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[キャロルは、携帯電話の向こうの人間と通話をしているようだ。]
あーもう!クソったれの無能スタッフ!
何でもいいから参加者連れてこいっての!
誘拐でも何でも構わないわ。銃で脅せば、大概の人間は何とかなるわよ。
[廊下にあった消火器をガツンと一発蹴り飛ばした。]
ったくもー。最近の視聴者ってのはシケてるわよねぇ……
[煙草に火をつけ、フィルターを噛んだ。]
いいじゃない。安い命のひとつやふたつ賭けたって、どうってことないでしょうに……。当たれば大金入るんだから、いっそ死ぬ覚悟で生きてみろっての。
今どき、世襲も当然のミスター・能無し・プレジデントですら、そんなに高いお値段の命をお持ちでないでしょうに、ねぇ。
[携帯の向こう側とこちら側の双方をあざ笑うかのような口調で、キャロルは通話相手に告げた。]
……というわけで、ミスター・ロープライスさん?
人を集めてこなかったら、どうなるか分かってるわよね?
そう……いい子ねぇ。
じゃあ、私は参加者さんと戯れてくるから、ヨ・ロ・シ・ク♪
[それだけ告げて、一方的に通話を切った。]
のんだくれ ケネス が参加しました。
のんだくれ ケネスは、おまかせ を希望しました。
んあー、カジノだぁ?
俺は金なんかねぇぞぉ。そんなとこ連れて言ってどうすんだ?
[酒臭い息をまき散らし、市立公園のビニールハウスで男がくだを撒く。]
ん?
金はイラネェのか?
ただで酒も飲める?
なら良いけどな……。
[ろれつの回らない言葉で頷くと、番組スタッフが差し出した用紙に殴り書きのサイン。]
……参加者1名確保、ね。
しかも、ほど良いロクデナシっぷりね。
いいセンスしてるじゃない。
オーケイ。いい感じよ。
その調子で頑張って頂戴な。
[携帯電話の向こうの様子を想像して、女はクスクスと笑っている。]
―ホテル廊下―
[あらゆる機会を逃さず出演者を撮影するために、ホテル内に無数に設置されたカメラの一つが、赤いカーペットの敷き詰められた廊下を映している。
その視界を横切るように、手前から奥へと歩いて行く人影がひとつ。
綺麗に撫で付けられた明るい茶の髪、長身の、肩幅の広い背中、金の掛かっていそうな仕立のスーツが人目を引く。
確かに金は掛かっているのかも知れない。そのスーツは綺麗にダイヤ柄の紋様が浮かんだ蛇革で出来ていたのだから……。
急に足を止め、パッとその人物は振り返った。
顔を斜め上に上げ、真っ直ぐにカメラをねめつける。
粗野な――だが意外に端正な顔を歪めて見せたのは、カメラのこちら側の人間を嘲笑っているのか、それとも……
喉奥から、吐息に似た威嚇音が洩れたのをマイクが拾った。]
[女は、紫煙の先にひとつの人影を見た。
サクラとしてゲーム開始まで配置しているエキストラが作り出すざわめきの中で――強い生命力を帯びたひとりの男が歩いている。
女プロデューサーは、携帯電話の向こうに一方的に語り掛けた。]
――「アレ」が、その一人よね。
随分とキレイに仕立てたものじゃない。いい仕事してるわ。
[それだけ言った女は通話を切り、男の姿を見つめた。]
[カメラに背を向け、再び歩き出した……と見えた次の瞬間、]
[ガシャン!!]
[通りがかったボーイの手から飲み物の乗ったトレイを引ったくると、カメラに向かって投げつけた。
カクテルグラスの砕ける音、転がるトレイ。]
[雑踏の中で、カクテルグラスが割れる音がした。
そこかしこから悲鳴が聞こえる。
視線の先に居たのは、先ほどから彼女の目を惹きつけてやまぬ、端正な顔立ちをした長身の男。]
………。
[きわめて冷徹な表情で、キャロルはそれを見ていた。]
[ウェンディは細い首をこてんと傾け、ディーラーの顔をそのまま注視した。]
でもさ、貴方達にも。契約書にサインをしたあたし達ほどじゃないけど、相応の補償が出るんでしょうね。
あんた案外若いみたいだけど、借金でもあるのかしら。
なら、いっそ、出演者になっちゃえば良いのに。
[人形の様な淡いグリーンの瞳がくるりと*動いた*。]
[男は全員の注視を浴びながら、それを全く気にした様子もなく平然と立っていた。
整えられた髪をぐしゃぐしゃっと片手で乱し、濃紫のワイシャツの襟を緩める。シルバーグレーのネクタイを引き毟って床に投げ捨てた。]
[女は、長身の男が見せる仕草に思わず噴き出した。
髪は乱れ、ネクタイは無惨にも床に落ちた。一瞬だけ見せたあの「文明的」な美しい男はどこへ行ったのか、と。]
あらあら。面白いこと。
彼は……ヒトのカタチをした、何者かしら?
ねえ?そう思わない?
[ざわつくエキストラを横目に、キャロルは男の様子を観察している。]
おい。
[シーンと静まり返った場の中心で、凍りついたように立ち尽くしている傍らのボーイに、男は声を掛けた。
びくり、とボーイの身体が震え、上ずった声で反射的に返事をする。]
食い物はどこだ。
[男が浮かべた鮫のような微笑に、引き攣った営業用スマイルを返すのがやっとの有様だ。**]
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