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ろぐあうと、するとどうなるんだろう。
少なくとも分かるのは「雨の世界」とはさようならしなければならないということだ。
他人の幸せを聞いて、想像し、実現し続ける世界。
雨は弱かったり、強かったり。
ミツハは本を読んだり、王様になったり、空を飛んだり、自動販売機の写真を撮ったりした。
ミツハは綺麗なお洋服を着たし、美味しいものも沢山食べた、空も飛んだ。
ミツハは人を殴ったし、蹴ったし、殺した。
人の幸せはほんとにそれぞれだった。
様々な人の様々な願いを体験する過程で一つ変わらなかったのはずっと頬を雨が辿っていたということ。
ミツハは雨とは離れられないよ。
だからきっと「ろぐあうと」も─────。
「……」
「あ、あーあー!!あ、入ってるか。
ぴんぽんぱんぽーん。こんにちは皆さん。
この教習所の教官兼所長にして最高責任者かつウルトラキューt▒▓█▓░░▓▒」
「……」
「ああっもう!しつこいな」
「……えー皆さん、モモコです。ひと通り話は聞いているかな。
アナウンスから失礼します。
まずは不安にさせてごめんなさい」
「マキタの言う通り、皆さんにはきっかり10日後にAZからログアウトしてもらわなければなりません。
と言っても、こちらからの操作に切り替えているのでいつものログアウト手続きは必要ありませ█▓░▓▒」
「……」
「E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行されます。E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行されます。E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行されます。E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行されます。E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行されます。E_0999。システムに異常が発生しました。E_0003。予期せぬ終了が実行され」
「……、っ、ふーーーー。
えー……どこまで話したっけ」
「そう。
皆さんに生きて、またAZへ来てもらうため。
また幸せになってもらうため、私たちも断腸の思いなのです。
どうか分かってほしい」
「この教習所内が最後の10区画めなのには理由があります。
それは他の区画に比べて圧倒的にシステムへの負荷が少ないこと。
全員でひとつの世界を見ているし、人数もわずかだからね」
「だけど他の区画と全く交わっていないから、一緒にログアウトさせることもできなくて。
最後まで待ってもらうことになります」
「……それと最後に。
本当なら、責任者である私が一番にみなさんへ謝罪する場面なんだけどちょっと諸事情で動けずにいるの」
「なぜならえっと……処理が!そう、処理が山積みだから。忙殺されてて。
明日にはそちらへ顔を出します。
それまでは、そこにいる万年ヒラ社員顔でどうか我慢してく█▓░░……」
「……っ、では現場のマキタさんにお返しします。アデュー!」
セグメントにそう返していると、モニターからモモコの声がした。どうやら通信障害のせいで、上手くこちらのネットワークと繋がらないらしい。
時折鳴りひびくノイズや、エラー音にちとせはびくりと肩を震わせた。
「…………っ」
何事もなく復旧できる可能性もあるが、原因究明が完了しなければ最悪の場合死に至る。
仮に10日後までにログアウト出来たとしても、システム障害を正さなければちとせたちの生命は維持されないかも知れないのだ。
ちとせはその顔から静かに表情を消す。無表情に近いそれは、恐怖と不安で引き攣っていた。
───ふと、ニウニウの姿が視界の端に留まった。
「なあ!……ニウニ……────」
ちとせは彼女を見つけるなり、明るい声をあげた。
が、しかし。彼女が見知らぬ人と手を握り合っていることに気付いて、すぐに口を閉ざす。
そして、何故か沸き上がった不快感に眉を顰めると、ふいとそっぽを向き、学習室の隅っこに体育座りをした。
「………ふんっ。別に吾は、怖くも何ともないわ。」
やァ、キミ。見かけによらず多忙なンですねェ?
どうもおかしな事態になっている様子……もう少々、あちらサンからの情報が出ない限りは、特に動くつもりはありませんよ。
後で幸光電社の不手際リストを作りますから、ナニか心当たりがあったら、お教えなさい。
キミの意見も加えておいてあげましょう?
おやおや、これはこれは、大変誠意のあるご説明でしたねェ?
まァ、万年ヒラでガマンしてあげましょう。
マキダクンでも、そこの機械よりかは、話がいがあるというものです。
教習所に来るのは初めてだったが、まるでままごとのような施設だった。
だから、ますます俺はこれが本当に他者と共有した世界の出来事であるのか、それとも俺の世界の延長線上なのか、はたまた誰かの頭の中の出来事なのかわからなくなるのだ。
分からなくなるから、出来ることは忘れて享楽に耽ることくらい。
抗う過程でたまたま身につけてしまった力も、一体なんの役に立つというのか。
これだって俺の願望かもしれないだろ。
誰かの都合かもしれないだろ。
そう思いながら、俺は"イタズラ"をする。
ああ、本当に、ログアウトしてしまいたいと思った。
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