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[その、より暗い部屋にたどり着いたのは、法師の姿を見てから僅か後の事で、破れ、色もあせた几帳を手で寄せて中を覗く。そこには、淡い光りが一つ]
(若君、さま)
[腰に下げた短刀を握る。蹲り、泣いているように見えた。
几帳を手で払い上げたまま暫し眺めて]
[苦痛に息荒げ──と言うてもおとこはとうに死んでいるのだから、それはおとこの魂がそう感じているだけであるのだが──、顔を歪ませながら橘を見上げる。
何時の間にやら、片膝ついて座り込んでいたようだ。]
本性だと?
[淡き黒狐は、法師の赤き血滴る指を見て、
そっとそれに舌を這わすのです。
それは傷をいたわるものなのか、
滴る生き血を味わうものか。
あるいはそれは、両方なのかもしれません。]
[その、より暗い部屋にたどり着いたのは、法師の姿を見てから僅か後の事で、破れ、色もあせた几帳を手で寄せて中を覗く。そこには、淡い光りが一つ]
(若君、さま)
[腰に下げた短刀を握る。蹲り、泣いているように見えた。
几帳を手で払い上げたまま暫し眺め]
思えば宮も哀れなことだ。
宛てなる者は宮を忘れ、宮は頼む者に忘れられて現世を生きるとはな。
影居よ、次は宮様を鬼とする気か?
それはそれで面白く見させてもらおうか?
泣いて、おられるのですか。
誰の為に。
何故、こんな場所にいるのですか。
あの法師にでも、連れてこられましたか。
何故、あの法師は貴方様をここに連れてきたのですか。
[問う声に責める響きは無く。ただ呟くように口にした]
[暫くは、あてもなく往来を眺めていた。
遣えた屋敷へ戻るつもりにはならなかった。]
……花山院。
[呟き、その名を冠する屋敷へ向かう。
目指すは奥の座敷──]
──……→花山院邸・奥座敷──
つねひと。
[小さな、足音。
次第に近くなってきたそれに、少しだけ、顔を上げる]
…。
[何故、という問い、答えられなくて首を横に振る。
そんなの自分が教えて欲しい、とばかりに。
少しだけ、唇をかんで、そしてまた俯く]
[血をなぞり、触れる舌先のやわらかさ。
薄い笑みを浮かべたおとこのおもては、若宮にどう映ったのかわからない。]
[にゃぁあああ]
[猫がまた鳴き、さかしく素早く獣らしく 塀の向こうへ姿を消す。
何処かへ──誰ぞを怨み あやめんが為──。
猫の去り際、葛木のために汐が薬を分けてくれたときの。
箱を開いた時と、同じにおいがした。]
…・・汐どの か
―花山院邸・奥座敷―
[その薄闇の帳の中、
狐の体は無我と共に在りました。
淡い狐火は傍らには無く、茫とした目で赤き式を見上げるのです。]
――花山院邸・奥座敷――
[帳を破り捨てかねぬほど乱雑に退け――かといって怒っている訳では無いようだ。]
――ふん
邪魔したな。
[添いあう二人を見た。]
つねひと。
お前、花山院明輔という名に覚えはあるか。
[逢うたら、云いたい事があったように思う。けれども、それらは浮かんでこずに]
ご自分の責すら果たさず、愛しい人と共に在る事を望んだ貴方を、怨めしいと、憎んだりいたしました。
貴方の寵を受けるあの男を、憎いと思いました。
それでも、死んだと判るとその憎しみはどこかへと消えたのです。
ただ、悲しい。貴方の悲しむさまを思うと、やはり憎いと思うたのはただ自分が醜いだけであったのだと、思う。
[歩き、若宮の傍へと腰を落として]
[あかい霧が渦を巻く……闇から滲み出てきたそれは、おとこに幾重にも纏わりつくように漂い、]
忘れぬ、おれは決して諦めぬ、
必ずや黄泉還りて、季久さまを、
[地を這う怨みの──否、それは妄執の声。低く低いおとこの声。]
[めり、]
[額からふたつ、何かが生え出でるように皮膚が盛り上がる。]
[ふ、と一息ついて]
…恋う者に忘れられるとはこの世で最も惨いことよな。
愛しいものに先立たれると、どちらが辛いものか。
[ちらりと見える先には狐と僧形のもの。あれらも恨みつらみを全身に受け止める者たちか]
あの狐、私が笛など落とさなければ穢れにまみえることもなかったろうに。憐れなことをした。願わくばそのまま人の世に在うこと能えばよいが。
おれは。
あいつを、安倍の影居を殺したいと思った。
貴方を、殺したいと思った。
それだけ、憎く思えた。
白藤さんが目の前で死んで、手に薬を塗ってくれた汐さんも死んだ。
知っているお人が亡くなってしまうのは、悲しい。
おれが、貴方を手にかければ、六条院の人たちはより悲しむだろう。
貴方の祖父は、おれを正式に養子に迎えたいといってくれた。
その言葉に報いる為に、おれは貴方を手にかけることはしない。
あきすけ…さま。
永漂さまが下仕えの者達にそう呼ばれて居たのを聞いた気がします。
…恐らく、あの方が俗世に居た頃の御名前かと。
[件の法師の事だろうと、いちはつ殿に教えるのです。]
[裂けんばかりに盛り上がった皮膚、]
[しかし、]
違う──!!
[喉から絶叫迸る。]
違う、のだ……
[がくりと肩落とし、蹲る。
たちまちの内に、二つの突起は縮み、平らかに。]
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