する、か。それは考えなかったな。
[みなみが示唆した勝利手段の一つ。実行する者が居たとしたら、“悪”の存在である事は間違いなかった]
――が、彼もまた自らの練り上げた技で、他のサーヴァントと直接対決したいのでしょうね。セイバーと良く似た武人、か。この国の英霊は、皆そうなのでしょうか。
[何気なく、呟いた。続くみなみの言葉から察せられるのも、その印象を裏付けるもので。少年はこくりと頷いた]
そうなの?
わたしは、だからサーヴァントを失ったマスターは教会へ保護を求めに行く事も選択肢だって、聞いてたよ。
[聖杯戦争に参加すると決めた魔術師達は、それなりの覚悟を持って参加しているとみなみはずっと思っていた。呼び出される英霊がそれに対しどう反応するかは想定出来ないが、マスターが絶対命令権を持つ以上、勝とうとするのならばその行動は不思議ではない]
わたしは、セイバーには会った事が無いから、解らないけど……。誇り高き人なんだね。
ダビデは……? ダビデだって、マスターを進んで狙おうとするようには見えないけど、それは、なんで?
[時折小さな声を上げる寝顔。その姿を眺めていると、夢の中の気持ちを取り戻せるような気がした。
――その時、小さな顔が揺れて、可憐な声が目覚めを告げた。]
遅い。何時だと思っている、愚か者め。
[おろおろとするキャスターに、ぴしゃりと言い放つ。]
今日は南ブロックへ向かうぞ。
アーチャーに狙われた場合、開けた場所ではやっかいだ。
工場群ならば死角も多くやり難かろう。
場合によってはそれを逆手に取って罠に嵌めることもできる。
[疲労とダメージの蓄積で昨夜の激戦も察知できなかったため、手持ちの情報から判断した結果だった。]
[みなみに向き直り、正面から見つめる]
聖杯を求める理由。
聖杯戦争に、再び加わる理由は、みなみの中にありますか?
[尋ね、言葉を切り、少年は自分の内心を探る。
同じ問いを投げつつ、みなみへの答えにもなるように言葉を探す]
……私は、本当のところ、今、揺れています。
私と主義の異なる誰かを犠牲にして、私の願う理想を求め続けて良いのかどうか。あるいは、それは間違った手段なのではないか、と。
マスターだけを狙撃して、葬っていくのなら、まだ道は楽でしょう。けれど、”英霊の座”に上げられたのではない――ある意味では一般人でしかない現世の魔術師を、その為だけに殺すのは私には違う、と思えるのです。
……けれど、もし。
みなみが私のために犠牲にならない、と約束するのであれば。
私は、貴女に契約相手たることを望みたい。私はまだ私の理想を捨てきれない。
勿論、そうなれば、他のマスターやサーヴァントからの攻撃対象となるでしょう。その時には、私は全力でみなみを守ります。ただ、完全に守りきれるとは約束できない。
それでも良ければ、私に協力してくれませんか。みなみ。
−北ブロック−
[あれから準備を終え、部屋の外へと出た二人だったが、
明確な目的地はなく、どこへ行こうかと考えながら歩いていた。]
相手の居場所が分かれば容易な話なんだがな。
[
寝起きの無防備な姿を――というより、恐らく寝顔をも――見られた。
ある意味で、一糸纏わぬ姿を晒したほうが――というか、既に肌を重ねてはいるし――まだ、気が楽だった。
羞恥と混乱に思考の大半を占められて、主の言葉も碌に頭にとは入らずに。
道すがら、何を話したのかもよく判らないまま。
主の背中にとついて歩いていれば、いつの間にか、現代の工房が集まる一帯へと達していた。
]
――……?
[
――……僅かな魔力の残滓を感じて、ふと、我に帰った。
どこかで感じたような、そんな魔力の、仄かな名残。それを、主へと報告した。
]
……正確な位置はわからないかもしれないけど、式神の感知できる範囲内なら、魔力を使われた気配があれば気付けると思う。
[そう言うと、飛ばした式神に、意識を集中させる。]
[くだらん。――以前ならばそう切り捨てていたはず。
しかし、今日は何故かキャスターの寄り道に付き合う気になった。]
興味があるなら調べるがいい。ただし5分で済ませろ。
……わたしには、あるよ。もう一度、聖杯戦争の中に身を置く理由。
[もしも名塚が戦いを続ければ良いと言わなければ、どうしただろうか。実際にはもう何度目かになる問いを、ダビデの言葉を聞きながら頭の中で繰り返した]
最初に聖杯戦争に参加をすることにしたのは、魔術師として大成する為、だった。そうする事で、喜ぶ人がいるから。わたしは、小さい頃からずっとそれだけを考えて生きてきたから。
それは、今でもそう思ってる。
[ダビデの肩越しに見えるローボード。そこに飾られた写真にふと視線をやって、すぐに伏せた。全てを耐え抜く力だった、その人物の姿]
でも今は、それ以上に知りたいの。どうして"英霊ではない"ジャックを、わたしが呼び出す事が出来たのか。
……だけど、本当を言うと、怖いの。
死ぬことが怖いんじゃなくて、自分が怖い。
[英霊とそのマスターには、何かしらの繋がりがある。例えば、縁の品、血。ジャックとみなみの間にその二つがあるとは思えなかった。だとすれば、ジャックとみなみにある繋がりは"精神性の近さ"にあるのかもしれないと、みなみはそう思った。そしてジャックをダビデが"間違った手段"だと言うのなら、みなみとて変わらないのかもしれないと言う、恐怖。少なくとも自分が"間違った手段"だと、"悪"であると判断される理由が無い人間だとは、みなみは思えなかった]
今は勝ちたいと言う気持ちだけじゃないから、ダビデにマスターを進んで狙えっていう事はしないよ。
――だけど、ダビデは、わたしで良いの?
[各地に飛ばされた式神に、徐々に魔力が送り込まれ、蝶が淡い光を放つ。
その中の一つが、微弱だが、何かの気配を察知した。]
……南西の方ね。
確か、あの辺は工場地帯だったかしら。
[信長の額にそっと手を触れ、蝶の見ている景色を繋ぐ]
前に、私は言いましたね。
“世界の外側”から主の導きを現世に降臨させ、人の罪の贖罪を為さしめる(>>0:372)、と。
神の栄光によってしか、それは満たされない(>>0:379)、と。
ですが――それは、誤った考えなのかもしれない、と思い始めてきたのです。あるいは、奢りなのかもしれない、と。
[きっかけは、彼女のサーヴァント――『キラー』の現界だった。
聖堂教会を訪ね、神父に質した結果明らかになった事実。
今回の聖杯戦争の異状。
“神の子”の血を受けたとされる“聖杯”という名の願望機。
だがそれが真実何であるかは、未だ殆ど解明されていない。
――少年はそう語り、言葉を締めくくる]
今回の聖杯戦争は、主からの恩寵ではなく、主からの試練なのだと。そう考えるべきではないかと、私の中で考えが変化しているのですよ。
教義的な事柄ですから、理解しづらいかも知れませんが……
人の世の中で生まれた罪は、あくまでも人の世の中で贖われる事を、主はお望みなのかもしれません。
[理想というにはあまりにささやかかもしれない。既に答えの出ている事かもしれないのだから。だが、少年はそれでも求める事を決意していた]
交叉市に顕れた聖杯の真相を明らかにし、述べ伝える事。
……それが、今の私の願いです。
[
主の言葉に、小さく頷いて。
細い魔力の糸を辿るため、意識を集中する。
廃墟――或いは、そう偽装した――工房の跡へと、それは続いていた。
糸を辿って、近付いてみて――……直ぐに、それは判った。
――……それは、あの少女の。
]
――……いえ。
申し訳ありません、気のせいだったようです。
[
遺品を探して、それを縁者に届ける――という選択肢も、あったかもしれない。
――けれども、なんとなく。
それよりは、そっとこのままにしておくべきではないか――と。そう思った。
]
どこもかしこもラブに溢れているな。
[仮面は語る。
でも「バーサーカー」は既に消滅しているので、仮面から聞こえてくるその声は、瀬良悠乎が引き起こした妄想(ねがい)故の声なのかもしれない。]
こう言うとランサーTが特異点のように思われるが、ある種、彼らの境遇類似はラブと言えなくもない。遍く満ちるはやはり愛なのだろう。
ならばマスクメロンではなくウォーターメロンであることに大した違いはあるまい。全てはメロンに対する愛なのだ。
――その事を。
私が認めてやれなくて、誰が認めてやれるというのだろう。
―南ブロック 工場地帯―
[式神を飛ばした場所までたどり着く。
蝶は、コンクリートのひびからわずかに覗いた土に、生えた草花に止まっていた。
小さく溜息をつく。]
…ここも、あまりマナは期待出来そうもないわね。
[そんな事を言ってられないけど、と苦笑いしつつ]
ふむ、前から思っていたが……。
[空を見上げる。
周りに立ち並ぶ葉高い建造物ばかり。]
天が狭い、な。
[その眼に映る空は、まるでビルに切り取られたようにいびつな形をしていた。]
[何かを隠しているのは明らかだった。が、別段興味もなかった。言わないということは、言わなくていいということ。自身の価値観では、そういうこと。]
……そうか。ならば作業を開始するぞ。
死角を基点として、防衛陣と罠を張り巡らせろ。
遠距離攻撃を得意とする者と戦う場合。近接戦闘をする場合。間合いを計り合う場合。あらゆる場合を想定して、効果的な結界を作るのだ。
[これまでの経験から、キャスターの得手不得手は理解していた。思考の材料さえ与えてしまえば、このサーヴァントは期待以上の仕事をしてくれる。]
はい――了解しました、マスター。
[
――結界の展開に適した地を探すため、一帯にと薄く、探知の網を広げた直後。
徐々にと近付いてくる、強大な魔力を――覚えのある、魔力を。感じた。
]
――……これは、確か。
……! まさか、セイバー……!?
[みなみが語った彼女の理由を咀嚼するように暫くの間を置いて、少年は肯定の言葉を返した]
私はみなみを、私のマスターたるにふさわしい人物だと思いますよ。一番最初、“闇色のサーヴァント”を使役する魔術師としてだけ認識していた時とは異なります。
今ではジャック――キラーの背景も目的も、理解している。
呼び出した理由が何なのかとも、恐れている。
けれど、だからと言って極端に彼の者の存在を拒絶してもいない。
それは私には無い資質、柔軟さと寛容さの表れなのでしょう。
気づけば愉快な空間だね、ここは。
メロンの集合体に、魔術師だからね。
折角だから、僕もウォーターメロンを頂こう。
[ウォータメロンを手に取る。
食べる前にまず種を全て取り除いた]
――みなみ。
私をサーヴァントとして承認するなら、この手を取り、契約の言葉を。
聖杯のよるべに従い、私はあなたの剣、あなたの盾となりましょう。
聖……見ていたなら声をかけてください。
バーサーカーもすぐになくなるものを宝具とするな。
[やや冷たい目でバーサーカーを見た]
セイバー……信長か、――ッ!
[一気に加速する緊張感。]
結界も無い状態でアレの相手は務まらん。
強化しろ、マスターを狙う。
お前は全力でアレを引き剥がせ。
[そのまま、何か手掛かりになるものはないかと暫く歩き続ける。
だが、特に何もなくお互いにどうしようかと思案に暮れていたその時、微かだが遠くに気配を感じた。]
……サーヴァントか!
[モニターを見つつ]
……アーチャーが。
アチャTのラブっぷりを楽しみにしていたのに。
新生アチャTは年齢認証がつきそうな感じがするんだ。
いや、途中からここの二人はいい感じだなとは思っていたのだけれど。
どんな願いも叶えてくれる"願望機"が、この地の"聖杯"の正体だったんだね……。
でも、確かに考えてみれば、わたしも詳しい聖杯の事は良く解らない。教会に所属している魔術師でもないから、知る事が出来る情報に限りがあるとは言っても。
[ダビデが説明してくれた事に、みなみは今まで自分が信じてきたことの「正しい姿」が一体何であるのかが崩れて行くのを感じた]
わたしには、そういうことはよくわからないけど。
この聖杯戦争がもし試練だとするなら、これは、機会、なのかな、"贖罪"の。
[視線を膝に落としながら、ジャックの事をなんとはなしに思い出す。敬虔な信者とは程遠いみなみには、確信など欠片も無かったが、ダビデの話を聞き、浮かんだままに感想をぽつりと呟いた]
人の世の中で生まれた罪が、あくまでも人の世の中でしか贖われないのだとしたら、英霊達にとっては「最後」のチャンス、なのかな……?
確かにすぐに無くなるものだ。
しかし同時に量産が効く宝具でもある。
[肥やしを撒いて拾った種を撒いて水を撒いた。
実を結ぶのを楽しみにして鼻歌を歌っている。
誤解してはならないが、勿論彼は仮面だけの存在である。
しかし一説によると。
此れを育てても新たな実は結ばないらしい……。]
[
セイバーのサーヴァント――織田信長。
この国で絶大な知名度を誇るという、最優の存在。
あのときの結果は、結界の援けがあってこそ――それですら、主は瀕死の傷を負わされた。
――……尋常では、時間すらも稼げまい。ならば。
]
――……はい、必ずや。
[覚悟を決めながら、主の指示にと応じて、幾つかの補助呪文を唱えた。]
[信長の言葉に、硬い表情で頷く。]
…これは、キャスター。
[背中を冷たい汗が流れる。覚えのある魔力。]
(今度は、勝てるだろうか…。)
[肩の傷がずきりと痛んだ気がした。]
[みなみの感想を耳にして、緩やかに首を振った]
いいえ。
英霊は一度その存在を終え、そこで“固定”された存在。
現界して罪の贖罪を果たしたとしても、“英霊の座”に戻ればまた同じ罪が刻まれる。
その繰り返しから逃れるには、英霊として存在すること自体を止めるしかない筈です。 かつては、或いは未来には、それを果たした英霊もあったか、とは聞きますが――少なくとも、私はそうしようとは思いません。
僕とダビデはあくまでパートナーだからね。
それに、彼はみなみを気に掛けていたからさ。
丁度良かったんだよ、きっと。
[やはり表情は笑顔だった]
ジャック2 >> やー、負けちゃったねぇ。
ジャック3 >> あんな無茶な宝具まで用意しておいてネー。
ジャック2 >> 超がんばったんだけどなぁ……。
ジャック3 >> ほら、体育座りしてないでなんか負け組の控え室あるらしいよー。
……買い物もできなかったサーヴァントが食べ物を育てるだと? 無理だな。
店売りのもので我慢しろ。ただし、威力は落ちるだろうな。
聖。その戦略とは何の戦略ですか。
[聖をじーっとみつつ、左手でバーサーカー(の仮面)をべしべしと叩いた]
だって、うち以外はみんなラブラブだ、という話をいつもバーサーカーと。
今はこんな仮面になっているが。
新生アチャTも負けず劣らず仲良くなりそうだが。
と、キラー。お疲れ様。
どれでここに現れるつもりなんだ。
[
先手必勝――と、主は言った。
確かにそうだ。戦いに不慣れな自分は、後手後手にと回って、結果、不利を自ら招き寄せていた。
で、あれば。先にと動いて、状況をコントロールする――!
