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[足音は消えた。令呪の反応もほとんどなくなった。ほっとして、そのまま先へ足を進める。気づけば、駅からはだいぶ離れた場所へ着ていた。
魔力の供給は続いている。バーサーカーはまだやられていない。ならば、逃げている途中か、そのうち合流できるだろう、と考える。]
もう、暗いな。
この辺りはビジネス街か?
[就業時間も終わったのか、人通りは少なめだった。
歩き疲れたわけでもなかったが、余り離れるのもまずい、と足を止める。パイプの手すりに腰掛けて、ビル群を見つめた。]
[不意に、ジジッ……と影が揺らめく。キラーの姿を構成する影]
……ッチ。気を失っていた時間が痛いな。
苗床へ堕ちる前に、宝具を作らねばならぬと言うのに。
[傷に障らぬよう、身を起こす。キラーもそんな状態なら、動いたりしないでしょ? と言ったみなみの顔が脳裏をよぎった]
そうしたくはあるのだが……残念だが、基本の構築はすでに終えているのだよ。そして、そろそろ時間もない。
[隣を歩くダビデの問いかけに対する明確な答えは持ち合わせていなかった]
そうだなぁ、教会の言う事は鵜呑みには出来ない。
しかし君がここにいるのも事実だ、だから力を持っているアーティファクトというのは間違いないね。
[納得しているような、そうでもないような表情で語る]
――中央ブロック・病院――
[道筋を確認しないままに走っていると、開けた場所へ出た。
高く細長い建物が見えている辺り、ここから東ブロックも近いのだろう。一度立ち止まり、背後を見た。
路地を走り抜けている際に聞こえた足音。
一つか、二つ。
自信は無かったが、マスターが言ったことには信憑性があったようだ。少なくとも此方を追ってきてくれたということは、マスターは安心であることの証左であるように思えた。
マントの中から漁業用の槍を取り出す。
先端が三叉に分かれた、これも剣闘士用の槍。
尤も、また武器としては使えない、脆いもの。
並のサーヴァントであれば一撃で砕いて割れる程度の。]
[キャスターは指示を完全に理解したのかどうか。疑いながらも自身にできることをする。
牽制の罠、幻惑の罠。踏めば集中力を乱すための魔術―― 一般的な魔術師と相対して効果的な術を、場所を選んで仕込んでいく。]
いいか、俺とお前の連携次第で勝負は決まるのだ。広範囲の術が得意であれば、まずはそれを相手に印象付けろ。
それで敵主従が距離をおけば俺が敵マスターを仕留めて俺たちの勝ちであり、近寄っていればお前が敵サーヴァントごとマスターを仕留めて俺たちの勝利だ。
俺たちの前には勝利しかないのだ。
[自信を持って、キャスターに告げた。]
[みなみとの待ち合わせ、教会での問答。
気づけばかなりの時間がたっていたようで夕暮れを過ぎていた]
ダビデ、これからの方針について良いかな?
重要な情報を得た、それに君も大分回復した。
だから、今日からは積極的に打って出よう。
[ダビデの返事を待った]
―教会周辺―
[教会から離れていきつつ、聖の言葉に答える]
ええ。力は――あるのです。間違いなく。
聖杯の呼びかけに応じて、私は“世界の外側”からこちらへやって来た。少なくとも、そう思わせるだけの何かが、“交叉の聖杯”――まあひとまずそう呼びましょう――にはある。
その事だけは、確かな事実です。ヒジリの言うように。
[思い出したのは、バーサーカーの夢。映像だけの、音のない世界。
当時のことなど何も知らない。協会に何故彼の遺物があったのかもわからない。ただ、無造作に選んだ物から、彼が選ばれて出てきたことには、何かの意味があるのだろう。
立ち上がると、ふらりと歩き出す。見た目には、少女にしか見えない。制服さえ身に着ければ、学校に行っていてもおかしくないように見える。
それは、武器でもあったが、同時に弱点でもあった。
幼い身体は、筋力に欠けた。抵抗など、出来なかった。
押し込めた記憶が、暗がりで顔を出す。少し早足になると、街灯の下まで駆ける。]
―夕刻 教会周辺―
そうですね。
みなみとキラーの事は気になりますが、他にも競争相手はいるのですし。彼らだけを相手にしている訳にもいきません。
[次第に薄暗くなる周囲。この近辺には魔力の気配を感じなかった]
では、どこに向かいましょう。
――東ブロック・ビジネス街――
[人通りの少ない道を選び進んでいく。行くあてはなかった。だが、遠くへ行く気もなかった。元よりこの傷でうろつく気はない]
……魔術、か。久しぶりだな。
[呟く。その手に持つのは、ダビデの撃った鋼片]
―― 中央ブロック・病院前 ――
[ 不思議と、振り切られる事はなかった。ついてこさせるのが目的だったのだろうか。追跡者をマスターから離れさせるという事は成功しているのだから、そういう事なのかも知れない。
目標とした男は、病院の前でこちらを待つように佇んでいた。
仮面の男の手には、三叉の槍。面白ぇと、自らも槍を取り出そうとする左之助。
だが、ツカサは左之助を制すると、ゆっくり、カツカツと足音を響かせバーサーカーへと歩み寄った。]
こんばんは。追いかけるような事をしてすまない。あんたと少し話がしたいんだが、いいか。
[ 敵意はないと、両手を広げて示しつつ。]
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