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わたしは、花山院の者らしい。
[おとこの記憶には無いのだが、かれ自身が兄に宛てた文におのれの成した修行の成果を書き送ったことがあるらしい。
とは云え、おとこを今になって呼び寄せた「兄」の意図は分からぬ。
真名を知られれば、魂を奪われるやも知れぬと云うのに。何故かおとこは無防備にも、目の前の識に「兄」からの文を見せようと懐を探った。]
ああ、雨だ・・・濡れてはいけない。
こちらの梁の下へ おいで──
春の雨は 冬の雨よりも沁みて つめたい。
[羅生門の下には、皮肉なことにおとこが巻いたはずの車が、にわかに降り出した雨の所為で戻って来ていた。
花山院 師輔の使いの男は、半ば自棄になったように、おとこを*呼んでいた*。]
なるほど、では説明が必要ですな。
おれの知っていることならばお答えしましょう。
長旅とのこと、お疲れ様で。
[すいと手を屋敷へむけて差し伸べる]
ご案内しましょう。
……あぁ、そうだ。おれは白藤と申します。
必要があれば、そうお呼びください。
[と、屋敷へ向けて歩き出す。
話をすれば、部屋が用意されるとの旨を伝えた。
休むまでの間に怪異について聞かれれば、余さず答えた。
雨が散り敷く花びらを叩いている*]
かたじけない。某は富樫影秀と申す。
これでも守護大名の家計だが、某はまだまだ奉公の身だ。
暫く世話になると思うがよろしく頼む。
[今までの経緯を聞きながら、*白藤の後に付いていった*]
[去る男に頭を下げて、自身も戻ろうと振り向く。
雨を避けるかのように走り、そして自身の間へとようやく辿き、待っていたとばかりの*女房の小言を聞き流した*]
嗚呼…影居、さま。
[嬉しそうに、やっと楽を奏で終えた少年は微笑み立ち上がって庭先近くまで]
…お会いしとうございました。
さ、こちらへ。
それ以上濡れては、花だけではなく貴方様まで冷えてしまう…。
[両の手を差し出して招く様は抱き締めるを求める子供に似て]
[微細な粒子が流れを表す―― おとこが文(ふみ)へ目を落とす間(ま)も、無我は茫と顔の向き変えぬままであったから横顔を見つめることになる]
[あかく ぬるく 底なる人々の想いが重なり重なり羅城門は、またゆぅるりと隅から鬼をうみいだし――]
「術師はもう居らぬの…か。」
[後を託す事になったおとこへ頷く]
「わたしは、花山院の者らしい。」
[文を探り、傍へと呼ばうおとこのもとへ 擁かれるように]
[俄かに雨が死臭をくちくちと冒し 誰その声が響いてきた]
[暗がりの中、無我はおとこのこめかみに指を伸ばし――ひたり。手のひらを頬、顎へと*触れさせた*]
[庇へと上がったおとこは、差し招く若宮の傍に跪き、面を伏せる。]
私もお会いいたしとうございました。
若宮さま……いえ。
[すっと顔を上げ、若宮を正面より見詰める。]
季久さま。
[本来は口にすることさえかなわぬ筈のひとの名を呼ぶ声には、幾分かの情がこもっていた。]
[正面に近づく姿をじっと見つめながら]
…貴方様はいつも…樹の影から姿をお見せになるのですね。
[最初に出会った内裏で迷子になった日を思い出したのか、少しだけ口許に笑みが生まれた。
血の繋がりを持つもの以外が呼ぶことはない自分の名を呼ぶ声に滲む感情に、微かに瞳が揺れる。
そろりと、指先は彼の指先に触れられたらとばかりに躊躇いがちにのばされ]
[「いつも樹の影から現れる」という若宮の言葉にクスリと笑う。]
それ故の名ですから……
[目の前の若宮の瞳に宿るいろに、気付いて居るのか居ないのか。
涼しげな顔で、伸ばされた指先をそぅっと手に取り、*恭しく戴いた。*]
[少し瞬き、そして小さく笑む]
影に居る…ですか。
本当ですね…。
[自分の指先を掬う冷たさに少し睫毛が頬の上に影を落とした。
自分の熱が彼を驚かせはしないかと、ばかり、少しだけ*不安でもあった*]
―大殿邸―
[粗方の状況説明の後、休憩もそこそこに
先に挨拶をしてくるという富樫を
白藤は門まで見送った。
庭では薄紅梅と桃花色の花びらが緑の苔に映えている。
雨を吸い、澱んだ空気の中でさえ鮮やかだ。
富樫の薄紅の着物にも似ていたかもしれない。
傘をさした富樫の背が見えなくなるころ
屋敷の方へちらと視線を向けた。]
大殿さまの様子は――相変わらずか。
[腕を軽く組んで、開け放たれたままの門に凭れた。
常の笑みが薄れて、ふと物憂げなかおになる。]
足りないだろうねぇ。
……おれでは。
[通りへ向けた筈の眼は、何処か遠くを向いている。
屋敷の死のにおいは、
羅生門から広がる陰のにおいと似ている。
祓う祓わないではないと影居が謂ったのを
白藤は知る由もなかったが、
聞いていたならば同意しただろう。]
……否、何人でかかろうと同じか。
本当に、根が深いことだ。
[呟く。人の気配。表情は、薄笑みに戻っていた。]
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