]
――炎よ、弾けろ!
انفجار بزرگ جثه
[
探知した敵の方向へと放ったのは、最も得意とする広域を吹き飛ばす火炎の呪。
結界の援けもなく、対魔力スキルを持つセイバーに、ダメージを与えられるなどとは思っていない。
サーヴァントと魔術師を引き剥がせれば、それでいい。その程度の、牽制だった。
]
ジャック2 >> と言うわけで、魔術師ジャックです。
ジャック3 >> 女ジャックでーす。
ジャック2 >> 二人合わせてジャック剥離意識体です。
ジャック3 >> 良く分かんないけど、コイツが出しゃばる直前まで裏で賑やかしするためだけの設定でした。
ジャック2 >> どこからか、群体でいると話せないからつまらないんで表出やがれって声が聞こえました。
キャスターか……。
前と同じ様にはさせん。
いくぞ、アカネ!
[セイバーは感じる魔力へと向かって駆け出す。
暫し走った先には、一度刃を交えた2人組の姿。]
再び会ったな、キャスターとそのマスター。
していたな。
私達以外はみんなラブラブだった。そして今も。
[瀬良悠乎に同調しつつキラーをめでた。
宝具を使用出来ただけいいじゃないか!]
戦略といったら闘いのために決まってるさ。
魔術師らしくないね、瀬良悠乎。
結局活かす事もなかったけどね。
[自嘲的な笑みを浮かべた]
ジャック2 >> 瀬良さんもお疲れー。我々は話せるのが頭の悪い二人だけだしこんな感じだ。
ジャック3 >> 瀬良っちお疲れー。ゴメンねなんか、殺した次の日にやられる雑魚っぷりで☆
英霊として存在すること自体を、辞める……。
[そういえば、と、サーヴァントを召還するに当たって読んだ資料が思い返される。一先ず、首を縦に振った。理解する為にはもっと多くの言葉と時間が必要だと感じた]
――約束する。
この身を犠牲にしてもダビデを守りたいと例え思ったとしても、それはしない、って。
[ダビデが相応しいと言ってくれた言葉は、みなみにとって身に余る思いで、罪悪感とむず痒さにダビデから一度は視線を逸らしたが、もう一度ダビデと視線を合わせたとき、みなみの目には強い意志の光が宿っていた]
キャスターか……。
前と同じ様にはさせん。
いくぞ、アカネ!
[セイバーは感じる魔力へと向かって駆け出す。
暫し走った先には、一度刃を交えた2人組の姿。
それを視界に捉えると同時に、炎が辺りを覆う。]
ちぃっ!
[若干後方には茜の姿、自分が先行して走ったのが功をそうした。
茜を庇うように己の身で炎を蹴散らす。]
ジャック2 >> バサカはなんか、宝具使う気無かった気がするんだけどw
ジャック3 >> あたしら前世の悔いとかコピーできないよ? 単純な威力の刃物くらいしか使えないよ?
ジャック2 >> まあ、お騒がせしたがコピーは許可取ってないスキルなので活用するつもりはなかった。
[目を閉じて、手を通して伝わるダビデの温もりに意識を寄せる。魔力が魔術回路を巡り、集まる光と高揚していく気持ちを感じた]
Ay amor――
今、此処に誓いましょう
Me muero por un beso tuyo
あなたの言葉に応え、
Tu eres mi vida
この身をあなたに委ねる、と。
Solamente Tequiero
……キラー、忙しくないかそれ。
[バーサーカーの言葉にもう一度ハリセンでしばいた]
つくづく趣味が合うなバーサーカー。
聖、既にここでは戦う必要などないと思うのですが。私も身体もないし。バーサーカーは仮面だけだし。キラーは分裂してるし。
[
思ったよりも、敵主従のあいだは開いていない。
――……だが。主の突撃を助けるには、その程度でも充分に過ぎる。
]
――……貴方の相手はこちらですよ、セイバー!!
[
――……自らの宝具、古ぼけた一冊の本へと。
最小限――といっても、手持ちのほぼ二割ほど――の魔力を注ぎ込む。
魔力の充填とともに、風に煽られるようにとページが激しく捲れ。
]
…っ!
[印を組む間も無く、辺りが炎に包まれる。熱風がごく近くまで迫ったのを感じた瞬間、前に信長が立ちはだかった。]
セイバーっ!
[自分の代わりに炎を受けた信長に、思わず叫んでしまう。]
くっ…!
[一歩引いて体制を整え、懐から短剣を出し印を組む。]
キラー、殺してくれて感謝する。
私はあの時まで気づかなかったのだ。
聖杯戦争には、死にに来たのだと。
死なないための何かを、見つけることが出来なかった。
だから、その後のキラーがどうなっても、私がそれに不満を漏らすことはない。
身に染み付いた習慣は消えないんだよ、簡単にはね。
[モニターを振り向くと喜びを隠せず満面の笑顔を浮かべる]
そうだ、それでいい。
僕よりみなみの方がダビデのマスターとして相応しい。
僕は逃げる為に戦っていたんだからね。
ジャック2 >> 大丈夫。こうしている限り、ト書きを使用することはないからむしろ楽。
ジャック3 >> 分裂じゃないよー。元々こうだった。あたしら魂は群だけど、ぐちゃぐちゃに混ざっては無いんだ。
否定は出来ない。
こじつけでも武器の修復法を考えるべきだった。
仮に使えたとしても、セイバースキルの下位互換(多分)だ。
恐らくランクA宝具に相応しいインパクトはなかっただろうな。
正直なところ――ああ、これが一番しっくりくる。
「困っていた」だ。
どう戦の想定を重ねても、此度の聖杯戦争の面子相手に勝利に至ることは出来なかった。だからといって途中でトチったのはあらゆる意味で失敗だった。
校舎の生徒Aには迷惑をかけたと思う。
[
――……眩い光から現れ出たのは、幾多の人影。
円月刀、槍、短剣、棍棒――思い思いの獲物を手にした、目付きの悪い男達。
それが、僅かに突出したセイバーを、包み込むようにと。
]
――……所詮は野盗の群れ、戦場の勇将には決して届きませんが。
四十の盗賊、数秒で斬り伏せるというわけにはいかないでしょう――!!
[
急激な魔力の減少に、微かな眩暈を感じながら。
感じた昂りのままにと、叫んだ。
]
[キャスターの詠唱と時を同じくして、そちらに駆け寄る。マスターとサーヴァントが距離を置き、サーヴァントはキャスターの魔術を全身で受け止めていた。
想定した戦果を上回る状況。
――これならば。]
“軽身”。
[身体能力の底上げに風の加護を加えて、敵マスターとの距離を一気に縮める。その手には蒲生正宗。右肩の傷は癒えておらず、左手でのみ握っていた。]
[炎を蹴散らすと同時に、耳に届く聞き覚えのある声。
其方へと視線を向けた時、一気に魔力が一箇所へと流れていく。
間違いない、これは――。]
宝具っ……!
[体に力が入る。
効果は分からないが、その威力が絶大なのは確実。
力の大きさはわかるのにその方向性が分からないなどという厄介この上ない物。
思考が、体が一気に回転を上げる。]
そうだな、バーサーカー。
私も魔術の設定をあんなふうにしたために、魔術師として戦えるかというと、戦えなくなってしまった。
元々サポート系だと認識はしていたし、本来は蒲生氏と同じく近接戦闘を目指していたが。
武器がないのは痛かった。
ただ、聖杯戦争とはいえ魔術師に対して剣を向けられるかというと、わからなかった。
私の死んだ理由がそこにあるだけに。
ジャック2 >> 我々は瀬良が死にたがりだろうが死にたがりでなかろうが、蹂躙し殺しつくしただろうがね。
ジャック3 >> 死なないための何かなんて、探すもんじゃないと思うけどねー。水に潜ったら、息したいからで水面目指すでしょ?
ジャック2 >> ……強盗殺人で飯喰ってたコイツには少々難しい話のようだ。
[身の内を縦横に走る魔術回路の隅々にまで、魔力の道筋が開かれていった。徐々に消耗されていくだけだった、少年の肉体を構成するエーテルが補充され、心臓に新しく強い鼓動が生じる]
――契約の名の元、新たな私のマスターとして。
眞名みなみ、あなたを承認します。
[薄い光膜が少年の全身に生じていた。数秒の後、それらが一点に収束し、三筋の光となってみなみへと向かった。サーヴァントを従えたマスターの証。令呪が彼女の身体に生まれる]
[瞬時、現る気配は己の周りに数十。
一体の力など造作もない、一太刀の元に胡散するだろう。
だがこの数はそう簡単にいくものではない。
戦いの基本が数であるなど、己の世で嫌というほど思い知らされている。
そして、それとは別の気配…相手のマスターが茜へと迫るのを感じ取る。]
くっ……!
[歯をギシリと噛む、瞬時にこの場を切り抜ける策が思いつかない。
目の前の数という敵は、無視できるほど小さくもないのだ。]
ならば……全て切伏せ駆けつける!
でもバーサーカー。勝てるか勝てないかでは決まらないと思う。勝つための模索をする、ことも必要だがやはりそれだけではないと思うんだ。
何度も言ったのだが。
いや、そういうことではなくてだな。
やはりこと戦闘となると、宝具の使える使えないでは変わってくる、と思い知ったのだ。応酬の幅、と言うべきか。
僕は思ってたより戦闘能力を高めにしちゃってどうしようと思ったよ。
封印指定執行者に近いレベルにしちゃったわけだし、最後だと。
[血の詠唱を唱えていては間に合わないのは、前回で学習していた。
剣印を組み、懐から呪符を何枚か投げ、早九字を唱える]
臨兵闘者皆陣列前行
[空に描かれた格子から、無数の蝶が目の前を塞ぐ。
攻撃力は無いに等しかったが、目くらましにはなるはず。
その間に体制を整えようと――]
でもキラー。
あえて言うなら、もう少しいたぶって殺してほしかったんだが。
バーサーカーにいいたい一言があったからな。
それを言うまではしねなかったから、言うタイミングを作るのに必死だった。
そして聖もありがとう。
ツカサやランサーや聖にも反応したかったのだが。先に絶命させられそうな気がして、対バーサーカーを優先させてもらった。
そして気づいたらこちらに来る一歩手前だった。ふ。
[
雑兵のみでは不足なことは、理解はしていた。
だが――……主の危機を悟ってか、セイバーの剣気は予想を遥かに超えている。
これでは駄目だ、これでは充分な時間が稼げない。
]
――蜃気楼よ、包め。
حوض ساختگى
[
微弱な魔力を帯びた幻惑の影が、既に十数人が斬り伏せられた盗賊の姿を、その数倍にと膨れ上がらせる。
所詮は実体のない影、相手を傷つけることなど出来はしない。
それでも、僅かでも混乱させることが出来れば――……と。
]
ヒジリの最後の一撃は素晴らしかった。
私はむさくるしい仮面なので言えなかったが、恐らく選択肢とやらがあるなら「抱いてもらう」か「共闘する」の二択だっただろう。
死者となってから伝えることが出来る、というのも皮肉な話だが、敢えて今であっても言わせて貰おう。
君の意向問わず。
我がマスターの壁となる猶予を与えた一撃。礼を言う。
バーサーカーチームは礼を言う必要なんてないさ。
お互い様だよ、深夜しか参加できなかったから時間制限無視して書かせてもらったし。
僕自身の甘さを表現するを時間をもらえたとこちらこそ感謝している。
ジャック2 >> ううむ。それは気が回らなくってすまなかった。
ジャック3 >> がんばってはいたんだけどねー。いたぶるのって難しい……。
グラディウスか……。
あれは強度としては一般の武器と殆ど変わらないからな。
その辺りももう少し詰めておけばよかったかもしれない。
満足いく戦いを与えてやれなくて済まなかった。
[マスター、ともハルカ、とも言うべきかどうか悩む。
悩んだ末に、どちらとも呼ばないことにした。]
今の内におつまみでもおつかいに向かおう。
――見ていろ見知らぬ女よ。
先ほどの言、必ず後悔させてくれる……!
[もがもがしていた仮面は瀬良悠乎の腕から抜け出した。
仮面は浮遊しながらおつまみのおつかいに出掛けた。
――数分後。
陸道寺付近で仮面のようなお化けを目撃したとの証言多数。]
[召還の時とは違う、回路を一つ、一つ、開き、魔力がそこから徐々に流れていく。少しの倦怠感と、"繋がっている"、と言う感覚。触れている手のみではなく、目を閉じていても全身でダビデの事を感じ取れた]
――改めて、よろしくね。
[目を開ければ、手の甲に新たに刻まれた三本の証。部屋内を包んでいた光はやがて収まり、全身から力が抜ける。負担は召還時ほど多くないものの、荒くなった息を抑えながら、ダビデににこりと微笑みかけた]
[印を切る敵マスター。現れる無数の蝶。
並みの魔術師であれば怯んでいただろう。
――が、この身は戦闘しか知らない。
そして、戦闘中であれば目くらましなど意味を成さなかった。]
死ね。
[小さな傷を負いながらも確実に敵マスターとの距離を縮め、その胴をなぎ払う。]
ジャック2 >> 聖の魔術には、二度もやられたなぁ……。
ジャック3 >> まあ、魔術師ですらない人間にやられたってのは、本望だけどねー。
ジャック2 >> うむ。ジャックは化け物ではなく人間だ。ならば人間が打ち倒すべきだろう。
ジャック3 >> と言うわけで、聖には感謝してます。
[目の前の雑兵の数が膨れ上がる。
たかが雑兵、されど雑兵。
いくら一撃の動きが鈍くとも、同時に数十と幾重にも打たれれば防戦になるは必定。
その中で、焦りが少しづつ生まれていく。]
其処を……退けっ!
