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[そうこうしていて、小休止を挟んだことにより、劇のことはあっさりと決まって]
ナレーション、すげー丸投げられたな。
[信用なのか、信頼なのか、無茶振りなのか。判断に迷うやつだ。議事録をかいてる恵奈乃を後ろから覗きこむようにして、そんな風にしながら、密やかに悪戯するよう、恵奈乃の髪へ掠めるようにキスをして]
ま、そんなスリル事楽しめばいいってことだしな。
じゃあ、今日はこのまま放課後デートといこうか。
[音楽の相談なんかも終わって立ち上がり、今日の二人の時間を過ごそうかと誘う。
といっても学校帰りでいける場所だ。そう遠くにもいけないが、一緒に過ごせる時間を過ごさないで済ます理由もない。]
[駅前商店街とか色々あるかな、などと考えつつ一緒に下校しながら]
それと……どっかのタイミングで、互いの家族に会っておこう。って思うんだが……
[二重の意味で気が重くはあるが、そうも言ってられない事情も経緯もある。
それに恵奈乃にわざわざそんなことを言わせないようにしていきたい面もある。]
婚約者っていっちまったしな。
[軽い意味ではなく、むしろ、ずっと重い気持ちもある。規則だとか、法律だとか自転車で二人乗りしたときのように、過剰に囚われるつもりもないが、自分たちの形として指標として、不安を覚えさせないようにしていかないとならない、と。]
ところで、恵奈乃って旅行とか好き?いろんなとこ行ってみたいって思うことあるかな?
[何気なくだが、そんな話題も振るのであった**]
─ デート ─
まあ確かに、本気で怒ったところとかは見せた事がないですが。見たいからってわざと怒らせないでくださいね。
[ 後悔しますよ?
海、砂浜に座って潮騒を聞きながら、出会ってから今までの思い出を語り合った。半年にも満たないのに意外と思い出が多い事に驚きながら** ]
── 9月後半のある日 ──
[9/18をちょっとすぎた頃。]
九鬼ー。誕生日おめでとー。
ほい、これお返し。
[ぽん、と左隣の席に置いたのは、包装された細長い箱。
奈那に相談してお菓子に決めたはいいが。結局どんなお菓子がいいか悩んで姉ちゃんに聞いたところ、ぴったりマシュマロを教えてもらったので即決した。
猫の形をしてて、紅茶に浮かべて溶かしながら飲むと見た目も楽しくておいしいらしい。
配送に時間がかかってちょっとずれたのは誤差ってことで。
渡しがてら、ちょっとだけ声を潜めれば、こそこそと。]
……奈那の水着姿めちゃくちゃ可愛かった。
ありがとな。
[あのLINEの内容、そういうことだろうなって。
九鬼も中学からの大事な女友達だ。そして、これからも頼りにしてます。*]
[ 辛いのかと聞かれて ]
辛いわけないじゃん。今は余一といるんだから。
だけど、この先どうなるかなんて分かんないよ。こんなに誰かと一緒にいたことなんてないんだから。
[ ずっと何年も独りに慣れてきたのが、この夏休みの間に急に余一といる時間が増えたため、自分でも分からないのだった。
余一にしてみれば、部活や予備校は誰かといることになるのだろうが、一葉にとっては、余一がいないということには変わりないと思っている* ]
[辛いわけないじゃん。って即答されて、ちょっとほっとした。こういうところ、過保護って言われるんだろうか。]
ん。良かった。
それじゃ今日は帰りな?
家まで手繋いで一緒に帰ろうぜ。
その内嫌ってくらい一緒に居てやるからさ。
今は会えない時間を、楽しもうぜ?
[なんて。優しく笑って手を差し出した。
繋いでくれれば、指を絡めて。
一葉の家まで、今日はとりわけゆっくり歩いて帰ろうか。*]
[抱き寄せられて、さらに身を添わせる。
彼の心臓の音が届くような気がする。
近い距離に鼓動は早まるのに、どうしようもなく安心して、この人じゃなきゃダメなんだと思う。
高校入学してすぐの頃まで、朝、行なっていた儀式があった。
鏡の前で、笑顔を作ること。
中学の頃、皆と違う容姿でも、天真爛漫でいつも笑顔でいれば、避けられはしなかったから。
いつしか癖になったものだった。
――いつから、それをしなくなったんだっけ?
