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――花山院邸・奥座敷――
ほう。
[無我と恒仁を見比べ]
……何故お前がそのものへ添うのだ。
お前を此処へ囲っているのは”明輔さま”か?
[何度も横に首を振る姿]
[藤の香りが漂い]
[若宮の思いを伝えるかのように]
戻らなければ、みなが心配するというのに。戻れないと思うのはご自分だけだ。一度捨てたとして、それを誰も責めないだろう。
戻りたくないのなら僧にでもなるといい。
安倍の後を追いたければ、自分で身を投げろ。
冷たい反応に思えても、おれは、貴方の気持ちをはかる事は出来ない。おれは、ただの人なのだから。
でも、そうだな。
さすがに、若君一人残して、ここを出ることは出来ないよ。
[言って、若宮の隣へ腰を下ろした]
[猫の呪は迷うているのか。
民家の軒先をくぐり、湯とともに薬を飲もうとした顔色の悪い女の足元を走り抜ける。
猫に導かれるおとこが、通り過ぎるとき、女は手にした椀を取り落とし、薬と血を吐いて倒れた。
────…猫の駆け抜ける道々で、薬を飲んだものが死んでゆくは偶然か。
おとこは、ただ、数珠をかかげ、経文を唱える。されども、猫を祓うことはなく。]
[ふるふると、糸の伝えるものを今は声として感じ取ることができる、
若宮の声を聞くことは怖ろしい、
若宮の苦しみの声を聞けば、鬼と化すかも知れぬから。]
(今生で手に入らぬのなら、この世の理曲げてでも)
[だが一方で嬉しく、いとしくもあるのだ。]
(ずっとあなたのお側に居りまするよ……)
[その二つは表裏一体、同じ恋うるこころから生ず。]
[憎しみも、愛も、清も不浄も。
はなからそれは不可分のものであるのかも知れぬ。]
[こくりとひとつ頷いて。]
えぇ。
あの方は…かつてわたくしが山河に在りし頃、迷いて行き倒れて居られたのです。
酷くやつれてうなされるあの方を、わたくしは哀れに思いました。
うわ言で幾度も、父と兄への恨み言を。
あの方の辛い心が、兄を妬み恨むこころが、
…少しでも楽になればよい、と。
わたしは、汐どのに「白藤どのを殺した《者》はおらぬ」と、云った。
(怨念はもはや人に非ず)
けれども、汐どのは呪を作られてしまったのですねえ。
[何時の間にか、猫とはぐれたおとこは、以前に汐にそうした様に、傍らにある黒い狐の首筋に触れる。]
ああ…
兄上は、あなたを好いておいでのようでした、汐どの。
[触れた手のひらは、愛撫するように狐の首を上がり、そのまま長い髪を梳く。今は銀ではなく黒く長いぬばたまの髪を────]
……他の事を考えた方が気も紛れるか。
[ふ、と口の端歪めて自嘲った後で、]
ところで。
お前、本当に一度も誰かを愛しいとか恋しいとか、思ったことは無いのか。
せめて、女に文を出すとか、好き男よと思ったとか、抱きたいとか抱かれたいとか。
[*おそろしく真顔で尋ねた。*]
[隣にある人影に、俯いて。
それは、確かに温かい気配なのだけれど]
[求めているものとの違いは、はっきりと]
…っ。
[唇が、何度謝罪の言葉を紡いだのか。
申し訳なさで、彼を見ることも出来ない。
少しだけ、間が空いて彼の袖を少しだけ引く。
迷い子のするように]
――花山院邸・奥座敷――
それで、いまお前はそいつ
[こちらへおもてを向ける無我を指し] をはべらせて居るのか?
[すこしせせら笑った]
[黒髪] [ぬばたまの] [糸ひく おんなの呪]
気がつけば、引き取られた先──花山院の兄弟が
兄をのぞいて、絶えてしまった事も。
その兄が、子を成せぬことも、母上の呪かと思うていたのだけど。
兄は、おとこ──だけを好む性質だったようだ。
わたしはそれも忘れてしまいたかったが、あの大殿の屋敷で、兄が汐どのを見つめるあの気配で、思い出してしまいました…。
わたしが 今更に汐どのを怨むことはなし
ただ…────
─大路─
[黒き狐は法師が胸に擦り寄りて、心地よさげに目を細めるのです。
漏れる吐息すら、その耳に届いたかもしれません。
名も知らぬ人々が死にゆく様を、クスクスと笑み零して眺めているのです。]
[鏡は見ぬようにしていた、
見ればまた揺れる。]
[今は若宮の声、魂に繋いだ糸から伝わる気配だけで、
充分 なのだから。]
[クスクスとこぼれる 黒狐の声]
…・・葛木
おまえは、行き倒れていたわたしを
兄がおとこを愛することが堪えきれぬわたしを
二度助けてくれた。
[抱きすがり座り込んだまま、空に手をのばす。目に見えぬ誰かをくびり殺すような動作。]
―花山院邸・奥座敷―
…はべらせ…て。
[ふと、その言葉に無我をじっと見やるのです。]
わたくしは…、
この方の受けた仕打ちが、背負う重荷が、
痛ましくて仕方がないのです。
それでもこの方は…己が事は顧みず、わたくしの罪すら背負おうとしてくださる。
[裾を握られ、若宮の方を見やる]
謝らなくていい。
若君様が、謝る必要など無い。
おれは、こうやって横にいても、あいつが死んだことを喜んでるかもしれないんだから。
だから、怨まれた方が、いいよ。
――花山院邸・奥座敷――
それが役目だからだろう?
そうせねば、在る意味など無いのではないのか?
[無我の面を視線で撫で]
そういうものの筈では無いのか
それとも――――妙に情でも沸いたかな
[むつまじいものどもが憎いという、
誰のものとも知れぬ文が頭を過る。
二人……と、数えたものか
彼らがむつましく見えるのは、呪の所為か。]
まあいい。
私には関係の無いことだよ。
邪魔をしたな。
[つ、と下がる。*]
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