[渾身の力を篭めた剣閃が、同時に5つの影を断ち切る。
だがそれ以上の数が、その屍を超えて己へと襲い掛かった。]
平 芽祈は、キャスター を投票先に選びました。
マスターと呼べ。呼ばないならスパたんと呼ばせてもらう。
いたぶられてる時に、痛みを表現するのを忘れてたなと、思った。後から。
ついついやりたいことを優先してしまうのは悪い癖だ。
ジャックは自爆まで付き合いいただきこちらこそ感謝してる。
二回目も同じにしたのは一度目でそれなりに聖自身が手ごたえを感じた故にって感じだったよ。
痛みの表現って難しいよね、僕も最後のシーンとか平然としすぎたし、死ぬ間際は逆に途切れ途切れすぎた気もした。
[蝶の壁が、切り裂かれ、相手の姿が現れる。]
……っ!
[咄嗟に後ろに飛んで、その鋭い一撃を避けようとした。
その瞬間、肩の傷がずきりと痛み、体制が崩れる。]
あ…っ!
[刃で切られ、腹部に焼けるような熱い痛みを感じた。]
マ……見知らぬスターよ。
此度の聖杯戦争では聖杯が起動しない可能性が示唆されているぞ。まだあきらめるのは早い。そして此方にきたツカサを口約通り篭絡するがいい。
今日はセイバーのマスターとキャスターかと思っていたが、知らない男が来るんだね。
みなみはきっと大丈夫さ、ダビデと一緒ならばね。
[初めは強弱の乱れがあった魔力の供給も次第に安定し、やがて通常の視覚では見えない一本の絆が少年と娘の間に結ばれた。微笑みに笑顔で返し、立ち上がる]
ええ、よろしく、みなみ。
……少し、負荷が掛かりましたね。ソファで休んでは?
[令呪の浮き出た手を引き、繊い肩を軽く押すようにして、リビングの中ほどに置かれたソファへとみなみを押しやる。カーペットに足の先を引っかけ、バランスを崩した]
……っ、あぅ!
ジャック2 >> みなみは私と一緒だと駄目だったと言うように聞こえるのだが。
ジャック3 >> なんで2ってそんな自信過剰なん?
セイバーマスターはギリでこちらに着てほしい気がする。
キラーもこちらに来た以上、ラスボスとなりえるのはセイバーかクッキーくらいだからな。
だから、セイバーマスターがこちらに来ることで引き金になれば、とか思ったのだが。
うまく行かないことは多いが。
ランサーと蒲生氏が組むことになるのか……。
[敵に囲まれつつも少しづつだが後方への道を開いていく。
その中で一瞬視界に映ったのは、腹部が赤く染まり膝を突く茜の姿。]
――アカネっ!
[宝具を使おうかの一瞬の逡巡、しかし答えは否だった。
一撃など貰っても構わない、それ相応の代償ならば支払おう。]
キラーは三人前だな。
ヒジリ、私は背中で語れるものも持ち得ない。
その点、君はしっかりとアーチャーに見せたではないか。
故に君は男前なのだ。
――ああ、マ……見知らぬスターの言うことも一理ある。
ヒジリ。君は心根から美しく、それ故に男前なのだ。
[オトコマエ、と連呼しながら浮遊。**]
[己の身を厭わずに、跡を残し影は飛ぶ。
主の元へと帰った影は、茜へと刃を向けた人物へと切りかかった。]
そこを……退けっ!
[鋭く切り払うその姿。
だが、それは歪、何故ならそこには……
――あるべき左腕が欠けていた。]
ぐ……っ。
[影が飛んだ跡、そこには忘れられたかの様に、
一本の腕が転がっていた。]
魔術師としての覚悟など、持てなくていいのだ。
臆病とそれは、イコールではないと思う。
私は魔術を知る前に戻りたいと思ったが、聖の願いを見て似ているなと思った
覚悟を持つことで、どこかが壊れていった。
気づいたら、もう遅かった。
それでも、覚悟を持って魔術師として生きていけるような人もいるだろうな。
心も壊れずに。
[少しだけ、父親を思い出した]
[痛みで朦朧としていく意識。
崩れそうになる体を、どこかから自分を呼ぶ声が支えてくれた。]
……セイバー…?
[声のする方向を見ると――]
……っ!
[そこには、片腕の欠けた信長の姿があった。]
[敵マスターの胴を裂く。刃の一撃を食らって怯む敵。追い討ちをかける。
そこに介入するサーヴァント。]
く、ッ――!役たたずめ。
[身を硬くした。――が、攻撃は来ない。
見ると片腕が欠けていた。]
[
幻術と実体の入り混じった盗賊の集団は、瞬く間に数を減らしていくった。
どれだけ数を頼もうと、一度に襲いかかれる人数には限りがある。
それを、セイバーは一刀の下にと切り捨てていく。
想像以上の速度で、薄くなっていった囲み。道を拓いて、飛びだしたセイバー。
ならば――と、覚悟を決めて。
再び、宝具にと魔力を――残る魔力の、大半をと――注いで。
]
[
――輝く光のなかから走り出したのは、駱駝を駆った高貴なる戦士。
背を向けて跳んだ影を追って、一刀を繰り出した戦士は、確かな手応えを得たようだった。
]
将には将を――……最初から、こうすべきでした。
――……教主(カリーフ)、ハールーン=アッラシード。
セイバー、貴方にも劣らぬ……偉大な王ですよ……。
……アカネ、此処は退くぞ。
キャスターとそのマスターよ。
この借りは……必ず!
[痛みなど無いかのように振舞う。
いや、事実感じている暇など無いのかもしれない。
今思うべきは己の体などではない。
どう生還するかだ。]
覇亜ァァァッ!
[雄叫びと共に、渾身の一撃で相手のマスターへ……そして地面へと切りつける。
その一撃は剣圧の風と共にコンクリートや砂埃などを撥ね上げ、散乱させた。]
さぁ、アカ……ネ……。
[同時に抱き上げようとする、がそれは叶わず。
もう己には片腕しかない、抱き上げることなどできない。]
……アカネ、此処は退くぞ。
キャスターとそのマスターよ。
この借りは……必ず!
[痛みなど無いかのように振舞う。
いや、事実感じている暇など無いのかもしれない。
今思うべきは己の体などではない。
どう生還するかだ。]
覇亜ァァァッ!
[雄叫びと共に、渾身の一撃で相手のマスターへ……そして地面へと切りつける。
その一撃は剣圧の風と共にコンクリートや砂埃などを撥ね上げ、散乱させた。]
さぁ、アカ……ネ……。
[同時に抱き上げようとする、がそれは叶わず。
もう己には片腕しかない、抱き上げることなどできない。]
[悠乎の似ているとの言葉に]
ああ、確かに君と僕は似ている。
君は覚悟を決めてしまった故に……。
僕は覚悟をもてなかった故に……。
手遅れとなったね。
故に聖杯が僕らには必要だった。
だけど、そんな事はもうどうでも良いのかな、死をもってこうやって開放されたんだから。
[――忘れていたはずの痛みが、襲ってくる。]
くっ……。
[唇を強くかみ締め。剣を握っていた手で強引に茜を抱えた。]
いく、ぞ。
[それだけを小さく呟くと、その場からセイバーの姿は消えていた。]
吟遊詩人、今日の結果にはびっくりだったよ。
それともし差支えがなければ、僕の投票の理由を簡単に教えてもらえないかな?
死んだ事に後悔はないけど、どんな理由があったのかは気になってね。
[
魔力の殆どを注ぎ込んで召喚した王は、紛れもなく自分よりも英雄に近い存在。
宝具こそ持たないものの、サーヴァントとも一応は打ち合えるだけの能力を持っている。
――……だが、それだけに。強力なだけに、維持は困難だった。
駱駝を駆る王は、煙のようにと消え失せる。
セイバーの姿が消えた瞬間に、意地も虚勢も消えた。自然に、膝が落ちた。
結界の援けもなく、宝具の連続使用などとは無謀が過ぎたのだ。
]
……そうだな。私は死を求めた。そして開放された。
でも。
死を求めていない聖は、死んではだめだったように思う。ただ聖杯が手に入らないのなら、どうすればよかったのかわからないが。
死んだことは変わることはないのだけどな。
うん……、ちょっと横になれば落ち着くと思う。
[ありがとう、と、ダビデに手を引かれながらソファへ向かい、その時]
っ!?
[みなみ自身は何があったのか把握する間もなく、気付けばみなみの背はソファにつき、極間近にダビデの顔があった。一瞬、心臓が飛び跳ねる勢いでどきりとするも、他意は無いのだろうという思考がすぐに巡って落ち着いた]
わー、びっくりした。大丈夫?
死を求めていなかったわけじゃないんだ。
僕はいつ死んでもよかったんだよ、でも、自分で死ぬ勇気すらがなかった。
そして中途半端な腕を持っていたお陰で殺してすらもらえなかった。
それゆえに聖杯を求めた、あるいは戦争での死を求めていたのかもしれない。
愚か、者、め……。
[二度に渡る宝具行使で、蓄積したはずの魔力は枯渇していた。
そこに付け込むかのような信長の一撃。]
ぐ、おぉぉぉ!!!
[アスファルトが抉れ、コンクリートが飛んだ。投げ出された身体が壁に叩きつけられる。]
ぐ、ァ……。ごフ……ッ!
[紅い吐息。]
[聖の言葉を、黙って聞く]
……。戦争での、死か。
生きるための道は、なかったのだろうかな。
私も聖も。
私は死を選ぶのは、最後だと思っていた。
でも、身体は、本音は、死にたいと願っていた。
後悔しているわけではないんだ。それを選んだことを。
ただ。
どんな道が開けていたのか、生きてなければ判らないことで、それを少し、見てみたかった。
―東ブロック・みなみのマンション―
[偶然にとはいえ押し倒すような形になってしまい、少年は赤面して声を詰まらせる。香水らしき香りがかすかに鼻腔をくすぐった]
……あ。うっ、うん。
……いえ、大丈夫です。すみません、みなみ。
[ソファの背もたれに手を突いて身を起こし、離れて謝罪する。
視線を合わせづらいとでもいうように、部屋の左右に目をやった]
お疲れなのですよね。きっと、無理をしてるんでしょう?
ゆっくり休んで、動き始めるのは夕方からにでもしましょう。
生きる為の道を求めた最後の拠り所が聖杯だ。
僕も君もね。
魔術のない世界ならどんな生活が出来るのだろうか?
という思いを持っていたのは僕も同じだ。
やっとわかったよ、君がキラーに襲われた時の事が。
僕は君に自分と同じ匂いを感じたんだ、きっと。
だから、死が確実でも放っておけなかったんだろう。
ふむ、届いた手紙を今漁ってきましたが。
理由としては大きくこれといったものは無いですね。
言及されている言葉を抜き出し短くまとめると
「シリアスでもあるしギャグっぽい所もあるんだが、それがどっちつかずな雰囲気を出している。
その為、薄い印象を出してしまっている」
ということらしいです。
ちなみに2日目は最後まで結果が分からない接戦の日でした。
詩人の方、ありがとうございます。
なるほどなるほど、確かにどっちつかずな部分もあった。
そしてなにより、こそこそ動いていたせいで印象が薄い部分が合ったね。
納得納得、そして接線だったんだね……。
ヒジリが印象薄い…か。途中でトチりに走った身としてはそうも見えなかったが、……やはり難しいものだな。
[そしてきゅっとされて戸惑っている。
桃空間は少々苦手のようだ。]
セイバーは、梧桐 曹 を能力(襲う)の対象に選びました。
聖は薄めではあるとは思ったけど、だからこそ堕ちてほしくはなかったな。
そこは投票の基準ではないと思ったから。
で、バトンタッチとか。
バーサーカー相手に桃展開は余り考えたことがなかった。
そこに至るまでの距離感を詰められなかったな。
桃空間だったのかな……?
価値観が似てるって話だと思ってたな、僕は。
薄めなのは、姿を隠してた部分が大きいのかなと思う。
序盤は隠れつつ、情報集めってのは対人ゲームだとやっぱり難しいよね。
やっぱり、最後の日のようにがっつりと敵チームと絡んだ方が印象は濃くなると思う。
桃空間というのは「きゅっ」の話だ。
価値観の話を囃したつもりではなかった。そう聞こえたなら申し訳ない。むしろ興味深い話だったのでもう少し聞いていたかった。
いや、「きゅっ」というのは抱き締めたのではなく絞めた音だったかもしれないが。
そしてマ……見知らぬスターとの桃展開か。
……………。
空想してみたが、無いだろう。
いつぞやも言った気がするが、私の没年は齢40近くだぞ。
愛は歳月を越えるとも言うが、この仮面ではな。
そして私の性格が性格だ。
最期まで信頼していたかどうかすら怪しい。
我が事ながら難儀なものだ。
いやいや、そんな意図はないさ、メロン君。
桃空間になってたのかなと、こっそり思っただけなんだよ。
そして、僕に仮面があるなら笑顔だろうね、きっと。
…………。
[仮面は名塚聖の言葉にぴたと動きを止めた。
静寂を保っていた仮面は、やがて小刻みに震え始め。
ゆっくりと、名塚聖へと振り返る。
細長く切れ込んだ目。
笑顔を保つ魔術師を、じっと見つめて、]
――ありがとう。
メロンと呼んでくれるのは君だけだ。
むしろ君にならマスターと桃空間であっても許せる気がする。
先の会話はまるで兄と妹のようでもあった。
[実年齢を考えると逆なのかもしれないが敢えて思考を拒否した。]
……間違えた。
バーサーカー、40近くなら別にいいと思うのだが。
私に父がいなければ、それこそ父のように見ていたかもしれないが。
私の姿は少女だが、実年齢はあれだし。
まあ29というのは、ツカサに合わせた年齢だったりしたんだけどな。
一度そう決めたら、もうそこから歳が動かなくなった。
そして信頼してなかったかもしれないだと?