クラスのみんなのおかげも勿論あるだろう。
けれど、自分だからと、ありのままでいいと、全てを受け入れて包んでくれる彼がいたから、変わることができた。
変わっていこうと足を踏み出せた。
私には、貴方だけだ。]
── 9月18日 ──
[ハンカチをくれた九鬼さんには、キララの時と同じく林間学校で使用したマスカラと口紅とリップグロスを購入しラッピングしてもらった。]
九鬼さん。お誕生日おめでとう。
ヌードベージュの口紅は、色っぽく魅せてくれるんだけど……
肌の美しさが一番の決め手になるから。
お肌のお手入れは、気を付けてください。
結婚式、楽しみにしてるな?
[なんて。ちらっとまー君を見てから悪戯に微笑んだ。*]
……あ、気が早かった?
[弱虫ではなくなったと思っても、本当に恋をしているからこその臆病さもあるもので。
航の溜息に、へにゃりと眉を下げる。
先程までの勢いはどこにいったという反応もまた、飾らない素の雲母美琴だった。
手をぎゅっと握りしめて。
彼の瞳を逸らさず見つめて。
続けられた言葉に――。]
ペアの、リング……!
[青い瞳は丸くなる。
そして少しずつ潤んで、細められた。]
うん、うん!
[何度も頷いて。
勢いよく身を乗り出し、航の足をまたいで、正面からぎゅっと抱きついた。
彼の首に腕を回し体重を預ける。]
――航くんと、結婚するんだ。
[それ以外の未来、考えられない。
そう言いたげにきっぱりと言葉にする。]
[腕の力を緩め、ソファの背に手をついて。
至近距離から彼の瞳を見つめる。]
航くんは、ずっと、バスケをするんでしょう?
[神様に手を伸ばし。
いつか掴み、並び、追い越すために。]
私は、まだ決められてないけど、興味あることを絞って、まず大学には通って勉強したいなって思ってる。
その先はどうかな……両親の会社は元々継ぐつもりはないんだ。
頼りになる叔父や叔母もいるしね。
……私との結婚が、航くんの足枷になるのは嫌。
でも、そうならないように、してみせる。
航くんを支えられるようになりたいし、隣に並んで歩いて、生きていきたい。
高校では流石に許されないかな?
急がなくてもいいのだろうけど、でも卒業したらすぐにでも――結婚したい、な。
[一世一代の告白だった。]
ふたりにいつ日本に帰るか、聞いておくね。
私もご挨拶に行かなきゃなぁ。
でも、まず。
指輪選ぶの……楽しみだし。
もっともっと、航くんのこと、知りたいな。
[そして一転、ゆるく表情を緩め。
航の返事を待つように目を瞬かせた。*]
やだ。
[ そう言って、また、余一に抱きついた ]
会えない時間を楽しむなんて、わたしにはできないよ。
[ 今度は駄々っ子のようにそう言って ]
でも、わたしは決めたんだから。行くよ。
[ すぐに余一から離れて、手を繋いだ。
もう一つの懸案は、一度決めたからには、学業と音楽の両立には全力で取り組むつもりだったこと。結果、会えない時間は確実に増えること。そして、それに慣れてしまうこと。それが怖かったのだ。
だが、それは口にしないでいる* ]
――演劇の準備――
[衣装は、自分と陽光が大体を用意して。
色々声をかけて頼んだりして、それぞれが望む感じのものが準備できたはず。
完全に作り変えるのは無理でも(借り物だし)、ちょっと飾りを付けたりは出来たろう。
裁縫のできる皆に手伝ってもらいつつ。
因みにシンデレラのドレス衣装は、アニメ映画のようなプリンセスラインのものではなく、水色の裾のあまり広がらないタイプのロングドレスにすることにした。
舞台の狭さ的にこの方が良さそうかなと思ったのと、個人的にこうしたかったというのもあり。
(イメージ→https://item.rakuten.co.jp/r-f...)
靴は花飾りのついたヒール靴を選んだ。
みんなの衣装はどんなものになったろう。*]
――文化祭・当日――
[時が経つのは早いもので、もう文化祭。
ブラバン部は文化祭で演奏はするが、そんなに普段に加えての特別練習が増えたわけではなかったため、劇の準備にも結構参加できて、今日に至る。]
あー、微妙に緊張してきた。
セリフとか頭にない……まぁみんなアドリブだらけな予感がするけど……!
[まだ着替える前の制服姿。
準備用の部屋でソワソワ、ソワソワ。
よっちゃんメイク、待機中である。**]
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