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黒狼騎士団ではない、鬼軍曹は目を覚ます。
軍隊上がりのため、朝起きる時間は身体に刻み込まれる。
「被害者はなし、か。」
「クロエ、何かあったのか?」
状況を確認し、失われた珊瑚に思いを馳せた。
「鬼軍曹がほんとに鬼だったんじゃ、ミズリに嫌われちまうか?」
───トントントン
厨房の方からリズミカルに食材を切る音がする。
火に掛かっている鍋からは野菜をベースにしたスープがぐつぐつと煮えている。
ボウルに卵を割り、ミルクと塩で味付けをする。
数分もしたらふわふわのスクランブルエッグの完成だ。
最後にパンを焼き、レタスとベーコン、先程作ったスクランブルエッグを挟み、食べやすいよう2等分する。
それをさらに盛り付け、食堂へと運び、配膳する。
幾許か待つ。
昨日の事があってか、皆食堂に中々顔を出さない。
特にミズリは、心の整理が着くまでは降りてこないだろう。そう思った。
「冷めてしまう前に2人にも渡してくるか。」
誰に言うわけでもない。実際に届ける訳でもない。
それでも彼らは仲間だ。
二人分のサンドイッチを持った。
────バタン
赤い組紐で髪を結い、着物を着付ける。
昨日の内にミズリにお願いして、一欠片貸してもらった珊瑚色の石に触れ、オーラを見る。
朝一の発表だっけ、と食堂に降りればそこには料理があるだけで誰の姿もない。
「おは……って誰もいないの?
じゃあ、蓄音機に録音しておくかあ。
ブレイは【異種族だよ。】黒色のオーラだった。」
それだけ短く告げると、どこの席に座る訳でもなく、誰か来るまで待つ事にした。
結界のギリギリまで来る。
最初に触れた結界とは別のもので、水の波紋が広がっている。
座り込み、持っていた布切れの上に皿を並べる。
「美味しいかどうかはわからないからね。」
空を見上げる。何処までも天は伸びていて、それでいて太陽が煌々としていて...急に寂しい気持ちになった。
「ブレイ、昨日の仕合。かっこよかったよ。それと足の怪我が治ったら────」
食堂に戻ると、背格好が綺麗で薄緑色のカリンが蓄音機に話しかけ終わった後だった。
>>2カリン
「おはようカリン。冷めないうちに食べちゃって。スープは今もってくるから」
「…………………」
少し眠たい。が、今日は食事当番だったはず。
寝ぼけ眼を擦り、食堂へと足を運ぶも、調理は終わっていたようだ。
>>グラジナ
「おはよ……これ全部グラジナが?すごいな…手伝う事はない?」
まだ人は集まっていないらしい。カリンが蓄音機のところに居たので、まずは今日の当番を遂行しようと、グラジナへ声をかけた。自身が寝たあとの話や諸々は、後からでも良いだろう。
☆これ私が誰か透けるかな……まあでも当番くらい貼りたいし出ていいか
まあ、透けるとか透けないとか今更だよな
クロエはねおちーかな?お疲れさま……
わあい。占われてる(?)
そっかあ、自分はアルバート占いたいって上がった人2人見てたんだけど、少数派だったのかなあ
ちなみにその二人はグラジナとエイダンっていう、自分が占って欲しい相手からだったわけで。
これお互い占って欲しいって思ってるからある意味ラインなんだけど、そんなものあるわけないんだよなあ
グラジナは同陣営であってくれ
>>+0ブレイ
姿を現したブレイへ、槍を向ける。いつ誰が現れても良いように準備をしていた。
後輩へ武器を向けるのは気が進まないが、騎士として必要な事だ。
他の者の姿は見えず、今日宝石を砕かれたいないのだと悟る。
「いよぉ遅刻騎士。
早速で悪いが、お前達の潔白が晴れるまで、何人もこの砦付近から離れない事を命じる。
で、そりゃぁ自白と取って良いのか、鬼軍曹?
場合に依れば殺す。とまでは言わんが、身体の自由を奪わせて貰う事になる」
ガルセウヌも、結界越しに昨日のミズリとブレイの闘いは見ていた。気合いと想いの乗った、良い勝負だったと思う。
だからこそその言葉は聞き逃せないし、そうで無ければ良い、とすら思う。
「お早う。」
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朝の挨拶を空間に投げ、席に着く。今日はあの赤い刺激物はないらしい。よかった……と思う気持ちと、どこか物足りない気持ちがあることに気付き、不思議に思う。私はアレを食べたいのか?食べたくないのか?自分でもわからない。
ブレイの姿は当然なく、このあとここに現れることもないのだろう。彼の宝玉は砕かれた。ファルス様がどうお考えになるかわからないが、その点において────彼はすでに、黒狼騎士団ではないのだ。
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