……サーヴァントへの裏切り行為に近いことをしたのだから仕方ないな。
[バーサーカーの仮面に青い色を付け足した]
私は自身の制御で精一杯だったな。
むしろマスターの忠告を振り払って外を闊歩しても良かったのかもしれない。絡めず終いで終わってしまったTが多くて、その点については未練が多かった。
[
――どれだけの時間が過ぎただろうか。数分か、それとも数十分か。
大気中に漂う微弱なマナと戦闘で撒き散らされた魔力の残滓を掻き集めて、どうにか、動けるまでにと回復した。
といっても、それは手足を動かせるというだけのことに過ぎなかった。簡単な魔術でさえも、いまは使えない。
だが、それでもやらねばならないことは、確かにあった。
屋敷へと、主を連れ帰らねばならなかった。
霊脈の要点たるあの地ならば、幾らかは異なるだろう。それに――……別の手段も、あることはある。
]
――……セイバーの力を、見誤りました……申し訳、ありません……。
[
気を失っている主の返事は、当然のようになかった。
――震える手脚を、叱咤して。
歳相応の女の細腕で、よく鍛えられた主の長身をどうにか背負い上げ。
とてつもなく長く感じる屋敷への途を、蹌踉めきながら、*歩き始めた*。
]
マ……見知らぬスターよ。
そこで「乙女同士の秘密のお茶会があるのじゃよ」とうそぶいて女性用の部屋を作成してみるといいぞ。ツカサとヒジリとキラーの株価がアップだ。恐らく。きっと。
うん、上は禁止時間だな。キャスターの発言があったみたいだが。
バーサーカー、それ程マスターと呼びたくないなら、名前で呼んでもいいのだぞ。私はどちらでも構わないのだから。
ああ。
気がついたら聖にも普段の口調になっていた。
いつになれば女子高生になれるのか。
フ。
――――何を今更な事を。
君と私は、マスター(主人)とサーヴァント(奴隷)だ。
関係は決定している。
初めの方にそう告げたはずだ。
信頼があったかどうかなど。、私の生前を考えれば自明。
[クク、と笑いながら瀬良悠乎の手の中から逃れた。]
そこだ。バーサーカー。
私は少なくとも、サーヴァントを奴隷だとは思っていない。
バーサーカーの生前とは、スパたん時代のことか。
聖、26ならば名実共に妹扱いでいいと思ったからなのだ。他意はない。
2年か。いつも変わらぬ2年だな。
日本は久しぶりだったが、それでも生まれた地で死ねるというのは、魔術師としては良かったのかもしれない。
…………。
君が私をどう思っていたにしても。
私が、君を、殺したいと思っていたことに違いはない。
ジャックとやらに先を越されてしまったがな。
[同様に、彼女の寝顔を見続けたいと思ったことも確かだが。
二つの理念は相反する。故に口にするのは、自身が馴れ合わない為の――無念を忘れぬ為の、呪詛(ねがい)の言葉。]
バーサーカー、おまえが私を殺したいと思っても、それが叶えられることはない。こう見えても、人の殺気には敏感でな。
そんな様子を見せたなら、令呪を持って押さえていただろう。
恐らくだが。
それに。
本当に殺したければいくらでも機会はあったはずだ。
相棒になるために、信頼関係を築きたかったのだけどな。
絶対の忠誠を誓わせるなら、令呪一つで足りる。
それをしたくなかったのは、それは令呪でなくても達成可能だからだ。
それが出来なかったのは、私の落ち度だな。
残念ながら。
私はヒジリのサーヴァントのように、単独で現界する力は持たない。故に機会があるように見えたとしても、君の命を奪うわけにはいかないだろう。
真にして唯一の機会は、聖杯戦争を勝ち抜いた最後の時のみ。
君の言う通り、令呪の存在もある。
戦争中に殺害することはどう足掻いても不可能。
ならば――聖杯に願うしかあるまい。
尤も。奪うのは君一人の命とは限らないが。
[そして他の願いを託すかもしれないが――そのような良心(ねがい)など、口にする必要はない。無念を以って現界し、無念を以って戦うはずだったのだから。]
[ただ。]
―――まあ。
私相手に信頼を得ることが出来ずとも、他のサーヴァント相手になら可能だったろうよ。
故に君の不運は私を召喚「してしまった」ことと知るがいい。
いや。
君の場合、もう少々の可愛げも必要かもしれないな。
[皮肉のように、遠まわしに――を述べながら、笑う。]
………………。
………………。
………………。
………………。
………………。
…………、こんなところで居眠りしてどうする。
霊体とて風邪を引かんとは限らんぞ。
次からはもう少しその辺りを肝に命じてだな。
[言ってももう遅い。
寝ているらしい瀬良悠乎に布団をかけた。]
目覚めて誰もいなければ不安も生じるかもしれない。
ヒジリか、ジャックか、或いはツカサか。
この娘のことを頼んだぞ。
私は少々長い旅に出る。
[――眩暈がした。
腹部に感じていた痛みよりも、目の前の現実が、脳の大部分を支配して感覚が消えていく。
そこにあるのは ――腕。]
……駄目。
[小刻みに震えながら、それに向かって手を伸ばす。
届かずに、這いずりながら近付こうとする。
それでも 届かない。]
………嫌…。
[まるで言う事を聞かない体に、涙が出そうになる。
もう一度手を伸ばしかけた時、何かに抱き抱えられたような感触がして、伸ばした手が、空を掴んだ。]
―北ブロック マンション―
[砂塵に紛れ、姿を隠しながらあの場所から逃げた。
片腕を失いながらも、必死に茜を支えようとする信長を、茜自身もよろめきつつ支えた。
流れ落ちる血を、拙い治癒魔術でどうにか表面だけでも押し止め、血まみれの自分達を隠すように、霞の印を組んでその存在を希薄にする。]
……っ。
[自宅にたどり着いた時には、随分と日が高くなっていた。
ドアノブに触れるとぬるりとした感触。見ると、自分の手が血でそれを汚していた。
それを見ないようにして、部屋に入る。]
[部屋へと入り、思わず腰を下ろす。
既に血は止まり、痛みだけが残る。
だがそんな物は歯を食いしばれば問題になどならない。
問題は……。]
アカネ、傷は大丈夫か?
[自分が居ながら。己の主君が傷ついたという事実。]
……っ!
[一瞬で頭に血が昇り、信長の頬を平手で打つ。乾いた音が部屋に響いた。]
……馬鹿っ!
私の事より貴方の方が……
[叩いた掌が痛い。
信長が、自分の事を心配してくれているのはわかっている。だけど、自分だって―
唇を噛みながら、腕の傷口に布を当て、包帯をがんじがらめに巻いていく。白い包帯が一瞬で紅に染まった。]
[頬に衝撃がくる。
別に痛みなどない、が。
何故かその行為で、セイバーは一瞬動けなくなった。]
……俺はあくまで兵だ。
将たるアカネを守るのが俺の役目、それを果たすのに必要な代償だった。それだけだ。
勝つ為には何でもするんじゃなかったのか?
ならこの程度、知らぬ顔で通せ。
[迷いのない目で、そう言い切る。]
だが、謝らないとな。
――すまんな、もう抱きしめることはできないようだ。
[残った右手で、必死に包帯を巻くアカネを抱き寄せた。]
―― 午後・駅前 ――
まいったね…。
[ 雑踏の中で、ぽつりと小さく呟いた。
現在どれだけの英霊が残っているのか。それを聞ければと教会まで足を運んだ時、強大な魔力が発動するのを感じてツカサは南ブロックへと向かったのだ。そこで目撃したのは、キャスターとセイバーの戦いだった。
ツカサが見たのは、セイバー達が逃げ出す最後の数瞬だけである。が…。]
おかしいだろう、あれは。
[ 逃げ出す間際の、セイバーの一刀。渾身の一撃を振るうセイバーより、何かが滲み出ていたようにツカサには思えた。
思い出すは流廻川での信長の猛攻。有り得ぬ某かが垣間見えた瞬間。
そして先程目撃した戦い。尋常ならざるはずのキャスターの魔力、そのほとんどが費やされたにも関わらず、倒れる事なく逃走を果たしたセイバー。]
あんなのに勝てるのかい、一文字…。
[ 兎も角、まずは左之助と合流を計ろう。ツカサは御守りを取り出すと、左之助の魔力を探った。]
代償…ですって!?
(知らぬ顔で通せだなんて、そんな事、出来るはずがない―)
なんで、わからないの…っ!
[歯がゆくて、涙がこぼれ落ちる。
自分が傷ついた現実よりも、目の前で信長が傷ついた方が、痛い――
いつの間にか、これ程までに、自分の中で信長の存在が大きくなっているなんて―]
………馬鹿…。
[右腕で抱き寄せられ、泣き顔を隠す為に、相手の胸元に顔を伏せた。]
−工場地帯→蒲生邸−
[意識を取り戻すと、キャスターがよろめきながら己を支えていた。見ると存在感が希薄に感じられるほど疲弊している。立場を入れ替え、キャスターの身体を両腕で抱えると、その身体は驚くほど軽かった。]
……愚か者、お前が消えてしまったらアレを倒せんではないか。
[主人に支えられ、「申し訳、ありません……」と消えそうな声で謝罪するキャスターに、よい、と短く答え、屋敷に戻った。]
ああ、代償だ。
何処の勝ち戦でも、その勝利は屍の上にある。
将ならば顔色を変えずに、敵であろうと味方であろうと、
平然とその屍を踏みつけろ。
少なくとも、俺はそうして生きた。
[そう、あの負け戦の時も。
俺は光秀と秀吉、そして親友の家康にですら、殿を任せて逃げた。
例え奴等が死ぬことになろうとも。]
残念ながら、馬鹿やうつけと言われるのは慣なれている。
でもこれが……。
[そう、この世には、3つのやり方がある。
良いやり方、悪いやり方。
そして。]
[信長の言葉に、強く唇を噛み締める。口内に、わずかに血の味が広がった。
以前の自分なら、躊躇うことなく信長の言葉に頷いただろう。
むしろ― サーヴァントという存在を、対等な人間として見れていたかも怪しい。
目的の為に、他のすべてを切り捨てる。勝つ為に。
けれど――]
……っ…。
[今はどうしても、その言葉に頷けない。
兵として、まっすぐにその役割を果たそうとする信長に、何も答えられずに、ただ小さく首を振り続けるしか無かった。]
−蒲生邸−
[弱り切ったキャスターを寝室に休ませる。そこは霊脈を通じてもっとも魔力の集まる場所だった。]
しばらく休んでいろ。
[部屋にいるだけで、自身にも魔力が流れ込んでくる。敵マスターに負わされた無数の傷と信長の一撃で損傷した背中を魔術で修復しようと試みるが、魔力が不足していた。]
……足りぬ、か。
[ちら、とキャスターを見る。今朝の静かな寝顔とは異なり、額に汗を浮かべ、苦しそうな表情をしていた。]
−教会−
[毎夜 聖杯に選ばれしものたちは刃を交え、魔力を放ち、互いの血液を空気に触れさせあっている。
……それはまるで、血で描く戦いの絵巻、血文字で記す戦いの叙事詩。
ここ、交叉市で"聖杯"が観測されてから、繰り返されてきた数多の争い。その度に有名無名の英霊がその座より呼ばれ、聖杯に選ばれしマスターに従い殺戮を繰り返す。
それは、聖杯戦争に於いては珍しくない事象である。
ただし、交叉市に現れた"聖杯"は、必ずいくつかの特殊な現象を欲した。]
[過去に呼ばれた英霊のクラスには、必ずイレギュラーのクラスが召還された。
"復讐者-アヴェンジャ-" "支配者-ロード-" "統率者-コマンダ-" "商う者-マーチャント-" "戦闘者-ソルジャー-" etc...
