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[ソノランは事件が起きる前から能力で時折村の様子を見ていた。
村へと移り住んだ者の様子を確認するためだ。
それは依頼されたものではなく、自発的なもの。
現時点で観察しているのは特定の2名のみだ]
お礼ついでに探らせてもらおうかな。
[観察対象の1人を思い浮かべて笑いつつ、ソノランは転移の空間から滲み出ながら地面へと足を下ろした**]
無能 スティーブは、狩人 に希望を変更しました。
僕はユウヅキ。下層で探偵業を営んでいる。
たまにスラムにも仕事の依頼で来るから顔を見かけたことはあるかもしれんな
[ユウヅキは簡単に自己紹介をする。下層・スラム街は盗っ人だ賞金首だなんだかんだと仕事の宝庫だ、ユウヅキは度々足を運ぶためにどこかですれ違っているかもしれない]
それで…倉庫街でこいつが盗みを働いてな、それを追いかけてきたんだが捕まえた瞬間にどういうわけか気絶した。
このままじゃ事情を聴くことも出来ん。
お前、こいつがどこの誰か心当たりはないか?
[そう言って、気絶した男をむんずと掴み、顔を上げさせてみる。 スティーブが代わりに開いた店の前に立つ女性のほうにもちらりと目を滑らせながら*]
(口の中が苦い)
(…またか)
[ズギリとした頭痛が脳を突き抜けていった]
[能力発動時間は大体3分、肉体的体力的にはなんてことは無い距離と時間だが……副作用はそれでも苦しめと脳を揺さぶる]
[顔色の悪さは、きっとこのせいだろう]
[だが…それをなるべく表に出さないように務める。]
[この力を人のために使いたかったから]
[この力を使って誰かが悲しむところは見たくなかったから]
―― 下層区域 倉庫街 ――
[娘は倉庫へと戻ってきていた。一件目の仕事で疲れたものの、足取りは若干軽い。4年ぶりのドームは活気にあふれ、眺め歩くのは随分と楽しかったようだ。
が、少し浮ついた気分は雇主の倉庫へ到着すると吹き飛んだ。]
……ない。
一番大事って言われてた小包が、ない!
[青ざめ、周囲の人間に尋ねて回る。
雇主曰く、どうやら盗人がでたらしい>>65。黒髪の青年が壁すり抜けてスラムの方へ追いかけて行った>>70と噂だが、さて、どうしたものか。
少し考え、スラムへ向かう事にした。
残る届け物は消えた小包と、倉庫の小コンテナだ。小コンテナの届け先は中層区域との事で、いったん後回しになった。]
さっきのソノランさんは……
どっかいっちゃったのかしら。
ええ、まぁどっちにしても後ね。
このままじゃお礼もできやしない。
泥棒め、とっちめてやるんだから!
[すでに泥棒が可哀想な目に合っている事など知らぬ娘は鼻息荒く、倉庫街を飛び出した。小コンテナを厳重に保管してもらうのは忘れずに。]**
/*
他ドーム出身にしようかなぁとか一瞬思ったけど2000kmって日本横断レベルだった…!!
スラム出身でこれは…無理だ…!!
[男が声をかけたのは、この男を知っていたからだ。
先程は目が赤かった気がしたが。上げた顔の目は黒い。
気のせいだったろうか、そう思っていれば。
目の前の男は、男の顔を見て、何事か考えている様子だ。
スラムにも弱い異能を持つ人間も住み着いている。
その中の一部程度なのかもしれないが、
男は生まれも育ちもスラムのため、交友関係が広い。
そのため、スラムでは無能のスティーブを知っているものも多いだろう。
それに一時期、外で護衛をしていたこともあったが、
それはある事件を境に男はやめている。
だからこそ、無能とも呼ばれる由縁だったか。
今は男が異能を使うのは、飯場のじーさんの前でだけだった。]
存じてますよ。
あれだろ、ドンパチ探偵。
今日はお静かですね。
[そんなことを言えば、男は彼に掴まれている、
男を見る。見るからに気絶している。
何か怖いものでも見たかのようだ。]
[捕まれ、上げられた顔を見て男は言う。]
こいつが、スラムの人間じゃねぇってくらいしか、
俺にはわかんねぇな。
[アデルがもしそこにいたなら、彼はどう反応していたか。*]
ー回想ー
『スティーブさん!これ買いとってよ!どのくらいの値段に…うわっ!』
『ぜえっはぁっ…べリティ……!事務所の備品を…はぁっ…勝手に…持ち出すな、と…いって…』
『ユーが追いかけてくるほどの価値なの?!すごいすごい!ねえこれいくらになるかな?!』
『べリティいいいいいいぃ!!!』
『今日もまた賑やかですね、ドンパチ探偵』
『いつでもどこでもドンパチしてるわけじゃない!
いくぞべリティ、今日という今日はみっちり話をつけてやる!』
『スティーブさんまたねー!』
『おい、その左手に持ってるのはその店の商品だろう置いてけバカ!』
[そんなやり取りを延々と続け、最終的に少女は探偵に連れていかれた。連れて帰る途中に少女が探偵に軽くスティーブの噂を紹介していた気がする]
スティーブ、いい名前ね。
[実はアデルはこの男の名前を知っていた。面と向かって会うのは初めてだったが、『無能』と呼ばれる彼の噂はそれなりに聞いている。]
(素直に名前を言っちゃうのはおバカなのか、正直者なのか。)
[人の物を勝手に売っているのだ。偽名を使ってもおかしくはない。とりあえずわかったのは、目の前の男が噂ほどのダメ男ではなさそうだということか。様々な人間に会ってきたアデルには、目の奥に何かギラギラと光るものが見えた気がした。]
── 下層区域 スラム ──
……うっ……
[スラムへ足を踏み入れた娘はひどく及び腰になっていた。汚い衣服をまとい道端に座る住民、ボロ家──視線を遮る以外役に立っていなさそうだ──、怪しげな物を売る店に、埃っぽく淀んだ空気。時々巻き起こる喧騒は活気よりも恐怖を感じさせる。そんな中を小さくなって歩いていた。
四年前、娘がドームに暮らしていた頃は上層区域に住んでいた。その後移り住んだ村は原始的ではあるが、それなりに清潔だったし、何より平和だった。世間知らずの娘にとって、スラムはとても恐ろしい場所だった。]
『きゃはーーー!!』
[そんな娘の横を子供達が駆け抜けていった。]
子供って、どんなとこでも元気ねぇ。
[屈託無い姿に勇気をもらい、娘は恐る恐る、近くにたたずむ老婆に話しかけた。]
あの、ちょっといいかしら……?
小包持った男を黒髪のお兄さんが追いかけてるの、
見なかった?
[老婆は娘を上から下までじろりとながめると、皺の寄った手ですっとある方向を指差した。]
『ドンパチ探偵様ならあっちだよ。』
[老婆に礼を言い、指された方向へ向かう。
途中、はたと気付く。]
……探偵?黒髪で、ドンパチで……
もしかして、ユウヅキ!?
[友人と思しき名にぱぁと顔が明るくなった。足取り軽く道を行く。]**
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