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[送検に関する書類はとうに担当者に手渡し、今は容疑者たちの移送準備中]
…全て所轄の担当なので、私は確認のみ。
順調ですね…。
[服用者の遺族との対面を追え、...は会議室に戻ってきた。異形の死体をご家族の遺体だと知らせた時の反応は、流石にここ数日の事件や事前の説明のお陰で軽減はされていたのだろうが、遺族のショックは尋常なものではなかった。それでも次第に落ち着きを取り戻した遺族の願いにより、遺体は内縁の者達の間で密やかに葬られる事となった。あのような姿になっても愛してもらえるのだと思うと、まだ救われたような気がした。救いといえば、彼が連続殺人の直接の加害者ではない事もある意味救いだったのかもしれない。多くの警官達を傷つけはしたのだから、そんな事も言ってはいられないのだが。他の服用者に関しては、カウンセリングやケアも必要な上に被害者の遺族達との関係もある。報道陣に服用者の本名・写真を明かす事は避けてもらえれば、とちらと思ったがそこは多面的な問題でもあるため、司法の手に委ね処理してもらう]
容疑者の移送もじきに終わる…か。
[検事局はこれから忙しくなるんだろうな…などと他愛のない事を考えながら、窓際の椅子に腰掛ける。会議室は、相変わらず閑散としていた]
[既に食べなれた酢卵を夜食代わりに食べながら、思えばこの味ともそろそろお別れなのかと食が止まる。任が解かれここを出るとなると、もうお目にかかる事もないだろう。捜査中、疲れている自分にこれをくれた人々の顔を思い出しながら]
そういえば…結局お見舞いに行けなかったな。
メルヴィンさんはまあ、寮の場所も知ってるし帰ってからでも手紙がかけるけど。
ケヴィンさん…病室だからメールなんて送ったらお邪魔になっちゃうかな…。
本庁への帰り際にでも…お見舞いに行こう。
あの人の怪我の事も元を正せば、僕が応援を無理にでも呼ばなかったせいで慣れない突入班なんかに組み込ませて…それが原因だし…。
[と思案しているところへ、ナタリアに声をかけられ振り返る]
そちらも、移送作業ご苦労様。
面会は終わったよ。
遺体の方は、遺族の方が引き取る事になったよ。
――瓜科署前――
……なぁ、ナタリアさんに怒られるかな?一時的に退院の許可だしてもらったって言ったら…
『ここまで来て言ってもしかたないだろ…今更怖気づいた?』
馬鹿言うなっ!誰が…っ!…いや、怖いけどさ。うん、怖い。…はぁーーーーーーーー…うー、入り辛いなぁーもう。
『さっさと行け、さっさと…』
[...は瓜科署の前で考え込んでいる、大人しくしているといった手前顔をあわせるのが怖いようだ]
色々と…自分が馬鹿だったなって今更思います。
本庁内部のごたごたが嫌で、どうせ要請しても過去三回の例が全滅ばっかりだから、応援なんて出してくれないだろうって…上の仲が悪いから、対応は沢山は期待できないだろうって…。
カーラさんとモーリスさんの事もあって、上司に苦労をかけるのが嫌で…。
でも、そんな事考えるとかありえなかったんです。
どうして何も信じようとしなかったんでしょう。
ありえないですね…ありえないです。
色々と…ありえなすぎて泣けてきそうです。
[泣きませんけど、と付け足して静かにもう一度、茶を啜る]
あの人の所に戻ったら色々叱られてきます。
[ふと思い立ち、パソコンからメールを作成する]
…もうすぐ捜査本部は解散…お怪我お大事に…ありがとうございました…お世話になりました。
[送信ボタン押下]
[クリスの話を、ただ静かに聞きながら]
[お茶を置き、真っ直ぐにナタリアを見]
今まで、ありがとうございました。
お世話になりました。
至らない同僚だったけど、ずっと一緒に仕事ができて…本当に良かったと思っています。
出立まで少しありますが…ご挨拶を。
また、何処かで出会えますように。
同僚という立場でなくとも、ね。
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