そして今回召還されたクラス "殺戮者-キラー-"。
特殊な現象を起こす"聖杯"であっても、過去に勝者が願ったことに関しては、完璧なほどまでに叶えられた。
まさに、この世の法則を覆しかねないほどの質量で……。]
[但し。
特殊現象を好むこの"聖杯"にも、過去の聖杯戦争時に必ず守られていた規範があった。
それは、「マスターは必ず7人選ばれる」ということだ。]
―― 蒲生邸前 ――
[左之助は帰宅の途中で梧桐と合流し、蒲生邸に来ていた。
行きすがら話は既に聞いている。
梧桐の口から出た蒲生と組むという話は、左之助をやや釈然としない気持ちにさせた。
どこかに信長とさしでやりたいと言う気持ちを持っているためかもしれない。
だが、梧桐の態度は真剣そのもので無下に反対できない気持ちもあった。
屋敷に入っていく梧桐の後に続き、左之助も門をくぐった。]
[しばらくの時を経て、キャスターの寝息が幾分安らかになったと思われた。
その時、屋敷への侵入者を知らせる警報が鳴る。]
このような時に……。
[敵であればまずい。そう思いながら玄関に向かった。]
―― 蒲生邸・玄関 ――
[ 出来ることなら、左之助には気持ちよく戦わせてやりたい。これが聖杯戦争であるという前提を考慮しても、ツカサはそう考えていた。だが――
――第六天魔王・波旬。
以前に信長について調べていた時に辿り着いた、突拍子ない推論。それがツカサの脳裏に貼り付いて離れないでいたのだ。
もしも。もしもセイバーが織田信長という英霊という存在で終わるものではなく、某か危険な因子を孕む存在であったなら。それを倒すために、手段を選んでいる余裕などありはしないだろう。]
セイバーとの対決のため、貴方達に共闘を申し込みに参りました。理由は――
[ 出迎えた蒲生家の当主に目的を単刀直入に伝え、自身の推論と共にその理由を語る。]
その見返りとして… 流廻川の霊道を其方へと開放します。魔力の足しとしていただければ。
[ この提案に、交渉の余地など考えてはいない。自分の持つカードを全て差し出し、その返答を待った。]
[ゴドウの話を聞きながら考える。己とキャスターが万全であれば、この場でゴドウを殺していたかもしれない。が、今はそんな状況でもなかった。
信長の危険性はゴドウに言われるまでもなく、肌で感じていた。ただ、それを強敵としての存在感にすり替えらていただけかもしれない。
それに、こちらにとって最高の結界である屋敷に乗り込んでくるゴドウという男は信用できると判断した。直接刃を交えたランサーも、武人として悪からぬ印象を持っている。]
……よかろう。
ただし目的は信長を倒すだけだ。
馴れ合いは好まん。
[数瞬の逡巡の後、静かに答えた。]
ありがとうございます。充分です。
[ 元よりそのつもりの共闘提案である。問題はない。
そしてお互いの緊急連絡手段と、知り得る限りの信長の情報などを交換しあい、セイバーに遭遇したら可能な限り早い合流と、戦闘地域の確認をして屋敷を後にした。]
決闘の次は共闘か……。
ま、面白いめぐり合わせじゃねぇの。
ツカサ、話が決まったなら行こうぜ。
蒲生様はお疲れのようだ。しばし休んでもらおうや。
[左之助はキャスターの姿が無いのが気になったが、問うてもはぐらかされるだろうと思い、それには触れない。]
[客を見送り、寝室へ戻る。
まさか他マスターと、しかも先日激しい戦闘を繰り広げたばかりのランサーたちと手を組むことがあるとは思わなかった。キャスターが聞けばどう思うか。小さな笑みがこぼれる。
霊道の譲渡もありがたかった。これ以上住民から吸い上げれば、目に見える犠牲者が現れるかもしれない。魔術協会も聖堂教会も、乱世ならばともかくこの一見平和な時代においては、さすがに見過ごさないだろう。そしてなにより――。
キャスターの寝顔を見る。寝息は随分静かなものになっていた。]
―― 自宅・仏間 ――
[ 思ったよりも簡単にキャスターとの共闘関係は築けた。だが、だからと言って安心は出来ない。セイバーを相手に、誰かが犠牲になる可能性は充分にある。
そのための決意と覚悟はあれど、やはり、心が震える。
ツカサは己を落ち着かせるため、仏間の襖を開けた。
仏壇の前に正座すると、亡き妻・梧桐愛香の写真の前で手を合わせる。]
マナカ…。
[ 名前を呼ぶ。それ以上の言葉は出てこない。
だが、震えていた心は落ち着きを取り戻した。]
[
何者かが訪れたことは、警報の音と緊張して部屋を出て行った主の気配とで知った。ただ純粋に、五感のみでと。
それが意味することは一つだった。自らが手を加えた結界のなかへと入り込んだ存在をすら、感知できなかった。
――……魔力の感知も出来なくなったキャスターに、何の存在価値があるというのか。
いっそ、このまま消えてしまおうか――……と、そう思いさえもした。
それが、どうしたことか。ある瞬間を境に、流れ込む魔力の量が一変した。
霊脈を通じて屋敷へと集まる魔力はそれなりのものではあったが、その全ては、先の戦いで足りぬ魔力を補うために削った、自らの存在を修復するためにと費やされていた。
そこへ新たに加わった魔力の流れは、希薄となった身体を編み直すには十分なもので。
今しばらく眠っていれば、空になった水桶もある程度までは満ちるだろうと判った。
何があったのかは、判らない。ただ、これだけは確かだった。
どうやら、まだ、自分は何かの役にと立てるらしい――……それが嬉しくて、口元が僅かに緩んだ。
]
[仏間での梧桐の様子を、左之助は部屋の外から見ていた。
祈りが終わったのを見計らって、中へと入る。]
仏間ってのは今も昔も変らねぇな。
[そう言いながら梧桐愛香の写真に目を止めた。]
こりゃ、別嬪さんだ。口元なんかまさの奴にそっくりだぜ。
[左之助は自分の妻の名前を口にしてそう言った。
同時にまさが左之助の死後も立派に息子を育て上げ、子孫を残してくれた事を実感する。
心の中で自身の妻に感謝し、申し訳ない気分にもなった。
遺影に向かい手を合わせて、しばし目を閉じる。]
何としても願いをかなえなきゃな。
[再び目を開けると梧桐にそう言った。]
[ 妻の遺影に手を合わせる左之助に、ツカサはありがとうと頭を少し下げた。]
ああ…。
[ 何としても願いを。その言葉に感謝し、頷く。
そのまま、暫くの沈黙。]
…なあ。
[ なんとなく手持ち無沙汰になり、声をかける。]
一文字の願いは…いや、なんでもない。
[ 言いかけて、うまく聞くことが出来ず言葉を濁した。]
[左之助は梧桐の言いかけた言葉に振り向く。]
まあ、良いじゃねぇの願いなんて。
今あえて言うなら、そうだな……信長に勝って無事2人で戻ってくる事よ。
[そう言った後に遺影を見直し、ゆっくりと語り出す。]
……まあ、何だな、あいつもそれなりに上手く生き抜いたみてぇだし、今さら暴れん坊の俺が顔出してもな……。
……いや、それは言い訳か……。
単に俺が臆病なだけなのかもな。
[結局、家族を放置して戦い続けたのに、何も成し遂げれずに家に帰る事が怖いのかもしれない。
「何のために?」
そう家族に問われた時、何と答えれば良いのか。
左之助は楊枝をつまむと、ぼんやりと虚空を見つめた。]
[ 弱音ともとれる、左之助の言葉。やはり聞くべきではなかったのだろうかと思うも、しかし。]
いや、お前は立派だよ。一文字。
[ 小さく、それだけ言うと腰を上げる。]
そうだな、まずは信長を倒す。それから先は、またそれから考えよう。
軽く食事をとってから出掛けよう。信長を捜しにいくぞ。
[ 言って。まだ座ったままでこちらを見上げた左之助へと右手を差し出した。]
[希薄だった存在感も、今ははっきりとしていた。ゴドウが流廻川を明け渡したのだろう。流れてくる魔力量は、これまでよりはるかに多い。これならば、夜までにはそれなりに回復するはずだと思った。
その時、キャスターの口元がわずかに緩む。]
……暢気な奴だ。
[自身も同じような表情を浮かべていることには気付いていなかった。]
[
蕾が花開くように、雲が晴れて月が覗くように。
予めそう定められていたような、自然な目覚めだった。
寝台の上にと半身を起して、両の手が透けてはいないことを、まず認めた。
その掌を軽く握って、身体を満たす魔力の量を確認する。
――……凡そ、六割。これならば、通常の戦闘ならばこなせるだろう。
消滅寸前の状態から数時間での回復量と思えば、驚くべきものだった。
]
[
しかし――主は一体、何をしたのだろうか。
あの透き通った魔力は、第二要素や第三要素ではない。民から蒐集した魔力では、まずあるまい。
といって、物理的に供給されたわけでもなさそうだった。
幾ら衰弱していたとて、貫かれれば流石に気付く。
そも、主の魔力とて枯渇していたのだから、その余裕はないだろう。
そこまで思いを巡らせて、その解答を持っているであろう姿を、漸く認めた。
]
あ――……その、申し訳……――
[謝罪の言葉を紡ごうと、口を開いた。]
[起きてしばらく自分の世界に没頭するキャスターを眺める。やはり戦闘には向いていない、と思った。ようやくこちらに気付いて慌てて謝罪しようとするのを、静かに制する。]
よい、今は回復に努めろ。
次いつ信長とやり合うかわからんのだからな。
[言って、ゴドウから信長を討つために共闘を申し込まれたこと、その条件として流廻川の霊道を譲り受けたことを伝えた。]
――……ふえ?
[
魔力の供給源を知ったことよりも、驚きが大きかった。
あのゴドウという魔術師、ランサーのマスターが誰かと手を組むのは、意外でもない。
言質こそ得られなかったが、仮面の主従とも繋がっていたのだと、今でも強く疑っている。
セイバーに対抗するためにと、此方――所在の知れている主従――を交渉先に選んだことは、驚くには値しない。
しかし――……この主が、そのような申し出を受けるとは。
戦うべき選択肢が、それも一対一で刃を交わした敵手が減るというのに。
]
ええと、共闘……ですか?
間の抜けた声を出すな。そうだ、共闘だ。不服か。
利を考えればそれほど悪くない話と思うが。
[キャスターの疑問の意味がわからず、苛立ちを含んだ声で話す。]
――但し。
信長を倒した瞬間に、背中を狙う用意と狙われる覚悟はしておけ。
[信長の手当てを終え、自身の腹部の治療をする。
咄嗟に後ろに飛んだ事で、内臓まで傷が達したわけでは無かった。
ガーゼを当て、包帯を強めに巻く。]
……。
[考えていた事は、一つだけ。
長く深い息を吐き、痛みを軽減させる為に、鎮痛剤を多めに飲む。
そして、壁にもたれて目を閉じた。]
[
主にと頷いて。
ただ――……と。口には出さずに、懸念した。
先に宝具を用いてセイバーの片腕を奪ったとはいえ、消耗はこちらが大。
覚悟の以前に――ランサーと共闘したところで、セイバーを斃すことが叶うのかどうか。
そして、仮にランサーと共に雄敵セイバーを打倒したとて、それは、他の主従を利するだけではないのか。
聖杯に願いを捧げるならば、敢えて、ここでセイバーにと当たる必要はないのでは――と。
そこまで考えて――戦いこそが、主の願いなのだったと、思い直した。
]
[意識を指の先まで集中し、それからゆっくりと力を抜いていく。
それを何度か繰り返し、限りなく体をレム睡眠に近い状態にする。
薬の手伝いもあってか、すぐに意識がふっと遠くなり、暗い世界に沈んで行った。
気が付くと、いつか見た深い闇の世界に立っている。
目の前には、鏡。
それに手を触れ、鏡の中の自分をじっと見た。]
[鏡の中の自分が 笑う。
――いや、すでにそれは、自分では無い。
彼女の肩には、いつの間にか、大きな蛾が止まっていて、こちらをじっと見ている。
『――さあ』
同じ顔をした少女の口が、ゆっくりと開く。
『――始めましょうか』]
[その言葉に、微かに震えながら、小さく頷いた。]
セイバーは、キャスター を投票先に選びました。
……起きたか。
[壁を背に休んでいた隻腕の武士が声をかける。
アレから既に数時間が経っている。
元に戻る部分に限っては既に問題は無い]
行くのか、アカネ。
[傍らから聞こえた信長の声に、顔をそちらに向け、微笑む。
その笑顔は、何故か悲しげに見えた。]
……ええ。
抑えられているとは言え、漆路山が一番私の力になる事は変わらない。
行きましょう。
[ゆっくりと立ち上がり、信長に手を差し伸べた。]
―漆路山―
[日が落ちた森は、それ自体が大きな黒い塊のようだ。
その中に押し入り、わずかな月明かりを頼りに、深部まで進んで行く。
歩を進める毎に足元から枯葉を踏む音が、人気の無い森の中に響く。]
…この辺がいいかしら。
[大きな大木の前に着くと、深く深呼吸をする。
懐から短剣を取り出し、地面に刺すと、微かに震えながら口を開いた。]
(『さあ 扉を開こう――』)
[剣を刺した場所から、金色の光が渦を巻いて立ち上った。]
[足元から湧き上がる風に、枯葉が舞い上がる。]
…二つ身になりし時より逆流す
一つは一つに 再びまじりあう
[剣から、金色の大きな蝶がふわりと出現した。]
―― 自宅 ――
[ ほうれん草を使用しての翡翠炒飯は我ながら美味しかった。さておき。
食事を終え、さて如何にして信長を捜そうかと出掛ける準備をしていた時だった。テーブルに広げておいた地図の一部が淡く光りはじめたのだ。
――場所は、漆路山。感じられた魔力の質からして、あのセイバーのマスターがなんらかの術を行使しているのではと推測する。]
…行くぞ、一文字。
[ 声をかけ、蒲生家へと連絡を取った。]
[
ふと。
流れ込む魔力――ランサーのマスターから提供されたという、霊道からの魔力――に、異常を感じた。
共闘を装って、罠でも仕込んでいたのか――そんな考えが、僅かに浮かぶ。
だが、そうではなかった。異常を辿ってみると、それは川の更に先。漆路山という、山からの異常だった。
判断を仰ぐべく、その旨を主にと伝えた。
]
[キャスターの報告と時を同じくして、ゴドウから連絡が入った。方角も一致する。]
――よし、行くぞ。
[ゴドウたちと合流すべく、移動を開始した。]
――自宅マンション(東ブロック)――
[自室のベッドで目を覚ます。不思議な夢を見た気がした。何処までも続く暗闇の中、長風呂に適しているような、少し温い光に包まれている夢。意識が濁ったまま、みなみは何かを口にしようとするが、それはシャボン玉のように消えてしまう。ゆっくりと体を起こした]
あ、あれ? ソファで寝たような……。
……うーん、寝ぼけてるのかなぁ。体調は、ずいぶん良くなったんだけど。
[ぱちぱちと瞬きを繰り返せば、部屋の輪郭が段々と定まっていく。手の甲に、三本の線。たちまち記憶が蘇る
――自宅マンション(東ブロック)――
[自室のベッドで目を覚ます。不思議な夢を見た気がした。何処までも続く暗闇の中、長風呂に適しているような、少し温い光に包まれている夢。意識が濁ったまま、みなみは何かを口にしようとするが、それはシャボン玉のように消えてしまう。ゆっくりと体を起こした]
あ、あれ? ソファで寝たような……。
……うーん、寝ぼけてるのかなぁ。体調は、ずいぶん良くなったんだけど。
[ぱちぱちと瞬きを繰り返せば、部屋の輪郭が段々と定まっていく。手の甲に、三本の線。たちまち記憶が蘇る]
[令呪の周りの皮膚が、そこだけ異様に熱を持って、熱く、引きつれるように痛い。]
…っ…。
[目をぎゅっと瞑りながら、更なる詠唱を続ける。]
…肉でも無く
骨でも無く
[金の蝶が、茜の周りをふわりと飛び、額に止まろうとする。]
がらんどうの肉体
融合する魂――
[その瞬間、強い光を放ち、蝶は茜の額に溶けて消えた―]
[
漆路山へと向かう最中、感じた魔力を辿って、歩くランサーの主従をと拾った。
ランサーとのあいだに走った緊張は、僅かに一瞬。
それも、屈託のないランサーの態度に、直ぐにと消えて。
ランサーのマスター、ゴドウ――ツカサでいいと本人は言ったが――の反応が面白く、時折、風に煽られるようにして、絨毯を揺らしてみたりと。
]
――……この辺り、ですね。
[
――この山は、どうにも、魔力を捉えにくい。
万全ならばまた違ったのかもしれないが、大まかな場所を感知して、地上に降りるのが精一杯だった。
]
[茜が何をしているのか、セイバーにはわからない。
だがこの局面でするということは、必要なことなのだろう。
その時、素早い速度で近くに近づいてくる魔力を感じる。]
これは……サーヴァントが2騎か。
アカネ!
[信長の声に、少し虚ろな目で振り向く。]
オン
[それはいつもの茜の声だが、何故か二重に重なったように響く。]
キリキリバザラ
バジリホラマンダマンダウンハッタ
[唱えた瞬間、眩い光が茜を中心に広がり、信長の位置まで結界を敷いた。]
[ 死ぬかと思った。正直死ぬかと思った。興味本位と効率と両方の意味で絨毯に乗るかという申し出を受けたのだが途中、明らかに落ちかけた。これはあれだ。昔、藤原くんの車に同席させてもらった時と同じ恐怖を感じた。願わくば、次の機会がない事を。
まあそんな事は表情に出さないよう努力して。]
――さて。
なんだかお出迎えの準備がされているようだね。
[ 眩しい光が、樹々の向こうに見えた。絵の具を取り出し、全身の魔術回路と魔粧に魔力を流す。]
行きましょう。戦いに。
[ 一歩、前へ。]
[術を唱えると、頭の中で火花が散ったような痛み。]
…あぁっ!
