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ぅ、…っ
[嘔吐感が襲ったのは、魔素の影響だけではあるまい。
胃からせりあがった酸味と混ざり合い、更に臭気は酷くなる。
口元を押さえ、――ぐっと呑み込んで。]
…………、
[一口。また一口。
涙を堪えながら、なんとか食べきれば。
――確かに、女性の言う通りの効能はあったらしい。
砂化していた指先は、再び元へと戻り。
肌に浮いていた竜鱗はそのままだったが
奥へ進むごとに酷くなっていた息苦しさは、薄れた。]
……ほんとだ
[驚いたように、目をまるくして。
手に付着した実の液体を、まじまじと見つめた。]
[――フリッツが命を賭して遺した『呪い』は、再び少女に歩くだけの力を与える。全てが元通りになることは無かったが、それでも、望みを叶えるだけの時間の猶予を。
途中からは、女性の姿が見えなくなり、一人きりで歩かなければならなくなったが。手に残る実の感触だけを支えに、ひたすらに歩いた。]
[知らない。――知っている。
分からない。――分からないはずがない。
でも、過ぎった"彼"とは、あまりにも違う。
形が違う。いろが違う。気配が違う。
あれではまるで、形を持つことを許されない、化け物だ。
でも。]
…………、
[どろりと溶けた液体のような"それ"を、ただ見つめる。
球体に包まれ。玉座の間からいなくなるまで。
じっと、目が離せないまま、呆けたように瞳に映していた。**]
竜の子 ダリアが「時間を進める」を選択しました。
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