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[恨むことはできないというように、小さく首を横に振る。
それから、袖を引いた手は少しだけ躊躇いがちに彼の手のひらへと伸ばされる。
ゆっくり、描かれる、軌跡のない文字]
『な ま え を お し え て』
『ほんとう の』
『あ な た の な まえ を』
[ゆっくり、読み取りやすいように指先は文字を画き、それから彼を、見る]
[手に書かれた文字を読み取り]
名前、ね。どれが本当の名前なんだかな。
『あまね』で間違っちゃいない。それが父親のつけた名前だから。
『桐(きり)』に『弥(あまね)』と書いて、『桐弥(とうや)』、がおれの名前だよ。
それでずっと生きてきたんだ。
[こちらを見る若宮へと微笑み]
―花山院邸・奥座敷―
[こころ分かたれたまま故か、茫とした目で去りゆく式を見送るのです。
少し遅れて風ひとつ。]
『式は役目が故に在るならば…そなたが役目は?』
[問うは白狐か、黒狐か。]
『そなたが、在る意味は?』
[未だ血糊纏う赤い前髪を、風は揺らして去るのでした。]
[母親亡きあと、花山院の屋敷に引き取られた痩せたこども。
おんなの長い髪がおそろしいと、
義母にちかづかず庭にばかり出たがるこども。
やがて女房たちにも疎まれ、ただしき後ろ盾のないこども。
目が暗くなりはじめたと云い、
人には聴こえぬ声が聴こえると云うこども。
麗しくもないその男子を 戯れに引き倒し手込めにしたのは、どの下男か。こどもが、なついていた父、兄──師輔との間を引き裂いたのは、誰が利を得んがためか。]
あの頃から、兄上がおとこを好むことを知っていた。
・・わたしは、母上から逃れるため
おのが穢れ怨みを捨てるため、
仏門に入ったが──
[唇が、名前を確認するように、ゆれる]
…ぅ、ゃ…。
[少しだけ聞こえる声。
失声は一時的なものだったのか、それとも、漸く何かに対して安心できたからか。
ひどく弱い、よくよく耳を澄まさねば聞こえぬほど、声は小さい]
…と、う……や…。
[漸く見えた、彼の微笑む表情に、少年は少しだけ悲しそうに、そして申し訳なさそうに、微笑んだ]
ごめん、な、さい。
[そろりと、その頬に手を伸ばしかける。
傷を癒すように、まるで慰めるようにそっと、その頬を*撫でようとした*]
[おとこはゆるく首を横に振る。]
[僧坊] [灯りが落ちた部屋で 聞いた 小僧のあまい啜り泣き]
[都を落ちたものの 人の在る寺にはおれず、逃げるように山に籠った────。]
[貧しい山寺に住み着いた流れの僧を村の人々は、ただ僧であると云うだけでありがたく迎え入れた。]
・・…葛木 おまえはやさしいね
あの山の麓の村で──ひどい飢饉があったことはおまえも知っているだろう。
─大路─
[黒狐は、法師の腕の中でこくりと頷いて見せるのです。
あの時は野山も畑も荒れ果てて、狐も僅かな糧を求めて人里近くへ降りてきていたのでした。]
[名前を呼ばれ、謝罪の言葉を受けると、その笑みはやや悲しげに]
だから。
謝る必要はないよ。
名前も。高貴なお人に呼ばれるような名前じゃないんだ。
[若宮の手は払いのけることなく、撫でられるまま]
若君様に謝られると、ほんとに、悪い気がする。
[その小さな肩に手を回した]
(今も、あいつはどこからか見ているだろうか。
安心しろ、傷心の若宮に取り入ることなどしない。
それでも。お前の元に送ってやるのは、嫌だ)
[どこか宙を見て]
[肩に置いた手に、*少しだけ力を入れた*]
[おとこ自身は、その村で山路に倒れ、そのまま死した方が幸福であったのではなかろうか。]
…・・葛木
[おとこは漆黒に染まった狐の髪をわけ、あらわになった耳元に*名をささやく*。]
[名を呼んだ後、続く言の葉は無く。狐の耳元でおとこのくちびるだけが動く。]
わたしが あの村で
人の肉を食った
と云ったらおまえはどうするかい?
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