[全身の血管が弾けそうになる。
心臓が、いつもの倍以上のスピードで、血液を全身に送っていた。]
[ゴドウと同じく進む。眼前に信長とマスターの姿を確認して、蒲生正宗を構えた。]
キャスター。強化の後、攻撃しろ。
それを合図に突撃する。
へ、いやがった。忘れもしねぇあの顔だ。
信長、わりぃな。ちょいと望んでない形になっちまったが、お前さんの中の何かに免じて勘弁してくれや。
[そう言うと、槍を出し、信長目がけて走り出した。]
―夕刻 東ブロック・みなみのマンション―
[瞑想から醒めた。室内は薄闇の色。窓の外はもう、夕暮れ時なのだろう]
……そろそろ、起きた頃でしょうか。
[呟いて、寝室へ足を向ける。小さくノックし、扉越しに+声を掛けた+]
みなみ。お目覚めですか?
そろそろ、夕方です。出発しましょう。
[
主の言葉にと応じて、強化の呪を唱える。
ランサーとツカサには必要だろうかと迷う間もなく、ランサーは駆け出していた。
]
っ! 合図にもなにも――!!
――火炎よ、爆ぜろ!
انفجار بزرگ جثه
――自宅マンション(東ブロック)――
[カーテンをあければ、街は燃えるような色をしていた。立ち上がり、リビングへ向かおうとした所でダビデの声が扉越しに聞こえた]
あ、うん!
[邪魔にならないように髪を纏め、ドアを開けた]
すっかり気分は良くなったよ。
もしかして、ベッドまで運んでくれた? ありがとね。
[ダビデの顔を見て微笑みながら感謝の気持ちを伝える。再契約のみならず、疲れがあったのだろう。気持ちの面でも随分と楽になった気がした]
それで、どこか、ここに、と言う場所はある?
[視認するは4つの影。
その内二つキャスターとランサー。
同時に来るということは、答えは一つ。]
同盟……か。
[生前を思い出す。
あの時も周りは敵だらけになったものだ。]
アカネ、下がっていろ。
[まず己の前に躍り出るはランサー。
口調も前と変わらず、槍を構えて口を開く。]
是非も無い、今宵全てを切り伏せれば済む話だ……!
[己へと襲い掛かる一筋の流星。
それを防ぐべく刀を突き出す。
[だがしかし、十分防げた筈のそれは、己の体の不安定さによって勢いを落とすだけに留まる。
己の横腹を掠る穂先。
それに思わず顔をゆがめたところに、大きな火球が襲いかかる。
防げる体勢ではない、こうなれば己の対魔力に駆けるしかないと思ったとき、不可視の壁によってその火球は掻き消えた。]
アカネ、か?
[後ろのマスターの魔術かと思ったが、今はそんな思考をしてる暇は無い。
咄嗟に体勢を立て直すと、ランサーへと向けて刀を振るう。]
[夕陽を背にみなみが振り返った。声からも動作からも、疲れの様子は感じられない]
ええ。熟睡していたんですね。
抱えても寝言ひとつ聞けませんでした。
運びやすかったですよ。
[小さく笑う。行き先を問われて、二つの候補を挙げた]
漆路山か、流廻川に。
交戦が発生するなら、どちらかの霊脈が強い地点ではないでしょうか?
[キャスターの攻撃を待たずに駆け出したランサー。時を経ず放たれる火炎。]
ゴドウ、マスターは任せる。
[答えも聞かず、既に干戈を交え始めた二騎の方へと駆け出した。
――と、掻き消される火炎。]
結界か。小癪な。
[下がっていろ、という信長の言葉に、左足を引こうとした。――が。
足の感覚が無い。
見ると、確かに動いてはいるが、自分の意思で動かしているというよりは、自分の知らない所で勝手に動いていた、という感覚。
くらりとする。
わかってはいた事だが、意識をしっかり保たないと――]
(体ごと…持って行かれる)
[ギリ…と唇を噛んで、その痛みで意識を少しでも覚醒させる。]
[槍を突いたところで、振るわれる信長の斬撃。
左之助は体をひねってそれをかわす。
そのまま回りながら、槍の柄で顔を狙うが、篭手で弾かれた。]
ちっ、相変わらずやりやがる!
[左之助は少し後ろに飛んで、上段から信長の頭めがけて槍を切り下ろした。]
[ 人を超越した者達の死闘が始まったのを横目に、ツカサは駆け出していた。セイバーの隣にアカネの姿を見たからだ。
――マスターは任せる。
ガモウの言葉に返事をしない。セイバーのマスターへと向かうのは確かだが、ガモウの言葉とは意図が違ったからだ。]
おい、あんた!
[ 近づいて、その顔が苦しげに歪んでいるのに気付き叫ぶ。]
今すぐ令呪を破棄してセイバーとの契約を解除するんだ! あいつは…危険だ!
なんだか、恥ずかしいな。
[さらりと言ってのけるダビデに、同じように少し笑って視線をそらす。ダビデの言う通り、この聖杯戦争を、そして聖杯の真実に近付く為に今出来る事は、交戦が行われている場所に足を運ぶことのように思えた]
流廻川……。
わたしがキラーを呼び出した日も、確か流廻川で誰かが召還を行ったんだと思う。それで、そこで宝具を使った戦いがあった痕を見たよ。
霊脈の強さだけで言ったら、漆路山の可能性も低く無さそうだけど。
[どこかで聞いたような声が聞こえる。
ふと顔を上げると、いつか戦ったマスター。]
……。
[何かを言っているが、言葉が頭に入ってこない。
聞こえているのに、理解が出来ない――]
…来な……いで
[次の瞬間印を組み、念を込めると足元から無数の黒い蝶が舞う。]
[サーヴァント同士の戦いを間近に見る。油断すると見入ってしまいそうなほど、それは美しいと感じた。
一見して二騎の力は拮抗――いや、どちらかと言うとランサーに分があるように見えた。好機と判断して蒲生正宗を構える。]
原田。気に食わんかもしれんが、これも戦争だ。許せ。
[言いながら信長の胴を薙ぐ。]
[
形を成す呪を紡げば、主とランサーを巻き込んでしまう。
対魔力スキルを持つセイバーに一工程の魔力弾が効くとも思えなかったが、現状では、主とランサーがセイバーと打ち合う合間に、それを放り込むのが精一杯だった。
]
――……ツカサ?
[
自らの主は例外にしても、何故、魔術師が前にと出る――?
何事かを叫びながら駆ける姿にと、一抹の不安を覚えた。
]
[体が重い。
いや、重量的には前よりも軽くなっているに決まっている。
踏み込みが、踏み止まることが、跳躍が。
全ての行動に体がバランスを崩し、刹那の遅れを見せてしまう。]
承知の上だったが、難儀だな……っ!
[ランサーの穂先が、己の額に傷を刻んだ。
直撃こそ免れたそれだったが、その一撃によって刻まれた傷から流れる血は、信長の眼へと流れ視界を狭める。]
……ちぃ!
[紅く染まる視界で、ランサーを微かに捕らえ切り上げる。
だがその視界の外から迫る己への剣閃には気付く事ができなかった。
一撃を繰り出すと同時に走る衝撃。
鎧により防ぐ事自体は辛うじてできていたが、それでもダメージは免れない。]
く…っ
[ 返ってきたのは拒絶の言葉と無数の黒い蝶。すかさず絵の具を指にとり、虚空をなぞる。と、描かれた線より椿の花が舞い現れ、蝶を受け入れるようにしてぶつかると、共に消滅していった。]
頼む、聞いてくれ! あんたの命だって危ないかもしれないんだ!
[ なおも襲い来る蝶を防ぎつつ、言葉を投げ続けた。]
[飛ばした蝶を消され、頭の中にチリチリとした痛みが広がる。]
……あ…。
[今、動いているのは自分だ。汗にまみれた手を握り締め、ほぅと息を吐く。]
…私の…命?
[眉間を寄せながら、相手の言葉を繰り返した。]
[鎧に弾かれる刃。手応えから多少のダメージは与えたと思われるが、致命傷とは言い難い。]
ちッ。通らぬか。
[それでも他に手段を持たず。再度全霊を以って袈裟懸けに切りつける。]
[額に傷を刻まれた信長のすばやい切り上げに、身をかわすが、服の一部が切り裂かれ、胸から血がにじむ。]
危ねぇ……あそこからこうも早く反撃するか。
[その時、信長が一瞬たじろいだ。横目で見ると蒲生が剣を振るっている。]
無茶しやがるぜ、殿様!
[そう言いながら左之助は、槍の刃の根元に巻かれたぶ厚い布を引き裂いた。
折りたたまれていた2本の刃が展開し、左之助の槍が十字槍へと姿を変える。]
今度のはちょいと避け難いぜぇ!
[十字の刃が信長の首めがけて突き出された。]
[右からは迫る剣撃。
正面からは十字の槍による刺突。
確かに信長なら同時に捌けるかもしれない。
腕が二本あれば、という前提だが。
両方を避けることも防ぐことも敵わぬと瞬時に分かる。
だが、片方だけならば……。]
ハァァァァ!!!!!
[右腕に渾身の力を。
その腕を黒い霧が覆っていたのは、錯覚だろう。
その刀で、ランサーの槍を真正面から叩き落し、そのまま2人へと横凪を繰り出す。
ソレと同時に、右肩へと衝撃が襲う。]
……令呪を…破棄…?
[左手の、引きつるような痛みは続いている。
もうそこはすでに、それだけが別個の生き物のように脈打ち、熱を放っている。]
(……嫌…)
[これは、信長との繋がり]
…嫌ぁっ!
[パシンッと音がして、空中に飛来していた無数の蝶が、鋭い黒い刃に変わって、梧桐めがけて急降下した]
[信長の横凪が腹をかすめ、慌てて左之助は後ろに飛び下がった。]
ちっ、何て野郎だよ。あれを落とすか。
[信長から漂う何か得体の知れない気を感じ、左之助は踏み込むのを躊躇した。]
[食い込む刃。]
(――殺った)
[そう思った刹那、規格外の攻撃が襲ってきた。
単独で受けていれば、間違いなく胴が二分されているほどの剣圧。内臓の一部にまで達したかもしれない。]
ぐァ、……ッ、ほ、“縫合”……。
[かろうじて繋がっている胴体を、無理矢理繋ぎ止めた。
――が、身体はそのまま後方へと飛ばされる。]
く、駄目か…ッ
[ 自分の身を案じている場合ではない。だが、激しく斬りつけてくる黒い刃達の前に、ツカサは何歩か後ろへと下がらざるを得なかった。]
―夕刻 東ブロック・マンション―
[外出の準備をするみなみを見やる。少年の荷物は無きに等しい。せいぜいが対人用のボールを収めたベルトポーチ程度だった]
流廻川では何度か戦闘が行なわれていたはずですね。同じ場所で何度も戦闘を繰り返すか、という点が少し疑問です。
いかに霊脈の結節点でも、サーヴァント同士の戦闘で消費されるマナは膨大。連日繰り返すとなかなか回復しづらいでしょうから。
[脳内に交叉市の地図を広げる。ここからだと流廻川よりも漆路山の方が近い。両方通っていくにも問題は無さそうに思える]
どちらに先に向かいますか?
何なら、一方を経由してもう一方に向かっても良いでしょうし――
みなみ、そういえば。その方は?
[ローボードに置かれた写真。その人物に語りかけるかのように、じっと見つめるみなみの様子に問いかけた]
[相手が怯んだ瞬間に、後方へと跳ぶ。
目標は己の主へ、血に塗れた己の体に檄を飛ばす。
着地した所には、見覚えのある男。
たしかランサーのマスターだったか。
先ほどの一撃で上手く動かぬ右肩を奮い、その男へと鈍った一撃を繰り出した。]
――……っ! マスター!
[
ただ時折手を出すだけで、見守るしかなかった戦いから。
吹き飛ばされた主の身体を認めて、それが地面に叩き付けられる前にと、風の呪を唱えて受け止めようと試みる。
]
そんなこといわれずとも判ってる。ちょっと、業界的な挨拶をだな。
しかしキラーはみなみに対し恋愛感情というものは持ってるのだろうか。
女も入ってるし。
大切……なのだろうが。
頼む、話を… ?!
[ 背筋を貫いた直感に慌ててその場を飛びのく。一瞬前に自分のいた空間を切り裂いたのはセイバーの薙いだ刃だった。]
くそ、ヤバいか…。
[ 手にしていた全ての絵の具を地面に投げつければ、自身と同じ姿をした人影が幾人も立ち上がった。それらを楯にするようにして、左之助のいる方向へと跳躍した。]
[やや後方に茜の姿。
それを守るかの様に、膝を折りそうな足で地を踏みしめる。]
……アカネ、此処から退け。
退却の殿が大役、俺が勤めよう。
みなみに関しては、恋愛感情と言うよりまずは殺意だな。
しかし、我に向かう笑顔によってそれは戸惑いに変わった。
そして、最終的には感謝になった。
――自宅マンション(東ブロック)――
[ダビデの言葉になるほどと頷きながら、同時に感心もする。流廻川から漆路山はそんなに距離が離れていない為に、片方からもう一方へ向かうことは容易いが、ダビデがそれを既に知っている事に感心したのだ]
確かに、そうだね。
言われて見ると、思い返せばわたしが行った時も、戦いのすぐ後だったからかもしれないけど、いつもとはだいぶ違ったように思う。
それなら、漆路山から先に行った方が、交戦している可能性っていうのは高いのかな?
ああ、それ? わたしの、お父さんだよ。
[ダビデに指摘されるまで意識する事さえなかったが、気付けばみなみはリビングの父親に目で語りかけていた]
昔はすごーい魔術師だったんだって。
うちはね、お父さんの方の祖父母がすごく厳しいんだけど、いっつもお父さんだけはわたしの味方をしてくれたの。
今回の聖杯戦争に参加することだって、ほら、やっぱり、大きなことじゃない?
