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―― はじまりの国攻略作戦 ――
[ はじまりの国。人類側の抵抗拠点の一つにして、
数多くの勇者を送りだして玉砕させてきた国家。
その攻略作戦は最初ゆるやかに行われた。
最初に人々の間に起こったのは各大都市での食糧の供給不足。
盗賊ギルドの影響力を最大限に発揮し、またこのような時勢でも
私腹を肥やす事を目論む一部の商人たちは
急につり上がった食糧価格に、これを商売の機であると判断
様々な場所から片っ端から食糧を買い上げ、売り捌いていった。
そしてその商人たちが売り払った食糧を片っ端から魔軍が買い上げる
一時的な食糧不足はしかし、それほど深刻に捕えられる事はなかった
ゴルガンタの崩壊ですら対岸の火事に過ぎない彼らにとり
緩やかに迫る破滅の足音に気付くのは酷というものだろう。 ]
[ 最初の計算違いは、隊商の数がめっきりと減った事だった。
魔物の襲撃によって交易路は安全とは言い難いものになっていた。
また、街に訪れる浮浪者の数が加速度的に上昇していた。
その素性は、大都市圏内にある村落が魔軍の襲撃に逢い
追い立てられるように落ち延びたというのが真相である。
日が経つにつれ、難民の数は上昇してゆく。
魔軍の支配領域が徐々に広がってゆき、大都市では難民や市民を
維持するだけの食糧の確保が難しくなってくる。
その上、準備段階で行われた食糧の買い上げによって
都市内部ではあっさりと飢餓が蔓延していた。
そして、大都市間での連携力を喪わせる為に
これらの作戦は同時多発的に行われている。
何処にいっても食糧はなく、どこにいっても人だらけ。
大規模で派手な戦の気配はなく。
真綿で締め上げられるように人類は死に向かっていた。 ]
[ はじまりの国で起きている惨状。
何処からか何某かの噂が流れたのか、はたまた空腹に堪えかねたか
都市内部から徒党を組んで魔物を狩り、それらを喰らう者達がいた。
形振り構わずに生に縋りつく人間達の姿は滑稽に映る。
そんな彼らが現れた市街は、凄まじい状態になっていた。
都市の内部は飢餓、疫病、連絡の途絶により、通りには死体が溢れ
そしてそのような惨状になったとしても、盗賊ギルドは沈黙を守る
行政機能は最早完全に麻痺し、
それに伴い、無法地帯と化した都市では、貨幣価値が消失した。
魔物を喰らう、という決断をした者達。
そんな彼らが人間を喰らうという決断をしていたとしても不思議はない
リリ・リリトはこれ以上力攻めをするつもりはなかった。 ]
[ 必要に駆られればこれらの都市を亡ぼす事も厭わぬだろうが
贄を得るにしても、労働力を得るにしても、戯れに使うとしても、
何処からか浚ってくるよりも、管理下に置いた方が効率がよいから。
この状況で、最早組織抵抗を行う事など不可能であり
都市を管理できるのは事実上盗賊ギルドのみという有様。
ならば、盗賊ギルドに都市管理を任せて、
必要に応じて苗床や贄を供出するような交渉も行っただろうか。 ]
―― はじまりの国 ――
[ リリ・リリトは歩を進める。
はじまりの国の国王。その存在が確認されたのは城内では無かった。
王城は暴徒によって略奪と破壊に晒されており、
とても安全だといえる状態ではなかったのだ。
その暴徒が、ただの人間だというのだから、可笑しな話である。
王を見つけたのは王都より僅かに離れた、城に比べれば小屋程度の小さな居室。
締め上げを行い始めて日数が経過していた故、国王は憔悴しきっていた。
よもや魔王の居城とはかけ離れた地を、一足飛びに襲撃される
そのような現実を直視できなかったのかもしれない。 ]
……。
[ 怯えたような視線を向ける王は、決して聡明であるとは思えない。
