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[客を見送り、寝室へ戻る。
まさか他マスターと、しかも先日激しい戦闘を繰り広げたばかりのランサーたちと手を組むことがあるとは思わなかった。キャスターが聞けばどう思うか。小さな笑みがこぼれる。
霊道の譲渡もありがたかった。これ以上住民から吸い上げれば、目に見える犠牲者が現れるかもしれない。魔術協会も聖堂教会も、乱世ならばともかくこの一見平和な時代においては、さすがに見過ごさないだろう。そしてなにより――。
キャスターの寝顔を見る。寝息は随分静かなものになっていた。]
―― 自宅・仏間 ――
[ 思ったよりも簡単にキャスターとの共闘関係は築けた。だが、だからと言って安心は出来ない。セイバーを相手に、誰かが犠牲になる可能性は充分にある。
そのための決意と覚悟はあれど、やはり、心が震える。
ツカサは己を落ち着かせるため、仏間の襖を開けた。
仏壇の前に正座すると、亡き妻・梧桐愛香の写真の前で手を合わせる。]
マナカ…。
[ 名前を呼ぶ。それ以上の言葉は出てこない。
だが、震えていた心は落ち着きを取り戻した。]
[
何者かが訪れたことは、警報の音と緊張して部屋を出て行った主の気配とで知った。ただ純粋に、五感のみでと。
それが意味することは一つだった。自らが手を加えた結界のなかへと入り込んだ存在をすら、感知できなかった。
――……魔力の感知も出来なくなったキャスターに、何の存在価値があるというのか。
いっそ、このまま消えてしまおうか――……と、そう思いさえもした。
それが、どうしたことか。ある瞬間を境に、流れ込む魔力の量が一変した。
霊脈を通じて屋敷へと集まる魔力はそれなりのものではあったが、その全ては、先の戦いで足りぬ魔力を補うために削った、自らの存在を修復するためにと費やされていた。
そこへ新たに加わった魔力の流れは、希薄となった身体を編み直すには十分なもので。
今しばらく眠っていれば、空になった水桶もある程度までは満ちるだろうと判った。
何があったのかは、判らない。ただ、これだけは確かだった。
どうやら、まだ、自分は何かの役にと立てるらしい――……それが嬉しくて、口元が僅かに緩んだ。
]
[仏間での梧桐の様子を、左之助は部屋の外から見ていた。
祈りが終わったのを見計らって、中へと入る。]
仏間ってのは今も昔も変らねぇな。
[そう言いながら梧桐愛香の写真に目を止めた。]
こりゃ、別嬪さんだ。口元なんかまさの奴にそっくりだぜ。
[左之助は自分の妻の名前を口にしてそう言った。
同時にまさが左之助の死後も立派に息子を育て上げ、子孫を残してくれた事を実感する。
心の中で自身の妻に感謝し、申し訳ない気分にもなった。
遺影に向かい手を合わせて、しばし目を閉じる。]
何としても願いをかなえなきゃな。
[再び目を開けると梧桐にそう言った。]
[ 妻の遺影に手を合わせる左之助に、ツカサはありがとうと頭を少し下げた。]
ああ…。
[ 何としても願いを。その言葉に感謝し、頷く。
そのまま、暫くの沈黙。]
…なあ。
[ なんとなく手持ち無沙汰になり、声をかける。]
一文字の願いは…いや、なんでもない。
[ 言いかけて、うまく聞くことが出来ず言葉を濁した。]
[左之助は梧桐の言いかけた言葉に振り向く。]
まあ、良いじゃねぇの願いなんて。
今あえて言うなら、そうだな……信長に勝って無事2人で戻ってくる事よ。
[そう言った後に遺影を見直し、ゆっくりと語り出す。]
……まあ、何だな、あいつもそれなりに上手く生き抜いたみてぇだし、今さら暴れん坊の俺が顔出してもな……。
……いや、それは言い訳か……。
単に俺が臆病なだけなのかもな。
[結局、家族を放置して戦い続けたのに、何も成し遂げれずに家に帰る事が怖いのかもしれない。
「何のために?」
そう家族に問われた時、何と答えれば良いのか。
左之助は楊枝をつまむと、ぼんやりと虚空を見つめた。]
[ 弱音ともとれる、左之助の言葉。やはり聞くべきではなかったのだろうかと思うも、しかし。]
いや、お前は立派だよ。一文字。
[ 小さく、それだけ言うと腰を上げる。]
そうだな、まずは信長を倒す。それから先は、またそれから考えよう。
軽く食事をとってから出掛けよう。信長を捜しにいくぞ。
