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今は生憎、監督者は外出しておりますの。
あ、私も一応、魔術教会から監督者の補佐を仰せつかって派遣されていますから、お話なら代わりにお伺いいたしますわ。
[梧桐をソファに誘導し、目の前にお茶とクッキーを置く。]
ああ、そうですか。安心しました。まさか監督者がこのように若い娘さんだとは、と目を白黒させてしまいましたよ。
[ 苦笑しながら、誘われるままにソファへと腰掛ける。
左之助は教会の外に待機してもらったが… まさか、ここで他のサーヴァントと出会うとかいうことはないだろうか。脳裏をよぎってしまった不安に少し後悔したが、顔には出さないようにした。]
…はい。此度の聖杯戦争に参戦しましたので、その表明にと。サーヴァントは、ランサーの召喚に成功しています。
[ 単刀直入に、用件を切り出した。]
まあ!
そんな軽はずみな発言をしていると、ジェンダーフリー協会から執拗な攻撃を食らいましてよ。
なぁんて。
判りましたわ。それではあなたはランサーのマスターになられたのですね。
御武運を、お祈りもうしあげます。
万が一棄権をされる場合、教会は魔術師の身の安全を保障いたします。そのことは、覚えていてくださいね。
[そして一通り、聖杯戦争についての知識を説明した]
ほかに、御用はおありですか?
[ 説明された内容を、ひとつひとつ頷きながら聞き込んだ。]
いえ、充分です。ありがとうございました。
[ 左之助を外に残している以上、長居はできない。残っていた紅茶を飲み干し、礼をいいながら腰を上げた。]
[左之助は出てきた梧桐に「早かったな」と言って近づきつつ、こっそりと耳打ちする。]
どうも近くに何かいる気がするぜ……。
ま、教会付近で派手な事できねぇから無視するが、尾行だけには注意しとこうや。
俺も気配を消しておく。
[それから歩き始めた。]
…っ
[ 左之助の耳打ちに息を呑む。慌てて周りを見渡したい衝動に駆られたが、もしも本当に“何か”がいるのであればそれは逆効果だろう。気持ちを抑え、何事もなかったかのように振る舞い*歩き出した*]
[―もしも、未来が視えるのならば―
それはもう、かなわぬ夢だけれど
どうして 大切なものほど
後回しにしてしまうのだろう
その大切さに 気付けないのだろう
いつでも そこにあると思っていたから
手を伸ばせば 届くと思っていたから
けれど―]
[虚空に手を伸ばして、何も掴めず、その喪失感から目覚める。]
……。
[いつもの事だ。けして、この手が掴むものは何も無い。
わかってはいるはずなのに、起きる前の自分は『何か』に期待しているのだ。そんな自分に自重気味に笑う。
ふと、いつもとは違う何かの気配にそちらを振り向く。
壁際を背もたれにして、座っている大柄な男が目に入った。]
……。
[こちらが起きた事に気付いていないのか、目を閉じたまま座っている男を、じっと見つめた。]
……。
[声をかけるべきか、戸惑う。
だけど、口を開くと、また棘が出てきてしまいそうで。
小さく開けた口は、そのまま動きを止め、元の形に戻り、この穏やかな時間を楽しむ事にした。]
[起きた気配がして、ゆっくりと眼を開く。
少し離れた場所で寝ていた茜が、どこか穏やかな表情をして佇んでいるのが見えた。
穏やかな空気の中、窓のカーテンの隙間から差し込む日差しが、床を所々照らしている様子がどこか幻想的で心地よい。]
ん、起きたか。
体調はどうだ?
[相手の目が開いて、思わず目を逸らす。
見ていた事を気付かれただろうか。それだけで、なんとも気まずい気持ちになってしまう。]
…おはよう。
おかげさまで、体の方は健康だわ。
そういう貴方はどうなの?
[問われ、自分の中に意識を集中する。]
…五割ってところかしら。
思ったより、持って行かれたみたい。
[正直、回復の遅さに自分自身が驚いていた。
少なからずのダメージがあったようだ。
ふぅ、と息を吐いて、マットレスから立ち上がる。]
宝具を出来るだけ使わない……って方針で行くならば、私の魔力がこうでは心許無いわね。
大地のマナの力を借りに行かないとならないわ。
ふむ、やはりな。
[流れてくる魔力量が昨日より若干少ない。
体が無意識に供給量を少なくしているのだろう。]
じゃあ、行くとするか。
場所は昨日の山か?
[もちろん、共に行くつもりだ。
マスターを一人で行動させるなどありえない。]
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