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[ひそやかに流れ行く笛の音は、ぽつりと落ちた雨の雫にて止みました。]
おや、これは。
…涙雨でございましょうか。
[草の陰以外に雨露を凌ぐところを持たぬ身でございますから、
濡れぬように袂へと笛を収めて、ひとときの宿りの場所を探しにと歩を早めます。]
は、はい…
屋敷の中でも、この空の中でも。白き姿を保っておりました。
[顔を伏せたまま答えた。
ソレが良かったのか。屋敷やら、と問われた事に表情を見せることはなく]
い、いえ…私には、その様な事は…
ただ、この屋敷からは…如何様に、言えばいいのか。
重い、様な…
[強張った表情を戻してからゆっくりと顔を上げる。
しかし、今度は視線を合わせようとはせず]
…は。仰るとおり、薬師をしております…
渡来より伝わった物や、山より取ってきた草を、使ぅております…
[仕事の事になれば、ゆっくりと答え始めた]
[時折七弦琴によって奏でられる旋律は決まって人払いをしてから独りで奏でる特別な曲。
邸のものにしてみれば、いつもの曲で済まされるものも少年にとっては特別な意味を持って奏でられるもの]
……ああ、厭な風だ。
[羅生門、しびとの住処。罪びとの住処。
それに似たにおいが、都をつつむように、
波紋のように広がっていく。
屋敷の空気は澱んでいる。]
根が深いねぇ。
[幾度目か呟いて、ざりと土を踏み踵を返した。
屋根の下、段に腰を下ろして庭を見る。
花のかおり、それも滲む気配に沈むように見える。
影居は相変わらずの様子であった。
かれなら看破しているだろう、この屋敷のことを。]
さぁて、どうするかな。
[翡翠が揺れる。]
[扇子で顔を隠したまま、空を見上げ]
……楽の音がする。
若君様、か。
[今までも幾度か聞いた音だったが、あの白い少年が弾いているのだと想像し、自分の指を見た。
所々傷の付いた、細い指。手を見られることがあれば、一目で「病に臥した少女の手」でないことがわかるだろう]
いつまで、こんな事を続けるつもりだろうな、あの狸爺。
[漏らした言葉は傍にいた女房にも聞こえないような小さな声で]
これは。
役人に目を付けられるというのは。
[心の中で思うは、直ぐ傍に居る者のこと]
吉兆ならばよいが…弱った。
少なくとも。蟲毒を扱うことだけは知られてはならぬ…
渡来の草ぐらいならば、金子があればいつでも買いたたける…
[…視線を逸らしたときに、目に入った男。
笑って居った]
…く。
[かむろが答えることはあの陰陽師達と同じこと。少し首傾げる]
ふん。そなたも陰陽師と同じ類と申すか?
京の穏やかならぬ空気を感ずるは同じだ。こんな所からも同じことを聞くとなれば流石にのんびりともしておれぬか。
して、そなた唐の薬も扱うか?
公家の中でも唐の薬やらは専らの評判であっての。前々から興味はあったのだが。よければ一つ、所望したいがいかがか?