[ 言って。まだ座ったままでこちらを見上げた左之助へと右手を差し出した。]
[希薄だった存在感も、今ははっきりとしていた。ゴドウが流廻川を明け渡したのだろう。流れてくる魔力量は、これまでよりはるかに多い。これならば、夜までにはそれなりに回復するはずだと思った。
その時、キャスターの口元がわずかに緩む。]
……暢気な奴だ。
[自身も同じような表情を浮かべていることには気付いていなかった。]
[
蕾が花開くように、雲が晴れて月が覗くように。
予めそう定められていたような、自然な目覚めだった。
寝台の上にと半身を起して、両の手が透けてはいないことを、まず認めた。
その掌を軽く握って、身体を満たす魔力の量を確認する。
――……凡そ、六割。これならば、通常の戦闘ならばこなせるだろう。
消滅寸前の状態から数時間での回復量と思えば、驚くべきものだった。
]
[
しかし――主は一体、何をしたのだろうか。
あの透き通った魔力は、第二要素や第三要素ではない。民から蒐集した魔力では、まずあるまい。
といって、物理的に供給されたわけでもなさそうだった。
幾ら衰弱していたとて、貫かれれば流石に気付く。
そも、主の魔力とて枯渇していたのだから、その余裕はないだろう。
そこまで思いを巡らせて、その解答を持っているであろう姿を、漸く認めた。
]
あ――……その、申し訳……――
[謝罪の言葉を紡ごうと、口を開いた。]
[起きてしばらく自分の世界に没頭するキャスターを眺める。やはり戦闘には向いていない、と思った。ようやくこちらに気付いて慌てて謝罪しようとするのを、静かに制する。]
よい、今は回復に努めろ。
次いつ信長とやり合うかわからんのだからな。
[言って、ゴドウから信長を討つために共闘を申し込まれたこと、その条件として流廻川の霊道を譲り受けたことを伝えた。]
――……ふえ?
[
魔力の供給源を知ったことよりも、驚きが大きかった。
あのゴドウという魔術師、ランサーのマスターが誰かと手を組むのは、意外でもない。
言質こそ得られなかったが、仮面の主従とも繋がっていたのだと、今でも強く疑っている。
セイバーに対抗するためにと、此方――所在の知れている主従――を交渉先に選んだことは、驚くには値しない。
しかし――……この主が、そのような申し出を受けるとは。
戦うべき選択肢が、それも一対一で刃を交わした敵手が減るというのに。
]
ええと、共闘……ですか?
間の抜けた声を出すな。そうだ、共闘だ。不服か。
利を考えればそれほど悪くない話と思うが。
[キャスターの疑問の意味がわからず、苛立ちを含んだ声で話す。]
――但し。
信長を倒した瞬間に、背中を狙う用意と狙われる覚悟はしておけ。
[信長の手当てを終え、自身の腹部の治療をする。
咄嗟に後ろに飛んだ事で、内臓まで傷が達したわけでは無かった。
ガーゼを当て、包帯を強めに巻く。]
……。
[考えていた事は、一つだけ。
長く深い息を吐き、痛みを軽減させる為に、鎮痛剤を多めに飲む。
そして、壁にもたれて目を閉じた。]
[
主にと頷いて。
ただ――……と。口には出さずに、懸念した。
先に宝具を用いてセイバーの片腕を奪ったとはいえ、消耗はこちらが大。
覚悟の以前に――ランサーと共闘したところで、セイバーを斃すことが叶うのかどうか。
そして、仮にランサーと共に雄敵セイバーを打倒したとて、それは、他の主従を利するだけではないのか。
聖杯に願いを捧げるならば、敢えて、ここでセイバーにと当たる必要はないのでは――と。
そこまで考えて――戦いこそが、主の願いなのだったと、思い直した。
]
[意識を指の先まで集中し、それからゆっくりと力を抜いていく。
それを何度か繰り返し、限りなく体をレム睡眠に近い状態にする。
薬の手伝いもあってか、すぐに意識がふっと遠くなり、暗い世界に沈んで行った。
気が付くと、いつか見た深い闇の世界に立っている。
目の前には、鏡。
それに手を触れ、鏡の中の自分をじっと見た。]
[鏡の中の自分が 笑う。
――いや、すでにそれは、自分では無い。
彼女の肩には、いつの間にか、大きな蛾が止まっていて、こちらをじっと見ている。
『――さあ』
同じ顔をした少女の口が、ゆっくりと開く。
『――始めましょうか』]
[その言葉に、微かに震えながら、小さく頷いた。]
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