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『加賀美雫さん?水っぽい名前ね!ペンネームは水溜まりの水田マリ、とかどお?』
担当編集は30代前半の女性だった。
もともと、話すのは得意な方ではないし、初対面の、仕事を指導してくれるひと相手ではなおさらだった。
変なペンネーム、と思った。アリアの雰囲気にあっているとも思えなかった。でも、高校生の新人マンガ家が担当編集に異を唱えるなんて出来なかった。
せめてと、「マリは、ひらがながいいです。」とだけ、言った。なんとなく平仮名の方が、可愛いと、思ったから。向こうも、表記にこだわりなんてないから、変えてくれて良かった。
ネームを提出すると、たくさんたくさん、テコ入れされた。
今の流行りは俺様男子だとか、もっと涙を見せろとか、
それはわたしの、小さい頃から心の中にいたアリアではなかった。
連載中、アリアは別の人になった。
せめて、せめてと、アリアの造形には、力を入れてかいた。
せめて、美しくしてあげたかった。
意識を戻す。そもそも実態があるのか無いのかも不明だが…
「はははっ…こんな不思議なことも体験できるなんてな。
全くもって不思議すぎる。不思議すぎて解明したくなるよ。」
打ち切りが決まったとき、担当編集は、
『ごめんねえ、ファンタジーはやっぱりウケなかったみたい!
次は、もっと作画技術を磨いて、現実にあるものをたくさん描きましょうねえ?』
と。
『水田さんって全然、顔変わらないわよねえ。』
『あなた、恋したことないでしょ?』
『っていうか、』
『たのしいこと、あるの?』
と。
それから、たくさんたくさん資料写真を撮った。
たくさんたくさん模写して、絵の練習をした。
次にこの手で生み出す子には、あんな惨めな思いをしたくなかった。
でも。
楽しかった。修学旅行は。
嬉しかった。みらいとえにしと、魂で理解し合えて。
わくわくした。この手で嫌いなクラスメイトを殺して。
わたしにだって、感情はあるんだ。
今だって、こんなに、こんなにいろんな気持ちが溢れてる。
**ほんとにヒビキ誰だったんだろ……るーぷさんに間違われるぐらいだからこはるさん…?って思ったけど、違うんだよなぁ…
[昨日は何時に寝たのだったか。
身体が重い、フラフラする。それでも、なんとか立ち上がって、レコーダーを聞き返した。]
おはよ……ごめん、寝すぎてたな…
レコーダー聞いたよ、色々確認した。誰も襲われてなくてよかった……。
[ふぅ、とひとつ息を吐き出す。
まだ少し、頭がクラクラしているようだ。]
【狩人】で、【手応えは感じてない】。
結論から言うと、【俺はずっとサヤを護ってた。】
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2日目。【護衛先はサヤ】
2人の話を聞いていたけど、やっぱり占いの真偽はわからない。たぶん人狼だって同じだろう。だから、最初はサヤを護る。それに、勇気を出して出てきてくれたんだ。人狼に襲われないよう、護ってやりたい。
3日目。【護衛先はサヤ】
今朝、犠牲者は誰もいなかった。けれど、手応えは感じなかった。なら、人狼が狐を見つけたのかもしれない。もしくは、俺は本物の狩人じゃないのかもな。古書によれば、闇狩人ってやつがいるらしい。俺もそれなのかもしれない。
……とにかく、今日もサヤを護る事にする。占いの真偽はまだわからない。
4日目。【護衛先はサヤ】
占い師の2人が襲われていた。なんでこんな事になったんだろうな……
シオンが狩人だと名乗り出た。シオンの言う通りなのであれば、本物はヒビキだったのかな。それに、エニシも出てきた。お互い手応えはないらしい。んー、本物はいるのかな?
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