[名を聞けば公家の間にも評判の薬師ともすぐ知れよう]
「素性も知れぬもの」か。
[クッと唇を歪める。]
あれで済めばまだ良いが、な。
いずれもっと現れる。
さればさ、押し止めるよりはむしろ…な。
人に後れを取るおれではない。
また、おれの手に負えぬものならば、誰が共におろうと同じさ──
[嘯いて、濡れるのも構わず*足早に大路へと出る。*]
[おとこは、無我をしばらく寝転んだ姿勢のままで見ていた。まるで、唐突に現れたその識の纏う光と、所作の滑らかさに魅入られたかのようだった。]
何 ──を、
[礼を行う無我の動作に気付いてようやく身を起こした。]
わたしは誰ぞに、礼を尽くされるような男ではない。
わたしは──
[名を名乗ろうとして、改めて気付かされる。
おとこには記憶がなかった。
素性の知れた確かな身分の「兄」から、おのれの名に宛てられた文が届き、京の都に戻ることになったにも関わらず]
────……
[おとこは己の名を名乗ることが出来なかったのだった。
当惑して、色褪せた髪ごと頭を振り、おのれと無我の他に、羅生門に誰か──無我が礼を行う対象がいるのではないかと、気配を探ろうとした。]
[御簾の中に戻り、聞こえてくる琴の音に耳を傾けながら、文字読みのためにと置かれた書物を手にし]
こんなもん、若君様ならもっと簡単に読むんだろうな。
[頬にかかる髪を払って以前読んだ続きから読み始める]
[向かう先は、蝶の文を飛ばした相手──
薄い唇に浮かぶは、かそけき笑み。
常日頃不機嫌な顔を崩したことの無いこの男にしては、珍しいほどの穏やかな顔つきである。]
陰陽…?
[成る程…先ほど話して居った男が気になっていたのは陰陽師だからか。
一人納得するが、弱ったような声で返した]
いえ、その…その、陰陽師、という方々の様な者ではございませんが…
ただ。嫌な予感、と、言いましょうか…
[…言葉に迷う。弱ったように言葉を濁して居ったが]
は…はい。
唐の薬。根や葉も扱ぅております。
ご所望なれば…この空の下では。
[もう一度頭を下げると、少しだけ空を見やり視線を戻す]
[雨を避けるようにたどり着いたのは、立派な方のお屋敷のようでした。
塀の庇の下へと身を寄せて、灰色に染まった空を見上げます。
庭から聞こえるのは、どうやら琴の音。
先ほどの川のせせらぎよりも、もっと清浄で澄んだ音色に誘われて、
いつしか寄り添うのは鳥の啼く音のような笛の声でした。]
[――ひらり 翻す衣の裾は水面にえがかれる極彩色の多重円。揺れる衣は黒と墨の間を揺れ続ける色。
――視線こそ茫としておとこに向けられているかすら分からぬが、おとこだけに顔を向けている。当惑、苦悶似る心の揺れ動きに、表情は変化せず。全ての動きが見える程にのろく指が動く――
薄蘇芳の影を指に纏いつかせ懐より取り出した文(ふみ)
然(さ)る陰陽師からの文であり、最期の文だった。彼(か)が遺した識神についての事が書かれている。
都守りしが為、同じく人を守らんが為――辰星(しんせい)と術師の識が織りいだした式神。身体の些少な特徴と形代たる力について、魚のようにまろみ持つ流麗な筆跡で書かれていた。おとこが名をと求めれば]
[ * 辰星 無我 * ――…‥そう、指先で綴るであろう ]
季久さま──
季久さま。
[やがて庭より現われたる男の衣冠はしっとりと濡れていようか──
艶含んで低く囁く声も、姿も、邸の者は一向に気付く気配も無く。]
影居が罷り越しました。
[端麗な笑顔を見せて、*微笑んだ。*]
[現れた気配に気付いても、音は終演を迎えるまでは止まない。
途中で曲がとまれば、周りの者が心配して見にくるからだ。
漸く最後の一音奏でれば琥珀の瞳持ち上げて]
[暫く書物へと目を走らせていた、が]
笛の音だ。外、から?
[手に持っていた書物を小卓に置き、外を覗く。誰かいるような気配を感じるわけでもなく、ただ、笛の音がどこから聞こえてくるのかは見当が付いたのか]
見て来たいが、余り姿を見られるのもな。
どこかの楽好きの貴族が、通りすがっただけかも知れない、か。
誰も彼もが厭な予感という。一人二人なら軽く流せたがな。
いやすまぬ。この件はもう聞かぬよ。
唐の薬はまた。是非とも所望したいものよな。興味もある。
そなた名をなんという?私は橘中将。
確かにこの雨はお互い不都合。日を改めるかよければ今我が屋敷に参るか?
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