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薬で戻せはせぬ。
毒でも戻せる気がしない。
[心内呟いた]
…手に入らなければ、か。
いっそ、壊すか?
…そんな事、出来るのか。
出来て、しまうのか…
修道女 ステラは、見習い看護婦 ニーナ を投票先に選びました。
治った・・・・・・それが汝の力だと言うのか。
信じられん、そんな馬鹿な。
[ふと視界の隅に、永漂の姿が入る]
永漂、殿?
確か、花山院にて惨事があったと聞き及んでいるが真か?
[汐に頷く。微か苦笑]
そんなに驚くことか。
情を抱くには理由がある。そいつを知ると
どうも分からんでもないな、と思わなくもないこともあるんだが。
[遠くを見る。]
あぁ、とめてくれ。
おれもお縄は御免だからな。
[調子を合わせ]
呪わないですむならそのほうがいい。
おれが見てきた中で、呪い呪われ
誰も幸せになったためしなどないからねぇ。
[己の力及ばず亡くした者が居る。
故に、祓い続ける。弔いながら。]
[ゆっくりと影秀と無我が対峙する場所まで歩をすすめた。]
ああ。影秀どの。
花山院の話まで──すでにご存知でしたか。
たしかに、今朝方、兄が内裏で殺されました。
[無我のすぐ傍に立つ。
影秀がなにやら不可思議なことを云うを聞き、首を傾ける。
無我に顔を近づけ──暗い目で、識が影秀にしめした傷をのぞきこんだ。]
・・…これは。
傷が治っているのではありませんよ。
切られても、血が流れぬどころか、あかい色すらしていない── まるで極彩色。
影秀どのは、分からぬもの。
見たくないものを──見ずにすませようとなさっているのではないですか?
[無我が、影秀の後方に下がる所作に、おとこは薄い笑みを浮かべ、それからほうと息をついた。]
そうかねぇ…好いた者ならば。
生きていて欲しいと思うんじゃないかねぇ?
壊してしまおうというのは…どうも。私には。
[遠くを見る様子に。小さく苦笑いして。
頭から手を離すと]
ま、そんな時が来ないことを祈るよ。
…だろうねぇ。
呪いで益は入らぬだろうさ。
穴二つ、ってんなら…尚更、ね。
[うん。と、同調する様に小さく頷いて。
白藤の言葉には一つ瞬きをし。門の奥を見やる]
法師殿が?
…弔いの準備でもしていらっしゃるのでは?
[確かに、車の傍には見つからなかったが…其処まで深刻には考えては居ない様だった*]
・・・
[”気味が悪い”率直にそう感じた]
し、失礼。某陰陽道に疎いもので。
そういう事だったか、失礼した。
しかし、永漂殿。そのような騒ぎがあったにも関わらず何故今ここに。外出どころではないのではないか?
[おとこに覗き込まれても 無我の面は変わらず茫としたままだった
暗い目元を映し出す目
おとこの目は 識が跳躍――黄金の弧の軌跡描いたをはっきり捉えた筈だろう 影秀を挟んで墨色の衣纏う二つの影が在った]
[おとこの姿はまた波紋のようにゆれ]
[影秀の足元の血満水は 密度を増す] [まるで影秀の足を絡めとらんとするかのように]
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