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[竜という生き物は、本来、群れを成して生きるものだ。
人を統べる王が在るように。
魔を統べる王が在るように。
竜にもまた、彼らを統べる王が在った。
人間の王のように、智慧によって統べるではなく。
魔物の王のように、力によって統べるではなく。
純粋にして唯一の、種としての頂点。
尤も、それは昔々の物語。
――彼らを導いた王は死んだ。
――彼らを率いた王は朽ちた。
残された次代の卵もついには孵らず
種族としての彼らは滅びを決定されたのだ。
竜王の死を契機に、竜達はそれぞれの選択をした。
ある者は竜王と共に朽ちゆくに任せ。
ある者は新たな王――魔王の軍門へと下り。
ある者は、世界が滅ぶその時まで、隠居を決め込んだ。]
― 霊峰ププルブル ―
……ねえ、本当にここであってるの?
[二人の姿は、とある山にあった。
身を打つ豪雪。触れられそうな程の位置にある雲。
登山道は愚か、獣道も、木々のひとつすら生えていない
人が――否、人でなくとも近付く理由の無い絶壁の霊峰。]
他の子たちも、たしかにおかしなところにいたけど……
……うう、……さむ……
[身を抱きながら、苔色の竜から山の頂へと足をつける。
新雪を踏みしめる感触よりも先に、染み入るような冷たさが皮膚を蝕み、血流を軋ませた。]
[そんな少女の様子はどこ吹く風か。
苔色の鼻先が、早く前に進めとばかりに背中を突く。]
あっ
こら
もう、押さないでよ……わかってるってば
[恨めしそうに背後を振り返りながら、とにかく先へと進む。
すると――、劣悪な視界の先で、"何か"が、蠢いた。]
[膨れ上がる影。気配。
――まるで、そう。山そのものが動いたかのような。
見上げる一人と一匹を呑み込んで余りある影を落としながら
"それ"は、姿を現す。]
――――
[山。
否。――竜。
吐く息は降り頻る雪を吹き飛ばし。
喉を鳴らす音は最早地鳴りに等しく。
少女の連れ立つ苔色の竜よりも、何十倍も大きな老竜。]
『我の眠りを妨げたのは、貴様か』
[鱗の奥。老竜の双眼から注がれる気の名は殺意。
紡ぎし人の言葉を真似た声は、雷雲の轟きにも似て。
長く、長く、息を吐く。
――それに。]
うん。あなたにお願いがあってきたの
[少女は、満面の笑顔で応えた。**]
/*
うーむ。竜王か。
確かに世界の状況は捏造して欲しいとは書いたが、竜を出して力押しで解決したいなら、面白さが半減するな。
― 旅立ちの日/自室 ―
[父と兄は自分を使いこなせないと判断した。
本人にその意思は無くとも兄妹との性質の違いから対立派閥が形成されそれを機に諸公の切り崩しが発生する前に手を打つ事にした。
それは理解できるが―――]
……なぜこうも情報が漏れているのやら。
[机に並ぶのは諸公の息子達からの文。それぞれが父兄の非道を訴え、同情の言葉と共に騎士として自身を迎え入れる用意がある旨が書き連ねられている。
おまけに送り主の7割が独身という事実にただただ苦笑を浮かべるしかない。
盗賊ギルドの手が回っているとも思い浮かばず、魔王を討って帰還する自身の覚悟に女性としての機能を失っている旨をさらりと添えて返事をかきあげ侍女に託す。
一族に結婚適齢期の者が居ない貴族の文を選び出し油紙で巻けば革鞄へとしまいこんだ*]
― 城下町ゴルガンタ ―
[――山での一件の後。
一人と一匹が向かったのは、とある城下町だった。
正確には、その町を目指したというよりも]
大きな街なら、ゆうしゃさんという人を知っている人もいるかも!
[という少女の思いつきによる進路だった。
――事実として、ゴルガンタは大きさという部類では申し分ない。
三方を囲う断崖絶壁は天然の要塞として機能し
保有する騎士団はそれなりに精強。
魔軍の侵攻が激しい昨今に於いて一定の平和を保つこの街は
人間の住む領域に於いて、流通の要ともなっているらしい。]
すごい。いろんなお店があるよ
アイスにも見せたかったなあ
[今日も今日とて、人の街に翼竜は共に入ることはできない。
少女独りの身とて、いかめしい門兵にじろじろと睨まれたくらいだ。
竜が目の端に触れただけでも、忽ち大騒ぎになっていただろう。]
――っと
お店を楽しんでる場合じゃないよね
[訪れた目的は勇者探し。
とは言え、面識があるわけでもなければ、情報屋や盗賊ギルドを頼るといった手段を少女が知るはずもなく。]
大きな街だから人もたくさん
よーし!
[結果として、『街の人間全てに聞いて回る』という、ごく原始的な方法を用いる運びとなった。**]
村の設定が変更されました。
魔神 ディーマン は、支配人を解任されました。
魔神 ディーマン が村を出て行きました。
魔神 ディーマン が見物しにやってきました。
魔神 ディーマンは、見物人 を希望しました。
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