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…てっきり、花の場所にいるかと思ったんだが
[花盗人の一族としての知識と、自分の直感を頼りに花、のありそうな場所を探し回ってみるがあいつの姿は見えない。花の格納場所が違うのか。…いや、と首を振る。]
俺も『烏丸』としての力はある。そこまで予想が大きく外れてるはずは無い。誰かに聞けばすぐかもしれないが…あいつの耳に俺が探していることが伝わったらそれはそれで面倒だしな。
−−波紋のように広がる騒動に、カガチは追いつけなくなっていた。
「ちょっと、ちょっと待ってくれ!
提灯が消えたのも、物盗りが出たのも、一挙に俺に言われたって!
だから、俺も責任者じゃないって! どうなってるかなんて聞かれても分かんないってば!
[ 朱>>116に紹介してもらうと、改めて調に向き直って静かに微笑む。活発な印象の朱に比べて、この子は随分と落ち着いた少女だ。 ]
こちらこそよろしくね、調ちゃん。
そうそう。でも、お祭り中は布をかぶっていなきゃいけないって聞いたから、よかったら終わったあとにでもつけてみたらどうだい。
きっと似合うし、朱が喜ぶよ。
[ すっかり朱が少女を気に入っていると思い込んで、微笑ましげに言う。 ]
誰かがモノがなくなったり電気が消えたのをお狐様のせいだって言ってたけど、百年に一度現れるっていうお狐様がそんなことをするの?
悪戯好きなのかな。
猫又 センは遅延メモを貼りました。
[何かを思い出す様に顎に手を当てながら]
うーん、お狐様がいたずら好きってのは聞いたことねえけど…
前に現れたのは百年前らしいからな
ちゃんと伝わってねえのかもしれないなあ
でも、俺お狐様が現れるなら会ってみてえな!
俺は動物なら狐みてえってよく言われるし!
仲よくなれるかもしれねえ!
くすくす、クスクス
うーん、お狐様の力はすごいなあ
身体を乗っ取られてしまうみたいで。
くすくす くすくす
でも……思惑通りとはいえ、お狐様に選んでもらえて、ボクは嬉しいよ♪
くすくす クスクス
−−初めは細々と、次第に大きくなっていく波紋の中、カガチは必死に考える。
こんな事態、カガチが生まれてこのかたずっと稲荷祭を手伝ってきて初めてのことだ。町内会の人たちがこんな騒ぎを起こそうなんてこともないだろう。だったら仕掛け人として、カガチにも話は入るはずであった。
「提灯の灯りがつかないのは分からないけど、露店の商品がなくなるってのは……」
−−一つ、手がかりになるかもしれない思い当たる店が。
「異国の行商人がいたな……あの人、売るものがなくなって他の店から掻っ払ったなんてこと、やってたりしないだろうな」
−−向かう足は、リェンの店へ。
−−リェンの店へと向かう道すがら、ぽつりと拾い上げられた言葉に、カガチははっとする。
*お狐様なんじゃ……*
−−そんなバカな、とかぶりを振った。
カガチも、生まれついてから狐、お稲荷様の伝承を聞いてこなかったわけではない。
100年に一度、お稲荷様が人に憑依する。
それらを祓うのが、我ら退魔師のお役目である、と。
嫌という程聞かされてきた伝承と、自らにあるらしい、力。
夢物語だと思っていた。この歳になってなお鵜呑みにするものじゃない浮世の話だと思っていた。
事実、カガチは今でもそう思っているし、"そう思おうと"している。
急く足か絡まるのは、なんの故か。
−−そうだ。
御伽噺にも負けず劣らずの素っ頓狂な言い伝え、本当であるはずがない。
例えばそう。この時期にだけやってくるよそ者が、悪巧みをしているだけ。
確かにそんな輩は、この村にずっと住まうものとして、払わなきゃならないな、などと余計なことを考えつつ。
花盗人 烏丸は遅延メモを貼りました。
代々、花盗人は花守人の当主に惚れるという。まるで、呪いのように。
だが、花盗人は花守人とは結ばれることは決してない。忌み嫌われているし、花盗人も花守人を嫌っている、とされているからな。
花盗人の一族の始まりは、身分違いの恋をしたことからだと聞いている。花を盗んでしまえば、役目から解放されるのではないかと。
−−人の群れを抜けるのにも苦労した。
いつもの比較にもならぬほど押し寄せる人だかりを避けるようにして、昨晩自分が酔いつぶれていた店へと向かう。
ほどなくして、今日も今日とて繁盛しているらしい唐物売りの店>>84にたどり着いた。
>>リェン
「て、店主さん!
あの、今日は……えっと、そうだな、何を売ってます?」
−−場当たり的に飛び出した言葉は、無難。
いきなり真正面からこの物盗りが、と騒ぎ立てて、いらぬ嫌疑をかけるほど、カガチは出来ていない人間ではない。
そんな当たり障りのない言葉……のつもりであったし、実際、何を並べているかは見れば瞭然。
こんな様子のカガチを見て、店主はどう思っただろうか。
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