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…ぁ……。
[唇は確かに、あまねのきみ、と軌跡を描いたのに、声は出ず、音にもならず。
彼の独白を聞きながら、少年は少しずつ引いていく涙を袖元で拭いながらまっすぐに視線を向ける。
瞳が一度、二度、と伏せられ、再び唇が軌跡を描く。
今度は「ごめんなさい」、と。
けれど、音にならない]
…?
[自分で、そこで初めて気がついたように喉に手を当てる]
――花山院邸・奥座敷――
永漂。
そう、法名永漂と”綴ってあった”な。
[一人合点をした。]
そいつは呪を、己の意で扱うことが出来るのか?
──大路──
[墨染め法衣のおとこは 大路に立つ。
多くの人々は 空を見上げ 赤い雨の話をしている。
大路の角で見つかった 腰から下だけの死体の話も混じる。]
季久さまに出会うて、影居の生は本当に報われたのです……
生きていて良かったと、初めて思えた……
だから、もう良い、もう良いのです……
[若宮の頬に手を伸ばし、指で流れた涙を拭って]
もしおれが、安倍を手にかけたのだといったら、貴方はおれを怨むのだろうな。
[細い体をそろりと抱いて、すぐに離れる]
六条院に戻るといい。おれはもうあそこへは戻らない。
愛しい人を殺されたと、怨むのならおれを怨め。
六条院には世話になったと、伝えてくれ。
もう一つ。
身分も弁えずに。おれは貴方が好きだったんだ。
貴方がおれを憎いと、忘れずにいてくれるなら、それでいい。残る旅路で、貴方の手に掛かったとしても、おれが申すことは無い。
[若宮の口が動いて、何かをいおうとしていることは判ったけれど]
[しばしあっけに取られていたが元に戻ることに表には出さぬが心底安堵したようで]
…お前に忘れられた宮があまりに哀れとは思わぬか?
気持ちがお前を鬼とする程の物であったら宮はお幸せなのかもしれぬよ。
私には縁のないものだがな。
[泣く様はあえて見ない。ぽん、と肩を叩き*]
[帳から外を見ると、先程の法師の姿はなく]
今なら、あの法師も居ないようだ。
若君様の足でも、六条院まで戻るのはたやすいだろう。
……声が、でない、か。
その内に、心の傷がいえれば、出るようになるだろう。
癒えずとも、文字で伝えればよい。
[短刀に伸びた手にはもう力無く]
[若宮の頭へ伸びた手は、ゆるく撫でて]
――甘いのは、おれだ。
[今ならば、我が物に出来るのかもしれないと思ったけれど。泣いて、尚それを我慢しようとする姿を見て、その気は失せてしまった]
[恨むかと、問う声に。
戻ればいいと告げる声に。
僅かに首が横に振られる。
もう、今更戻れないと、ばかりに]
………っ。
[首を、幾度も横に振る。
伝えたい言葉は幾らもあるのに。
音に、ならない。
だから、涙にしかならない]
呪…を?
[未だ半ば夢の中に居るような様子で、聞き返します。]
己で出来るのであれば、あの方は…
[件の方の兄を死なせた時の事を思い出して、思い至ります。]
あの方は、幾度も兄上様を怨み呪っておりました。
されども…その時には思い果たせず、
…わたくしが、その思いに添うて…ようやく果たせたようなのです。
[その時のことを思うと、やはり胸が痛むのでした。]
怨み辛みに近しきところにあれど、あの方が己で出来るとは、わたくしには思えぬのです。
[労わるような橘の仕草、肩を叩く手、]
きっとおれは、全部抱えて魂の奥底に封じてしまえば、
季久さまをこれ以上傷付けずに済む、と思ったのだ。
一時、苦しんでも……否、死ぬまで忘れられずとも、
おれの手で、季久さまを滅ぼしてしまうよりは……
だが思い出してしまった以上、いつおれは鬼と変じるか分からぬ──。
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