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── 岩山 ──
博士曰く、脳みそが溶けるような感覚に陥る、と。
[手に携えた首輪をリュックから取り出し、腰のあたりにぶら下げると、いよいよ戦闘態勢に入った。事前の検証では、首輪を嵌められると集中力が乱されるのか、異能の発現が非常に不安定となる結果が得られた。能力なしでは合金製の首輪を自力で壊すのは相当な力が必要となってくる。常人では難しいだろう。]
とはいえ、こいつの出番はないかもねー。
おー、こわいこわい。
[アーネストがド派手に大地を削りながらターゲットを追い込んでいる。抉れた大地を見下ろす格好で配置につくと、リュックの左ポケットの口を開ける。元々下向きに作られた口を開ければ、バラバラと弾丸が足元に散らばるのだった。]
それじゃ、俺ちゃんは姉御のメラメラに巻き込まれないようにここから援護射撃でも始めちゃいますかね。
まずは足でも吹っ飛ばしてやりますか。
[一息の間目を閉じれば、散らばった弾丸が宙へと浮き始める。目を見開けば銀の光が宿っている。腰のホルダーから取り出したマシンガンのトリガーを引けば、弾丸たちは螺旋を描きながら目標へと飛び立っていくのだった。*]
─ ユウヅキへのメモ ─
『ユウヅキへ
俺の異能について記しておく。
俺の異能は引力や斥力を操作するものだ。
効果範囲は接触、または投擲物。
ただし、投擲物へは数秒程度しか効果を発揮出来ない。
効果範囲を視界にすることも出来るが、
これは消耗が激しいため滅多に使わない。
以上だ。
裏づけが必要ならノエルに聞け。
アイツは俺の異能を昔から知っている。
他に聞きたいことがあるなら後で聞きに来い。
…だが俺のことよりも先に、
貴方がここへ来た目的を達成して欲しい』
『村にも例の犯罪者の被害が出た。
貴方が危惧していたメロスの能力の発露も確認した。
俺は宣言した通りに村内のことを何とかしようと思う。
だから、貴方には犯罪者を捕縛して ─── 裁いて欲しい。
貴方と同じく、大切なものを踏み躙られた者として願う。
法に携わる貴方の心にある正義を信じている。
ハロルド』**
それにさ、なんだかんだ言っても、21年生きてきた村だ、愛着はある。
土地にも、人にもさ。
[そう言って、薄く笑みを漏らした。
不便だし、娯楽もないし、気候に異常があれば食うにも困るような生活だ。
それでもどうにか支え合い共に生き抜いてきた人々を、そう簡単に切り捨てられるものではない]
それに、羊たちを置いていくことなんて出来ない。
飼い主にとっては可愛いものなんだ、あれでもさ。
[何れ食糧として消費する運命ではあれど、羊飼いは羊へ確かな愛情を注いでいた*]
……ああ、絶対。絶対戻ってくる。
[彼はベッドを起き上がる。
……そしてその時、かさりと自分の手の中にその紙があるのにようやく気づいた>>42>>43
涙を流していた時も、苦しんでいた時も、エイミーをなでていた時も
ずっとずっともう片方の手を握りしめるのを解かなかったのは…ハロルドの思いに無意識に答えていたからか、それとも自分への諦めがつかなかったからか]
……裁いて欲しい、か。
……正義…か
ははは…僕の中にあるのはそんな大それたもんじゃない
[……その目に、再び闘志の火が燃えた]
任せろ、こちらは。必ず裁いてやる。
僕のプライドを傷つけたヤツに
ベリティを、村を傷つけたやつに
然るべき罰を下してやる!!!
[ユウヅキは水の気配を頼りに奥の倉庫へ向かうと>>1:23
タンクをひとつ開け放った。ドドドという音が立って、大量の水が地面に落ちるが…全てが一つの大きな犬の姿に集まってくる。タンク一つ、全て使って生まれた巨大な水獣に跨る]
[エイミーに、振り返る。 ……ニッと笑った顔と、その真剣な目が彼女を見下ろしていた。それは見下しではなく…信頼の目だった]
水、また返しにくるから。
また……後で。
料理、楽しみにしてるな
[彼は巨大な忠犬に乗り、機材を壊さない配慮のためか
裏手からテントを飛び出していった。
残されたタンクは、空っぽだった]
[ハロルドの返答を聞き、考え込む。>>34
点と点が緩やかにつながっていく感覚はある]
液体、か。
ただの液体じゃあなさそうだな。
もしや、薬品か? やつの行っていた実験の成果?
……そうしてその実験とは、……“異能力の開花”に関するものだった、というわけか?
[ふう、とため息をひとつつく。
だとすれば確かに能力者を狙った理由については謎めいて思えるか……?]
能力者にその液体だか薬品だかの効果がどう及ぶか試してみたかっただけじゃないのか。
ユウヅキを暴走させた件といい、
追われてるというのに悪知恵だけは働くみたいだしな……。
[もっとも、ただの推測に過ぎないが]
…………。
そうか。
[振り返らずに口にする]
俺は、お前がこの村に住むことを選んでいると思っていた。
もし、力があったなら……
お前は何になりたかったんだ?
[誰かが、ドンパチやるのが聞こえる。>>+29>>+30
それに対抗しようとするエネルギーは、自分が感じ取ったそれと全く同じものだった]
……いつかぶりだな、ヤンキーエージェント
[攻撃に転ずるトレインに声をかける。>>+40
獰猛な水の忠犬が、ユウヅキを下ろし
ドンパチへの加勢に向かう。 ………そして]
あいつを、あのクズを!!止めさせてもらおう!!!
拒否権は無い!!!
[真っ赤になった目で、岩山地帯を『境』内にぶち込む!!!]
『空間制御能力!!! 対象はあのクソ野郎!!!』
『目的、能力の完全封鎖!!! 及びに移動妨害!!!』
『能力発動まで、あと15分だ!!! 生き残って見せろ!!!』
[真っ赤に染まった目が、身体の負担を無視して空間を染め上げる。赤く、紅く、明く。*]
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