だけど、"あの人達"はそういうの、気に掛けないから。
でも、お父さんだけはわたしの身を案じて最後まで反対してくれたんだ。
[勢いを殺しきれず、地面に激突すると思われた時。風が不自然に働き、己の身体を優しく支えた。]
……お、愚か、者……。追、……撃、すれ、ば、……良い、も、のを……。
[外見的な傷は修復しても、内部はぼろぼろだった。]
納得するな聖。
私に表の職業というのはないな…。
家は海外だし、仕事は年中だし。
今回久々の長期休暇を貰ってきたんだ。
そうして挑んだ聖杯戦争が、まさか仮面を呼び出すことになるとは。
[目の前に立ちはだかる、この数日間で見慣れた背中。]
…上総介。
[最初に教わった名前で呼ぶ。
その背中に触れたくて、手を伸ばした。]
羨ましいな、僕は探偵の真似事をしてたよ。
資金はどうしても必要だからね……。
といっても稼ぎはもっぱら協会の仕事だったけど。
確かに殺したい。
だが、それはジャックという集合意識を安定させる手段に「殺意」を用いているからだ。
殺意がなければ、我々はもっと混沌とし話すことすらできなかっただろう。
本部から持ってきたんだ。一つくらいはいいものが眠ってると思うだろう。
いや、バーサーカー。別にバーサーカーを呼び出したことを後悔してる訳ではないぞ?
さて。バーサーカーからリクエストがあったので女子高生にでもなってみようと思う。
……
…………
………………
[最近の女子高生の生態を調べ始めた]
触媒は僕もなかなか手に入らなかったな。
協会にも完全には信用されてないし、魔術使いゆえに魔術師のネットワークを通じて手に入れるのも難しいときた。
―東ブロック・マンション→街路―
[エレベータを下り、エントランスから外に出る。夕暮れの赤が青に変わりつつある空。切れ切れになった雲が高くたなびいていた]
ええ、恐らくはそうではないかと。
……風が荒れている。どこかで戦闘の予兆がありますね。
[傍らで歩き出したみなみを眺めつつ、たった今聞かされた彼女の父親の姿と重ね合わせた]
確か――みなみは、一族の長に命じられて参戦したのですよね。
けれど、父上は一族の要求よりも貴女を大事に思っていた、と。
良い方だったのでしょうね、きっと。
ああ。奇跡が巡れば是非共にやろうじゃないか。
きっと行列が出来るコンビニになるに違いない。
そして行く行くは独立して、世界に進出して……。
そんな自信は草々に砕け散った。
いや、自信など元々なかったが。
と言うかだな、バーサーカー。
一番好感度が高いのはバーサーカーなんだが。
ああ、今はメロンだったか。
虜だ……と?
それは、殺害対象としての話じゃないだろうな。
それならみなみの方がいいだろう。
私はこんななりだが歳だけは食ってるぞ。
そのようだ聖。
そもそも地上にいたときからバーサーカーはキラーにお株を奪われたと散々。
まともになってから少し安心していたようだったが。
その選択肢が大事なんじゃないか。
もう、バーサーカーったら。
マスターだって一人の女の子なんだから、少しくらいデレさせてくれたっていいじゃない。
[すごい無理した]
あのキラーの狂気には勝てはしない。
いるとしたら、実年齢を私に目撃されたハルカの般若のような形相と明王の如し立ち振る舞いのみだろう。
むしろ私がアサシンと名乗りたかったくらいだ。
アヴェンジャーでもかまわなかったのだが。というか私に関してはアヴェンジャーでもよかった気もしている。
歳がなんだと言うんだ。
あの刺し心地、斬りごたえ、血液の味!
極上のフルコースのようだったぞ。誇っていい!
最後のデザートは、そこのメロンに邪魔されたが。
[ダビデの言葉にふと顔を上げれば、風が路上に落ちていた細々としたものを拾い上げていた。去り行く夏には相応しくない、冷たく強い風に目を細めた]
そうだね。急がないと。
……あ、そうだ、タクシー使おう?
職業柄、タクシー券はいっぱい貰うから、楽でいいしねー。
[良い方と言う言葉に胸が締め付けられるのを感じた。みなみの父親を変えた"切欠"の事を思うと、息が詰って上手く笑えない思いになる。それでも辛うじて、ダビデの言葉に微笑む事が出来た]
うん。お父さんがいるから、ここまで来れたの。
お父さんがいなかったら、そんな命令従う気にもなれなかったと思うしね。
ダビデにはいない? そういう人。
この人が居るから、頑張れるような。すごく大切で、自分の行動の全てのような人。
[背中に触れる指先。
それが微かに震えている事を感じる。
それに対して、心なしか笑みが零れそうになる。]
嗚呼、そういえば。
敦盛の意味、教えていなかったな。
[振り返らない。
あくまで前を向いたまま、アカネに語りかける。]
元々は、仏や神の世界に比べての人の世の儚さを歌った物だ。
人など僅か五十年で死にいたる。
たとえ其れまでにどれだけ栄光の時を得ようとも
たとえ、どれだけの苦難を乗り越えようとも……
全ては夢幻が如く消え失せる。
……それはまあ、私の身体は若い頃のものだからな。
若いというより幼いころだが。
最後のデザートとはどこのことなんだろうか。
ああ、聖、驚かなくていい。もう言わない。
…………ハルカ。
違うんだ。反応に困ったわけじゃないんだ。
[仮面はそっと近付いた。
今は抱きしめるべき両の腕も持っていない。
故に仮面はそっと彼女の額に、己の額をコツンとつけた。]
――だからこそ、駆け抜けろ。
己が、己の抱く全てが……夢や幻ではないと叫び続けろ。
今この時この瞬間……!我は此処に居ると世界に刻みつける!
消えぬほどに!
忘れられぬように!
己が全ての痕をつけろ!
自分が自分だと、叫び続けろ!
[血塗れの姿のまま、前を見据えて叫ぶ。
されどその叫びの先は、己の後ろ。
我が主へと。]
きっとツカサもヒジリもキラーも気付くはずだ。
外見などではなく、君は精神からキュートなのだと――。
――あ、あれ。どうしたハルk
痛い! これは武装じゃないんだぞ! ただの仮面なんだぞ!
叩くな! 君は諸葛か! ぐぶがっ げべべ
[悲しみに満ちた目でメロンを見つめた]
ごめん、今の悠乎には逆らえそうにない。
Desarrollo de gravedad
[メロン仮面に向かって重力波を放った]
……タクシー券?
[それに、職業柄? 娼婦である事と移動手段とがどう関わりがあるのか。さすがにそこまでは、上古の時代から召喚された少年の理解が及ぶところではない。路肩で手を上げる彼女の様子を眺めた]
行動原理になるような、人……ですか。
私には、そうすると――
[振り向いたみなみから投げられた問い。今までならば躊躇いなく、人ではなく主の思惑のために。と。少年はそう答えていただろう。だが彼の中に今あったのは自問。誰かのために。
誰かのため『だけ』に? ――そんな時は、あったのだろうか]
ミカルやバトシェバ。後を継いだソロモン。妻と子、だったのかな。
或いは私を見出して下さった、サウル王。親友のヨナタン。
……皆、みなみにとっての父上とは、少し違うような気がします。
いずれも、信仰を経由して繋がっていましたから。
その人個人のため、という思いは、私にはなかったのかも。
ぐぴょ
かぺ ぺ
あ はーん
[仮面は重力に潰されていった。
始まりは切れ込みで描かれた細長い目から。一つヒビが入ればそこへ向かって折りたたまれ、折れた破片もしつこく留まる重力波の中心へ向かって吸い込まれる。
やがて静寂を取り戻した時、そこにはガラクタになりさがったメロンのサーヴァントの姿があった。]
[だが。]
……我が生涯に、女との縁などなかった。
口説き方など習得しているわけがないだろう……。
[破片はなおも言葉を発した。
涙の代わりなのだろう、破片からキラキラと光の礫が…。]
[ジョウロで水をかけられた。
光の礫は水の雫と交差し、虹を描く……。
その下で、破片を苗床とするように新芽がちょろん。]
[信長の言葉が、響く。
それは、この戦いの中で、そこだけ時間が止まったかのような感覚で。
何故かずっと、このまま時が止まっていればいいのにと、切に願う。]
上総介…?
[何故だか、信長が消えてしまいそうな気がして、背中に触れた手に力を込めた。]
[プチッ。
たった三文字の惨劇。
だがそれは生え変わろうとする命を砕くに十分であった。
最期の魂を振り搾り、消え行くサーヴァントは遺す。]
じゃ、っく・ざ・りっぱあ。見事ナリ。
……はるか……ヲ、頼ン……ダ、ゾ……。
託すな、バーサーカー。
言ったろう。私のサーヴァントはおまえだけだと。
[消滅していく仮面に向かって静かに言葉にした]
――男を、その気にさせる女だ。
[前へと駆ける。
背中から離れていく温もりも、もはや躊躇はさせない。
もはや上がらない右腕で、無理やり刀を振りかぶり敵へと走る。]
聖、それは言ってはいけないことだ。
ここで遊べるのは消滅したものだけの特権。
そして発言時間を気にしなくていいのもここの特権だ。
[キラーの出した新しい仮面にちょっと嬉しそうだ]
[狂戦士は右の掌より入り、復讐者は左の掌より出でる。
仮面に注がれる月光。
その眩さに、けれどしっかりと見上げたメロンは呟いた。]
もう……来世か。
思ったよりも早いものだな。
……そして礼を言う。ジャック・ザ・リッパー。
[振り返り、影を縁取ったようなサーヴァントを見る。
――向こうに重ねて見えるは、少女の姿。
仮面は言葉を口にすることなく、浮遊し始めた。]
…………。
私が出現すると途端にその場は特異点と化すような気がする。
もう少しメロンも考慮すべきか…。
今のところ表は……。
……セイバーTのラブ時空だったか。
……っ!
[言われた言葉を理解する前に、信長が駆け出す。
触れていた手が、空を掴む。
その喪失感に、眩暈がした――]
……上総介…っ!
[このままでは、信長が――
左手を天に掲げ、力の限り叫んだ]
セイバー!
宝具の開放を…っ!
ああ、理解できる。
キラー、君の気持ちが。
表は決戦だからね、セイバーの見せ場だ。
こっちはメローンの見せ場であり悠乎の見せ場だ。
それと、悠乎。
すまない、無粋なことを言ったね。
うむ。色々仕込んでおいた。
バーサーカーよ、ジェットやニトロというボタンを押してみろ。
きっと楽しい。
[キラーは凄く凄く酷く酷い真面目な口調で*言った*]
ニトロ?
ほう。何であるかはよく分からないが、面白そうだ。
ニトロ……ニトロ……これか。
[仮面は己についているボタンを発見した。
躊躇なくそれを指の腹につけ、力を篭める……。]
裏にラブ空間はないのか。
[バーサーカーとキラーを見た]
……無謀か。
聖、気持ち自体は私もよく判る。
そのためにバーサーカーに対する突っ込み以外は特に崩してないつもりだ。
[瞬間、信長の体が脈打つ。
その手から剣は落ち、頭を抱えて動きを止める。]
『漸く、か』
[頭が痛い、何かが流れ込んでくる。
ああ、思い出した。
そうかこの身は信長。
されど内に潜むは我が意思の外に……。]
『此度こそ、体を貰い受けよう。信長よ。』
裏にラブ空間を開きたいなら、君が頑張らないと、悠乎。
僕もスタンスは崩していないつもりだけどね、真面目に裏をがんばるのさ。
[はじけ飛び戻るメロンをみて溜息をついて見せた]
うん、そう、タクシー券。タクシーに無料で乗れるやつー。
帰りが深夜になったりするし、こんな狭い場所だと、身元が簡単割れるから大変なんだよ。
[不思議そうな音色を感じ取って、ダビデに簡単に説明する。外見からだろうか、時代を超えてここに居る事を忘れそうになる。あげた手の少し手前で止まったタクシーに行き先を告げながら乗り込んだ]
信仰を経由して……?
わたしには上手く想像出来ないけど、全ては何もかも神様の為にって思ってたーって事なのかな?
[ダビデの答えを聞きながら、首を横に傾げた。こうやって話をしていると、自分が想像したことも無い世界がいかに広いのかを知る気がした]
想像力が足らないのかな。他の人の事をあんまり知らないのかもしれない。
聖杯戦争に参加する前も、ずっと不思議だったの。
過去にこの土地だけでも相当な回数が行われてきたこの聖杯戦争で、みんな誰の為に何を思って頑張ってるのかなー、って。
英霊たちはまだわかるけど、魔術師で自分から積極的に志望するっていうのが、本当にわからなかった。
お金とか、権力とか、そういうのを求める人もいたって聞いたから。
それってそんなに価値があることなのかな。
そもそも、どうして聖杯なんて、存在するんだろう。
聖……頑張ろうにも、どう頑張ればいいのか。
ラブ空間というものはそう簡単に築けるものでもないからな…。
もう少し時間がほしい。
―東ブロック・街路→北ブロック―
[タクシーは北へと進路を取る。次第に伝わってくる、魔力の震え。どうやら目的地では既に、戦闘が始まりつつあるようだった]
ええ、そういうような意味合いですね。
誰かの――『人の』望みをかなえようとして行動した、ということは私にはなかったのだと思います。勿論、そうすることを求められていたのも事実ではあったのですが。
[軍を率い、国を守ること。祭祀を行い、神を崇めること。その二つが、少年の時代にあっては王たる者の欠かすべからざる行為。
だが、今の時代では――]
何を求めているのでしょうね。彼らは。
僕の眼鏡は魔眼殺しの予定もあったんだ。
しかしそんなに切り札多くてもねと思って、結局唯の伊達眼鏡さ。
僕が抜けてるのは、僕はどっかに行こうとしている人間だからさ。
[至近距離での魔力の増幅を感知する。]
くっ、……。
[まともに対峙できるとは思えないほどの魔力量。
咄嗟に命じる。先は左手の令呪。]
聖杯の寄る辺に従い蒲生延が命ず。
――彼の者を滅せよ。
というかだな。
私はもう、サーヴァント相手に情は持たないと決めたのだ。
結局消えていく身なのだから。
だから。
[仮面を見て、それからキラーを見た]
―北ブロック・漆路山―
[聖杯が存在する理由。
少年は主の恩寵だと思っていた。あるいは、試練ではないかと。
だがそれはあくまでも信仰に基づいた思考にすぎない。
聖堂教会で九鬼が言った通り、この地の“聖杯”は、何者が齎したのかさえも不明なのだ。とすれば――]
人の欲望を掻き立てるため、なのかもしれませんね。
――ふと浮かんだ、根拠の無い想像に過ぎないのですが。
[タクシーが何度か曲がり、速度を落としていく。
最初に告げた目的地――漆路山の影はもう眼前に見えていた]
……っ!
