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明かりを消して布団を被って、ぎゅーっと目を閉じてみたんだけれども、これが全然眠れない。
なにしろ初めてのことだからさ。不安なのかなと思ったら、どうもそうじゃない。
どうもねえ。部屋のどこかが気になって眠れなかったらしいんだよね。
もう気になって気になって、なにが気になるのかわからないけど、もうたまらないくらいになったの。
だから、そーっと目をうすーく開けて、そっちの方見てみたんだって。
そうしたらさ。開いてたの。押入れの襖が。
ほんの少しだけ開いててね。それが気になって仕方ない。
部屋はもう真っ暗だしね、布団から出るのも怖かったらしいんだけどさ。
押入れの隙間がどうしても気になって、その子、見に行ったんだって。
隙間の向こうに何があるんだろうって、そおっと覗きこんでみたらさ。
ぶわぁぁぁ ってね。
真っ白い手が何本も伸びて来てさ。
あっ、という間に男の子を引きずりこんだんだって。
それで翌朝、両親が男の子の部屋に行ってみてもその子はいなくて、どれだけ探しても結局見つからなかったんだって。
[マタタビ茶をひとくち飲んで、ふうと息をつく。]
その男の子は結局どうなっちゃったのかって?
それは、その子に聞いてみないとわからないよねえ。
それか、連れてった手に聞いてみないとさ。
[もうひとくちお茶を飲んで、窓の向こうに視線を向ける。
光の具合か、その目がほんのり赤く光っていた。]
人から聞いた話。帰省したお盆の夜、細くひらいた押入れの隙間から見知らぬ世界に迷い込んだそうな。
http://shindanmaker.com/470710
お題で振ってみたけどなんとなく短歌にしづらかったので、そのまま怪談にしてみましたの巻。
さび猫 なまくらは、喫茶店マスター ジロ をうらなっちゃうことにしたよ。
おれの先輩から聞いた話してやろうか。
[膝から下だけでブランコをキィコ、キィコと小さく漕ぐ。]
先輩は温泉ホテルで按摩師やってるんだ。
目が不自由だから、客室に行くんじゃなくてマッサージルームに客が来る形でね。
その晩の客は、50歳くらいのおっさんで、身体を触ってすぐに肉体労働の人だとわかったそうだよ。
まじめな筋肉をしてて、揉み解し甲斐があったそうだ。
しばらくマッサージをしていると「もう少し右をやってくれ」と求められたんで、言われたとおりにすると、「もうちょい右だ。んー、そこじゃなくてな、ここ」と手首を掴まれて引っ張られ、直接場所を指示されたんだって。
でもさ、横になってるおっさんが、そんな角度で先輩の手を掴むことができるはずないんだよ。
先輩は、ぞっとしたけど、何事もなかったようにマッサージを続けたそうだ。
時間になって声をかけたら、おっさんは気持ちよくて寝ちゃってたって言ったそうな。
結局、あれは誰の手だったのか、いまだにわからないままだってさ。
[キィ、と隣のブランコが小さく揺れた。*]
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