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[両腕を剥き出しにしたいでたちで、虚ろな目で広間を見渡す。どこかで落としてしまったのか、汚れ物をふき取った上着は、もはやその手には握られていない。広間にいるメンバーをぼんやりと眺め、誰に言うともなく、口にした]
お願い……ロープ、貸して……
[セシリアの言葉に反応し、彼女の方へ顔を向ける。しかし、それはただ目を彼女に移しただけで……その姿をはっきりととらえているのかどうかは、分からない。暖炉の誘いに反応を示さないまま、しばらくじっと見つめた後、再びボソリと言葉をこぼした]
お願い。できる限り、新しいロープを。できる限り、長いのを。
足りないの……これじゃ、全然足りないのよ……
お願い。
もう、『あそこ』しか残っていないのよ……
[視線の先は、ヴァサーメローネ城のガイドブック、その表紙にある城のイラストに向けられている。城門より吐き出された、村へ続くたった一本の道。堅固な城壁に囲まれたその裏に広がるのは……底も知れない、切立った崖……]
(人を食う獣…人狼。そしてかのものを知ることの出来る占い師と霊能力者…。そして…人狼を信奉する結社…狂人…??そしてそして…うっつ。何で…『彼ら』がここにいるとわかるのですか??私の身に何かが…起こったのでしょうか…)
[「何があったの?」セシリアの言葉を聞いた瞬間、表情がゆがみ、その目に涙が浮かぶ。彼女の体を力強く抱きしめ、叫んだ]
お願い! 必ず『助け』を呼んでくるから! 絶対、道を見つけるから!
だから……だから……
[そのまま、リックやウェンディのいる前で、泣き崩れた。誰の目もはばかることなく、自分よりも幼い者達のいる前で……その涙は留まることなく……それでも、この言葉だけは、絞り出すように、吐き出した]
…………
*帰れなかった…………*
城から逃げ出そうとしたソフィーさんが能力者COしていたらそれはそれで。
初期設定かもしれないし。霊に出てきたら知らん(笑)
……ゾフィーさん…帰れなかったんだね。
疲れちゃったよね、少し早いけど、今からお昼の支度するから。
[お父さんがいないから時間がかかっちゃうの…と目を伏せて付け加えた。]
みんなも待っててね?
[言うと、厨房に向かった。]
[セシリアからコーヒーを受け取り、暖炉の前に腰掛けたまま、ゾフィーはぽつりぽつりと語り始めた。話はところどころ飛び、要領を得ない内容だったが、まとめるとこのような内容だった。
城門から表の道へと出たゾフィーは、あっという間に深い霧に閉じ込められた。
かすかに残る視界に頼りに先を進むと、徐々に霧は濃くなってゆき、自分の足元さえを見えない状況に陥ってしまった。
摺り足で先を急ぐ。そのうち妙なことに気がついた。村へ向かって下ってはずの自分の足が、『登っている』のだ。
方向を間違えた? 慌てて踵を返す。それでも、進んでいくと、いつの間にか、『登っている』。
それでも強引に進んでいくと……いつの間にやら霧は薄まって行き、そして、城門の前に戻ってきてしまうのだ]
[何度も霧の中を行き来し、この道からは外に出られないことを悟った。
だから、裏手の崖に回った。
自分の体をロープで縛り、鉤を地面に打ち付け、そのまま崖下へと降りようとした。真っ白な世界の中を、少しずつ下っていく。だが、ロープの長さが全く足りない。だから、ロープをほどいて素手で下ろうとして……
ちょうどその時、はるか下の霧の底から、何者かのあざ笑う声が聞こえた……ように思えたらしい。
緊張の糸が切れ、必死に崖を這い登った。
ようやく上に着いた時には、落としてしまったのか、それとも何者かにはがされてしまったのか、手にした上着は、どこにもなかった……そうだ]
[厨房では、ウェンディが昼食の準備をしているのだろうか? 家庭的な、柔らかな匂いが暖炉の前まで届いてくる。
時折、リックから自分が不在の間の話を聞いているが、ぼんやりとしている表情からは、どこまで理解できているのか、うかがい知れることはできない。
アーヴァインの不在による不安の中、気丈に仕事を全うしようとしている子供たちとは相反し、今はただ、気力の尽きたまま、広間に集ったみんなの話に耳を傾けているだけのようだ……]
[まあここで腐ってるよりはいいやなと、言われるままにアーヴァインを探しに一旦広間を出たものの、しっかり探したというには、だいぶ早くに戻ってくる]
書置きにごちゃごちゃ書いてたつう、絵がどうたらってのは何処だったっけな。字なんかまともに読まんかったが、探すついでに見とく…
[言い訳のようにべらべらと喋るが、
村へ戻ると言って出て行ったはずの人間の姿を認めると言葉を止め]
………ああ、そう。
[目を閉じて、ため息をつく]
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