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[カブトムシは娘を気にする様子もなく壁に止まっている。試しに目と思しき場所に手をかざしてみたが、特に反応はない。
娘はひょいとカブトムシを持ち上げ、しげしげと眺めた。]
UO……?
[腹面にUOと刻印がされている。]
〈UROBOROS OVERDIVE〉?!
[周囲に人影がないのを確認すると道の隅により、さっとカブトムシに侵入する。侵入していたのはほんのわずかな時間だったが、収穫はあった。]
……さっきの家に通信が飛んでる……?
[つい先ほど荷物を届けた家だ。何か関わりがあるのだろうか。
再び侵入し、しばし通信を傍受する。]
『自社ビルが襲撃された。
ドンパチ探偵は逃走中。
それともう一人、大柄なオカマもいたはずだが
見失った。』
[ドンパチ探偵と言えば一人しかいない。]
……なにやってんのよ?!
[自分を棚に上げてすっとんきょうな声を出す。それに加え、大柄なオカマ……心当たりがないわけではない。
ひとまず通信端末を手に入れるべく、下層のレンタルショップへ走りだした。]*
── ゲート ──
20年前から知ってるよ、お前のことは。
[目から感情という色を無くし小さく呟く。
聞こえるか聞こえないかほどの囁くような声量]
ほう。
ま、多忙な中、命の洗濯ってか?
(ついてる訳じゃない……か。
なら、まだセンセはフリーか……)
[エイミーの生まれと経歴から、何かしら監視なり護衛なり、そしてここにエイミーと顔見知りの特殊チームの一員がいたことから、将来的なツバでも付けられているのかと考えたが、外れたようだ。
そこまで聞けば、男もソノランにはそう用は無くなるだろう]
[こいつを目星を付けてる場所にトばしてやりたいものだと、先程過ぎりはしたが*]
[ヴェスに何を言っても無駄だろう。
残されてしまった男。
生きる術しかしらない男。
生き方が対局だと分かって入る。
ずっと分かってはいるのだ。]
……
[だからこそ、何も言えないでいた。]
おいおい…いや、なーんか、
そんな気はしたんだよなー
[監視カメラ。その言葉がでれば、
そう答えるが。]
……だよな。
[登るわけないじゃない!そうそっぽを向く彼女を見て。
あぁ、登ったなと確信を持ってしまったわけだが。]
── ゲート ──
…………
[黙り込んでいたが、く、と口元が歪む]
覚えて無いなら、いいんじゃねーの?
力無き者は、無力。
この都市構造のように、スラムに住む奴らが省みられないのと同様、瑣末な話だし?
[ジリジリと、灼ける。
灼けついたものを口にしてしまえば、胸中に気持ち悪さが忍び寄った]
休暇を楽しめよ……
[視線が彷徨う*]
[ドームに到着すると、ソノランと呼ばれる男の姿を見て、
げっと、顔をしかめる。
向こうが覚えてなければいい、
ワケアリの護衛とだけあって、たまに面倒なことにも巻き込まれることもあったのだから。
しかも最後の護衛は、その当時良くわかっていなかったとはいえ、
巨大な地下組織だ。さらに、機械生命体の装甲も剥がしている。
エイミーと知り合いのようだが、男はあまり見られないように、その場を後にする。
が、]
聞こえてるぜ、センセ。
思考に聞こえてるも何もねーけどな。
知らない家なら教えろ。
[返答は、是だった]
は?
ウロボロスのビルが襲撃された?
どいつだ、昼間からんな馬鹿なことしでかしたのは。
[把握している分には、ビルには偽装用フロント企業というべきものが入っていた筈だが*]
俺よか、エイミーのが疲れてるだろ。
ちょっとどころじゃねぇな。だいぶ巻き込んだ。
報酬とか俺はいらねぇよ。
どうせ、スラムじゃ役にたたねぇし。
[運転席のほうへと近付くエイミーに、
ハンドルにもたれかかった状態で、頭を軽く叩く。]
俺は…スラムに戻る。
[出発する前の騒ぎも気になっていた。]
エイミーは、ヴェスと行きな。
まぁ、嫌じゃなければな。
[そう言って、もたれかかっていたハンドルからを身起こす]
[そんなことをしていれば、
エミリーがソノランに男を紹介する。
軽くだけ頭を下げ、]
……
スティーブですよ。
お初にお目にかかります、ソフランさん?
[護衛時代。『アラン』『ルドルフ』『カイ』『ルドガー』…その他いろいろ・
最後の名前は『クレイグ』だが、もしかしたら知っているかもしれない。
知らないなら、それのほうがいい。
握手を求められたなら、笑顔でそれに応じ、]
─ ゲート ─
[じ、とヴェスの顔>>111を見遣る。
言葉とは裏腹に歪む口元。
彷徨う視線は戸惑いにも似て見えた]
……俺様が人を覚えていないのはいつものことだが。
[力無き者。
普段はそれだけでは繋がらないが、間近に機械生命体絡みの騒動があったためか記憶が繋がる]
そーかそーか、覚えていて欲しかったのか、少年。
[明らかに揶揄っているような満面の笑みで、わざとそんな風に言った。
隙あらば頭を撫でようと手を伸ばす]
20年か、そうか。
そりゃ見た目じゃ分からないや。
[名前を覚えていなくとも顔は覚えている時があるのだが、如何せん今回は年月が経ち過ぎていた]
”また”機械生命体絡みで会うとはね。
粗悪品とは言え壊してしまうとは、大したもんだ。
[忘れていたことに対する謝罪は特になく、形式ばった賛辞を送る*]
── ゲート ──
[視線の彷徨いは、戸惑いとは違うもの。
その意味違いを知ることも訂正する機会も無かったろうが]
………………
[ソノランに向けた両眼が赤みを帯びる。
揶揄だと分かる満面の笑み、伸ばされる手、瞬間的に自制よりも気持ち悪さが上回った]
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