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恥ずかしいかと問われれば、バーサーカーなのにちゃんとした戦闘が出来なかった辺りで、既に恥ずかしい。目立つのは白兵能力値くらいなものだからな。
宝具はセイバースキルの下位互換(多分)なのでインパクトに欠けるし、何よりこの面子に通用するとは思えない。
原作バーサーカーの場合は宝具特性が「特定以下無効×12回リレイズ」だから強かったんだなと改めて思い知る。
更にはアイデンティティが分からなくなってコメディに走った私が、バーサーカーを名乗ってはいけない気がする。色々と。というかコメディも割とすぐに霞んだな。
もうマスクメロンのサーヴァントでお願いしたいんだ……。
[そこには何も、残らなかった。キラーの――ジャックの最後の言葉と、魔術師だと言った彼を抱き締めた時の温もりだけが、いつまでも時を超えてそこにある気がした]
……ありがとう。
それから、ごめんなさい。
[呆然ともう何も無い場所を見る。地面は凹み、ビルの壁は歪んでいた。先程とは完璧に違ってしまった景色に、様々な感情が浮かぶ]
ええ……倒しました。
ヒジリの魔術と、私の宝具とで。
彼の者はもう、この街には居ません。ですから……
[だから、如何なるのだ。この世界の規律―恐らくは人類の無意識<アラヤ>―に断定された、“悪”と名づけられた者。
それを討つ事を己は望んだ。だが彼は如何だったのか?
その為に死ぬ事までは、望んでは居なかったのではないか?]
ですから――
[継ぐべき言葉を見つけられず、ただ青年の手を強く握る。
最後の一画だけを残した令呪の光が、淡く薄くなっていく。
凍るような思いが、声を失わせた]
[ダビデの声が消えた。
予想通りの質問だった]
さ、あね……。
僕は、結局あ、まかった、んだ、よ……。
[咄嗟の判断だからなぜといわれても明確な回答は出きない。
全力で宝具を放てば打ち滅ぼせたのかもしれない。
だけど、相打ちでダビデも消滅したかもしれない、きっと無意識でそう考えたのだろう]
眞奈、み、なみ……、まだ、いるかい?
ジャ、ッ、クは、消滅し、た。
君は、どうす、る、つもりだい…?
宝具については奴隷軍召喚にしようかと思った時期もあった。でもZeroライダーの宝具にかぶる。
奴隷軍の無念を威力に上乗せする宝具も考えたが、これはほぼギルガメッシュの乖離剣。
ダメージ返しの報復宝具はもろアンリ。
…………スパルタクスを選んだことがまず根本的な間違いだった気もしないでもない。
["間違った手段"では無いと信じながらも、聖杯戦争にジャックと言うサーヴァントを従えて戦うと言う決意が最後の最後まで出来なかったのは紛れも無い事実だ。あの影を怖いと思い、憎むべきものだと思ったのも事実だ]
……、帰ろう。
[静かに首をゆっくりと振る。太陽はとうにその姿を消し、街をどこまでも暗く染め上げていた。頭上にはただ欠けた月一つが浮かび、星は瞬く事が無い。静かな夜だった]
[答えながら、聞こえてきていたダビデと名塚とのやり取りに思いを馳せる。彼の判断は甘かったのではないと、悪くないと、そうみなみは思った。だがそれを言うかわりに、ふっと先程とは違う笑顔が浮かんだ]
あなたには、負けたわ。
[ジャックの消滅を確認して笑顔を見せた]
そう、か。よ、かった……。
[不意に瀬良悠乎の姿を思い出した。
別に敵討ちなんてつもりはなかった、そんな間柄ではない。
それでも被害者が少しでも報われてくれるならそれでよかった]
[どうするかと言う問いには首を傾げながら、結局答えは出ずに名塚の言葉を繰り返した]
どうするのかな……。
でも、どうするも何も、ジャックは、わたしの、サーヴァントだったから。
出来ることなんて、無いんだけどね。
[青年の呟きと、みなみへの問い。
致死の負傷を負った彼を助ける術は少年の手の中に無い]
――私は、けれど、その甘さこそが、ヒジリに私を呼び出させたのだと思います。
――そして、貴方を良いマスターだ、と感じさせたのだとも。
[少年は自問する。聖杯への願いが叶うなら?
それでも、彼を蘇らせようとは自分には考えられないだろう。
厳然とした数理。ただ一人を救うのと、多くの人を救うのと。
天秤の傾きは間違えようも無かった]
ちゃんと、考えたいの。
[ぽつりと呟いた。今までならばすぐに本家の指示を仰いだだろう。大体彼らが何を指示しそうかは、想像がつく。そう簡単に聖杯を諦める事を良しとする訳が無かった]
……結局悩んでばっかりで、わたしは、何もしなかったから。もっとすべき事はあったはずなのに。
[もう一つ、胸に引っ掛かっている罪悪感とが、みなみの気を重くした]
[負けたとの言葉に苦笑いする。
表情が作れているかも既に怪しかったが]
ぼ、くは、死ぬ。
君は、ま、だ、いき、てる……。
そ、れが、す、べ、てだ。
[そこまで話すと決心がついたように語った]
ダビデと、け、契約してた、たか、いを……つ、づけるといい。
彼は、む、きずだ。
それに、君の答、えは、悪く……、なかった……。
ダビ、デと、なら、うま、くやれる、さ。
[みなみの答えを待った]
[モニターを見ている]
……。私は、良いマスターではなかったかもしれないな。
私なりにはやっていたつもりだが。
この仮面ではなく。
私はバーサーカーを待っているというのに。
[視線はモニターに、手は仮面を撫でる]
[アーチャーの方に視線をやって、それから、目を伏せる。考えたことも無い事だった]
なんで……? わたしは、切り裂きジャックのマスターで、それでも良いと言ったんだよ。
あなたは、それで、いいの?
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