[左手の令呪が一つ、痛みと共に消えた。
それと同時に、何故か右腕が痛む。
思わずそこを見ると――]
……令呪…っ!?
何故…
[もう一つ、別の令呪がそこには刻まれていた。]
[
――令呪の命。
あの存在を滅せよという命題は。令呪の莫大な魔力を得ても尚、解は出なかった。
足りない――そう、足りないのだ。
令呪によって与えられた魔力を全て、宝具へと注ぎこんでも尚。
自らの手持ちでは足りない。例え、アル=シャイターンや王書に語られる彼の蛇王を呼び寄せたとしても、不足だった。
――……で、あれば。あの存在を滅するには、世界との頸木を断つが最善。
狙うは――セイバーのマスター。そこに、迸る令呪の魔力を全て、叩きこむ――!
]
――吹き飛ばせ!!
نفجار بزرگ جثه
……
キャスターは蒲生氏に惚れてるはずなのでそこの二匹は眼中にないんじゃないだろうか。
キャスターに期待するのは、地上の蒲生氏に対する思慕を…。
――それは困るな、小さき者よ。
[声と共に影に包まれた信長。
其処から声――信長の声のはずなのに、何かが決定的に違う――が聞こえる。
そして、其処から飛び出した影は、身に纏う闇の如き外套を翻した。
鎧も姿を消し、上半身には簡単な鎧と肩からの布。
下半身は完全に身を覆う鎧に包まれている。]
悲しいなぁ、小さき者よ。
その力の無さが、我は悲しい。
[その言葉を持って、キャスターの渾身の魔力を霧散させた。]
最初にして唯一、対峙した時に「麗しい声」と言っているからな。もしかしたらということもあるかもしれない。
ハルカも自身の恋やら愛やらを見つけるはずだ。
サーヴァントなど、必要ないのだろう?
そうだね、体の相性がよかったんだろう。
あんな扱いを受けて離れないなんてね。
それとも特殊な性癖なのか、どっちかだね……。
蒲生氏はやりたい放題だったな。
いや、正確に言えば、キャスターがやりたい放題だったのか。
バーサーカー、漢字が違うがわざとか。
―北ブロック・漆路山―
[タクシーが停車し、ドアが開く。外の空気に触れた瞬間に判った。
既に戦闘は己の手出しできない領域まで至っている。
大気に満ちた大源(マナ)の流れが、目には見えない乱流となって渦巻いていた]
――みなみ。
[大よその方角と距離を見定めて、乗車賃を支払ってきたみなみに向き直った]
ここから先は、危険です。
私一人で偵察に向かった方が、間違いが無いと思うのですが。
使い魔との感覚共有の術は、修めていますか?
[それは勿論、だけど、と魔術師の娘は微妙な逡巡を見せ、少年は訝しげに首を傾げた]
タクシーはもう行ってしまいましたし、人通りも特にない。
魔術を使っても、何も問題はないのでは?
[促すような視線でみなみを見つめた。
対魔力による阻害が起きないよう、意識して抵抗力を引き下げる]
[少し逡巡するような間の後、目を閉じて、という声。強い口調。
否も応もなく、指示に従った。短い詠唱が暗転した視界の向こうで聞こえる]
これでいい? 少し下を向いて?
……っ、んんっ!?
[重ねられた唇から液状の魔力が少年の内部に浸透してくる。
不快感ではなく、明らかに快美感を伴った侵蝕。思考までも影響を受けそうになり、瞼をぎゅっと閉じた。数秒の後、術の完成を告げる声が聞こえる]
……これで、良いですか。みなみ。
……では、行ってきます。
[
――令呪の援けを得て放った、全力の魔術。
宝具にも匹敵するほどの威力で、セイバーのマスターごと、周辺一帯を更地へと変えるはずだった魔術は。
ただ単に――魔力もなにも籠もらぬ、ただ一片の言葉によって、霞と消えた。
]
――……は?
[
あまりといえばあまりにもの――在り得べからざる光景に、思考が停止したのは数瞬。
その自失の間に、また何事かをセイバーが呟いて、ただそれだけ。
ただそれだけで、胴体の半ばまでを吹き飛ばされて――全て、終わっていた。
]
よし、上の今の流れでもう一度。
聖。その。ええと、あの。
これ、返しとく……。
[背伸びをすると、眼鏡を聖の顔にかけた]
キラーから借りるとキラーに侵食されそうだ。
遠慮しておく。
それに。
君を抱きしめるのは、私ではなく他の誰かだ。
そもそも聖杯の奇跡が無ければ、我々は邂逅していなかったのだから。幻想が現世の亡者を抱きしめる……などということがあってはならない。
但しキラーは現世の英霊も含まれているようだから例外だ。
存分に抱きしめたり殺りあったりするといい。
……だめだ。
私はやはりいつもの私でいい。
聖、伊達だからこそ私も持っていても仕方ないからな。
で、バーサーカー、何故隠れる。
キャスター?!
[信長の謎めいた力を目にして、左之助は驚愕する。
吹き飛ばされていく、彼女の姿に目を取られた一瞬の隙、剣を持った信長が目の前に走り込んでくる。]
しまっ……!
[左之助の目が驚愕に見開かれた。]
…………フ。
[笑い――のように漏れた息は、溜めたそれ。
浮遊する仮面。しかし壁の向こうからは現れない。]
私は君のサーヴァントだが、保護者になった覚えは無い。
いつまでも私に頼っていては無間地獄から抜け出せんぞ。
私は七万の怒りと無念によって現界を望んだ身。
最早、令呪の縛りも無い。
いつまでも君に憑いているほど、暇ではないのだ。
[仮面はそれだけ言い残すとその場を去った。
去り際、対峙する二人を一瞥だけして、遠くへ消えた。**]
目は余りいいほうではないな。裸眼でも大丈夫だが。
で、バーサーカーが不穏なことを考えているようなんだがどうしてくれよう。
[ ド………ッ
斬撃の音は、我が身で起こった。
二人の英霊の狭間に人の身で割って入る。その愚さなど、考えるはずもなく。]
間に合った幸運に… 感謝、だね、、、
[ 痛みは、まだない。時を空けず、ありったけの魔力を令呪に込めて叫んでいた。]
ツカサが。
仕方ないとは言え。切ないものだな。
生きていてほしかったのに。
ツカサとキャスターだから、そうなのかもしれないが。
[左之助の目に入ったものは信長に切られる梧桐の姿。]
ツ、ツカサ……
……てめぇ、何してんだよ……?
[声を震わす左之助の体に令呪が実行される。]
[左之助の槍に莫大な魔力が集っていく。
それは光となって弾け、刃が白い輝きに包まれた。
槍を構えて廻すと、刃先が光の円を描き出す。]
うおおおォォォ!!!!!
[左之助は体をひねり、それを断ち切るように槍を振りきった。
瞬間、虚空に描かれる丸一文字
横一閃の光は弧月状となり、広がりながら円の中の全てを両断するべく突き進んだ。]
[信長の体から大きな炸裂音が響き渡る。
だが、左之助の視線はもうそこには無い。
槍を落として、梧桐の元に走り寄った。]
おい!おい!ツカサ!しっかりしろ!
今運んでやるからな!
[左之助は梧桐を背負うと、街へ向かって駆け始める。]
[ 痛みは、まだない。
いや、もう痛みさえ判らないのだろうか。ともかく。]
一文字、後は頼む。
[ 急激に暗くなっていく中で、左之助が信長らしき影へと突き進む姿を見た。そして…。
これで会いに行けるよ、マナカ………。
そのまま、ツカサの意識は深い闇へと*落ちていった*]
[砂煙。
ランサーの放った一撃により、舞い上げられた土から、ゆっくりと姿を現す一人の影。]
不愉快、だな。
[ソレは、黄金に輝く剣を手に、無傷のまま立っていた。]
まぁ良い。
前は信長と光秀にしてやられたが……、此度は我を止める物などいない。
[
――……戦闘の喧騒は、もう。
どこか、関係のない別世界のことのようになっていた。
何故だか冷静になった頭で、不自然にと捻じれた自らの胴体をと見つめる。
内部から破裂したように、辺り一面にと飛び散った赤黒い臓器の欠片。
幸いにも、それらは徐々にと色彩を薄くしていって、見苦しい跡を現世に残さずに済みそうだった。
――格が違い過ぎたのだ。
物語の登場人物が、紡ぎ手にと逆らったようなもの。
あれは。あの存在は恐らく、サーヴァントなどでは、きっとない。
]
[
――主が何かを叫んでいる。
あとは消え行くばかりの、この身体を揺さぶって。必死に、何かを叫んでいる。
――けれども、駄目だ。ここにいては、駄目なのだ。
]
――……令呪、を……。
安……全な、ところまで……運べ……と……。
……命、じて……下さい……。
[
――ただ、それだけを口にするだけで。
ごぼり、と。今更のように、血液が溢れ出す。
]
[
見た事のない表情を浮かべながら、言った通りの言葉を繰り返す主に。
――……最期の力で、その手を握って。最高の笑みを浮かべてみせて。
]
――……さよならです、延。
[
――令呪の魔力を、自らの存在が消える瞬間まで、必死に制御して。
あの屋敷へと――自らの主だけを、運んだ。
]
いや、聖。その気持ちはわかるのだ。体が勝手に動くのも。
私は、それすら出来なかったのだけどな。
キャスターもいったか。
私もそろそろ眠ろうと思う。
かなりうとうとしていた。
それではな。
[ソファに沈んで、寝息を*立て始めた*]
[そのまま振り返り、其処にいる人物……茜へと眼をやる。]
貴様、か。
信長を呼び、我を呼ぶ布石を作ったものは。
[ゆっくりと、茜へと向かって歩みを進める。]
良かろう、仮にも我が令呪を持つ者。
完全な肉体を得るまでは、生きる事を許す。
[その眼には感情は無く、唯々無機質に見下ろすだけだった。
そう、まるで何の期待もしていないという風に。]
[ゆっくりと振り返られ、目が合った。けれど――]
……っ
[そこには、何の感情も篭っていない目が、自分を見ていた。
すべて――
外見も、声も、何もかも変わっていない。けれど]
…上総介?
[掠れた声で、呼びかける]
上総介……嗚呼、信長の事か。
奴はもう、我が内に微かに残るだけの残留物。
強いて言うならば、この姿と令呪だけが……奴が居たという証。
[淡々と言い切ると、その腕を茜の首へと伸ばし、無造作に掴む。]
成程、お誂え向きに女というわけか。
遊ばせておくのも無駄だ。
魔力袋としてでも、利用するか……。
…あっ…!
[首を掴まれ、喉が掠れた悲鳴を上げる。
逃げなければ、と頭ではわかっていたが、体が言うことを聞かない。
壊れたプレイヤーのように、もう一度名前を呟く。]
……上総…介…
[段々と、意識が遠くなっていった]
……。
[再び信長の名を呼ぶ茜。
その声にピクリと反応すると、そのまま腕を放した。
どさりと落ちる茜、セイバーは其れを静かに見下ろす。]
それが、貴様の欲か。
[感情も無く、ただそれだけ呟く。
そしてそのまま、その場から*去っていった*]
[地面に落ち、すぐ近くに土の匂いがした。
段々と去って行く足音。]
……。
[口が何かの言葉を紡ごうと、開く。
けれど、そこから音が発せられることは無く、そのまま*意識が沈んで行った*]
いつまでも「自己紹介」やら何やらメロンもままではあれだから、色々と暗躍していたら……ツカサとキャスターが倒れたか。
壮絶な最期。しかと見届けた。
そしてヒジリ、我がマスターに毛布をかけてくれて礼を言う。
……いつも風邪を引くぞと言っているのに。
[毛布の中で眠る瀬良悠乎を小突いてから再びその場を去った。**]
礼を言う必要はないさ。
勝手にやった事だからね。
うん、壮絶な最期、見事だった。
それに明日からも気になるね……。
じゃ、見届けた事だし僕も寝るとしよう。
[腕を組みながら壁に寄りかかり立ったまま眼を閉じた**]
―西ブロック・教会―
[左之助は教会の長いすに座り、両手を祈るように組んで床を見ている。
彼はこの街の病院を知らない。だから梧桐をここに運び込むしかなかった。
表向きには知られてないが、ここにも医療施設があり、聖杯戦争で敗れたマスターたちの手当てで使われる事を知っていたからだ。
「最善を尽くす」
教会の人たちはそう言った。
だがその表情から、状況が楽観的でない事は左之助にも解った。
そして今――梧桐からの魔力の供給は断たれている。
自身の存在が希薄になっていく感覚。
左之助はこのままだと1日を置かずして自分の身が消えるであろう事を悟った。
ゆっくりと立ち上がり、教会の外に出る。
いつのまにか小雨が降り始めていた。]
「後を頼む」
背負っていた梧桐の声が頭をよぎる。
後を頼む……?後を頼むだと……?
俺にどうしろってんだ!!
[吐き出すようにそう叫ぶ。
召喚者に命を救われた無能な英霊、今の自分がそれだ。
このままでは今回も、何もなさずに消えて行く。]
お前無しでどうしろってんだよ……。
[もともと梧桐は戦いに向いてる男ではなかった。
こんな形で終わって良い男でもないのだ。
彼の妻が生きていたなら、暴力沙汰とは無縁な、慎ましい生活を送っていたはずなのだから。]
[その時ふと聖杯の事が頭をよぎり、左之助に目に光がともる。]
そうだな……このまま終わらせて良いわけがねぇ……!
[確かな決意を込めた瞳が、空を覆う厚い雲を*見つめた。*]
[その時ふと聖杯の事が頭をよぎり、左之助の目に光がともる。]
そうだな……このまま終わらせて良いわけがねぇ……!
[確かな決意を込めた瞳が、空を覆う厚い雲を*見つめた。*]
[ 突如としてツカサの魔力が膨れ上がった。溢れ流れる魔力が何かを構築していく――
――数刻の時を経て、そこには『呑み処・高楊枝』と書かれた看板を掲げた立派な屋台ができあがっていた。]
はい、いらっしゃいー。
[ 呑み処・高楊枝。只今開店!]
[ 突如としてツカサの魔力が膨れ上がった。溢れ流れる魔力が何かを構築していく――
――数刻の時を経て、そこには『呑み処・高楊枝』と書かれた看板を掲げた立派な屋台ができあがっていた。]
はい、いらっしゃいー。
[ 呑み処・高楊枝。只今開店!]
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