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九ツの星はそれぞれに果たすべき役目と定めを持っている。
それは追々明らかになろう。
この九ツの星が凶星に呑まれた時、みやこもまた闇に堕ちる──
[ふっと目を開け、]
……ざっとこんなところだ。
これ以上はおれにも分からん。
[唇をへの字に結んだ。]
[急ぎの為に従者は数名。故大殿邸は自身でも感じられる程濁っていた]
…何事か…。昨日はまだ空気に清浄さもあったのに…。
[卦の結果。自身らが羅生門を歩いていた時刻…取り分け卯から巳の刻、巽に現れることは普通の怪異足りえぬという。しかしそれでも現れたあの怪は何なのか。
もやは誰かに案内を請う必要もなく、庭へと踏み入れる。鷹も警戒してか、肩の上に止まり辺りを見改める]
―西の市―
商と繋がりがある方々が多いからな。
そうでなければ…機が良くなければ手に入らぬだろうさ。
[腰を下ろす童にそう言えば、薬師は箱に肘をつく。
ぽつ、と呟いた事には小さく相づちを打ち]
…桐弥、ね。
私の名前は汐…あまり怪我をするなよ。
[別れ際。名前を聞けば、其の背に名を返す。
童が市を去った後も、箱に肘をついて人の流れを見ていた。
と言うのも…
聞こえてくる話し声。
人々が口にする噂話に耳を傾けていたからだった]
[二つ、一つと九つの星。
それぞれ明らかになればきっとあるじは告げてくれるだろうし、明らかになるまでは何も言うてはくれぬだろうから、鳶尾は何も問わず静かにその場を離れた。]
[さほどの人数ではないが、それでも一種の静寂を破るに十分な騒がしさで到着した一団があった。]
……嗚呼、これは中将殿。
斯様な場所へご足労を──嗚呼、あちらへ影居さまと白藤殿が。
[鷹の様子を伺いながら、敷地を出る。]
いえ、中将殿への無礼は某に責任がございます。
何卒ご容赦を。
ささ、次へ参りましょう。
[そう言いつつ、若宮殿が心赴くまま歩いていくのを後ろからついていく]
[肌へ、ざわざわと何かが纏わりつくようで酷く気分が悪いのですこしだけ屋敷を離れた。
ただならぬ様相のなかにあって確りしなければいけないとは思うのだが、塀の外へ出るとすこし生きた心地がした。しかし、すこし離れたところでうしろへ屋敷の控えている以上は何も変わらないような気もした。]
[袖からそっと手を出すと、あやしき血糊は夢であったかの如くに消えていたが、手を濯(そそ)ぎたくもあった。]
―故大殿邸・庭先―
[読んではいる、という影居の言葉に頷く]
――まぁ、結果ご覧の通りでしたな。
[肩を小さくすくめて]
四辻のそれは、呼び水のようなものだということですな。
たったひとつの呪が、都すべてを巻き込めるとはおれも思っては居ない。
見立てが甘かった部分もあったのも
間違いはないのでしょうが――
ところで。
話は変わるが、その、はぐれ式とやらだが。
是非に見てみたいものだ。
おれは、件のお方は父の話にのみ聞いただけで、直にお会いした事はないのだ。
道を究めたと名高いお方なれば、一目なりとも、な。
[少しく瞳輝かせそう言いつつ、尚も渋面を崩さないのは、*それが習い性となっているらしい。*]
…なんとも。
厄介な物だ、ね。
[件の屋敷の主が居なくなったとかなんとか…
誰かの呪いだ、と。此は物の怪の仕業、と。
そう言えば、役人が動きがどうの…
好き放題に言っておる…]
…笑うに笑えんのが辛い所だな。
陰陽師…白藤の兄さんが居た。か。
まぁ…私にも分かるほど陰の気が濃かった。
なれば、その他にも雇っていてもおかしくは無かろう…
[しばし、人の流れを見ておったが。
立ち上がると箱を背負い]
そんな中、何処ぞの貴族が呪を施したとは考えにくい。
なれば…祟りの方、かね。
どれ。一つ話でも聞きに行くとしようか。
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