同じ居室に居た自身の娘、妻の姿を見るや、滂沱と涙し、安全を祈願する
その姿は、人の親としてはそれなりのものだろうが…
恐らくは、魔王が求める"聡明な王"には足りていない。
そも、この王は自らが送りだした"勇者"に相対しているというのに
その事を知覚せずにいるのだ。
…リリ・リリトは腕を振るう。
王の首は至極あっさりと刎ねられ、死に絶えた。
彼の家族は貢物として何処かに贈られるのだろう。
リリ・リリトの連れてきた死霊兵達は"戦利品"を抱え上げると
一足先に魔王城へと転移されてゆく。]
……。
[ 此処に、はじまりの国攻略作戦は終焉を迎えた。
多くの勇者たちを送り込んだ無責任な王。
国王の首級を手に入れるという戦果を挙げたのにもかかわらず
リリ・リリトの心には虚しさが渦巻いてしまっていた。 ]
……私も許せないだろうし、目的が達成できるのならば多少の恥辱にも耐える。
旅を通してタンガリンザと絆を育むことができた。
そう思わせる策略なのかもしれない。
さて、我々が窮地に陥り最悪のタイミングで復讐の刃を向けてきたとしよう。
我々の絆を問いてそれをやめさせる自信はあるかな?
もしくは――……彼を信じた事でアインを始めとした人命が奪われても良しとは思えるかな?
ことは、人類種の命運にもかかわる事態だ。
彼を信じるのか信じないのか。
曖昧なものではない。
明確な君の言葉を聞きたい。
[>>189
目を伏せる彼に畳み掛けるような問いを向ける。]
/*
あー。もしかしてこれは、タンガリザ君を殺してからのチャペ君がアロラ君を殺そうという流れにもっていこうとしているのかな。
彼女は何も喋らなかったが。
君の名前に、反応したように見えた。
記憶があるのかないのかは、分からない。
ただ。
レティーシア。何があっても躊躇うな。
彼女は強い。隙を見せれば、死ぬだろう。
そして彼女は、闇を行使している。
―――――…おそらく、君の力が最も有効だ。
[残酷なことを、告げている自覚はある。
淡々と、言葉を並べて。
言い終えてから、僅かに迷うような間の後、
宥めるように彼女の肩にそっと触れた*]
[アロラから畳み掛けられる問い>>197。
それを全て受け止め、思考のために一度瞳を閉じた]
[――自分一人の命を天秤にかけたなら、違う答えだったかもしれない。
しかし、彼女はアインの名を出した。
少年にとっての、誰よりも護るべき相手]
[英雄譚は、信じることの大切さを高らかに謳う。
それに背く言葉を口にするために、一度切羽詰まった呼吸をして]
僕は……アインのことが、一番大事だ。
勇者さまと一緒に、魔王と戦って倒したい。
だから――
[開いた目で、アロラを真っ直ぐに見詰め]
――そのために必要なことなら、あなたに従います。
綺麗事だけで世の中はまわっていない。
納得してくれた事を嬉しく思う。
[彼は賛成してくれたがアインが強行に反対すればどうなるだろうか。旅の仲間を信頼するという耳に触りの良い言葉に彼の敬愛する勇者という要素が加わればこの意見が通るかどうかは怪しい。]
事を起こす際は声を掛ける。
その時はよろしくたのむ。
[それでも、言葉を紡ぐ事を止める事はしない。
共謀者という立場に彼を留置きながらも、陰気な話はこれまでだと彼の肩を叩き去っていった*]
望むなら…おいらこれみんなに配るっす…
[覚悟を決める純粋な瞳。その綺麗な眼でしっかりとチャペを見る。許可があればそのまま帰りにキノコを自慢の鼻で探し当て、食事とともに差し出す気である。]
/*
普通にタンガリザ君が、敵対に行ってる。
魔王は静観しておけば良かったみたいだね。何か気にし過ぎてただけだったね。
orz
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