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遠野くんの事が好きかどうか…言うまでもない、好き。
独占欲は、どうか。好きになり始めたと認識したころは、あった…というより、かなり強かったように思う。
他の…特に自分が仲良くしているような女子ほど、元々遠野くんとの関わりがあったり、懐に入ることが出来ていたりしたのだから。
遠くから見ているだけみたいな女子には負けないって思っても、彼女らには勝てないかなってやっぱり何処かで思ってしまう。
…それを隠すように、気持ち自体隠してみたり、逆に全て先に暴露してみたり…そんなことばかりだったよなぁって。そこは、今もあんまり変わらないけれどね。
―海水浴の翌日―
健兄、祐兄。
私ね、特別で――――大好きな人がいるんだ。
[目を丸くして固まった長男。
しかし次男は何か勘付いていたらしく、やっぱりなぁと笑う]
その人、鍵谷千秋っていうの。
[彼の詳しいことまで話すつもりはないけれど。
真剣な想いを兄達に伝えて]
それでね。
誕生日が8月25日なんだけど、……、
―8月25日―
[何度も学校へスケッチブック片手に通って。
兄達を料理の実験台にして。
やってきた、誕生日当日。
千秋が遅刻するとは思えないが、何分前に到着したことだろう]
千秋、我が家へいらっしゃいませ!
[ピンポンが鳴れば、ドアを勢いよく開けて。
悪戯っぽく笑い、その台詞を。
そして南仏風の明るい雰囲気の家へと招き入れようか]
[家の中は足音ひとつせず、静まりかえっている。
しかしクリーム色の壁紙と明るい木を基調とした内装、そして窓から差しこむ光のおかげで寂しげではない。
今日ばかりは自分がエスコート役。
千秋を誘い、リビングのドアノブに手をかけたところで]
今日は、思う存分千秋に楽しんでほしいな。
ちょっと驚かせてしまうかも、だけど――――、
[そして、ドアを開ける]
[パンパン、とクラッカーが破裂音を響かせ、
紙吹雪とリボンが舞い、
清潔感はあるが、生活感に溢れたリビングは、ひとりで準備するのは大変なくらいに、折り紙の輪を連ねた飾りや風船で彩られ――
その奥では、パーティ用の三角帽子を被った兄達が、どうだ驚いたかと言わんばかりに笑っている]
あっちのムキムキが長男の健一兄。
隣のが次男の祐次兄。
準備だけ手伝って貰うつもりが、おめでとうを言いたい、脅かし役やりたいって聞かなくてさ……。
[呆れたように息をつく。
さて、千秋の反応はどんなものだったか]
兄達には、千秋のことは話したの。
私の大切な人だって。
[小声でそう伝え。
お前が鍵谷かーと豪快に笑いながら頭を撫でようとする兄1と、何故か頑張れよーと応援する兄2。
彼らと千秋は何か言葉を交わすだろうか。
兄達は歓迎ムードだけれど]
……ごめんね、騒がしくて。
[肩を竦め]
でも、こういう誕生日パーティの始まりも悪くないかなって。
[千秋へと微笑みかけた。
兄達は食事まで共にするつもりは初めからなく。
一頻り会話をすると、
『俺は大学のサークル行ってくるわー』
『んじゃ彼女とデートしてくる』
と、手を振って家を出ていくはず。
なんだかんだこの時のために家に居たことを知っている妹は、どんな表情をすればいいのやら]
あ、料理はちょっと待ってね。並べるから!
[さっとエプロンを身につける。
ダイニングテーブルには、ふたり分のランチョンマット**]
―文化祭に向けて―
[いつの間にか、夏は終わり。
秋の気配のする景色を窓外に、教室では文化祭の話し合い。
纏めるのは委員長か、厚生委員だろうか]
ねぇ、催し物なにがいいだろうね?
[なんて、<<写メら― 久方逍>>に問いかけてみた**]
−海水浴の終わり−
[海からあがって、陽が傾く前に水着からTシャツに着替えていました。風も冷たくなってきたので、上にパーカーを羽織って]
記念写真?
[逍ちゃんが念入りに座る位置とスマホの位置を確認しているのを眺めながら、ぼんやりとしていました。
なんとなく疲れた気もしますが、ある種の高揚感というのでしょうか、頭は冴えているような感じです]
キミに恋をした
知ってた?
最初に会ったときから
ずっと好きだった
その笑顔
そのしぐさ
その悪戯も
全部好き
キミに恋をした
知ってる?
欲しいのは一番じゃなくて
キミのオンリーワン
キミの中に
わたしだけ
キミのキミの
全部が好き
[逍ちゃんがスマホを準備している間に呟いてみるの]
うん、うちにとっても、生まれて一番の日だったよ。
こちらこそ、ありがとうね。
...
[そのQUESTIONへのANSWERは
KISS
で答えたのでした*]
そうはいっても、当初よりはそれは少なくなってきている気もどうしてもする。
それは、現状で満足しているのかな?
…一面では合っていて、一面では違う気がする。
多分、今一番女子として遠野くんに一番距離が近いのは私って自信はある。女子と交流するのが苦手そうだったのも、ある程度以上に改善したであろうことは、私だけではなくとも私がくっついたりしていたこともあるんじゃないかなって思うの。それは満足してるし…近くにいても前より自然になってきているのは嬉しいこと。
でも、それだけじゃ足りないって思うこともやっぱりある。
水着を可愛いって言われたりしたら勿論嬉しくなったけど、動揺させるくらいになりたかった。
例大祭で感極まって抱きついちゃったことはあるけど、あのときの言葉も私が思ったようには届いているとは思えないし。
意識してくれないかなってやってみても全然。
一緒に居ることが当たり前に思和せられるようにって助言に納得はしているけれど、足りないかもって思うことはあって。
−回想:期末試験後 沙絵ちゃんの誕生日−
[去年までと同じように、地元の中学の時の友達を誘って、沙絵ちゃんのお誕生日パーティをやりました。
去年までは沙絵ちゃん家でやっていましたが、今年はうちでやることにしました。何故かというと、パーティの後、沙絵ちゃんとパジャマパーティをすることにしたからです]
いやー、ひさしぶりー!
[小中と一緒だった仲の良い友達が集まると、みんなでキャイキャイはしゃぎました]
沙絵ちゃん、これ、うちからのプレゼント。
[沙絵ちゃんに渡したのは、真新しいキャンバスです。F30号の大きめサイズ。もちろん麻100%。せっかくなので、ちょっと値の張るものを用意しました。Pサイズではなく、Fサイズなのは、沙絵ちゃんには意味は通じると思ってます]
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